特論B 細胞の生物学 第4回 タンパク質の形と働き(続) 和田 勝 東京医科歯科大学教養部 酵素タンパク質 これまでの酵素タンパク質は、単独で 働くが、他の要素が必要な酵素タンパ ク質もある。 解糖系の酵素 Triose phosphate Phosphoglucoisomerase Phosphofructokinase Phosphoglyceromutase Phosphoglycerokinase Hexokinase Pyrvate dehydrogenase Aldolase Enolase kinase グルコース グリセルアルデヒド3-リン酸 ピルビン酸 TCA回路 丸をつけた過程 も、脱水素酵素 (dehydrogenase )が触媒する。 ピルビン酸 オキザル酢酸 リンゴ酸 クエン酸 イソクエン酸 フマル酸 コハク酸 αケトグルタル酸 スクシニルCoA 酵素と補酵素 脱水素酵素では、NADがプロトンの移 動に重要な役割を果たす。脱水素酵素 は、タンパク質部分とNADからなる、複 合酵素である。 複合酵素=アポ酵素+補酵素 電子(とプロトン)の運搬 脱水素酵素 →還元 酸化← ここに電子が 2個ある 乳酸デヒドロゲナーゼ 1 51 101 151 201 251 301 1 ATLKDKLIGH VDVMEDKLKG QEGESRLNLV SGLPMHRIIG WSGMNVAGVS AIGLSVADLA SNIVKMKLKP 11 LATSQEPRSY EMMDLQHGSL QRNVNIFKFI SGCNLDSARF LKELHPELGT ETIMKNLCRV DEEQQLQKSA 21 NKITVVGVGA FLHTAKIVSG IPDIVKHSPD RYLMGERLGV DKDKENWKKL HPVSTMVKDF TTLWDIQKDL 31 VGMACAISIL KDYSVSAGSK CIILVVSNPV HSSSCHGWVI HKDVVDSAYE YGIKNDVFLS KF 41 MKDLADEVAL LVVITAGARQ DVLTYVAWKL GEHGDSSVPV VIKLKGYTSW LPCVLDNHGI 50 100 150 200 250 300 水色のアミノ酸でNADを保持し、193番 目のHisがプロトンアクセプターとして働 く(from dogfish muscle)。 乳酸デヒドロゲナーゼ 乳酸デヒドロゲナーゼ 乳酸デヒドロゲナーゼ モノマー が上下に 組み合わ さった二 量体。実 際は四量 体で存在 している。 タンパク質のはたらき 種類 役割 例 構造タンパク質 支持 コラーゲンやエラスティンのよ うに組織の形を保つ。ケラチン のように毛髪や爪をつくる 貯蔵タンパク質 アミノ酸の貯蔵 卵白のオボアルブミンやミルク タンパク質のカゼイン 運搬タンパク質 物質の運搬 ヘモグロビンは酸素を運搬 ホルモンタンパク 質 ホルモンとして生体の調 節 インシュリンのようにホルモン としてはたらく 受容体タンパク質 信号分子を受取る ホルモンなどの信号分子と結合 して信号を細胞に伝える 収縮タンパク質 細胞運動 アクチンとミオシンは筋収縮を 担うタンパク質 防御タンパク質 病気から生体を防御 抗体は細菌やウイルスに対抗す る 酵素タンパク質 化学反応を選択的に促進 消化酵素は食物を分解。細胞内 のあらゆる化学反応を触媒する 酵素タンパク質 細胞内のあらゆる代謝反応を触媒す る。すなわち、細胞内で作られるあら ゆる物質は酵素の働きでつくられる。 たとえば、ステロイドホルモンのひとつ であるテストステロン(男性ホルモン) は、コレステロールからつくられる。 ステロイドホルモン生合成 17βの 位置に 水素を 導入、 すなわ ち還元 17β-hydroxysteroid dehydrogenase 1 51 101 151 201 251 1 MKFLLDILLL LTAYEFAKLK YSSAKKVKAE TTKAFLPAMT DELAALQITG LTEQKMIFIP 11 LPLLIVCSLE SKLVLWDINK IGDVSILVNN KNNHGHIVTV VKTTCLCPNF SSIAFLTTLE 21 SFVKLFIPKR HGLEETAAKC AGVVYTSDLF ASAAGHVSVP VNTGFIKNPS RILPERFLAV 31 RKSVTGEIVL KGLGAKVHTF ATQDPQIEKT FLLAYCSSKF TSLGPTLEPE LKRKISVKFD 41 ITGAGHGIGR VVDCSNREDI FEVNVLAHFW AAVGFHKTLT EVVNRLMHGI AVIGYKMKAQ 50 100 150 200 250 300 黄色いアミノ酸はシグナル、水色のアミ ノ酸でNADを保持し、185番目のTyrが プロトンアクセプターとして働く(ヒト)。 