pre

■九谷焼って何だろう?(1)
かつて「ジャパン・クタニ」と呼ばれ、国際的
(こくさいてき)にも有名な九谷焼は、石川県
で作られる焼き物です。その最大の特色は
「上絵(うわえ)付けを離れて九谷焼はない」
とまでいわれる色絵装飾(いろえそうしょく)
の美しさにあります。
上絵付けとは本焼きした陶磁器(とうじき)
の釉薬(ゆうやく)の上に紋様(もんよう)をか
き、もう一度焼くやり方のことです。そのとき、
用いられる絵具は、赤・黄・緑・紫・紺青(こん
じょう)の5色で、これを「九谷の五彩(ごさ
い)」と呼んでいます。色絵(いろえ)・五彩手
(ごさいて)と青手(あおて)の二つのスタイル
があります。
■九谷焼って何だろう?(2)
九谷焼の上絵付け(うわえつけ)が発展
(はってん)した理由(りゆう)には、九谷に
もともと絵付けの技術をもった陶画工(とう
がこう)がおらず、本職(ほんしょく)の絵師
に絵付けをさせたため、といわれています。
また、九谷焼には加賀百万石文化の美
意識があります。九谷焼が生まれた江戸
時代、加賀藩は禄高(ろくだか)120万石
を誇る大きな藩(はん)で、その豊かな財力
(ざいりょく)によっていまも、鮮やかな色彩
(しきさい)と豪放優美(ごうほうゆうび)な
絵模様(えもよう)を特徴(とくちょう)とする
九谷焼に息づいているのです。