ベン図を利用した民法学習法 - 仮想法科大学院(加賀山)

哲学
経
済
学
心
理
学
ヴェン図を利用した
民法学習法
ルールに事実を当てはめて結論を得るという
演繹的理解から,アブダクション・帰納による
普遍的な法原理の発見と創造へ
法学
2013年4月1日
明治学院大学法科大学院教授
必要なことは認められる。
加賀山 茂
しかし,損害は最小に。
2013/4/1
加賀山茂・ベン図を利用した民法学習法
1
ヴェン図を利用した民法学習法・目次
ルールに事実を当てはめて結論を得るという演繹的理解から
アブダクション・帰納による普遍的原理の発見と創造をめざす試み
 離婚原因の統計的分析
 立法提言
 法律家の推論形式
 判決三段論法
 判決三段論法の問題点
 第3段階(条文にない真の要件の発
見)
 科学的推論の3類型
 無断譲渡転貸と解除
 民法612条と信頼関係破壊の法
理
 演繹,帰納,アブダクション(発見の推論)
 発見の推論とトゥールミン図式
 条文にない「信頼関係破壊の法理」は
いかに発見されたのか?
 法の解釈はなぜ必要か?
 法の支配と憲法76条3項
 「車馬通行止め」の解釈
 社会的背景,判例の変遷,学説
の進展
 普遍的な解除要件の発見へ
 民法学習の3段階
 ベン図で共通要件の発見
 樹形図で創造的な体系化
 論文の文章表現,評価方法
 第1段階(パンデクテン方式に慣れる)
 売買代金の支払場所
 民法574条と民法484条との関係
 比較法(民法とCISGとの対比)
 第2段階(見かけの要件と真の要件の区別)
 裁判上の離婚原因
 民法770条1項1号-4号と5号との区別
2013/4/1
 法学の課題


判決三段論法の精緻化
法原理の発見・体系化の推進
 参考文献
加賀山茂・ベン図を利用した民法学習法
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ヴェン図を利用した民法学習法・目次
ルールに事実を当てはめて結論を得るという演繹的理解から
アブダクション・帰納による普遍的原理の発見と創造をめざす試み
 離婚原因の統計的分析
 立法提言
 法律家の推論形式
 判決三段論法
 判決三段論法の問題点
 第3段階(条文にない真の要件の発
見)
 科学的推論の3類型
 無断譲渡転貸と解除
 民法612条と信頼関係破壊の法
理
 演繹,帰納,アブダクション(発見の推論)
 発見の推論とトゥールミン図式
 条文にない「信頼関係破壊の法理」は
いかに発見されたのか?
 法の解釈はなぜ必要か?
 法の支配と憲法76条3項
 「車馬通行止め」の解釈
 社会的背景,判例の変遷,学説
の進展
 普遍的な解除要件の発見へ
 民法学習の3段階
 ベン図で共通要件の発見
 樹形図で創造的な体系化
 論文の文章表現,評価方法
 第1段階(パンデクテン方式に慣れる)
 売買代金の支払場所
 民法574条と民法484条との関係
 比較法(民法とCISGとの対比)
 第2段階(見かけの要件と真の要件の区別)
 裁判上の離婚原因
 民法770条1項1号-4号と5号との区別
2013/4/1
 法学の課題


判決三段論法の精緻化
法原理の発見・体系化の推進
 参考文献
加賀山茂・ベン図を利用した民法学習法
3
法律家の推論形式(1/2)
三段論法
 大前提
 全ての人間
は死ぬ。
ソクラテス
死すべきもの
 小前提
 ソクラテスは
人間である。
人間
 結論
 ソクラテスは
死ぬ。
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法律家の推論形式(2/2)
三段論法
 大前提
 全ての人間
は死ぬ。
 小前提
 ソクラテスは
人間である。
 結論
 ソクラテスは
死ぬ。
判決三段論法
 大前提(法的ルール)
 故意又は過失によって他人に損害を生
じさせた者は,その損害を賠償する責任
を負う。
 小前提(立証事実)
 Yは,脇見運転をしていて,歩行者Xをそ
の車ではね飛ばした。その結果,Xに,治
療費等300万円の損害が生じた。
 結論(判決)
 Yは,Xに対して,300万円を支払え。
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法律家の推論の問題点
判決三段論法
判決三段論法の問題点
 大前提(法的ルール)
 法的ルールは完全か?