17β-steroid dehydrogenase タンパク質のはたらき 種類 役割 例 構造タンパク質 支持 コラーゲンやエラスティンのよ うに組織の形を保つ。ケラチン のように毛髪や爪をつくる 貯蔵タンパク質 アミノ酸の貯蔵 卵白のオボアルブミンやミルク タンパク質のカゼイン 運搬タンパク質 物質の運搬 ヘモグロビンは酸素を運搬 ホルモンタンパク 質 ホルモンとして生体の調 節 インシュリンのようにホルモン としてはたらく 受容体タンパク質 信号分子を受取る ホルモンなどの信号分子と結合 して信号を細胞に伝える 収縮タンパク質 細胞運動 アクチンとミオシンは筋収縮を 担うタンパク質 防御タンパク質 病気から生体を防御 抗体は細菌やウイルスに対抗す る 酵素タンパク質 化学反応を選択的に促進 消化酵素は食物を分解。細胞内 のあらゆる化学反応を触媒する 運搬タンパク質 酸素を運搬するヘモグロビンは、良く 研究されている。 ヘモグロビンは、αグロビンとβグロビン それぞれ2本ずつからなる四量体で、 αβグロビンはヘムを含む。 ヘムは、向かい合うHisで支えられて いる。 αグロビンの構造 1 16 31 46 61 76 91 106 121 136 1 Val Lys Arg Phe Lys Met Leu Leu Val Leu 2 Leu Val Met Asp Val Pro Arg Val His Thr 3 Ser Gly Phe Leu Ala Asn Val Thr Ala Ser 4 Pro Ala Leu Ser Asp Ala Asp Leu Ser Lys 5 Ala His Ser His Ala Leu Pro Ala Leu Tyr 6 Asp Ala Phe Gly Leu Ser Val Ala Asp Arg 7 Lys Gly Pro Ser Thr Ala Asn His Lys 8 Thr Glu Thr Ala Asn Leu Phe Leu Phe 9 Asn Tyr Thr Gln Ala Ser Lys Pro Leu 10 Val Gly Lys Val Val Asp Leu Ala Ala 11 Lys Ala Thr Lys Ala Leu Leu Glu Ser 12 Ala Glu Tyr Gly His His Ser Phe Val 13 Ala Ala Phe His Val Ala His Thr Ser 14 Trp Leu Pro Gly Asp His Cys Pro Thr 15 Gly Glu His Lys Asp Lys Leu Ala Val 15 30 45 60 75 90 105 120 135 βグロビンの構造 1 16 31 46 61 76 91 106 121 136 1 Val Gly Leu Gly Lys Ala Leu Leu Glu Gly 2 His Lys Leu Asp Ala His His Gly Phe Val 3 Leu Val Val Leu His Leu Cys Asn Thr Ala 4 Thr Asn Val Ser Gly Asp Asp Val Pro Asn 5 Pro Val Tyr Thr Lys Asn Lys Leu Pro Ala 6 Glu Asp Pro Pro Lys Leu Leu Val Val Leu 7 Glu Glu Trp Asp Val Lys His Cys Gln Ala 8 Lys Val Thr Ala Leu Gly Val Val Ala His 9 Ser Gly Gln Val Gly Thr Asp Leu Ala Lys 10 Ala Gly Arg Met Ala Phe Pro Ala Tyr Tyr 11 Val Glu Phe Gly Phe Ala Glu His Gln His 12 Thr Ala Phe Asn Ser Thr Asn His Lys 13 Ala Leu Glu Pro Asp Leu Phe Phe Val 14 Leu Gly Ser Lys Gly Ser Arg Gly Val 15 Trp Arg Phe Val Leu Glu Leu Lys Ala 15 30 45 60 75 90 105 120 135 βグロビンの二次構造 βグロビンの58から74番目のアミノ 酸がαヘリックスを形成 Pro Lys Val Lys Ala His Gly Lys Lys Val Leu Gly Ala Phe Ser Asp Gly βグロビンの三次構造 βグロビンの三次構造 ヘモグロビン ヘモグロビンはαグロビン2個とβグ ロビン2個のテトラマー(α2β2) タンパク質のはたらき 種類 役割 例 構造タンパク質 支持 コラーゲンやエラスティンのよ うに組織の形を保つ。