減衰振動の理論 - koji-kon

1 減衰振動 基本
減衰振動の単純モデル
下図のようなモデルを考える。Mは質量、Kはバネ定数、Cは流体抵抗係数。
X(t)は変位、X’は速度、X’’は加速度。
-K・XーC・X’+F=M・X’’⇒ M・X’’+ C・X’ +K・X=F(t) ・・・①
F(t)=0の時、X(t)=exp(ーa0・t)・sin(ω・t)、 a0=C/2M、ωn=√(K/M)、
ω=ωn・√(1-ζ・ζ)、ζ=a0/ωn ・・・②
F
K
X
M
t
C
X
< 図1 >
< 図2 >
2 減衰率ζの測定
時間減衰法
減衰振動の単純モデル
1周期分の減衰比はX1/X0=exp(a0・(t0-t1)) 振動周波数をfとする
とX1/X0=exp(-a0/f)・・・③ よって、 1秒間にexp(-a0)減衰する。
つまり、1秒間にDdB=20・log(exp(a0))=20・log(e)・2π・f・ζ
よって、ζ=D/{54.58・f} ・・・④
X0
振幅(dB)
X1
D
t(秒)
< 図3 >
0
< 図4 >
1秒
3 材料の損失係数η
振動している材料内部には、すべり転位や粒界のまさつによりエネルギー
が吸収されている。損失係数ηは図5の応力・変位曲線のヒステリシスから
⑤式で定義される。η=k2/k1 ・・・⑤ 1サイクルごとの損失エネルギー
は楕円の面積Sであり、S=π・X・X・k2、振動エネルギーS0=k1・X・X/2
であるので、S/S0=2π・k2/k1=2πη
一方、減衰振動の1サイクルごとの損失エネルギー比=(E0-E1)/E0
③より、 (E0-E1)/E0 =1-(X1/X0)^2=1-exp(-a0・2/f)、a0・2/fが
十分小さいとき、図7より、 (E0-E1)/E0=a0・2/f であるので、
2πη =a0・2/f
η=2・a0/ω=2ζ/ √(1-ζ・ζ) ≒2ζ・・・⑥
応力
1-exp(-x)
K1・X
1
K2・X
X
< 図5 >
変位
X
0
< 図6 >
< 図7 >
4 Qと損失係数ηの関係
図1のモデルで、Fは外力でF(t)=sin(ωt)とすると、
M・Y’’+ C・Y’ +K・Y=sin(ωt) ・・・①’
特解Y1=d・sin(ωt+φ)とすると、 1/d^2 =(K-Mω^2)^2+(Cω)^2
1/d^2=M^2・X^2+(C^2-2KM)X+K^2 ;ただしX=ω^2
1/(dM)^2=X^2+(4・a0^2-2・ωn^2)X+ωn^4
1/(dM)^2 =(X-ω0^2)^2+(ωn^4ーω0^4)・・・⑦
ただし、ω0^2=ωn^2-2・a0^2 ⇒ ω0=ωn・√(1-2・ζ^2)・・・⑧
ω=ω0のときd=d0とし、dがピークから3dB下がる(エネルギーが半分)時
のω=ω1、ω2、d=d1とおくと、(d0/d1)^2=(d0・M)^2/(d1・M)^2
よって、[(ω1^2-ω0^2)^2+(ωn^4ーω0^4)]/ (ωn^4ーω0^4) =2
よって、 (ω1^2-ω0^2)^2=(ωn^4ーω0^4)
⑧⇒(ω1^2-ω0^2)^2=ωn^4・(1ー( 1-2・ζ^2 )^2)
= ωn^4・{1-(1-4 ・ζ^2 +4・ ζ^4)}
(ω1^2-ω0^2)= ±2・ ωn^2・ζ・√(1-ζ^2) ・・・⑨
(ω1^2-ω0^2)= ±2・ ωn^2・ζ・√(1-ζ^2) ・・・⑨
⑨式左辺=(ω1+ω0)・(ω1-ω0)≒2ωn・ (ω1-ω0)
よって、ω1-ω0=±ωn・ ζ・√(1-ζ^2)
一方、Q=ω0/(ω1-ω2)= ω0/[2(ω1-ω0)]
1/Q= [2・(ω1-ω0)]/ω0≒2ζ≒η ・・・⑩
以上、減衰まとめ (ζ<<1のとき、)
固有周波数ωn=√(K/M)
a0=C/(2M)
減衰率ζ=a0/ωn
ω=ωn・√(1-ζ^2)
D=54.58・ζ・fn
損失係数η=k2/k1=2ζ
1/Q=η