 故意又は過失によって他人
に損害を生じさせた者は,そ
の損害を賠償する責任を負う。
 小前提(立証事実)
 Yは,脇見運転をしていて,歩
行者Xをその車ではね飛ばし
た。その結果,Xに,治療費等
300万円の損害が生じた。
 結論(判決)
 Yは,Xに対して,300万円を支
払え。
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 全ての事件に対応できる完全な
ルールが存在するか?
 法律の条文は,社会の発展に適
合的か?
 立証事実に誤りはないか?
 事実認定に誤りは生じないか?
 立証責任のルールは適合的か?
 判決は公平か?
 一審,二審,三審の裁判官によっ
て判決に違いが出るのはなぜか?
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科学的推論の3類型
演繹とも帰納とも異なる「発見の推論」とは何か?
演繹(三段論法)
(deduction)
 全ての惑星は
太陽を1つの
焦点とした楕
円軌道を描く。
 火星は惑星で
ある。
 故に,火星は,
太陽を1つの
焦点とした楕
円軌道を描く。
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帰納法
発見の推論
(induction)
(abduction)
 水星,金星,火
• 火星は惑星である。
星…は,太陽を1
• 火星は,太陽を1
つの焦点とした
つの焦点とした楕
楕円軌道を描く。
円軌道を描く(ティ
コ・ブラーエの観測結果
 水星,金星,火
を基にケプラーが発見)。
星…は惑星であ
る。
• 故に,全ての惑星
は,太陽を1つの
 故に,全ての惑
星は,太陽を1つ
焦点とした楕円軌
道を描く(ケプラーの
の焦点とした円
法則の定式化)。
軌道を描く。
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発見の推論とトゥールミン図式
火星は太陽を1つの焦
点とする楕円軌道を描く。
彗星は太陽を1つの焦
点とする楕円軌道を描く。
おそらく
誤り
全ての惑星は
太陽を1つの
焦点とする楕
円軌道を描く。
軌道離心率e=1の
ときは,彗星は,
放物線軌道を描く。
彗星の軌道(e:軌道離心率)
1. 0<e<1のときは,彗星は,楕円軌道を描く。
2. e=1のときは,彗星は,放物線軌道を描く。
3. e>1のときは,彗星は,双曲線軌道を描く。
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法の解釈はなぜ必要か?(1/2)
法の支配と憲法76条3項
 法の支配
 法に基づく裁判
 国のすべての統治機構は,法に
基づき法に従って行為しなけれ
ばならない(法の支配)。
 憲法82条1項(裁判の公開)
 民法のような市民の間の紛争を
解決する基準であっても,最終
的には,法の適用と執行を必要
とするため,国の権力特に,司
法権力のバックアップが必要と
なる。
 憲法76条3項(裁判官の独立と
拘束)
 その際,司法権力が,憲法と法
律に拘束されるということは,市
民にとって大きな意味を持つ。
2013/4/1
 裁判の対審及び判決は,公開
法廷でこれを行ふ。
 すべて裁判官は,その良心に
従ひ独立してその職権を行ひ,
この憲法及び法律にのみ拘束
される。
 このように,すべての裁判官は,市民の
代表である国会議員が作成した法律に
拘束されることになり,かつ,裁判は,原
則として,公開の対審によっておこなわれ
るため,裁判の公正さが担保される。
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法の解釈はなぜ必要か?(2/2)
公園入口にある「車馬通行止」の解釈
結論肯定(禁止)
結論否定(許可)
拡大解釈
縮小解釈
牛
車
馬
車
馬
おもちゃ
木馬
類推解釈
反対解釈
人間
飛行船
車
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馬
車
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馬
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民法学習の3段階
 第1段階☆
総論
 パンデクテン方式に慣れる
 総論と各論とが競合するときは,各論が総論に優先する。
 各論に適切なルールがないときは,総論が各論を補充する。
各論
 第2段階☆☆
 真の要件と見かけ上の要件を区別する
 真の要件は,必ず,法律効果を生じさせる。
 見かけ上の要件は,法律上の推定の前提。
 第3段階☆☆☆
真の
要件
見かけ
上の
要件
 条文上の要件を法原理によって修正する
 条文は,不完全なルールであることが多く,安易な反対解釈は危険。
