敦賀1のIC系統図(健全な設計思想) 再循環系へ対称的に接続 2011.11.18日本原電報告 1 ★最初から東電擁護の「2012.2.27保安院指示」 ☆申請書の図を見て、東電説明図の“間違い”に気付く! ところが‥ ○2012.2.27保安院指示 <官僚作文のお手本!=資エネ庁以来の伝統?> ・本文「‥非常用復水器のドレン管の再循環回路への接続方法について、設置許可 後から工事計画認可申請までの間に変更されています。なお、当該変更は、設 置許可申請書の添付書類の記載であり、許可事項には該当せず、法令に抵触 するものではありませんが、当院は設置許可申請書の添付書類等の記載内容 のうち、その後の変更により実際の設備を反映しないものについては、設置変更 許可申請時に実際の設備等を反映するよう指示してきたものです。」 ・3項「なお、当該変更は、設置許可申請書の添付書類の記載にあたり、許可事項に は該当しないことから設置許可変更せず、設置許可申請書の添付書類の記載事 項と異なる工事計画認可を申請しても法令に抵触するものではありません。」 とした上で、①変更理由、②添付書類に反映してこなかった理由、の報告を指示。 ⇒「法令に抵触せず!」を繰り返し、東電を擁護した上での単なる報告聴取指示。 安全面での懸念は一切なし(今さら「危険な変更」と指摘できないため?)。 ⇒国・専門家(原子力ムラ)の設置許可審査・工事認可審査の“いい加減さ”! 2 2012.3.12東電報告 ★弁明1:見落とし理由 2.ドレン管の接続方法の「変更を反映してこなかった理由」 「‥ドレン管の接続方法の変更については見逃してしまっており、その後の‥変 更許可申請時にも不整合に気付くことなく、修正されないまま現在に至っている。 なお、‥資エネ庁(当時)は、‥書類の記載内容と実際の設備等の不整合につい ては、法的には問題ないものとしている。」 ★東電の経緯説明(要旨) ①H3.10 資エネ庁より、実態と乖離している点について説明書提出の求め。 ②H3.10~12 詳細設計進捗による相違点(タンク水量約100⇒106m3等)抽出。 しかし、接続方法は「図面上の記載であったこともあり」抽出から漏れた。 ③H3.12 資エネ庁より、記載内容と実際の設備等の不整合は法的に問題なし。 ただし、PA(パブリック・アクセプタンス)的観点より、実際を反映することが望ましい。 ④H5.4 福島第一初の変更許可申請で、1号機では100ヶ所以上の記載を変更。 しかし、接続方法はH3抽出から漏れたため、この時点でも気づかず漏れた。 ⑤H6以降 ICに関する変更はなく、記載見直しもなし。 ⇒東電も、『安全性』の観点からの相違点の検討・危機意識は一切なし! 3 2012.3.12東電報告 ★弁明2:変更理由 1.ドレン管の接続方法を「変更した理由」 「‥関係する図書類の調査並びに関係者の聞き取りを実施したが、‥変更理由 について、確認することはできなかった。」 ★東電の推定(要旨) <東電の技術的能力を示す詭弁?> (1) ICの建屋内配置 ICは同じ側に2台が配置、再循環系は原子炉を挟んで対角線上に配置。だか ら、配管圧損の低減、一次冷却材圧力バウンダリの低減などの観点から、近い 側へ接続した可能性。 ⇒「冷却の対称性確保」という安全性は一切考慮せず! ⇒工事の手間・経費節減から近い側へ+マークⅠ格納容器の狭さにも適当! (2) 再循環系配管リークポテンシャルの低減 再循環系配管への接続箇所を増やすことはリークポテンシャル(注:冷却水漏 洩の可能性)を高める。再循環系 A 配管にはSHC系(注:原子炉停止時冷却 系)配管を接続し、IC系は2系統を一つに合流させてから再循環系 B 配管に接 続した可能性。 ⇒接続箇所の数は同じ=リークポテンシャルは同じ! なお、IC系は動的機器=弁作動、弁をA・B系独立にして信頼性確保。一方、ICド レン管は静的機器で破断可能性は非常に小さく、破断時はLOCAとなり非常用 炉心冷却系が作動=ICの機能は期待されていないから問題なし。⇒意味不明 4 これが実際に正解だった! リークポテンシャルの減少? <接続は2箇所で済んだ?> 再循環系の片方だけに、 最短距離での接続。 5 敦賀1のIC系統図(健全な設計思想) 再循環系へ対称的に接続 リークポテンシャル <接続は2箇所> 2011.11.18日本原電報告 6 最初から経費節減設計? データは「原子力市民年鑑2013」 敦賀1(35.7万kW:主契約者GE) 福島一1(46.0万kW:主契約者GE) 1966.4.22設置許可、建設単価 10.9万円/kW 1966.12.1設置許可、建設単価 8.8万円/kW BWR-2 MARK-Ⅰ *原子炉に対称的に配置:独立性保持 非 常 用 復 水 器 ( I C ) BWR-3 MARK-Ⅰ このスペース節約のため? (2~5号機も同様) *片側に偏って配置:共倒れの危険性 7 非対称(配管節約)ゆえの「ブタの鼻」? (前出の図:1号機4階) B系が反対側にあったら、ブタの鼻までの配管は‥‥。 