Click - 正 田 良 のホームページへようこそ

第43回数学教育論文発表会(口頭発表の部)
多次元的な特徴に注目した教育実践への評価
2010.11月13日宮崎大学・分科会1(L202)
10:00~10:20
正 田
良
(国士舘大学文学部初等教育専攻)
20世紀の教育評価・数学教育の文脈
► ジョン・ペリー(1901:グラスゴーでの講演)
中等教育でユークリッド原論の暗記中心を批判
► ソーンダイク『算数の心理学』(1920)
教育測定運動・形式陶冶説の否定
► サーストン
知能検査の因子分析(1947)
► ギルフォード 発散的学力(1967)
► ブルーム
学力の「分類学」
知識・理解・技能・応用/情意領域
算数・数学に関する学力調査
► 1961~64
中2・3全員を対象とした「学テ」
► 1964年・第1回国際数学教育調査
► 1981年・第2回国際数学教育調査
► 1995年に第3回国際数学・理科教育調査
の第1段階調査(TIMSS)・・・。
► PISA 2003
► 「全国学力・学習状況調査」 (2007年~)
20世紀後半、各国の中等教育に見られる傾向
► 経済発展による進学率の向上。
► 複線型から単線型へ。
その結果としての、総合中等教育(コンプリヘン
シブ)化
► その教育課程変革の結果の検証。
また,「第三の波」,「ポストモダン」。
教科の相対化という傾向も
PISAの文脈
► 社会的存在として個人
► 数学的リテラシーとは,
しっかりした根拠に基
づいた決定や,建設的で思慮深い市民として
の生活で数学を使ったり数学と関わったりする
ときの必要となるといった数学が現実世界で果
たす役割について知り理解する個人の能力で
ある。
► 教科の相対化(問題解決能力・情報)
► 数学的価値を基盤とした総合化
DoSeCo: OECDのプロジェクト
(Defining and Selecting Key Competencies)
► 相互作用的な道具の使用
・言語, ・知識や情報, ・技術
► 異質な集団で交流
・他人, ・チーム, ・争いの解決
► 自律的な活動
・大きな展望, ・権利の行使と責任,
・権利やニーズの表明
戦後日本固有の状況(管理される子ども)
► 経済成長・現代化・進学競争/荒れる□学生
► 高度情報社会
► 消費行動刺激へのターゲットとして子ども
1960以降(斎藤次郎(1984),重松清(2006))
► 1980年代に「ごまかし勉強」が生まれる
藤澤伸介(2002)の指摘
政治的課題としての教育
► 新保守主義の政治手法
(accountabilityの重視)
► 「ハイパー・メリトクラシー」への批判
(本田由紀2005)
► 総合的・予期的学力としての,問題解決能力
「児童・生徒の学力向上を図るための調査」
東京都(2004~2009年度)
小学校5年生・中学校2年生を対象
►
►
►
►
►
ア:問題を発見する力
イ:見通す力
ウ:適応・応用する力(4題)
エ:意思決定する力
オ:表現する力
・・・・の計8題。
(ここまでは,うなずける経過・・・)
調査の妥当性を検討するためのデザイン
(残念ながら)被験者は大学生
問題
正答
正答者数
全回答者
正答率
相関
1
2
3
4
5
6
7
8
9
3
205
234
88
2
210
234
90
4
183
234
78
3
160
234
68
2
207
234
88
3
214
234
91
1
203
234
87
4
193
234
82
4
219
234
94
1
2
3
4
5
6
7
8
9 予想者数
0
1
1
1
4
2
0
3
1
1
0
3
28
2
4
7
2
2
1
5
10
9
1
3
11
2
0
6
1
4
0
0
5
1
5
6
75
2
6
0
0
7
0
8
1
2
0.09
3
0.02
0.13
4
0.00
0.01
-0.09
5
0.27
0.10
0.00
-0.02
6
0.07
0.15
-0.01
0.02
0.08
7
-0.11
0.08
0.01
0.14
0.25
0.02
8
0.00
0.14
-0.11
0.07
0.22
0.14
0.15
9
0.01
0.20
0.07
-0.03
0.23
0.11
0.21
0.20
東京都の観点と相関の状態
データを用いて学校の目標の達成度を検討
学校(学校長)が責任を担わされている
► 測ろうとする概念がしっかり測れているのか?
問題に妥当性があるのか。
► 問題が1つだと、その正答率は、その問題に関
してのデータに過ぎない。
(その観点に対する一般化は危険である)
このような反省的思考が行なわれないと・・・
学校独自の目標
► 子どもが学校に来たいと思うように
► 生涯学習への基礎を培いたい
► 基礎・基本の学力を
► 授業時間でのコミュニケーションを
► 情報機器を用いて調べたり、発表したり
► 読書好きの子に
VS.
► 平均正答率の大小
・・・,etc.
学校調査分析士(仮称)の配属を
・調査分析の技能を持つ
>アプリを用いて因子分析など
>因子の解釈ができる
>学校や地域との意思疎通
・その学校への援助的理解
>学校の方針を
>子ども・地域・教職員の実情を
>調査結果を解釈し、改善方針の提案
・学校独自の分析
>素データを電子ファイルで提供すべき
ご清聴ありがとうございました。
・