ケラチン のように毛髪や爪をつくる 貯蔵タンパク質 アミノ酸の貯蔵 卵白のオボアルブミンやミルク タンパク質のカゼイン 運搬タンパク質 物質の運搬 ヘモグロビンは酸素を運搬 ホルモンタンパク 質 ホルモンとして生体の調 節 インシュリンのようにホルモン としてはたらく 受容体タンパク質 信号分子を受取る ホルモンなどの信号分子と結合 して信号を細胞に伝える 収縮タンパク質 細胞運動 アクチンとミオシンは筋収縮を 担うタンパク質 防御タンパク質 病気から生体を防御 抗体は細菌やウイルスに対抗す る 酵素タンパク質 化学反応を選択的に促進 消化酵素は食物を分解。細胞内 のあらゆる化学反応を触媒する ホルモン・インシュリン 膵臓に存在するランゲルハンス島(膵 島)のβ細胞から分泌されるペプチドホ ルモン(ヒト)。 1 16 31 46 61 76 91 106 1 Met Leu Cys Arg Leu Ser Ile Glu 2 Ala Trp Gly Gly Gln Leu Val Asn 3 Leu Gly Ser Phe Val Gln Glu Tyr 4 Trp Pro His Phe Gly Pro Gln Cys 5 Met Asp Leu Tyr Gln Leu Cys Asn 6 Arg Pro Val Thr Val Ala Cys 7 Leu Ala Glu Pro Glu Leu Thr 8 Leu Ala Ala Lys Leu Glu Ser 9 Pro Ala Leu Thr Gly Gly Ile 10 11 12 Leu Leu Ala Phe Val Asn Tyr Leu Val Arg Arg Glu Gly Gly Pro Ser Leu Gln Cys Ser Leu 13 Leu Gln Cys Ala Gly Lys Tyr 14 15 Leu Ala 15 His Leu 30 Gly Glu 45 Glu Asp 60 Ala Gly 75 Arg Gly 90 Gln Leu 105 ホルモン・インシュリン シグナルペプチドを含めてアミノ酸200 のペプチドとして合成され、シグナル ペプチドが切り離され、b鎖、cペプチド 、a鎖からなる前駆体となる。 前駆体(プロホルモン)からcペプチド が切り離され、a鎖とb鎖からなるイン シュリンとなる。 ホルモン・インシュリン cペプチド a鎖 b鎖 SS結合 Gly Phe Asn Thr ホルモン・インシュリン タンパク質のはたらき 種類 役割 例 構造タンパク質 支持 コラーゲンやエラスティンのよ うに組織の形を保つ。ケラチン のように毛髪や爪をつくる 貯蔵タンパク質 アミノ酸の貯蔵 卵白のオボアルブミンやミルク タンパク質のカゼイン 運搬タンパク質 物質の運搬 ヘモグロビンは酸素を運搬 ホルモンタンパク 質 ホルモンとして生体の調 節 インシュリンのようにホルモン としてはたらく 受容体タンパク質 信号分子を受取る ホルモンなどの信号分子と結合 して信号を細胞に伝える 収縮タンパク質 細胞運動 アクチンとミオシンは筋収縮を 担うタンパク質 防御タンパク質 病気から生体を防御 抗体は細菌やウイルスに対抗す る 酵素タンパク質 化学反応を選択的に促進 消化酵素は食物を分解。細胞内 のあらゆる化学反応を触媒する インシュリン受容体 1 61 121 181 241 301 361 421 481 541 601 661 721 781 841 901 961 1021 1081 1141 1201 1261 1321 1381 1 MGTGGRRGAA QILLMFKTRP VIFEMVHLKE ECGDICPGTA GNCSQPDDPT CHQYVIHNNK TVINGSLIIN EIGNYSFYAL RNDIALKTNG NVTEFDGQDA DERRTYGAKS RQAEDSELFE KELEESSFRK PNTSSTSVPT SARTMPEAKA SRKHFALERG PLIFVFLFSV EKITLLRELG FTCHHVVRLL AEIADGMAYL RWMAPESLKD CPERVTDLMR FEDMENVPLD PS 11 AAPLLVAVAA EDFRDLSFPK LGLYNLMNIT KGKTNCPATV KCVACRNFYL CIPECPSGYT IRGGNNLAAE DNQNLRQLWD DKASCENELL CGSNSWTVVD DIIYVQTDAT LDYCLKGLKL TFEDYLHNVV SPEEHRPFEK DDIVGPVTHE CRLRGLSPGN VIGSIYLFLR QGSFGMVYEG GVVSKGQPTL NAKKFVHRDL GVFTTSSDMW