 真の要件を,有効な法原理によって,突き止める。もしも,真の要件が発
見できれば,反対解釈も可能となる。
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加賀山茂・ベン図を利用した民法学習法
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第1レベル:包含関係(1/2)
売買代金の支払い場所
代引きの場合
後払いの場合
第484条(弁済の場所)
第574条(代金の支払場所)
弁済をすべき場所について別段の意思表示がないときは,特定物の引渡しは債権発
売買の目的物の引渡しと同時に代金を支払うべきときは,その引渡しの場所において
支払わなければならない。
生の時にその物が存在した場所において,その他の弁済は債権者の現在の住所にお
いて,それぞれしなければならない。
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第1レベル:包含関係(1/2)
代金の支払場所に関する比較法
わが国の規定の仕方
(パンデクテン方式)
 第484条(弁済の場所)
 弁済をすべき場所について
別段の意思表示がないとき
は,特定物の引渡しは債権
発生の時にその物が存在し
た場所において,その他の
弁済は債権者の現在の住所
において,それぞれしなけれ
ばならない。
 第574条(代金の支払場所)
 売買の目的物の引渡しと同
時に代金を支払うべきときは,
その引渡しの場所において
支払わなければならない。
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CISG(国際動産売買条約)の規定
(売買契約に特化)
 CISG 第57条〔支払の場所〕
 (1)買主は,次の(a)又は(b)に規定
する場所以外の特定の場所にお
いて代金を支払う義務を負わない
場合には,次のいずれかの場所
において売主に対して代金を支払
わなければならない。
 (a) 売主の営業所
 (b) 物品又は書類の交付と引換
えに代金を支払うべき場合には,
当該交付が行われる場所
 (2)売主は,契約の締結後に営業
所を変更したことによって生じた支
払に付随する費用の増加額を負
担する。
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第2レベル:離婚原因(1/4)
見え透いた「見せかけの要件」
真の離婚原因
婚姻を継続しが
たい重大な事由
(民法770条1項5
号)
離婚原因ではない
(推定の前提)
・不貞行為
・悪意の遺棄
・生死不明
・強度の精神病
(民法770条1項1
~4号)
 民法770条(裁判上の離婚)
 ②裁判所は,前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合で
あっても,一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは,
離婚の請求を棄却することができる。
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第2レベル:離婚原因(2/4)
陥りやすい反対解釈の誤り
真の離婚原因
反対解釈
婚姻を継続しが
たい重大な事由
(民法770条1項5
号)
離婚原因ではない
(推定の前提)
・不貞行為
・悪意の遺棄
・生死不明
・強度の精神病
(民法770条1項1
~4号)
 民法770条(裁判上の離婚)
 ②裁判所は,前項第一号から第四号までに掲げる事由がある場合で
あっても,一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは,
離婚の請求を棄却することができる。
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第2レベル:離婚原因(3/4)
離婚原因の統計的分析
夫の言い分
妻の言い分
順位 夫からの離婚申立て
当てはめ
順位 妻からの離婚申立て
当てはめ
1 性格の不一致
-
1 性格の不一致
-
2 親族との折り合いが悪い
-
2 暴力をふるう
-
3 異性関係
1号
3 異性関係
1号
4 浪費
-
4 生活費を渡さない
-
5 異常性格
-
5 精神的虐待
-
6 同居に応じない
-
6 浪費
-
7 精神的虐待
-
7 家族を捨てて省みない
2号
8 性的不満
-
8 親族との折り合いが悪い
-
9 家族を捨てて省みない
2号
9 酒を飲みすぎる
-
10 暴力をふるう
-
10 異常性格
-
司法統計年報:離婚の申し立ての動機別割合 -平成10年-
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第2レベル:離婚原因(4/4)
構造的な理解の後は,改正案を作る
 民法第770条の改正私案(構造化)①:要件,②:例示(推定の前提)
