サブプライムローン

サブプライムローン
04F1817 清水円
H19.9.27
はじめに…

最近、新聞の経済面で“サブプライムロー
ン問題”という言葉が頻繁に使われ、同時
に“株価急落”などのニュースも毎日のよう
に伝えられている。アメリカでの出来事だ
が、日本をはじめ、世界に影響を与えてい
るらしい。その辺りを調べてみたいと考え
た。
目次
1.サブプライムローンとは?
2.サブプライムローン問題とは?
3.影響
a.アメリカ
b.日本
4.対策
a.アメリカ
b.日本
5.終わりに…
6. 参考文献
1.サブプライムローンとは?

サブプライム ローン
・低所得、返済遅延歴や破産歴あり
→信用度の低い一般市民層(⇔プライム層)
・主に住宅ローン
★信用度が低いサブプライム層
→普通の銀行などで住宅ローンを組むこと
は困難。
専門企業に頼るしかない。。
↓
ハイリスク
高い金利
★仕組み★
・初めの数年間は低金利(5~6%)、
徐々に高くなる(最終的には10%超)
・購入した住宅の値上がりによる含み益が生まれる。
・それを担保に低金利ローンを組み、その資金をサブ
プライムローンの返済に。
・サブプライムローンの
資金は住宅ローン会社
が住宅ローン担保証券
(RMBS)により、金融
市場から調達。
・金融機関、機関投資
家などがヘッジファンド
を通し、資金を貸出す。
http://allabout.co.jp/finance/assetmanagement/closeup/
CU20070723K/index.htm
・住宅価格の上昇が著しかった2003年頃か
ら急速に普及(住宅ブームによる)
・市場規模は住宅ローン全体の約14%
(9/11 WBSより)
・延滞率は通常、10%超える
(全住宅ローンの平均延滞率2%前後)
・購入された多くが含み益が生まれる中古
住宅
・プライム層の利用も
2.サブプライムローン問題とは?

今年3月13日、NEW CENTURY FINANCE社が取
引銀行からの融資打ち切りを理由に
ニューヨーク証券取引所、上場廃止に。
サブプライムローン リスクの顕在化

14日、2005年10月~12月の住宅
ローン延滞率13.3%と発表。
★延滞率が上昇している理由…
①金利上昇
→アメリカの政策金利は2004~2006年半ば
まで上昇
ローン金利も上昇
返済が困難!!
②住宅価格の鈍化
住宅価格の上昇
(00~03年 前年比6~7%増、04~06年 前年同期比10%超増)
購入した住宅を担保に低金利ローンへの
切り替え可能
しかし…
住宅価格停滞→ローン切り替えができず
延滞
3.影響
a.アメリカ
・返済停滞⇒RMBS
元本割れ⇒ヘッジファ
ンド危機⇒金融機関
貸し渋り。。
金融市場に不安が
あると…
http://allabout.co.jp/finance/assetmanagement/closeup/
CU20070723K/index.htm

株価下落
さらに
「サブプライム問題に
よる損失は1,000億
ドルになることも…」
(7月19日 バーナンキFRB
議長)
NYダウ⇒14,000ドルから急落
日経平均⇒18,000→17,000円台に
今後の景気への懸念が波及
株安進行!!
日米株価の推移
同時に円高も進行…
円高の原因
円キャリートレードの逆流
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円キャリートレード
低金利の日本で借入れ、為替市場で、
円を売り、ドルを買う。それを運用し、
収益を得る通常のキャリートレードの
逆の動きが起きている。
つまり、
株価急落によるリスクヘッジの
ため、投資資産を買い戻し、ド
ルを売り、円が買われる動きに
なり、円高の要因となっている。
http://allabout.co.jp/career/worldnews/closeup/
CU20070817A/index3.htm

M&A 失速(9/6 毎日新聞より)
・世界の8月M&A取引金額が前月比69%減の
1,828億ドル(THOMSON FINANCIAL社調べ)
特に北米・中南米・欧州の減少が目立った。