8 まさか申請書図面の読み間違い? 原子炉停止時冷却系:SHC 非常用復水器系:IC 「他の再循環回路へ」 =別々に接続されることになっ ていたのに‥‥ 「片方の再循環系に」 「片方の再循環系に」と誤解? 9 ★「15条報告まで1時間」もかかるの? ○原子力災害特別措置法(原災法) <改正前/後> ・10条通報:重大事故・兆候の警戒事象発生時。警戒本部等設置=準備開始 ・15条通報:事故拡大・深刻化につながる原子力緊急事態発生時。防災管理者=発 電所長は<15分以内に/直ちに>連絡。原子力緊急事態宣言・災害対策本部 等設置=非常時対応開始(屋内退避・避難準備等の応急対策を指示・勧告) 15:37 全交流電源喪失(津波でD/G冷却海水系が水没し、D/Gトリップ) 15:42 10条1項の特定事象発生(⑧交流電源喪失:1~5号機)を通報 15:50 計装用直流電源も喪失し、原子炉水位・注水状況不明に。 16:36 15条1項の特定事象発生(⑥ECCS注水不能:1、2号機)を判断 16:45 国へ15条報告 ⇒菅首相19:03宣言:与野党党首会談優先で遅れ! (16:55 1号機は16:45に一時的に水位判明で15条解除(2号機は継続) 17:12 17:07再度水位不明(基準外、⑩直流電源喪失でなく)で15条報告 ⇒なぜ、「1時間後の15条報告」を国も各種事故調も問題視しない? ★『手順書(事象ベース)』には、全交流電源喪失5分以上継続で10条通報、HPCI 系(高圧注水系)の機能喪失で15条通報と明記(p.12-4-1, p.12-4-10,11,19)。 ⇒異常時の様子見・判断遅れ=「事故隠し」体質(復旧すれば問題なしで処理!) 10 交流電源喪失時点で、ECCSは作動不能では? 政府事故調の東電擁護の評価? 11 ☆1号機から見える福島原発事故の教訓☆ ○重要機器ICでさえ‥‥ ・設計:並列配置=独立性放棄(技術的能力)+建屋材料使用量の低減・配管接続 の非対称性(経済性)、隔離弁設定の不適切さ(事故想定の不十分さ) ・工事:配管接続等無断変更(経済性)、冷却非対称を無視(技術的能力) ・維持管理:タンク水量80%(経済性?)、設計との相違放置(技術的能力) ・運転員+原発幹部:隔離弁設定・タンク水量・作動状況(ブタの鼻)確認・操作へ の不慣れ・無認識=教育・訓練不足(技術的能力) ○保安規定・手順書“通り”のはずが‥‥ ・温度降下率遵守:日常的な老朽化・財産保護プレッシャー(経済性) ・15条通報1時間後:異常時の様子見=運転継続優先による判断・対応遅れ (経 済性+技術的能力+事故隠し体質) ⇒東電(電気事業者)の経済性優先体質と安全確保に対する甘さ・手抜き! ⇒設置許可と工事認可の相違・無断変更を不問にする原子力規制行政の甘さ! <原子力ムラの『安全文化・安全神話』の集大成!> 12 ★福島原発事故の「国の教訓」? H23.9.23 第35回原子力委員会 資料1-1号 13 高台への電源車配備等の本当の理由? 14 <特定秘密保護法案>さらに隠される原子力情報! 森雅子・担当相いわく「原発の設計図は‥対象とはならない」(2013.11.8朝日) 従来(今も宮城県図書館で閲覧可能) プルサーマル時の東北電力の公開 同じ第12図なのに‥‥ 法第12条2項1号:テロリズム「重要な 施設‥を破壊するための活動」 法第3条(特定秘密の指定):公になっ ていないもののうち ⇒ 最初から『核 物質防護上』非開示にすれば、申請図 面等も「特定秘密」に指定できる? 女川原発3号機 原子炉設置変更許可申請書 本文添付図 第12図(断面図) 15 申請書等は安全性検証の重要な手掛かり! 再処理施設一般配置図 1989.3 トリチウム・クリプトン処理建屋が消えた! 青森県議会への提出(内部)資料 1988.12 プ ル ト ニ ウ ム 転 換 建 屋 の 記 載 も 消 え た ! 高木仁三郎「核燃料サイクル施設批判」(七つ森書館)pp.176-177 16 ★原発関連情報はいくらでも秘密にできる? H25.3.4 規制委・規制庁 資料4 核セキュリティの現状 H4.4.18科技庁「核物質の輸送に係る情報公開について」で「輸送に対する妨 害行為」にも対象が拡大され、「スミ消し裁判:94.7.27-2002.3.12」も。 17 こんな写真をHPに掲載‥で「懲役10年」? た ま た ま 侵 入 防 止 柵 が 写 っ て い た り す る と 、 さ あ 大 変 ! 18 防潮堤かさ上げ等の本当の理由? 放 射 能 調 査 サ ン プ ル 採 取 で 近 付 く こ と も 制 限 さ れ る ? H25.3.4 規制委・規制庁 資料4 核セキュリティの現状 19 中島みゆき 「世情」より 完 20
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