 ①夫婦の一方は,婚姻を継続し難い重大な事由があるときに限り,離
婚の訴えを提起することができる。
 ②以下の各号に該当する場合には,婚姻を継続し難い重大な事由があ
るものと推定する。





一 配偶者に不貞な行為があつたとき。
一の二 配偶者から虐待を受けたとき。
二 配偶者から悪意で遺棄されたとき。
二の二 配偶者が,第752条の規定に違反して,協力義務を履行しないとき。
二の三 配偶者が,第760条の規定に違反して,婚姻費用の分担義務を履
行しないとき。
 三 配偶者の生死が3年以上明かでないとき。
 三の二 夫婦が5年以上別居しているとき。←民法改正要綱案参照
 四 配偶者が強度の精神病にかかり,回復の見込がないとき。
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第3レベル:無断譲渡・転貸(1/3)
見えにくい「見せかけの要件」
真の解除原因
信頼関係破壊
(法理)
解除原因でない
(推定の前提)
・無断譲渡
・無断転貸
(民法612条)
 最一判昭41・1・27民集20巻1号136頁
第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 ①賃借人は,賃貸人の承諾を得なければ,その賃借権を譲り渡し,又
土地の賃借人が賃貸人の承諾を得ることなくその賃借地を他に転貸し
は賃借物を転貸することができない。
た場合においても,賃借人の右行為を賃貸人に対する背信行為と認
めるに足りない特段の事情があるときは,賃貸人は民法612条2項に
 ②賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益
よる解除権を行使し得ない。
をさせたときは,賃貸人は,契約の解除をすることができる。
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第3レベル:無断譲渡・転貸(2/3)
誤った文理解釈・反対解釈
反対解釈
真の解除原因
(解除できない)
信頼関係破壊
(法理)
文理解釈
解除原因ではない
(解除できる)
(推定の前提)
・無断譲渡
・無断転貸
(民法612条)
 最一判昭41・1・27民集20巻1号136頁
第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)
 ①賃借人は,賃貸人の承諾を得なければ,その賃借権を譲り渡し,又
土地の賃借人が賃貸人の承諾を得ることなくその賃借地を他に転貸し
は賃借物を転貸することができない。
た場合においても,賃借人の右行為を賃貸人に対する背信行為と認
めるに足りない特段の事情があるときは,賃貸人は民法612条2項に
 ②賃借人が前項の規定に違反して第三者に賃借物の使用又は収益
よる解除権を行使し得ない。
をさせたときは,賃貸人は,契約の解除をすることができる。
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第3レベル:無断譲渡・転貸(3/3)
正しい解釈からリステイトメントへ
真の解除原因
真の解除原因
解除できる
解除できる
信頼関係破壊
(法理)
反対解釈
解除要件でない
(解除できない)
(推定の前提)
・無断譲渡
・無断転貸
(民法612条)
 第612条(賃借権の譲渡及び転貸の制限)(加賀山茂「改正私案」)
 ①賃借人が契約の目的に違反して使用又は収益をしたため,賃貸人と賃借人との間の信頼関
係が破壊されるに至ったときは,そのときに限り,賃貸人は,契約の解除をすることができる。
 ②賃借人が,賃貸人の承諾を得ないで,その賃借権を譲り渡し,又は賃借物を転貸したときは,
信頼関係が破壊されたものと推定する。
 ただし,賃借人の行為が,賃貸人に対する背信行為(信頼関係の破壊)と認めるに足りない特
段の事情があることを賃借人が証明したときは,賃貸人は,契約の解除をすることができない。
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民法612条の改訂
トゥールミン図式に基づく議論
賃借人が無断で
賃借物を転貸した。
おそらく
誤り
賃貸人は,賃貸借
契約を解除する。
背信行為と認め
るに足りない特
段の事由がある。
賃借人は,民法
612条1項に違
反しており,2項
に基づいて契約
を解除できる。
無断譲渡・転貸の場合に賃貸借契約を解除できるかどうか:
1. 継続的契約関係の当事者が,信頼関係を破壊したときは,契約を解除できる(原則)。
2. 賃借人が無断譲渡・転貸を行ったときは,信頼関係の破壊が推定される(推定規定)。
3. 信頼関係を破壊したと認められない事由があるときは,契約は解除できない(例外)。
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条文にない「信頼関係破壊の法理」は,
いかにして発見されたのか?
