高血圧治療ガイドライン(JSH2004)

高血圧治療の目標
肺炎なら吸痰、UTIなら導尿、
高血圧なら、ベースの評価と二次性高血圧の除外。
検体のグラム染色は高血圧の合併症・リスク評価。
“とりあえずレニベース”
とか“ノルバスクから行こう”
といった適当な降圧薬の選択をしない!
自分たちが抗生剤を選択する時のように根拠や 自
信を持って降圧薬を選択できるようになること。
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
成人における血圧の分類
分類
収縮期血圧
拡張期血圧
至適血圧
<120
かつ
<80
正常血圧
<130
かつ
<85
正常高値血圧
130-139
または
85-89
軽症血圧
140-159
または
90-99
中等症血圧
160-179
または
100-109
重症血圧
≧180 または
≧110
収縮期高血圧
≧140 または
<90
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
軽症高血圧
140-159/
90-99mmHg
中等症高血圧
160-179/
100-109mmHg
重症高血圧
≧180/
≧110mmHg
低リスク
中等リスク
高リスク
糖尿病以外の1-2個
の危険因子
中等リスク
中等リスク
高リスク
糖尿病、臓器障害、
心血管病、3個以上
の危険因子がある
高リスク
高リスク
高リスク
危険因子なし
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
降圧目標の設定
糖尿病・腎障害合併
脳血管障害慢性期
一次目標(~3ヶ月)
最終目標(数ヶ月以降)
若年・中年者
高齢者
130/80mmHg未満
150/95mmHg未満
140/90mmHg未満
130/85mmHg未満
140/90mmHg未満
初診時の高血圧管理計画
①血圧測定・現病歴・身体所見・検査所見
②二次性高血圧を除外
③危険因子・臓器障害・心血管病を評価
④生活習慣の修正を指導
リスクに応じて治療スタート
初診時の高血圧管理計画
①血圧測定・現病歴・身体所見・検査所見
②二次性高血圧を除外
③危険因子・臓器障害・心血管病を評価
④生活習慣の修正を指導
リスクに応じて治療スタート
初診時の高血圧管理計画
①病歴聴取のポイント
高血圧を指摘された時期・状況(健診/診察時/自己測定)
持続期間・程度・治療経過
臓器障害や既往歴
飲酒・喫煙(有無・程度・期間)
運動習慣・食習慣
職業・家族構成
家族歴(高血圧、合併症)
降圧薬の種類
初診時の高血圧管理計画
①身体所見のポイント
血圧・脈拍
身長・体重・BMI
眼底所見
甲状腺腫・頚静脈怒張の有無
心雑音・ⅢⅣ音・肺雑音
肝腫大・腹部腫瘤・腹部血管雑音
四肢・頚動脈の拍動・雑音、浮腫の有無
高血圧の臨床検査
①一般必須検査
一般尿検査、血球検査
血液生化学査:
BUN/Cr,Na/K/Cl/Ca/IP,FBS/HBA1C,TG,TC/HDL/LDL,UA,TP,
GOT/GPT/GTP/LDH/Bil
CXp,ECG
眼底検査
特殊検査




脳:頭部CT(MRI)
心臓:心エコー検査
腎:尿中微量アルブミン検査
血管:頚動脈エコー検査、ABI
二次性高血圧スクリーニング検査
 血漿レニン/アルドステロン・
コルチゾール・カテコラミン測定
 尿中カテコラミン測定
 腎臓・副腎のエコーおよびCT検査
初診時の高血圧管理計画
①血圧測定・現病歴・身体所見・検査所見
②二次性高血圧を除外
③危険因子・臓器障害・心血管病を評価
④生活習慣の修正を指導
リスクに応じて治療スタート
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
②二次性高血圧症の除外
二次性高血圧症を示唆する所見
①病歴
若年者(35歳未満) 重症高血圧 治療抵抗性高血圧
高齢者で急激に発症・増悪した高血圧
蛋白尿や腎疾患の既往 長期の糖尿病歴 薬物使用歴
②身体所見
ムーンフェイス 中心性肥満 皮膚線条 体重減少 頻脈 発汗
動揺性高血圧 脈拍・血圧の左右差 血管雑音
③一般検査所見
尿検査異常 血清Cr値異常 低K血症 高Ca血症
高血圧症患者の90%は本態性高血圧症であるが、残りの10%は腎性、 内
分泌姓、神経性などの二次性高血圧症である。35歳未満には二次性 高血圧
症である頻度が高い。
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
