2015年春学期 「企業のしくみ」 第2回 講義概要、会社とは ※次回の第3回は会社の種類(4章1節2項) 樋口徹 1 組織と個人の違いは? • 人数 (必要な 人数 は何によって決まる?) • 目的 の種類 (その 目的 を達成するには何人位必要?) (その 目的 を達成するには何が必要?) • コミュニケーション や 貢献意欲 (= 仕組み )が必要 バーナードは、組織を 『 意図的 に調整された複数の人間の活 動や諸力のシステム』 と定義し、組織成立に不可欠な3要素として、 ①共通の 目的 、② コミュニケーション 、③ 貢献意欲 の3つを挙げた。 2 1-1-1 組織の概念と定義(p.1) 組織的な活動 (単独では不可能あるいは非効率的な目標を達成する活動) • 人類は大昔から組織的な活動を行ってきた。 • 日本でも、旧石器時代の遺跡から、複数の人間で 協力 しながら 大型動物を狩猟し、獲物を解体し、肉を運搬していた痕跡が見つ かっている。 \\\ • 農作業や加工作業においても、 共同作業 によって、人類は収 穫量や生産量を増加させ、物資的な 生活 を豊かにしてきた。 • 現在までに、このような組織的な活動は様々な分野で高度に行われ るようになっている。 • 組織は、共通の目的を遂行するために 協働関係 にある人々の 集まりである。 3 Organization(組織)の語義 (『ジーニアス英和辞典』) (1)a (団体や会合などの) 組織化 、編成;組織、構成、 機構;計画、準備. b 組織的に〔系統だてて〕行う能力; 整然 としてい ること、秩序;方法. (2)( 目的 を持つ)組織体;団体、協会、組合、自治体. (3)(政党の)役員;(会社の)管理機関; 経営陣 . (4)有機体;生物。 4 System(組織)の語義 (『ジーニアス英和辞典』) (1)制度、組織;(輸送・通信) 組織網 、ネットワーク. (2) 体系 ;系統、学説;装置. (3)体系的方法、方式. (4)整然とした手順、秩序; ギャンブル の選択手順. (5)身体、体. (6)(支配)体制;社会秩序、〔 the System 〕体制側、おかみ. (7)〘コンピュータ〙システム;制御系. (8)〘化学〙系;〘鉱物〙(結晶の)系;〘地質〙系;〘生物〙 分類体系. (9)(考え・行動の)枠、型にはまった考え方〔行動〕、(自分の) 殻. (10)〘音楽〙音〔和声組織〕;譜表. 5 組織の意味 (『広辞苑』) (1)組み立てること。組み合わせて一つの まとまり を作ること。 (2) 織物 で緯糸と経糸とを組み合わせること。 (3)ほぼ同形・同大で、働きも似通った細胞の集団。集まって 器官 を構成する。 (4)ある目的を達成するために、 分化 した役割を持つ個人や下 位集団から構成される集団。 組織には、オーガニゼーションやシステムと同様に、多様な語 義が含まれている。本講義では、社会科学分野における組織 のマネジメントを考察することを目的としているので、自然科学 に関するものは考慮から除外することとする。対象とする組織 は、 人々 によって構成される組織体である。野生の動物な どでも、効率的な捕食や保身のために、組織的な行動をして いるものも多数いるが、本講義では複数の人間によって構成 される組織に限定して話を進める。 6 本講義の対象とする組織 • 組織には、オーガニゼーションやシステムと同様に、多様な 語義が含まれている。 • 本講義では、社会科学分野における組織のマネジメントを考 察することを目的としているので、自然科学に関するものは 考慮から除外することとする。 • 対象とする組織は、 人々 によって構成される組織体であ る。 • 野生の動物などでも、効率的な捕食や保身のために、組織 的な行動をしているものも多数いるが、本講義では複数の人 間によって構成される組織に限定して話を進める。 7 バーナードによる(公式)組織の定義 (バーナード) 「公式組織」を『 意図的 に調整された複数の人間の活動や諸 力のシステム』と定義している 。 さらに、バーナードは、公式組織成立に不可欠な3要素として、 ①共通の 目的 、 ② コミュニケーション 、 ③ 貢献意欲 の3つを具体的に挙げ、公式組織および組織的活動の体系化に多 大な貢献をした。 参考文献:Chester I. Barnard. (1938), The functions of Executives.