佐鳴湖水質データに基づく 汚染原因の推定 静岡大学システム工学科 前田研究室4年 50113006 阿部 茂晴 佐鳴湖について 平成14年度 佐鳴湖浄化対策専門委員会 年間利用者が約40万人ある市民の憩いの場 平成元年 環境庁調査 日本の湖沼で4番目に生息魚種が多い 市民の住環境の面でも生態系保護の意味でも 佐鳴湖は保全に値する価値を持つ 佐鳴湖の現状 国内湖沼水質ランキング3年連続ワースト1位 項目 環境基準値 実測値 達成状況 pH 6.5~8.5 8.0~9.4 × COD [mg/L] 5以下 13 × SS [mg/L] 15以下 53 × DO [mg/L] 5以上 6.1 ○ T-N [mg/L] 基準なし 2.9 - T-P [mg/L] 基準なし 0.05 - “浜松市公式WEBサイト”より DO以外は未達成 窒素やリンの濃度も高い 研究の目的 これまでの対策の効果 これまで様々な浄化対策がとられてきたが その効果は十分なものではなかった 最適な浄化技術の選択のために 汚染原因とメカニズムの解明が求められている 研究目的 佐鳴湖の汚染原因の推定による 佐鳴湖浄化への貢献 研究方針 基本的手法 ・データの整理(グラフによる解析など) ・相関関係(相関係数、回帰分析) ・土地利用といった地理データなどとの照合 汚染原因の推定 使用データ アメニティ佐鳴湖の2004年水質・底質データ 佐鳴湖浄化対専門委員会の底質データ 土地利用や下水道普及率などの地理データ 佐鳴湖の汚濁機構 湧水由来の高濃度窒 素、 生活由来のリン・窒素 生活由来の リン・窒素、 底泥の溶出 湖内の内部生産 内部生産1 ~COD~ CODの内容 大半がプランクトン由来であると考えられる 9月 クロロフィルa-COD (R=0.88) 12.0 COD[mg/L] 10.0 8.0 6.0 4.0 実測値 y= 6 8 x+ 3 .5 2.0 0.0 0.000 0.020 0.040 0.060 クロロフィルa [mg/L ] 0.080 内部生産2 ~SS~ 懸濁性有機物(VSS) 湖内SSの内60%はVSS、 このVSSは植物プランクトン由来 9月クロロフィルa-VSS (R=0.74) 20.0 VSS 15.0 10.0 5.0 0.0 0.000 実測値 y= 9 2 x+ 5 .4 0.020 0.040 0.060 クロロフィルa 0.080 内部生産3 ~pH(1)~ pH増大の原因 植物プランクトンの光合成 9月クロロフィルa-pH (R=0.85) 9.5 pH 9.0 8.5 8.0 7.5 7.0 0.000 実測値 y= 1 2 x+ 7 .6 0.020 0.040 0.060 クロロフィルa 0.080 内部生産3 ~pH(2)~ 水中の炭酸イオンの平衡 CO2 + H2O H+ + HCO3- H2CO3 右辺に シフトする 2H+ + CO32- 水中の溶存CO2が光合成で消費される 炭酸イオンの平衡が右に移動 H+が増加 pHの増大 底質について 佐鳴湖浄化対策専門委員会2003年3月データ アメニティ佐鳴湖2004年3月データ 特定の箇所に高濃度の底泥が集まる傾向 (湖内や志都呂橋~宇布見橋上流の間) ・付近に汚染源 ・特定の箇所に底泥を集める機構の存在 リンは比較的均質に分布 硫黄分も多く含まれる - 湖内のCl 濃度の季節変化 下流域に比べ湖内のCl-濃度は、比較的 時間変動が小さい 湖心における濃度は3月に約3000mg/L、 9月に約6000mg/L Cl-濃度の季節変化 プランクトンの種構成など、湖内水質への影響 結果と考察 佐鳴湖の汚染原因 富栄養化に伴う植物プランクトンの増加 (これまでの説を支持・補強する結果) 新しい見解 底質、Cl-濃度 今後の課題 ・底質の汚染源・溶出機構の解明 ・植物プランクトンの制限因子の解明
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