(電波・光)を用いた大気観測

国内、海外への展開
4回生宇治地区研究室見学会 配付資料
信楽MU観測所
(34.8N, 136.1E) RISH
キャンペーン
観測
津田研究室
定常気球観測点
(地球電波工学講座・地球大気計測分野)
生存圏研究所・生存圏診断統御研究系・大気圏光電波計測分野
21世紀は、地球環境の時代といわれている。ところが、地球環境変動を測定し監視
する技術はまだまだ発展途上である。本研究室では、電子工学・通信情報の最新技
術を地球大気科学に応用することに取り組んでいる。独創的な計測装置を開発して、
地球大気情報を収集し、地球環境変化の科学的解明に貢献することを目指している。
ガダンキMSTレーダー観測
所、インド(13.5N,
9.2E)ISRO/NARL
現行および将来のGPS掩蔽ミッションとデータ数
沖縄亜熱帯大気計測技
術研究センター(26.7N,
128.1E9) NICT
赤道大気レーダー(EAR), インドネシア
(0.2S, 100.3E), RISH and LAPAN
スタッフ:
津田敏隆教授、中村卓司准教授、古本淳一特定助教
S.Csilla、J.Kello、江尻省(研究員)
津田研の特徴
■ レーダーの新しい応用、さらに音波、光学、信号・情報処理など新技術を開拓
最新の電子技術を「こういうものに応用したい」という視点で取り入れてゆきます。
■ 国際的な研究展開を拓く、機動力と国際協調性
教員が海外に出向くことはもとより、学生にも積極的に海外観測や国際学会発表、
国際共同研究に参加してもらいます。
■ ハードもソフトも
ハードやシステムの開発をやりたい人、プログラミングが好きな人、旅行好きで移動観測
に興味のある人、皆それぞれテーマを見つけることができます。
■ 幅広い研究協力
生存研の各研究室、特に山本研と塩谷研とは、ディスカッション、研究会、輪講などで
相互に協力しています。さらに、国内外の多くの研究機関と共同研究を行っており、
学生もそれに参加する中で、幅広い視点を身につけることができます。
コンタクト
もっと詳しく話を聞きたい、見学をしたいという人は、
津田(Tel: 0774-38-3804)または古本(Tel: 0774-38-3861) まで
電子メールの場合は、[email protected] (津田)、[email protected] (古本)
研究室のホームページ http://www.rish.kyoto-u.ac.jp/labs/tsuda_lab/
はじめに
■ 台風や竜巻などの気象災害、グローバルな地球
温暖化、太陽活動に伴う宇宙嵐など短期・長期変動
に富む自然界に調和しつつ、持続的発展を目指すこ
とは今世紀の重要な課題である。
■ 安全・安心かつ快適な社会を維持してゆくには、
身近な生活空間のみならず、広く陸域、海洋、大気圏
から宇宙空間までを対象に、多種多様な環境状態を
計測するセンシング技術の開発並びにリアルタイム
で環境情報を活用する通信情報システムの構築が
求められている。
地球環境のセンシング手法
地球大気環境を測定する手法は気球やロケッ
トを打ち上げて観測する直接測定法と電波・
光を用いて離れた大気を測定する間接測定
(リモートセンシング)手法に大別され、さらに
リモートセンシングは地上からの測定と人工衛
星による宇宙からの観測に分けることができ
る。
人工衛星からのリモートセンシング
気球・ロケットなどに
よる直接測定
地上センシングネット
ワーク
電波・光による地上からのリモートセ
ンシング
電磁波(電波・光)を用いた大気観測
電磁波は、地球大気中を
通過する際に屈折、遅延、
散乱、放射などのさまざま
な影響を受けます。リモー
トセンシングではこれを利
用することで大気状態を測
定します。
電波・光・音波複合観測
信楽MU観測所を中心に、電波・光・音波を組み合わせた、世界的にも先端的な観
測システムを開発しています。開発した測器は国内外に展開して、大気環境をモニ
ターしています。
情報通信分野
AMラ
ジオ
FMラジオ、
TV地上波
携帯電話
携帯電話
無線
LAN
大気観測分野
赤外
通信
衛星放送
(BS、CS)
GPS測位
GPS掩蔽
GPS気象・電離層測定
大気屈折
大気・電離層遅延
屈折
遅延
MUレーダー、
赤道大気レーダー
乱流散乱
RASS
音波散
乱
散乱
流星レーダー
放射
レイリー、ミー、
ラマン、共鳴散乱
雨滴・霧
散乱
MUレーダー
(滋賀県甲賀市信楽町)
乱流散乱
流星飛跡
反射
雨滴・霧
散乱
境界層
レーダー
ライダー
航空機
レー
ダー
ミリ波
レー
ダー
中波帯レー
ダー分反射
大気光
イメー
ジャ
水蒸気衛星観測
アイオノゾン
デ電離層反射
マイクロ波放射計
(6,10,18,23,35,50GHz)
雲・水蒸気
衛星観測
大気発光
赤外放射
2MH
z
50MHz
800MHz
1.3G
Hz
1.2,-1.
6GHz
2.4,
5GH
z
1112GHz
35G
Hz
95GHz
0.415μm
電波(周波数)
630 ,55
7.7nm
世界に誇る大気観測用大型VHFレーダー。
光・音波を組み合わせた観測や多チャン
ネルイメージングによるさらなる新展開を
図っています。
中心周波数46.5MHz, ピーク出
力 1MW 、ア ン テナ直 径103m 、
475本の八木アンテナからなる。
532nm
光(波長)
GPSによる大気観測
寒冷前線の模式図
GPS電波を用いた大気計測法の開発と地球環境の
総合観測を行っています。
RASS(Radio Acoustic
Sounding System)
(GPS:衛星から発射される電波の伝播時間から距離を求める
全球衛星測位法)
搬送波位相の計測で
mmオーダーの精度が
達成目標で、大気によ
る遅延・屈折が最終的
誤差要因ですが、これ
を逆用すると、水蒸気
量、気温、電子密度が
測定できます。
GPS受信機
を搭載した
LEO衛星
電波経路の接
点(測定点)
音波が作る粗密をレーダーで
検出して音速を測り、気温と水
蒸気量を計測します。数少ない
全天候型の連続観測手段で本
研究室で開発され世界に展開
されつつあります。
GPS電波
高度
GPS電波の伝播
経路の偏角
GPS衛星
暖気
寒気
GPS掩蔽(COSMIC)による気温プロファイル
(2006年11月25日)
気球(橙) : Kuching, Malaysia(1.5N, 110.4E, 11:39UTC)
COSMIC : #49プロファイル(2.5N, 112.6E, 10:12UTC)
本研究の解析(緑実線)/UCARの解析(緑点線)
COSMIC ; #50プロファイル(0.6S, 114.0E, 10:25UTC)
本研究の解析(青実線)
比較のため、5Kずつ横軸をずらしている。
2006年4月に打ち上げられた6台の
小型LEO衛星からなるCOSMIC衛星
群により得られた1日のデータ分布
RASSによって寒冷前線の内部
の微細な構造をはじめて観測
することが可能になりました。
時間
この他にもライダーによる気温や水蒸気の観測、流星レーダー、MFレーダーによる流星フラックス・風速・気
温の観測など様々な観測手法を開発し、大気環境をモニターしています。