08240030 ある日、北の国に住む白くまのシロとユキは 一緒に遊んでいました。 その時、偶然シロが人間の落としていった ラジオを見つけました。 シロが面白がってそのラジオをいじっていると 突然音楽が流れ始めました。 (♪い~ちば~ん きれいな色って な~んだろう…♪) 「一番きれいな色?」 「一番きれいな色は夕暮れのお日様だよ」 「確かにそうね」 「一番きれいな色って何色?」 「今忙しいから後にして」 「一番きれいな色は南の国にある 海の色だよ」 「それは夕暮れのお日様よりきれい?」 「もちろんきれいさ」 「ボクも見てみたい!」 「じゃあ、連れて行ってあげるよ」 南の国の海はとても透き通っていて宝石のよう な青色をしていました。 「とてもきれいだね!!」 「当然さ!これよりきれいな色は無いさ」 「夕暮れのお日様とどちらがきれいだろう?」 「一番きれいな色? それはもちろん森の緑の色さ」 「この海の色よりきれい?」 「あれよりきれいな色なんて無いね」 森の木漏れ日は木々のあいだを通り瑞々しい緑 に輝いていました。 「とってもきれいだ!!」 「あったりまえさ!ここは世界一きれいなんだから」 「あの海の色とどちらがきれいだろう」 「一番きれいな色は、もっと東の国にあるマグマの色さ」 「それはこの森の色よりきれい?」 「もちろん!恐ろしいくらいにきれいさ」 地の底から大きな音と共に流れ 出るマグマは何よりも力強く、 神秘的な美しさを見せ付けて いました。 「本当に怖いくらいきれいだ!」 「そうだろう!見とれるほどきれ いだろう」 「あの森とどちらがきれいだろう?」 「一番きれいな色はずっと西の島にある黄金の色だよ」 「その色はマグマの色よりきれい?」 「マグマもきれいだが、黄金の色にはかなわないさ」 西の島にあった黄金はキラキラと黄金色に輝き、 美しい色を放っていました。 「本当にきれいだ」 「そうだろう」 「いろんなきれいな色を見てきたけどどれが一番き れいなんだろう?」 「疲れた頭じゃ分からないんじゃないか?家に帰っ て休んでから考えたらいい。送って行ってやろう」 確かにシロはクタクタに疲れきっていたので、カメに 送ってもらうことにしました。 「はぁ疲れた。いろんなところのきれいな色を見てきた けど、どこが一番なんだろう。 北の国の夕暮れのお日様かなぁ?南の国の海の色 かなぁ?それとも森の緑の色?東の国のマグマの色 もきれいだったし、西の島の黄金の色も素敵だった なぁ…だけど何かがたりない気がする」 「シロお帰り!起きて!朝だよ!!」 「おはようユキ。 ボクは世界中のきれいな色を見てきたよ。」 「本当!!夕暮れのお日様より きれいな色は見つかった?」 「それがどれも同じ位にきれいだったけど何かが たりないんだ」 「全部のきれいな色がここにあった…」 「本当にきれいね…」 「世界中のどんな色よりもユキと一緒に見る この景色が、一番きれいな色だったよ」
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