身体所見・検査データ
蛋白尿 腎
機能障害
腎実質性
高血圧
尿検査
腎
クリアランス
腎生検
腹部血管雑音
若年者
高血圧の悪化
電解質異常
筋力低下
特
徴的身体所見
5H症状
腎血管性
高血圧
原発性
アルドステロン症
Cushing症候群
Liddle症候群
褐色細胞腫
レノグラム
血漿レニン活性
カプトプリル
負荷試験
Renin/Aldosterone
Cortisol ACTH
尿中OHCS/KS
腹部CT/MRI
尿中カテコラ
ミン分画
腹部CT/MRI
血圧の
上下肢差
血管雑音
大動脈
縮窄症
胸部X線
大動脈撮影
初診時の高血圧管理計画
①血圧測定・現病歴・身体所見・検査所見
②二次性高血圧を除外
③危険因子・臓器障害・心血管病を評価
④生活習慣の修正を指導
リスクに応じて治療スタート
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
③リスクの評価:心血管病の危険因子
高血圧
喫煙
糖尿病
脂質代謝異常
(高コレステロール血症/低HDL血症)
肥満(特に内臓肥満型)
尿中微量アルブミン
高齢(男性60歳以上、女性65歳以上)
若年発症の心血管病の家族歴
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
③臓器障害・心血管病の評価
脳
心臓
腎臓
血管
眼底
脳出血・脳梗塞・TIA
左心肥大・狭心症・心筋梗塞
心不全
蛋白尿
腎障害(血清Cr男性≧1.3mg/dℓ、女性≧1.2mg/dℓ )
動脈硬化性プラーク
大動脈解離
閉塞性動脈疾患
高血圧性網膜症
初診時の高血圧管理計画
①血圧測定・現病歴・身体所見・検査所見
②二次性高血圧を除外
③危険因子・臓器障害・心血管病を評価
④生活習慣の修正を指導
リスクに応じて治療スタート
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
④生活習慣の修正
食塩制限を1日6g未満とする
野菜・果物の積極的摂取
BMIが25を超えないように維持する
アルコール摂取量の制限
運動
禁煙
初診時の高血圧管理計画
④生活習慣の修正を指導
リスクに応じて治療スタート
血圧
130-139/80-89mmHg
糖尿病・慢性腎疾患
あれば
適応となる降圧治療
低リスク群
3ヵ月後に
140/90mmHg
以上なら降圧治療
中等リスク群
1ヵ月後に
140/90mmHg
以上なら降圧治療
高リスク群
直ちに降圧治療
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降圧薬
CCB
積極的適応
脳血管疾患後、狭心症
糖尿病、高齢者、左心肥大
禁忌
房室ブロック
ARB
脳血管疾患後、心不全、腎障害
心筋梗塞後、糖尿病、高齢者、左心肥大
妊娠、高K血症
両側腎動脈狭窄
ACE
脳血管疾患後、心不全、腎障害
心筋梗塞後、糖尿病、高齢者、左心肥大
妊娠、高K血症
両側腎動脈狭窄
利尿薬
脳血管疾患後、心不全、腎不全
高齢者
痛風
β遮断薬
狭心症、心筋梗塞後、頻脈、心不全
α遮断薬
高脂血症、前立腺肥大
喘息
房室ブロック
起立性低血圧
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
Ca拮抗薬:確実な降圧効果で重篤な副作用がない。
利尿薬に次いで安価。特に合併症のない
比較的高齢の高血圧患者の第一次薬。
現在本邦で最も頻用されている。
AII受容体拮抗薬:降圧効果が良好。副作用が少ない。
最も高価。本邦でCa拮抗薬に次いで多用。
ACE阻害薬:AII受容体拮抗薬に類似。
降圧効果が比較的良好。
副作用(咳)のため使用が漸減。
利尿薬:降圧効果が比較的良好。安価。
世界各国で第一次薬として勧告,
副作用(代謝面)のため併用薬として使用多い。
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高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
第一次薬はACE阻害薬,AII受容体拮抗薬,長時間作用型Ca拮抗薬
高血圧治療ガイドライン(JSH2004)
前期高齢(65歳以上)
後期高齢(75歳以上)
とし,降圧目標は140/90mmHg未満。
ただし後期高齢の中等症/重症高血圧では,
最終目標は140/90mmHg未満であるが、
150/90mmHg未満を暫定的目標とし,
慎重に降圧する。