3班 心房細動・心室頻拍 Q.心房細動とはどんな病気か? • 高齢者でよく見かける不整脈の一種 • 心房が洞房結節の刺激によらずに不規則、 高頻度に興奮収縮→心室の収縮弛緩も不規 則に • 複数の興奮波によるリエントリーにより、心房 が細かく震えるだけで、心房全体として収縮 することができない 脳梗塞リスク増加 心房細動になると・・・ • 心房の内圧が上昇し、心房、心耳が拡張して 心房の収縮弛緩がなくなる →左心房(特に左心耳)内に血流の「よどみ」が できる →血栓の形成 基本的な治療 • 心房細動そのものを停止させ、洞調律化を図る治療 (除細動=細動停止) • 洞調律を維持し、心房細動の再発を予防する治療 (再発予防) • 心房細動のまま心拍数を調節する治療 (心拍数コントロール) • 抗凝固薬や抗血小板薬を用いて、血栓形成を予防する治療 (血 栓防止) PBL症例(心房細動/心室頻拍) 1 血栓塞栓症の予防 ワーファリン錠(1㎎) 2.5T 1日1回 夕食後 抗血栓剤 2 発作性心房細動 1)サンリズムカプセル(25㎎) 6カプセル 分3 毎食後 2)リスモダンカプセル(100mg) 3カプセル 分3 毎食後 3)シベノール錠(100mg) 3錠 分3 毎食後 4)ハーフジゴキシンKY錠(0.125) 1錠 分1 朝食後 5)テノーミン錠(50) 0.5錠 分1 朝食後 6)ワソラン錠(40) 3錠 分3 毎食後 3 様々な症状の心室頻拍に対して 1)メキシチールカプセル(100) 6カプセル 分3 毎食後 2)アスペノンカプセル(20) 3カプセル 分3 毎食後 3)アンカロン錠(100) 2錠 分1 朝食後 洞調律を維持し、心房細動 の再発を予防する治療 (再発予防) サンリズムカプセル リスモダンカプセル シベノール錠 サンリズムカプセル 一般名:ピルジカイニド塩酸塩水和物 Ic群の抗不整脈薬。Naチャネル遮断薬。 作用機序:心筋細胞のNaチャネルを選択的に抑制して活動電 位を抑制。K,Caチャネルおよびα、β、M受容体には影響を与 えず活動電位の持続時間はあまり変化しない。(Ic群) 副作用 重篤なもの:不整脈の誘発/増悪、急性腎不全、肝機能障害 その他の副作用: めまい・ふらつき、動悸、倦怠感、頭痛 、 吐き気、食欲不振、口の渇き 、肝機能値の異常、発疹、かゆみ 禁忌:うっ血性心不全のある患者 高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者 シベノール錠 一般名:シベンゾリン コハク酸塩 Ia群の抗不整脈薬。 適応:頻脈性不整脈において、他の薬剤が使用できない、または 無効の場合 作用機序: Na+チャネルを抑制 → 活動電位最大脱分極速度を抑制 → 不 応期を延長 一部のKチャネル遮断作用 わずかなCaチャネル遮断作用 弱い抗コリン作用 副作用: 【重い副作用】 ・心室細動、心室頻拍(含Torsades de Pointes)、上室性不整脈 ・ショック ・心不全 ・低血糖 ・肝障害 ・顆粒球・白血球・貧血・血小板減少 禁忌: ・高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者 ・うっ血性心不全のある患者 ・緑内障、尿貯留傾向にある患者 ・透析中の患者 リスモダンカプセル • 一般名:ジソピラミド • Ia群の抗不整脈薬。 • 適応: 期外収縮、上室性頻脈、心房細動において、他の抗不整脈薬 が使用できない、または無効の場合 • 作用機序: Naチャンネルを抑制→Naの細胞内流入抑制→活動電位の立ち上 がり(第0相)が抑制→伝導速度を遅くする. Kチャンネルを抑制→Kの細胞外流出抑制→活動時間(第2~3相) を延長→不応期を延長 抗コリン作用も合わせ持つ。 副作用: 【重篤な副作用】 ・心停止、心室細動、心室頻拍(含Torsades de Pointes) ・低血糖 ・無顆粒球症 ・肝機能障害、黄疸 ・麻痺性イレウス ・緑内障悪化 ・痙攣 禁忌: ・高度の房室ブロック、高度の洞房ブロックのある患者 ・うっ血性心不全のある患者 ・緑内障、尿貯留傾向のある患者 ・本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者 心房細動のまま心拍数を調節 する治療 (心拍数コントロール) ハーフジゴキシンKY錠 テノーミン錠 ワソラン錠 心筋の収縮と弛緩 3Na+ Ca2+ Ca2+チャネル Ca2+ Ca2+ 筋小胞体 3Na+ Na+Ca2+交換 輸送体 2K+ Na+K+ポンプ ジゴキシン(ハーフジゴキシンKY錠) 作用機序 細胞膜にあるNa+ K+ ATPaseを阻害 → 細胞内 Na+増加 → Na+Ca2+交換輸送体の効率の低下 →心筋細胞内のCa2+増加 →心筋の収縮力上がる 