AAAとRAAの行動比較 AAAに対する行動分析学からのアプローチ 2008年5月2日 立命館大学文学部心理学専攻 4回生 横井 沙弥佳 AAA/AAT • 1962年、臨床心理学者であるLevinson,B.M.が、 飼い犬と子どもの患者との関わりを紹介した論 文、“Dog as co-therapist”が発表され、以降、 動物の存在は臨床場面への適用拡大の時期を 迎えた。 • 広義のアニマルセラピー 動物とのふれあいや相互作用によって心理的、 身体的に健康を回復させるという考え。 医療や福祉、教育の現場で活用されている。 AAA/AAT • 狭義のアニマルセラピー AAAとAAT ≫Animal Assisted Activity(AAA)は、動物介在 活動と訳され、動物を伴うボランティアの医療施 設や教育施設などへの訪問のことを指す。 動物とふれあうことによる情緒的な安定、レク リエーション、QOLの向上などを主な目的とした ふれあい活動。 AAA/AAT ≫Animal Assisted Therapy(AAT)は、動物介在 療法と訳され、動物が、人間に対する医療ある いは療法行為の中である役割を果たす。 医療従事者の主導で実施しなければならない。 精神的身体的機能、社会的機能の向上など、 治療を受ける人にあわせた治療目的を設定し、 適切な動物とボランティアを選択する。 また、治療後は治療効果の評価を行う。 RAA/RAT • RAA (Robot Assisted Activity) → ロボット介在活動 • RAT (Robot Assisted Therapy) → ロボット介在療法 • AAA/AATの代わりとして、近年、急速に研究が 進められている。主に動物を模したロボットが用 いられ、活動内容はアニマルセラピーと変らな い。 RAA/RAT • 感染症や動物アレルギー・噛み付き・引っかき の事故などに対する予防が不可欠であるアニマ ルセラピーは、医療の現場では衛生面で問題 視されること、動物に嫌悪感を持つ人にとって 苦痛でしかないというマイナス面もあり、積極的 に導入することは難しいと考えられる • そこで近年発達著しいロボット技術の産物、ペッ ト型ロボットを小動物の代わりに使おうというも の RAA/RAT • ロボットは無機質な機械のため、医療の現場に も抵抗なく導入できるのではないかと期待を集 めている • また、通常のペットに対するのと変わらない感 情移入なども芽生えるといわれ「患者の集中力 が高まった」「ほとんど寝ていた患者の起きてい る時間が長くなった」「食事を食べるようになっ た」「会話が続くようになった」といった報告がな されている RAA/RAT • ハンドラーなどを伴う必要がないので、人件費 の削減も期待される • 主なペットロボットとして • AIBO(SONY) PARO((株)知能システム) PLEO((株)ビジネスデザイン研究所) その他:ロボパピィ、MIO、ダッキー、愛犬こはる 夢シリーズ など 問題と目的 • これまでのアニマルセラピーは… ≫心拍数、血圧、唾液中のアミラーゼの増減、 脳波などによる生理的指標 ≫不安傾向測定(STAI)、抑うつ状態の測定 (BDI)、心理・社会的ストレス測定などによる質 問紙的指標 が主であり、行動的指標は少ない 問題と目的 • また、アレルギーやサイトアセスメント、人畜 共通感染症という問題があるにもかかわらず なぜ動物なのかという根本的な問いかけも少 ない • 加えて、RAA/RATにおいても動物の姿が用い られるのは何故か 問題と目的 • これらのことから、本研究では行動指標を主に 用いて、ヒトにおける動物とロボットへの行動を 比較することで、アニマルセラピーおよびロボッ トセラピーの長所と短所を再び明らかにし、そ れを踏まえた上で、何故アニマルなのかという 点を主張し今後のアニマルセラピーおよびアニ マルエデュケーションにおける発展の一助とす る事を目的とする 方法 • Ⅰ、Ⅱ、Ⅲともに、実験協力者には介在物お よび介在動物の写真を撮影してもらったり、自 由に遊んでもらう • その際、実験協力者の様子をビデオ撮影し、 従属変数である行動を撮影記録する • また、その後、実験協力者によって撮影された 写真などをもとに半構造化面接を行う。この際 も録音し、必要であれば書き起こす 方法 • なお、次のような場合は実験を中止する。 実験協力者が犬に対してあまりに怖がる場合 介在動物が実験協力者に対して怖がり震える 場合 実験協力者に対し介在動物が噛みつく等の 攻撃を行った場合 介在動物に対し実験協力者が攻撃した場合 その他実験者が実験続行不可能と判断した 場合。 方法 • インフォームドコンセントを十二分にとり、その 後研究目的や方法(実験に影響のでない程度)、 遵守事項や同意を記した誓約書を記入して貰 う • 実験開始前の教示は最小のものとする 方法 • 実験協力者 犬に対して嫌悪感・恐怖心を持っていない大 学生 ?名 Ⅰ:ロボットと触れ合う Ⅱ:介在動物(イヌ)と触れ合う Ⅲ:ヌイグルミと触れ合う 単一被験体法による条件交替デザイン 方法 • 従属変数 行動指標 ≫笑顔、発話、接触、写真の枚数など、予備 実験により決定 質問紙 ≫POMSおよび感想 問題点 • 生理的指標をとるべきか • 介在物としてのロボット 現在AIBOは入手困難であるため、より安 価なイヌ型ロボットを用いるか、あるいは恐 竜型ロボットPLEOを用いるか 主なペットロボット AIBO PLEO ROBOPUPPY 参考文献 • • • 岩本隆茂・福井至 培風館 (2001) アニマルセラピーの理論と実際 Roland,J.Thorpe,Jr. Journal of the American Geriatrics Society 54(9) (2006) Dog ownership, walking, and Maintained Mobility in Late Life. 早川洋子・林文明・野呂和夫・圓尾拓也・江川賢 一・荒尾孝・稲葉裕 山野研究紀要 (2006) 健康作りのための新たなアプローチー人と犬の 健康状態の関連性ー 参考文献 • 成田学・岩本隆茂・森伸幸・斉藤恵一 アニマルセラピーとロボットセラピーにおけるヒトへ の効果に対する比較検討 • 岩本隆茂・川保甲子夫 勁草書房 (1990) シングル・ケース研究法
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