地域資源管理と生活基盤

地域資源管理と生活基盤
総合政策学部4年渡辺悟史
背景Ⅰ
・日本には二次自然が多い
←“使っていない”と荒廃する。
稀少資源の“使い方”の議論はこれまで
なされてはきたが・・・(十分なプレイヤー数
が前提)。
・プレイヤーの数の変化・属性の変化
背景Ⅱ
・過疎化・高齢化・兼業化
耕作放棄地の増大
共有財の粗放化(用水・入会地)
従来型制度の瓦解(ex:日曜干ばつ)
・地域資源の「費用負担問題」の発生
環境保全・観光にも機能する資源
内部化されていた費用
重層的な問題・利害
国家:国土保全・生態系
行政:観光・まちづくり・生態系
都市住民:市民参加(なんらかの選択的誘因)
地域住民:まちづくり・観光産業
兼業農家:生活基盤の一部
専業農家:紛れもない生活基盤
○安易な単純化ではある。
実践の広がり
・農作業に非農業従事者がボランタリーに参
加することによって、地域資源の保全を図
る事例が1995年以降みられるようになっ
て来た。
=全国的な棚田保全活動(静岡・千葉・近
畿地方)
=西日本での草地保全活動(島根・大分・
熊本)
研究の目的と意義
・これらの実践を一過性のムーブメントではなく、ど
の地域にも適用できるようなオペレーショナルな
ものして把握する(政策志向)
=持続可能な動員モデルの検討
・過疎地域の生活基盤の急激な崩壊を防ぐという
ヒューマンセキュリティの見地から。
=生活基盤の安定とその他の機能の保全を両立
するにはどうすればいいのか?
・分業を超えた連帯
ひとつのひっかかり
・農業従事者は、自分以外の人々のために、農業
活動を行ってきたわけではない。
⇒ボランティア受け入れの合理性はどこにあるの
か?
・ボランティアを労働力の調達(労働集約)とみなし
たとしても、 農業従事者には他の選択肢(たと
えば資本集約)によって生活基盤の安定を図る
可能性も存在する。
疑問?
・なぜ、大規模化・更なる合理化・規模縮小・作付の
変更ではなく、ボランティアの動員という選択肢
をとるのか?
仮説:
①農家にとって、他の選択肢をとるよりも、よりコス
トが低く生活基盤の安定を図れる選択肢だった。
(他の選択肢は試みられてきたかもしれないが、
臨界点に達している。)
③そして、そのコスト(動員コスト)は行政やNPOに
よって代替されることで低くなっている。
方法
1.歴史(構造史・経営史・政策史)分析
⇒どのような先行する諸政策の結果、現状
が生まれてきたのか。
⇒どのタイミングでボランティアの受け入れ
がなされたのか。
2.制度分析
⇒どのような仕組みでボランティアの動員を
行っているのか。
事例と選定理由
・大分県久住町
・現在阿蘇全域に広がる草地保全ボランティアの
さきがけ(1996年~)
・行政が政治的機会を提供した。
←在京資料の収集はほぼ完了。
・静岡県天竜市大栗安棚田
・大栗安に居住する15戸の家族で「大栗安棚田
倶楽部」(代表:鈴木芳治)を組織して、棚田の維
持管理や休耕田の復旧、イベント準備など様々
な活動を行っている(2002年~)。
←調査活動はまだ行っていない。
計画
・現在~報告会
在京で集められる限りの統計資料(国勢調査・農
業センサス・世界農業センサス・自治体統計)と
文書資料(開発報告書など)を用いて、地域史を
再構成する。
・夏休み
インタビューによる集落内意思決定過程
活動内容の詳細な把握
課題
・事例数を増やすことによる一般性の確保
・大きな近代史とのリンク