賃借人保護の
必要性
背信行為に当
たらない場合に
解除を制限
「信頼関係破壊
の法理」の確立
住宅事情
の悪化
信義則・権利濫用
の活用
事実認定の工夫
「信頼関係破壊の法
理」を発見
民法618条の類推
末弘・川島・戒能
社会的背景
判例
学説
広中俊雄『債権各論講義』有斐閣(1979)173-180頁参照。
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普遍的な解除要件の発見
(ヴェン図)
単発的契約(民法541条,
542条,543条,566条)
「相当期間の催告」,
「契約目的の不達成」
継続的契約
(民法612条,628条)
「信頼関係の破壊」
2013/4/1
共通要件:
「契約目的の
不達成」
婚姻契約
(民法770条)
「婚姻を継続しがたい
重大な事由」
加賀山茂・ベン図を利用した民法学習法
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普遍的な解除要件の体系化
(樹形図)
相当期間の催告
(民法541条)
単発的契約
契約目的
の不到達
定期行為の遅滞
(民法542条)
履行不能
(民法543条)
不完全履行
(民法566条)
継続的契約
信頼関係の破壊
無断譲渡・転貸
(民法612条)
不貞行為
婚姻契約
婚姻を継続しがた
い重大な事由
(民法770条)
悪意の遺棄
3年間の生死不明
重大な精神病
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発見の成果の文章表現方法
問題提起
本論
結論
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• Issue: 重要な問題を発見したことの経緯を述べる。
• Rule: その問題を解決する視点と仮説を提示する。
• Application: 問題をブロックに分割し,仮説を検証する。
• Argument: ブロックごとに問題を展開し議論を重ねる。
• Conclusion: 展開して得られた答えを1つにまとめる。
• Issue: 残された問題に対する展望を行う。
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評価に値する論文の書き方
澤田昭夫『論文のレトリック-わかりやすいまとめ方』講談社学術文庫(1983)
副問1
展開
副問n
展開
副問n
副問1
小括n
小括1
問いに対する答え
主問
副問3
副問3
展開
結論
副問2
小括3
副問2
展開
論文の審査
本文が,その問い(主問)を分割した個別的
な問い(副問)のそれぞれについて,「説得
的に論証する」ものとなっていることが大切。
2013/4/1
小括2
副問を総合した結論が,「最初
の問いに対する答えになってい
る」ことが,何よりも重要である。
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法学の課題
判決三段論法の精緻化
 法的ルール
 法的ルールの論理式(Prolog
等)による表現の実現
 従来の要件事実論の問題点
の克服
 事実認定
 ビデオ撮影による事実認定の
可視化
 判決
 判例批評の目的の明確化に
よる最高裁裁判官の国民審
査の実質化
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発見の推論の推進
 法的ルールの社会的適合性の
チェック
 統計学的を利用した消費者苦情等
のデータの分析
 心理学を利用したルールの適合性
チェック
 議論の可視化による新しい理論の
生成
 トゥールミン図式による議論の可視
化と人類に普遍的なルールの生成
 ベン図による発見の推論の可視化
による新しい解釈論の生成
加賀山茂・ベン図を利用した民法学習法
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参考文献
