平成18年度 土木施設設計演習 ~鋼矢板護岸の設計~ 平成18年7月4日(火) 本日の内容 支点反力の求め方 鋼矢板の断面の決定 タイロッドの設計 腹起こしの設計 設計計算例の説明 各自の設計条件のチェック 支点反力の求め方(仮想交点法) 矢板に作用する最大曲げモーメントおよびタイ材取付点反力 は,矢板の剛性,根入れ長,地盤の硬軟等を考慮した適切な 方法により算定する.(参考資料No.1 p.672) タイロッド 主働土圧+残留水圧 D.L 受働土圧 タイロッド取付点と海底面を 支点とし,海底面から上の土 圧及び残留水圧が荷重として 作用する単純ばりと仮想して, 最大曲げモーメントおよびタ イ材取付点反力を求める 海底面 主働土圧+残留水圧:P l lT タイロッド取付点反力:AP 仮想交点反力:RD P:合力(tf/m) l AP P lT R D P AP AP:タイロッド取付点反力(tf/m) RD:仮想交点反力(tf/m) l:仮想交点から合力作用点までの距離(m) lT:仮想交点からタイロッド取付点までの高さ(m) Mmax:最大曲げモーメント M max s 10 5 s a Z Z:鋼矢板の断面係数(cm3/m) s:曲げ応力度(kgf/cm2) s a:許容曲げ応力度(kgf/cm2) dR S7 S2 S1 Ap pW S8 S4 S3 pA2 pAx pA3 x lj RD lD タイロッド取付点におけるモーメントの釣り合い M R AP D lD S R D 最大曲げモーメント せん断力Qx=0→Mx=Mmax p Ax p A3 p A3 p A2 x dR ・・・① p A3 p A2 2 Qx x ( p A3 pW ) x RD ・・・② 2d R 1 M x R D x ( p Ax 2 p A3 3 pW ) x 2 ・・・③ 6 ②式より,Qx=0として,Mmaxの生じる位置を求める p A3 pW ( p A3 pW ) 2( p A3 2 x p A3 p A2 →xを①,③式に代入 RD p A2 ) dR dR 最大曲げモーメント 鋼矢板の断面決定 仮想ばり法により求めた最大曲げモーメントに耐えうる断面力 を有する部材を選定する. 使用する鋼矢板の選定(材質,種類などなど) 使用環境→護岸(海岸)→腐食に対する検討 →安全性のある構造物の設計 ところで,断面力が大きい,すなわち外力に対して断面力 に余裕があるほど安全 →経済性の観点からは望ましくない 安全性+経済的な構造物→設計者の腕の見せ所 タイロッドの設計(配布資料p.101) タイ材に作用する張力は,矢板に作用する曲げモーメント及びタイ 材取付点反力を基に算定する(参考資料No.1,p.681) T Ap l sec Ap l T:タイ材の張力(tf) Ap:タイ材取付点反力(tf/m) l:タイ材取付点間隔(m) :タイ材取付点で立てた矢板面への垂線 とタイ材の傾斜角(°)=0° A AP l sa 10 T 3 sa 10 3 sa:タイ材の許容応力度(kgf/cm2) A:タイロッドの断面積(cm2) タイロッド 腹起こしの設計(配布資料No.1 p.101) 矢板などが土圧や水圧でふくれ出したり,倒れたりしないように, 押さえのために取りつける横材のこと 腹起し材 タイロッド取付点を支点とし,タイロッド取付点反力AP が等分布に作用する3径間連続梁として設計 イメージ AP l M max Z 1 1 AP l 2 T l 10 10 M max sa l l Mmax:腹起こしに作用する最大曲げ モーメント Z:腹起こしの断面係数 105 設計計算例の説明 配布資料No.1 p.111~113 根入れ長の決定 未知の根入れ長Dを含む方程式を満足しうるDの値を求める. 数値は0.1m単位で丸めること. 例:D>5.238m⇒5.3m,5.67m⇒5.7m 鋼矢板長:l(m) 天端高さ+水深+根入れ長 設計例では,D:12.5m,Hw:7.5m,C.H.:3.5m 12.5+7.5+3.0=23.0m この設計では,鋼矢板とタイロッド,腹起こしを一体化させるために,この部分をコンク リートで保護している 鋼矢板の断面決定 ①:使用する鋼矢板の選定:SY295材(sa=1800kgf/cm2) (配布資料No.1 p.46) ②:鋼矢板に作用するMmaxより断面係数Zを算出 Mmax=52.911tf・m/m Z M max sa ⇒断面係数Z≧2940(cm3/m) ③:②で求めたZを満足する性能を有する鋼矢板の選定 (配布資料No.1 p. 6-7) 鋼矢板の腐食及び防食法に関する規準 ⇒FSP-ⅤL(Z1=3150cm3/m) ④:腐食の検討(50年) (配布資料No.1 p. 457~) 海側 陸側 表より 海側(t1)=0.03mm/年(海底泥層中)=0.03×50=1.5mm 陸側(t2)=0.02mm/年(残留水位より下)=0.02×50=1.0mm 耐用年数×腐食代=腐食代:a=t2/t1=1.0/1.5=0.667 ⑤:腐食時の断面係数(Z2)の決定 (配布資料No.1 p. 457~) Z Z/Z0 Z:腐食時の断面係数 Z0:腐食してない場合 88% α t1 Z2=Z1×0.88=3150×0.88=2770<2940 Z2<Z;すなわち,腐食が進行するとMmaxに耐えうるだけの断面力を保持する ことができない.Z1>Z2>Z:これを満たすような断面係数を有する矢板を選定 する. タイロッドの断面決定 タイロッドの選定(材質,種類等) (配布資料No.1 p.47) 取付間隔の決定 A AP l sa 10 3 T sa 10 3 T:タイロッド張力(tf) AP:タイロッド取付点反力(tf/m) l:タイロッド取付間隔(m) sa:許容応力度 腐食の検討(50年) 腐食代:Δd=2×0.03mm/年×50年 陸上側,残留水位より上 ※タイロッド取付位置が残留水位よ り下の人は0.02mm タイロッド断面 タイロッドに作用する張力 T=AP・lP ※取付間隔に関する指針が見つからなかった為,設計例に準じて, lP=2.00mとしてください. タイロッドの直径の決定 d 4T s a d 使用するタイロッドの直径決定 直径の寸法は規格化されています. 配布資料No.1 p.443-449 腹起こしの断面決定 タイロッドの選定(材質,種類等) (配布資料No.1 p.456) コンクリートで捲きたてる⇒腹起こしやタイロッド の取付をコンクリートで覆っている⇒腹起こしは 外気に曝露されないことから,腐食に関する検 討は行わない. M max 1 AP l 2 10 Mmax:腹起こしに作用する最大曲げ モーメント Z:腹起こしの断面係数 Z M max sa 10 5 溝形鋼を使用 (2つ重ね合わせて用いるものとする)
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