MCWQFNPKMR RSSHCQREEA 21 LLLGAAGHLY LIMITDYLLL RGSVRIEKNN INGQFVERCW DGRCVETCPP MNSSNLLCTP LEANLGLIEE WSKHNLTTTQ KFSYIRTSFD IDPPLRSNDP NPSVPLDPIS PSRTWSPPFE FVPRKTSSGT VVNKESLVIS IFENNVVHLM YSVRIRATSL KRQPDGPLGP NARDIIKGEA VVMELMAHGD AARNCMVAHD SFGVVLWEIT PTFLEIVNLL GGRDGGSSLG 31 PGEVCPGMDI FRVYGLESLK ELCYLATIDW THSHCQKVCP PYYHFQDWRC CLGPCPKVCH ISGYLKIRRS GKLFFHYNPK KILLRWEPYW KSQNHPGWLM VSNSSSQIIL SEDSQKHNQS GAEDPRPSRK GLRHFTGYRI WQEPKEPNGL AGNGSWTEPT LYASSNPEYL ETRVAVKTVN LKSYLRSLRP FTVKIGDFGM SLAEQPYQGL KDDLHPSFPE FKRSYEEHIP 41 RNNLTRLHEL DLFPNLTVIR SRILDSVEDN TICKSHGCTA VNFSFCQDLH LLEGEKTIDS YALVSLSFFR LCLSEIHKME PPDFRDLLGF RGLKPWTQYA KWKPPSDPNG EYEDSAGECC RRSLGDVGNV ELQACNQDTP IVLYEVSYRR YFYVTDYLDV SASDVFPCSV ESASLRERIE EAENNPGRPP TRDIYETDYY SNEQVLKFVM VSFFHSEENK YTHMNGGKKN 51 ENCSVIEGHL GSRLFFNYAL YIVLNKDDNE EGLCCHSECL HKCKNSRRQG VTSAQELRGC KLRLIRGETL EVSGTKGRQE MLFYKEAPYQ IFVKTLVTFS NITHYLVFWE SCPKTDSQIL TVAVPTVAAF EERCSVAAYV YGDEELHLCV PSNIAKIIIG YVPDEWEVSR FLNEASVMKG PTLQEMIQMA RKGGKGLLPV DGGYLDQPDN APESEELEME GRILTLPRSN 60 120 180 240 300 360 420 480 540 600 660 720 780 840 900 960 1020 1080 1140 1200 1260 1320 1380 インシュリン受容体 インシュリン が結合 細胞内へ情 報が伝わる タンパク質のはたらき 種類 役割 例 構造タンパク質 支持 コラーゲンやエラスティンのよ うに組織の形を保つ。ケラチン のように毛髪や爪をつくる 貯蔵タンパク質 アミノ酸の貯蔵 卵白のオボアルブミンやミルク タンパク質のカゼイン 運搬タンパク質 物質の運搬 ヘモグロビンは酸素を運搬 ホルモンタンパク 質 ホルモンとして生体の調 節 インシュリンのようにホルモン としてはたらく 受容体タンパク質 信号分子を受取る ホルモンなどの信号分子と結合 して信号を細胞に伝える 収縮タンパク質 細胞運動 アクチンとミオシンは筋収縮を 担うタンパク質 防御タンパク質 病気から生体を防御 抗体は細菌やウイルスに対抗す る 酵素タンパク質 化学反応を選択的に促進 消化酵素は食物を分解。細胞内 のあらゆる化学反応を触媒する 細胞骨格 細胞が形を保っていられるのは、細胞 骨格(cytoskelton)のおかげである。 また、細胞内部での動きや、細胞の運 動も細胞骨格によっておこる。 細胞骨格と言っても、硬い構造ではな く、タンパク質のモノマーの重合体であ る。 細胞骨格 細胞骨格には、3種類ある。 1.微小繊維(アクチンフィラメント) microfilament, actin filament 2.微小管 microtubule 3.中間径フィラメント intermediate filament 微小繊維 微小管 中間径繊維 アクチンフィラメント 細胞に見られるアクチンフィラメントの束 微絨毛 収縮束 microvilli contractile bundle 指状仮足 収縮環 filopodia contractile ring G-アクチン ATP ATP PDB 2BTF G-actin PDB 2BTF Actin monomer with bound ATP G-actin F-アクチン G-アクチン(42kDa) F-アクチン 重合 アクチンフィラメント F-アクチ ンが2本 撚り合わ さった形 各モノマ ーは周 囲の4つ としっか り結合し ている モノマーの重合と解離 しかし重合と解離もおこる。