 法律家の思考方法
 議論の方法
 イェーリング(小林孝輔=広沢民生 訳)『権利のため
の闘争(原著1872年)日本評論社(1978)
 広中俊雄『債権各論講義』有斐閣(1979)
 カイム・ペレルマン(江口三角 訳) 『法律家の論理―
新しいレトリック』木鐸社(1986)
 フィッシャー=ユーリー(金山宣夫,浅井和子訳)
『ハーバード流交渉術』三笠書房(1990)
 加賀山茂『現代民法 学習法入門』信山社(2007)
 平井宜雄『法律学基礎論の研究-平井宜雄著作集
Ⅰ』有斐閣(2010)
 ヒトの本質に迫る
 レオン・フェスティンガー(末永俊郎監訳)『認知的不
協和の理論』誠信書房(1965)
 シーナ・アイエンガー(櫻井祐子訳)『選択の科学
(The Art of Choosing)』岩波書店(2010)
 NHKスペシャル取材班『ヒューマン-なぜヒトは人間
になれたのか-』角川書店(2012)
2013/4/1
 福澤一吉『議論のレッスン』NHK生活人新書
(2002)
 岩田宗之『議論のルールブック』新潮新書(2007)
206頁
 スティーヴン・トゥールミン(戸田山和久,福澤一吉
訳)『議論の技法(The Uses of Argument(1958,
2003)) トゥールミンモデルの原点』東京図書
(2011)
 米盛裕二『アブダクション-仮説と発見の論理』勁
草書房(2007)
 学習方法論
 澤田昭夫『論文のレトリック-わかりやすいまとめ
方』講談社学術文庫(1983)
 フリチョフ・ハフト/平野敏彦訳『レトリック流法律
学習法』〔レトリック研究会叢書2〕木鐸社(1992年)
 市川伸一『考えることの科学』中公新書(1997)
 木村草太『キヨミズ准教授の法学入門』星海社
(2012)
加賀山茂・ベン図を利用した民法学習法
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参考文献
 法律家の思考方法
 議論の方法
 イェーリング(小林孝輔=広沢民生 訳)『権利のため
の闘争』(原著1872年)日本評論社(1978)
 広中俊雄『債権各論講義』有斐閣(1979)
 カイム・ペレルマン(江口三角 訳) 『法律家の論理―
新しいレトリック』木鐸社(1986)
 フィッシャー=ユーリー(金山宣夫,浅井和子訳)
『ハーバード流交渉術』三笠書房(1990)
 加賀山茂『現代民法 学習法入門』信山社(2007)
 平井宜雄『法律学基礎論の研究-平井宜雄著作集
Ⅰ』有斐閣(2010)
 ヒトの本質に迫る
 レオン・フェスティンガー(末永俊郎監訳)『認知的不
協和の理論』誠信書房(1965)
 シーナ・アイエンガー(櫻井祐子訳)『選択の科学
(The Art of Choosing)』岩波書店(2010)
 NHKスペシャル取材班『ヒューマン-なぜヒトは人間
になれたのか-』角川書店(2012)
2013/4/1
 福澤一吉『議論のレッスン』NHK生活人新書
(2002)
 岩田宗之『議論のルールブック』新潮新書(2007)
206頁
 スティーヴン・トゥールミン(戸田山和久,福澤一吉
訳)『議論の技法(The Uses of Argument(1958,
2003)) トゥールミンモデルの原点』東京図書
(2011)
 米盛裕二『アブダクション-仮説と発見の論理』勁
草書房(2007)
 学習方法論
 澤田昭夫『論文のレトリック-わかりやすいまとめ
方』講談社学術文庫(1983)
 フリチョフ・ハフト/平野敏彦訳『レトリック流法律
学習法』〔レトリック研究会叢書2〕木鐸社(1992年)
 市川伸一『考えることの科学』中公新書(1997)
 木村草太『キヨミズ准教授の法学入門』星海社
(2012)
加賀山茂・ベン図を利用した民法学習法
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