山本安次郎・田杉競・ 飯野春樹訳(1968) 『経営者の役割』 8 4-1-1 営利目的の法人(p.87) 補足① 営利を目的とする社団法人 営利とは「財産上(経済的)の 利 益 を求めて活動すること」 (=金儲け=私益)『広辞苑』 対義語: 公 益 ( ↔私益)、非営利 社団とは「一定の目的のもとに結合した 人 の集合体で、団体としての単 一の組織をとしての存在を有するものである」 対義語: 財 団 (一定の目的のために結合された 結合体) 財 産 の 法人とは「人ないし財産から成る組織体に 法 人 格 (権利能力)が与 えられたもの」『広辞苑』 対義語: 自 然 人(出生時点で権利能力が与えられる) ※法律の要件を満たした組織が所定の手続きを行った場合に、権利能力 を与えられ、法人となる。 9 組織の分類基準2:法人格の有無 • 日本国内では、 民 法 によって、全ての法人は 民 法 あ るいは他の法律の規定によって成立するとされている。 • 日本国内には様々な形態の法人が存在するが、その全てが特定 の法律に基づいて設立されていることになる。 • 全ての会社は 会 社 法 の規定に基づいて設立されている。 ※法人の種類は、社会や世界的な流れを受けた規制緩和や特 定活動の推進などによって、流動的かつ多様になっている。 • 法人格を取得した方が経済・社会的に得かどうかは状況によっ て異なる。しかし、本格的に活動する場合は、法人形態を採るの が 一般的 である。 • その理由は、法人として活動した方が、個人で活動するより社会 的な高い 信 用 が得られ、そして法人として銀行口座開設や 不動産登記などの各種 契 約 を結べ、さらに 責 任 の 範囲を制限できるなどのメリットがあるからである。 10 会社法(2005年公布、2006年施行) 会社の設立・解散、組織、運営、資金調達、管理等を規律する法律 第一条(趣旨) 会社の設立、組織、運営及び管理については、他の 法律に特別の定めがある場合を除くほか、この法律の定めるとこ ろによる。 第二条 (定義) この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、 当該各号に定めるところによる。 一 会社 株式会社、合名会社、合資会社又は合同会社をいう。 二 外国会社 外国の法令に準拠して設立された法人その他の外 国の団体であって、会社と同種のもの又は会社に類似するものを いう。 三 子会社 会社がその総株主の議決権の過半数を有する株式会 社その他の当該会社がその経営を支配している法人として法務 省令で定めるものをいう。 四 親会社 株式会社を子会社とする会社その他の当該株式会社 の経営を支配している法人として法務省令で定めるものをいう。 ※公開会社、大会社、取締役会設置会社、会計参与設置会社、会 11 計参与、監査役設置会社などの定義が続く。 会社法の概要 明治32年に制定された「 商法 」の中で、会社についても規定さ れていたが、平成17年に会社に関する法律を統合・再編成し、「会 社法」として制定された。 会社の種類は、株式会社、合名会社、合資会社、合同会社に分類 される。株式会社以外の合名会社、合資会社、合同会社を「持分会 社」と総称することもある。 ※合同会社は、 有限会社 に代わって新たに設立された。 会社法の特徴として、 株主 (出資者)や債権者の保護の視点が 重要視され、株主総会、取締役会、会計参与、監査役、監査役会、 会計監査人、委員会などの機関を必要に応じて設置することになっ ている。 業務の適正を確保するために必要な体制の整備が法務省令で定 められている。 ※内部統制と呼ばれ、法令遵守に加えて、組織の健全性、 有効性、効率性を確保することを目指す。 12 会社法(民法の特別法) 商法典として関連する法律を統合したもの 商法の一部 (第2編) 有限会 社法 商法特例法 (株式会社の監査等に関する 商法の特例に関する法律) その他 の法律 会社に関連する法律の統合に際し、 ①用語を整理し、 ②解釈の明確化を図り、 ③関連する法の不均衡を是正し、 会社法 ④最新の社会経済情勢に対応 (平成17年制定) するようにしてある。 ※会社法に規定がない場合は民法が適用される。 13
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