安東研中間報告会 2016年4月25日 iKAGRA反省会 道村唯太 東京大学 大学院理学系研究科 物理学専攻 大型低温重力波望遠鏡KAGRA • • • • • • 岐阜県 神岡鉱山地下に建設中 レーザー干渉計型重力波検出器 2010年10月 プロジェクト開始 2014年3月 トンネル掘削工事完了 2015年11月 第一期実験施設完成記念式典 2016年3月 試験運転開始 3 kmの常温Michelson干渉計(iKAGRA) • 2018年3月 低温運転開始予定 3 kmの低温Michelson干渉計(bKAGRA2018) • 地下建設で地面振動、低温で熱雑音を下げる →第2.5世代干渉計 2 KAGRAの干渉計構成 • 3 km低温RSE干渉計 • 180W高出力レーザー • 高性能防振装置 PSL 180W ITMX/Y, ETMX/Y Type-A + Cryopayload IP and 7-stage pend. PRM/2/3 Type-Bp triple pend. MCe MCi ETMY ITMY PRM MCo PR2 IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ITMX PR3 ETMX BS SR2 SR3 SRM BS, SRM/2/3 Type-B IP and quadruple pend. OFI OMC 3 iKAGRAの干渉計構成 • 3 km常温Michelson干渉計 • 2Wレーザー • 簡易な防振装置 PSL 2W ETMX/Y TAMA PRM double pend. PR2 fixed mirror PR3 Type-Bp’ double pend. MCe MCi ETMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 BS BS CLIO BS double pend. • 2016年3月25日からの試験運転の構成 • 3月25-31日、4月11-25日の2回の試験運転 4 3月の試験運転の概要 • ~ 3e-15 /rtHz @ 100 Hz • DC信号を使ってミッドフリンジロック • アクチュエータレンジ不足により30分くらいでロ ックが落ちる(潮汐) plot by K. Hayama et al. (klog #1418) • IMCもアラインメント がずれていって measured with 3-km Michelson 落ちる • 80 Hzと135 Hzの2本 の較正ラインのみ prediction calculated by A. Araya JGW-E1605098 used GOTIC2 (tidal effect from the Moon and the Sun) 5 4月の試験運転の概要 • ~ 6e-16 /rtHz @ 100 Hz • RF信号を使ってダークフリンジロック → 強度雑音低減により感度向上 • アクチュエータレンジを16倍に → 潮汐が問題にならなくなる • IMCにdither alignmentを導入 Michelson → IMCの安定度向上 Actuator • UGF制御の導入 ~ → アラインメントずれ によるUGF低下を補正 OLG • ETMX,Y,BSに独立な較正ラインを導入 → アクチュエータドリフトの見積もり ÷ Filter 6 試験運転後なにをするか • 干渉計設定の保存(デジタル、アナログ両面) • サスペンションの性能評価・確認 • 光てこの性能評価 - 鏡を固定しての雑音評価 - 風防で雑音は下がるか • iKAGRAデータの整理 - 重力波信号較正 - アクチュエータドリフト、Michelsonドリフト の分離 • detector characterization ロックロスの原因調査(地震、サチりetc) • 4月26日から、参加可能は人はお願いします 7 iKAGRAの奇跡 • iKAGRA試験運転が3月に間に合ったのは奇跡 2/25 全鏡のインストール完了 10月のPR3テスト開始から5ヶ月 3/2 DAQシステムのトラブル解決 これがないとデータが取れない 3/10 RFMネットワークの完成 これがないとETMに返せない 3/17 初の干渉縞 すばらしい初期アラインメント 3/18 初ロック 3 km RFMはほぼぶっつけ本番 • bKAGRAでは同じ奇跡を期待してはいけない →iKAGRAの軌跡から学ぶ 8 2010年10月時点でのiLCGT案 • 3 km常温FPMI干渉計 • プロジェクトが始まった ETMY ITMX/Y, ETMX/Y Type-A + Cryopayload IP and 7-stage pend. PR2/3 Type-B MCe IP and quadrupole pend. MCi PSL ?W ITMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ITMX PR3 ETMX BS • プロジェクトスタート SR3 • 2011年4月トンネル掘削開始予定 • 2014年9月試験運転開始予定 SR2 BS, SR2/3 Type-B IP and quadruple pend. 9 JGW-G1000204 2011年8月時点でのiLCGT案 • 3 km常温FPMI干渉計 • 腕共振器を短くして低温テスト と同時並行 ETMY ITMX/Y, ETMX/Y Type-C’ stack and triple pend. PR2/3 Type-C’ MCe stack and triple pend. MCi PSL 3W ITMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ITMX