08JES

080316 第55回日本生態学会@福岡国際会議場
<P2-086>エゾマツ実生の生残および成長に適した条件
~播種後4年間の生残動態による評価~
○飯島勇人*・渋谷正人(北大院農) *連絡先:[email protected]
目的
結論
・エゾマツ(Picea jezoensis)の更新サイト:倒木に限定
・倒木:明るさや腐朽程度に変異→更新に適した倒木とは?
(過去の研究:ある程度腐朽した倒木という定性的な示唆のみ)
・播種実験:競争効果を排除し、環境条件のみの影響が評価可能
・明るく、コケなしまたはコケ
< 20mm倒木がエゾマツ実生
の生残、成長に適した倒木
様々な環境条件の倒木に播種を行い、エゾマツの更新に
適した倒木の条件を明らかにする
・コケがない倒木もエゾマツ
の更新立地として機能して
いる可能性がある
結果と考察
生残: コケと明るさが影響
成長: 明るさのみ影響
根の割合: 影響なし
コケなし
コケ < 20mm
コケ ≥ 20mm
・明るいほど生残率大
・コケ ≥ 20mmで低い生残率
・明るいほど成長量大
・個体重に対応した分配
・エゾマツ実生の生残、成長には明るい環境(rPPFD ≥ 10%)が必要
・コケ ≤ 20mmの倒木ならコケの有無に関わらず実生は根を伸長させ、生残可能
・コケがない新しい倒木では競争個体が少ない→エゾマツの更新立地として有効?
材料と方法
調査地
大雪山国立公園(N43º 39’, E143º 06’, 標高950m)
調査方法
・林内で26本の倒木を選定し、各倒木にエゾマツ種子
100粒を2003年5月に播種
・発芽、生残動態を2006年10月まで調査
解析
・生残率・成長量・実生の根への配分比に倒木の条件
が与える影響を、一般化線形混合モデル(GLMM)で
解析(各倒木を変量効果)
・AICが最小となるモデルを採択
・各倒木で実生を10個体採取し、葉、幹、根の乾重を測定
・倒木の条件として以下の項目を2006年に測定
- 倒木のコケ群落の高さ(なし、< 20mm、≥ 20mm)
- 倒木の腐植層の量(根を伸長させる部分の量)
- rPPFD(植物が使える光の量。全天に対する相対値)