味覚異常

味覚異常
舌の解剖
舌の解剖
味覚異常の単語
Normogeusia
Hypogeusia
Ageusia
Dysgeusia
正常味覚
1系統以上の味覚減退
無味症
味覚不全
甘味/酸味/苦味は残る
Aliageusia
両側無味覚症
Phantogeusia 幻覚により生じた味覚
Allotriogeustia 異味覚
味覚異常はどこが原因?
① 舌の問題
味雷(味覚の細胞部分)の消失
・頭頚部腫瘍
・放射線療法・化学療法後
舌炎・舌萎縮・舌硬化
② 味覚神経の問題
末梢性顔面神経(外傷、感染)
中枢神経系(腫瘍、出血)
③ 味覚受容器の問題
ビタミン・亜鉛欠乏など栄養障害
薬剤性
味覚異常はどこが原因?
④ 口腔内の問題
義歯、舌炎
⑤ 唾液の問題
口腔内乾燥症
(高齢者、シェーグレン症候群)
中枢神経系(腫瘍、出血)
⑥ 全身性疾患
糖尿病や腎不全、肝不全、
鉄欠乏性貧血、甲状腺疾患
味覚異常はどこが原因?
一次性味覚障害
特発性
末梢伝導路障害
味覚嗅覚同時障害
中枢伝導路障害
遺伝性
15.0%
2.6%
2.6%
1.7%
0%
二次性味覚障害
薬剤性
21.7%
亜鉛欠乏性
14.5%
心因性
10.7%
風味障害
7.5%
全身疾患性
7.4%
口腔疾患性
6.4%
内分泌性
1.0%
その他
8.9%
薬剤性味覚障害
Q.どんな機序で味覚障害が来るのか
A.①味覚細胞の障害/細胞分裂の障害
⇒抗がん剤
②神経伝達系の障害
⇒チャネルブロカー
③唾液分泌を低下させる
⇒抗コリン剤、抗うつ剤
④亜鉛とキレートを作り、吸収障害
薬剤性味覚障害
Ca拮抗薬
アムロジピン、ニフェジピン
ACE阻害薬
エナラプリル、カプトプリル
インターフェロン
抗がん剤
メトトレキセート、シスプラチン
ブレオマイシン、カルボプラチン
抗けいれん剤 カルバマゼピン
アロプリノール
銀製剤
亜鉛欠乏
Q.亜鉛は、なぜ味覚に関係するのか?
A.亜鉛(Zn)は、細胞膜の合成
やRNA/DNAを安定化させる
作用があり全身に影響を及ぼしている。
味覚においては、舌・口腔内粘膜の細胞が
10日周期で新陳代謝する時に亜鉛が必要とされ
ている。亜鉛欠乏では、味覚に障害が生じる。
亜鉛欠乏
Q. どんなときに亜鉛欠乏が生じますか?
A.①亜鉛摂取不足
★片寄った食事、食事量の減少
★経管栄養・IVH管理で亜鉛不足
亜鉛欠乏
Q. どんなときに亜鉛欠乏が生じますか?
A. ②亜鉛の消化吸収、代謝不良
★膵・小腸機能の低下
★肝臓で代謝されるため、肝機能低下例
亜鉛欠乏
Q. 何に亜鉛が多く含有されていますか?
A.牡蠣、ココア、緑茶、抹茶、ごま、
肉/魚介類、海草、豆類
やっぱり、日本食!!
1日15mg必要(どのくらいですか?)
一旦下がった血中亜鉛を元に戻すには
食物・薬を飲むにしろ1~3カ月かかります。
全身性疾患
感染:歯肉炎、ヘルペス感染、HIV、副鼻腔炎
髄膜炎、口腔内カンジダ症、インフルエンザ
腫瘍:骨髄移植、頭頚部癌、放射線治療後
神経:ベル麻痺、ギランバレー症候群、
多発性硬化症、パーキンソン病
消化器:クローン病、肝硬変
糖尿病(末梢神経障害)
鉄欠乏性貧血
悪性貧血(VitB12、葉酸欠乏)
シェーグレン症候群
うつ病
高齢者と味覚異常
Q.高齢者には味が解らないのは本当か?
A.①高齢者では亜鉛欠乏が6割くらい絡んでいる?
⇒食事の片寄り、食事量低下
⇒多剤の薬剤服用に伴なう亜鉛の吸収障害
⇒消化吸収代謝する機能低下
高齢者と味覚異常
Q.高齢者には味が解らないのは本当か?
A.②高齢者は舌や口の感覚細胞が加齢により減少
③唾液の分泌量の低下
⇒パサパサとした乾燥感
⇒食物の消化の低下⇒味が出なくなる
④薬物そのものによる感覚障害
さいごに
心配そうな初老の女性が新患外来で...........
“口の中が最近にがい”
“嫁が作っている食事がまずい”
“食欲低下していて心配”
不定愁訴と思わないで、
味覚はどうか、意識しよう!