宇宙核物理学 1.目的 宇宙に存在する元素・核の起源の解明 ⇔ 舞台となる天体現象の解明 2.現状 ビッグバン元素合成; 大筋は解明された。(6Li/7Li問題は未解決) s過程; 隕石の同位体比データの精密化により 反応経路の分岐の解析が実現(宇宙核年代学) 爆発的元素合成; r過程 ---サイトがわかっていない。 原子核サイドでは… Type-II SNの爆発機構が未解明。(EoS、n-A相互作用) 中性子過剰核のデータ収集がようやくスタート。 p過程 ---起源が不明。np過程? g過程? SNまでの進化 ---4He(2a,g)12C、12C(a,g)16O断面積が重要 3.2010年代の展開 (1) r過程 理研RIBF等が本格稼動、中性子過剰核のデータが充実 半減期測定: N=50, 82 → RIBF、N=126 → KISS 質量(Sn)測定: Rare-RI ring、SLOWRI (n,g)断面積: 非共鳴捕獲--- (d,p)+ANC、共鳴捕獲--- (d,pg) → Gg EoSの改良: 密度依存性、対称エネルギー項、ハイペロン相互作用 n-A相互作用: 荷電交換反応、光核反応、m捕獲による核応答研究 超ウラン元素の核分裂断面積 ★ ASTRO-H、TMTなどの観測やシミュレーション計算の精密化と 相まって標準的なType-II SNにおける元素合成のシナリオが確立! (2) p核の起源 np過程: (p,g) --- クーロン分解@SAMURAI、(3He,d)@CRIB (n,p) --- トロイの木馬((d,2p)、(t,3He)、(7Li,7Be) )@RIBF g過程: 閾値近傍での光分解@NewSUBARU、HIgS(Duke) 4.2020年以降の展望 より広範な不安定核データが完備+EoSの精密化 爆発現象のイベントごとの光・X線・ニュートリノのスペクトル観測 r過程で生成される不安定核からのガンマ線の直接観測 ハイパーノバやコラプサーでの非熱的元素合成の解明 ⇒ 天体パラメータの平均値だけでなく分布や経時変化が判明する ⇒ 第一世代天体における元素合成&銀河の化学進化が解明される 宇宙観測から原子核に関する知見 ⇒ 地上実験による検証; ・ ニュートリノの時間スペクトルの精密観測 → 超高密度核物質 ・ 中性子星近傍の原子核のガンマ線分光 → 超強磁場中の原子核 ・ 超高エネルギー重イオン宇宙線の観測 → 数TeV/nでの核反応 など。
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