ATPと結合 したアクチンモノマーは重合(+端) 。 ATP→ADP+Piがおこり、端に来ると 解離(ー端)。 アクチン結合タンパク質 アクチンと結合するタンパク質が多数 あり、アクチンの性質を規定する。 ●単量体の重合を防ぐタンパク質 ●重合核形成タンパク質 ●フィラメント間に架橋するタンパク質 ●フィラメントを切断するタンパク質 ●モータータンパク質 アクチン結合タンパク質 架橋と切断 アクチン結合タンパク質 重合核形成と モータータンパ ク質 移動する細胞 アクチンとアクチン結合タンパク質の 相互作用によって、細胞が移動でき る。 1)先端から突起(糸状仮足、葉状 仮足)を出す 2)突起が接着 3)接着点を足掛かりにして、本体を 引っ張る 移動する細胞 移動する細胞 卵割における収縮環 くびれの赤い部分 がアクチンフィラメ ント束 重合の人為的阻害 サイトカラシンは、F-アクチンの+端 に結合し、重合を阻害。 そのため、ー端での解離が進み、ア クチンフィラメントが消失し、アクチン による細胞運動が阻害される。 食細胞運動の停止、細胞分裂の停 止など。 微小管 細胞に見られる微小管 微小管 微小管は 中空の管 単位はα とβチュー ブリンの ヘテロダ イマー GTPを結 合したヘ テロダイ マーは重 合、GDP では解離 +端と ー端が できる 微小管の重合と解離 コルヒチンは、チューブリンと結合し て、重合を阻害。 微小管とモータータンパク質 微小管と関係するモータータンパク 質には、+端に向かうキネシンと、 -端に向かうダイニンがある。 細胞小器官の動き 神経軸索内での動き 軸索には微小管のレールがあり、 物質が両方向に運ばれる。 中間径フィラメント それぞれの組織に特有な中間径繊 維がある。 上皮細胞 :ケラチンフィラメント 神経細胞 :ニューロフィラメント グリア細胞:グリアフィラメント 筋 肉:デスミンフィラメント 繊維芽細胞:ビメンチンフィラメント 核の最内層:核ラミンフィラメント 中間径フィラメント 単位となる繊維タンパク質が撚り合わ さったロープのような構造 中間径フィラメント 上皮細胞のケラチンフィラメント 細胞に「張り」を与えている 中間径フィラメント 核ラミンフィラメントは、核膜のすぐ内 側にあって格子構造をかたちづくり、 核の形を保っている。 核膜は細胞分裂のときは消失するので、この中間径繊 維も核分裂のときは解離する。 細胞の運動 細胞の運動は、細胞骨格分子であ るアクチンやチューブリンが組織化 され、重合や解離がおこらないよう になった構造によっておこる。 繊毛(cilia)、鞭毛(flagella)による運動 筋収縮(muscle contraction) 繊毛による運動 繊毛の構造 9+2構造 ダイニンアーム ダブレットが9本、 シングレットが2本 繊毛屈曲のメカニズム ダイニンアームがダブレット上を ー端に向かって移動することで、 滑り込みがおこる 鞭毛による精子の運動 標識した2点間の距離が変化する 滑り込みがおこっている証拠 細菌の鞭毛運動 細菌の鞭毛はらせん状のタンパクの棒 筋肉による運動 A:暗帯 B:明帯 Z:Z板 横紋筋のHE染色像 横紋筋の構造 1:筋原繊維 2:筋小胞体 4:T管 5:筋繊維鞘 筋肉の電子顕微鏡写真 Sa:筋節 SR:筋小胞体 収縮のようす 太い繊維(ミオシンフィラメント)が細い繊維(アクチ ンフィラメント)の間に滑り込み、筋節が短縮する。 太いフィラメント 細いフィラメント 細いフィラメントは、アクチンフィラメントにトロポミオシ ンが巻きつき、一定間隔でトロポニンが付着。 カルシウムイオンはトロポニンと結合し、トロポミオシン を動かしてアクチンのミオシン結合部位を露出する。 運動神経の興奮から 滑り込みまで http://entochem.tamu.edu/MuscleStrucContractswf/index.html http://highered.mcgraw-hill.com/sites/0072495855/ student_view0/chapter10/ animation__action_potentials_and_muscle_contraction.html ミオシン頭部による滑り込み ATPはミオ シン頭部に 結合し、露 出したアク チンと結合 できるよう にする。 ATPのエネ ルギーを使 い手繰る。 まとめと次回 タンパク質のさまざまな機能を学 んだ。これ以外にも特殊なものとし て発光タンパク質などもあるが、省 略する。 次回から、いよいよこれらのタンパ ク質が活躍する細胞内の代謝経路 について学んで行こう。
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