副交感神経を刺激し、洞房結節や房室結節 の機能を抑制 ジゴキシン(ハーフジゴキシンKY錠) 副作用 ジギタリス中毒(低K血症で特に起こりやすい) :不整脈・消化器症状・視覚症状・神経症状 不整脈 禁忌 腎臓で排泄されるため腎不全の患者には注意して使う 房室ブロック、洞房ブロックのある患者 ジギタリス中毒の患者 アテノロール(テノーミン錠) 作用機序 心臓のβ1受容体を選択的に遮断 (アデ二ル酸シクラーゼ活性化 →cAMPの産生 →PKA活性化 が遮断される) →心拍数、収縮力の減少 アテノロール(テノーミン錠) 副作用 徐脈、心不全、房室ブロック、洞房ブロック、 起立性低血圧 (気管支喘息を悪くする作用は比較的少ない) 禁忌 急性心不全、閉塞性動脈性疾患 房室ブロック、洞房ブロックのある患者 ベラパミル塩酸塩(ワソラン錠) 作用機序 Ⅳ類抗不整脈薬で、 細胞膜のCa2+チャネル遮断 →心筋細胞の脱分極抑制 →心拍数、収縮力下げる、房室伝導の抑制 血管平滑筋の弛緩 ベラパミル塩酸塩(ワソラン錠) 副作用 ・循環器障害、心不全、洞停止、房室ブロック、 徐脈、消化器障害、頭痛 禁忌 房室ブロック、洞房ブロックのある患者 重篤な低血圧または心原性ショックのある患者 抗凝固薬や抗血小板薬を 用いて、血栓形成を予防 する治療 (血栓防止) ワーファリン錠 ワーファリン錠 一般名:ワルファリンカリウム 経口抗凝固薬。抗血栓薬。 作用機序:ビタミンK作用に拮抗 →肝臓でのビタミンK依存性血液凝固因子の産生を抑制 →抗凝血効果、抗血栓効果 プロトロンビン前駆体が血中に遊離 →抗凝血作用、血栓形成抑制作用 副作用:出血、皮膚壊死、肝障害、黄疸、過敏症、悪心、嘔吐、下痢、脱毛 禁忌: 出血している、または出血する可能性のある患者 重篤な肝障害、腎障害のある患者 中枢神経系の手術、または外傷後日の浅い患者 本剤の成分に対し過敏症の既往歴がある患者 妊婦または妊娠している可能性のある婦人 骨粗鬆症治療薬ビタミンK2製剤を投与中の患者 Q.心室頻拍とはどんな病気か。 突発的におこるものと、虚血性心疾患を原因としてお こるものがある。 心室に発生した異所性興奮が旋回したり、心筋細胞の 自動能が亢進したりすることで、頻脈となる心室期外収 縮が引き金となり、突然、発作的に頻拍となる。 その結果、心室から拍出される血液量が著しく減少す るために、血圧が下がる。また、心室細動へ移行するこ ともある。 PBL課題 3 様々な症状の心室頻拍に対して 1)メキシチールカプセル(100) 6カプセル 分3 毎食後 2)アスペノンカプセル(20) 3カプセル 分3 毎食後 3)アンカロン錠(100) 2錠 分1 朝食後 メキシチール メキシレチン塩酸塩(Mexiletine hydrochloride) 洞調律に影響を与えず、異常な心臓の興奮をしずめて、不整脈を規則的にします。 通常、頻脈性 不整脈(心室性)の治療に用いられます。 用法・用量 通常、成人は1回主成分として100mgを1日3回服用することから開始し、効果が不十分な場合は1回 150mgまで増量されます。年齢や症状により適宜増減されます。 副作用 吐き気、腹痛、食欲不振、消化不良、嘔吐、紅斑、かゆみ、全身の発疹 アスペノンカプセル 塩酸アプリンジン(Aprindine hydrochloride) 心筋細胞のイオンチャネル受容体に作用し不正な心臓のリズムを正常に整える作用があります。 通常、頻脈性不整脈の治療に用いられます。 用法・用量 通常、成人は1日2カプセル(主成分として40mg)から服用を開始し、効果が不十分な場合は3カプセ ル(主成分として60mg)まで増量し、1日2から3回に分けて服用しますが、治療を受ける疾患や年齢・ 症状により適宜増減されます。 副作用 貧血、手指のふるえ、めまい・ふらつき、しびれ感、吐き気、嘔吐、食欲不振、口渇、腹痛、消化不良、 発疹、発熱、倦怠感 アンカロン錠 アミオダロン塩酸塩(Amiodarone hydrochloride) 異常な心臓の興奮を鎮めて、乱れた心臓の鼓動(不整脈)を規則的にする作用があります。通常、 再発性不整脈の治療に用いられます。 用法・用量 導入期:通常、成人は1日4錠(主成分として400mg)を1~2回に分けて1~2週間服用します。 維持 期:通常、成人は1日2錠(200mg)を1~2回に分けて服用します。 年齢・症状により適宜増減されま す。 この薬の服用中は、血中濃度が低下する恐れがあるので、セイヨウオトギリソウ(セント・ジョーンズ・ ワート)含有食品は摂取しないようにするべきです。 副作用 肺機能障害、甲状腺機能亢進症または低下症、視覚障害、視神経炎、発疹、光線過敏症
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