量子モンテカルロ法による分子構造の解明 5407 岩田 修一 指導教官

量子モンテカルロ法による分子構造の解明
Clarification of molecular structures by the quantum Monte Carlo method
5407 岩田 修一
指導教官 山口 知子 教授
3.解析対象
1.研究背景
二電子以上から成る系(原子・分子など)の
シュレーディンガー方程式を解析的に
解くことは不可能
調和振動子
1 2
ポテンシャル: V  kx
2
RWMC
比較
GFMC
2つのプログラムを比較してみる
水素原子
e
ポテンシャル: V  
r
より正確な数値解を得られるアルゴリズム
量子モンテカルロ法
量子モンテカルロ法によるプログラム
の開発と応用について研究を行なう
2
GFMC⇒検討
実際に水素原子に適用してみる
4.結果
調和振動子の結果(粒子数500、総ステップ数10000)
本年度の目標
1.52
•量子モンテカルロ法の妥当性の確認
•水素原子の波動関数、固有エネルギーの計算
厳密解
3
3
E 0     1.5 (a.u.)
2
2
RWMC
GFMC
Œ
µ–§‰
ð
1.515
ƒGƒlƒ‹ƒM
[ E [eV(a.u.)]
1.51
2.原理
 0 (r ) 
1.505
1.5
1
4

e

r2
2
(a.u.)
※ a.u.:原子単位
1.495
1.49
1.485
ランダムウォーク量子モンテカルロ法:RWMC
1.48
0
20000
40000
60000
80000
100000
RWMCの方がGFMCより早く収束する
波動関数は概形はよく計算されている
ƒXƒeƒbƒv
”
シュレーディンガー方程式
図 1 調和振動子の基底状態固有エネルギー計算結果


2
i

  V
t
2m
t
変数変換 τ  
i
2


2

  V

2m
2
拡散方程式
(a) RWMC
(b) GFMC
図 2 調和振動子の基底状態波動関数計算結果
多数粒子による
モンテカルロ
シミュレーション
を行う
水素原子の結果(粒子数500、総ステップ数10000)
厳密解
me 4
1
E0   2    0.5 (a.u.)
2
2
1 r
 0 (r ) 
e (a.u.)
⇒RWMC

-0.4
GFMC
Œ
µ–§‰
ð
-0.42
固有エネルギー
-0.44
⇒ 粒子の分布関数
⇒ 全粒子の平均エネルギー
ƒGƒlƒ‹ƒM
[ E [eV(a.u.)]
 :波動関数
2~3桁程度の精度で計算できた
波動関数は原点に有限値がある
-0.46
-0.48
-0.5
-0.52
-0.54
-0.56
-0.58
-0.6
0
グリーン関数量子モンテカルロ法:GFMC
粒子を伝播させる関数
RWMC:遷移幅Δx一定、粒子数変化無し
ガウス分布によって決まる遷移幅、
粒子数はポテンシャルによって増減
に変更する
⇒GFMC
40000
60000
80000
100000
ƒXƒeƒbƒv
”
図 3 水素原子の基底状態固有エネルギー計算結果
図 4 調和振動子の基底状態波動関数計算結果
遷移確率
 ( x, )   G ( x, x , ) ( x ,0)dx
多数粒子による
モンテカルロ
シミュレーション
を行う
20000
このとき遷移確率 G は
グリーン関数と呼ばれる
5.まとめ



非常に簡単なアルゴリズムで精度のよい
波動関数を得ることができた
固有エネルギーについては、より早く正
確な値へと収束するように改良したい
励起状態、二電子以上の原子・分子への
拡張
⇒ 経路積分量子モンテカルロ法などの利用