雇用統計悪化(9/8)
・アメリカの8月雇用統計は前月比4,000人減。マ
イナスになるのは4年ぶり。(雇用悪化)
⇒消費↓⇒景気の落ち込み

アメリカへの影響のまとめ
ローン返済延滞⇒返済不可能
破産申請が増加⇒住宅業界の景気悪化
⇒社会不安⇒経済全体停滞(不況)
b.日本
営業利益に占める海外比率
40
日本の企業収益の海外
依存度は高く、特にアメ
リカに依存。
アメリカ経済失速は日本
にも大きな打撃。
30
% 20
東京
10
0
2001 2002
2003 2004 2005
年
地域別営業損益
18
16
14
12
10
千億円 8
6
4
2
0
-2
米州
アジア・オセアニ
ア
欧州
2002
2003
2004
2005
年
「これならわかる金融経済」より
実際…
社債発行減少(9/1 毎日新聞より)
・8月の発行額が前年同月比36%減3,290億
円に。信用不安の拡大が原因。
(日興シティグループ調べ)

GDP 3期ぶりマイナス成長(9/11)
・4~6月期のGDPの実質成長率が前期比
0.3%減となり、景気先行きに懸念。

設備投資を下方修正(9/15 毎日新聞より)
・9月月例報告で、設備投資を2年ぶりに
下方修正。

不動産投資信託の価格が低迷(9/19)
・東証REIT指数が6月に入り、急落。最大
の原因は株安による元本割れリスクのあ
る資産が一斉に売却されたこと。つまり、
海外から流入していた投資資金の逆流。


日本への影響のまとめ
サブプライム問題によるアメリカ経済
への懸念
(株安、円高)
アメリカへの輸出減少
輸出企業の収益減少
社債発行の減少
企業の設備投資減少
雇用所得の悪化
個人消費の減少
経済の縮小
(GDPの減少)
輸出依存度
4.政策
a.アメリカ

FRB (連邦準備制度理事会)の資金供給(8/9~13)
⇒640億ドル(約7.5兆円)
FRB公定歩合の引き下げ
・8月17日、FRBが公定歩合の引き下げを行い、ダウ工業
株30種平均は急伸したが、一時的なものであり、政策金
利の引き下げを求める声が強まった。

・資金繰りが困難な金融機関がFRBから借り入れる際の金利。

ローン返済の政府保証の拡大
・8月31日、低金利ローンへの借替えを促
す政策を発表。対象者は16万人から24万
人に増加。今後、金利上昇の時期を迎え
る人は200万人超のため、あまり効果は期
待できなかった。

FRB、政策金利(FF金利)0.5%の利下げ
・9月18日、FRBが連邦公開市場委員会
(FOMC)で、0.5%の大幅利下げに踏み切っ
た。世界的な信用不安が縮小するのではな
いかと日米株価は前面高となった。
・フェデラル・ファンド金利。FRBにより、義務付けられている準備預金
の不足を賄うため、余剰のある銀行から借りる。その資金調達の際の
金利。
b.日本

日本銀行の資金供給(8/9~13)
⇒1.6兆円
日銀 金利据え置く
・8月23日の政策委員会・金融政策決定会合で、無担保
コールレートを0.5%前後で推移するよう促すと発表。

日銀 利上げ見送り
・9月18、19日、利上げを見送った。FRBが利下げをし、
欧州中央銀行(ECB)も利上げを見送っている中、日銀
だけが逆行するのは困難と判断された。
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その他の国について…
・ドイツ→8月26日、州立銀行最大手バーデン・ビュンテン
ベルク(LBBW)は州立銀ザクセンLBを買収すると発表。
ザクセンLBのサブプライム損失からの救済策。政府が
損失を出した銀行を支援。(8/28 毎日新聞より)
・イギリス→イングランド銀行が英住宅金融大手ノーザン・
ロックに無制限&無期限だが、通常の金利より高めでの
緊急融資。(9/15)ノーザン・ロックの預金を政府が全額保
護。(9/19)
5.終わりに…

サブプライムローン問題は一筋縄ではい
かない問題だと思った。株価というのは非
常にデリケートで、市場の懸念をすぐに反
映してしまうものであると改めて感じた。各
国、政策は行っているが、サブプライム
ローン問題の根本的解決には遠い印象を
受けた。
6.参考文献
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『これならわかる金融経済』 山田博文 著
『アメリカの金融制度』 高木仁 著
毎日新聞
『サブプライムローン問題』
http://tag.allabout.co.jp/002907000000000000/index.htm(9/27 現在)
『参議院HP』
http://www.sangiin.go.jp/japanese/frameset/fset_f08_01.htm(9/27 現在)
『日本銀行HP』
http://www.boj.or.jp/theme/seisaku/kettei/index.htm (9/27 現在)