PR3 • 2011年3月の東日本大震災 • トンネル掘削開始もまだ • 2014年9月試験運転開始予定 ETMX BS SR2 SR3 BS, SR2/3 Type-C’ stack and triple pend. 10 JGW-G1100513 2011年12月時点でのiLCGT案 • 3 km常温FPMI干渉計 • 試験運転開始を遅らせる ETMY ITMX/Y, ETMX/Y Type-C’ stack and triple pend. PR2/3 Type-C’ MCe stack and triple pend. MCi PSL ?W ITMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ITMX PR3 ETMX BS • 全体のスケジュールは圧迫 SR3 しない、技術成熟度がまだ • 2015年11月試験運転開始予定 SR2 BS, SR2/3 Type-C’ stack and triple pend. 11 JGW-M1100760 2012年2月時点でのiKAGRA案 • 3 km常温FPMI干渉計 • さりげなくSR系がなくなる • 試験運転開始も1ヶ月延期 ETMY ITMX/Y, ETMX/Y Type-C’ stack and triple pend. PR2/3 Stack-B MCe stack and triple pend. MCi PSL 40W ITMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ITMX PR3 • 2012年1月に愛称決定 • 2015年12月試験運転開始予定 ETMX BS BS Stack-B stack and triple pend. 12 JGW-G1200886 2012年3月時点でのiKAGRA案 • 3 km常温FPMI干渉計 • Type-B固定シリーズが登場 ETMY ITMX/Y, ETMX/Y Type-B payload triple pend. PR2/3 Type-B fixed MCe triple pend. MCi PSL 40W ITMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ITMX PR3 ETMX BS BS Type-B fixed triple pend. • bKAGRAには使わないstackの開発をやめる • 2015年12月試験運転開始予定 13 JGW-M1200915 2013年3月時点でのiKAGRA案 • 3 km常温FPMI干渉計 • Type-Bpという名前が初登場 ETMY ITMX/Y, ETMX/Y Type-Bp triple pend. PR2/3 Type-Bp MCe triple pend. MCi PSL ?W ITMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ITMX PR3 ETMX BS BS Type-B fixed triple pend. • 2012年5月トンネル掘削開始(2014年3月完了) • 2015年12月試験運転開始予定 14 JGW-G1301575 2014年12月時点でのiKAGRA案 • 3 km常温Michelson干渉計 • ETMはType-Bp’ • 真空系、クリーンブースの 完了はまだまだ PR2/3 MCe MCi PSL 2W ETMY ETMX/Y Type-Bp’ double pend. Type-Bp triple pend. PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 BS BS Type-B fixed triple pend. • 2014年10月にPSL光学定盤搬入 • 2015年1月IMCロック予定 (JGW-D1402519) • 2015年12月試験運転開始予定 15 JGW-G1503273 2015年5月時点でのiKAGRA案 • 3 km常温Michelson干渉計 • 真空系、クリーンブースの 設置がほぼ完了 PR2/3 • 湧水対策工事 MCe MCi PSL 2W ETMY ETMX/Y Type-Bp’ double pend. Type-Bp triple pend. PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 BS BS Type-B fixed triple pend. • 2015年6月にPSL完了予定 • 2015年7月IMCロック、7月にPR3完了予定 • 2015年12月試験運転開始予定 16 JGW-P1503576 2015年7月時点でのiKAGRA案 • 3 km常温Michelson干渉計 • ASを使わないことに • IMC WFSもだんだんなくなる ETMY ETMX/Y Type-Bp’ double pend. PR2/3 Type-Bp MCe triple pend. MCi PSL 2W PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 BS BS Type-B fixed triple pend. • IMC鏡の導入もまだ • 2015年8月IMCロック、8月にPR3完了予定 • 2015年12月試験運転開始予定 17 JGW-G1503794 2015年10月時点でのiKAGRA案 • 3 km常温Michelson干渉計 • 試験運転開始を3月に延期 • 実際にIMC鏡導入は12月 ETMY ETMX/Y Type-Bp’ double pend. PR2/3 Type-Bp MCe triple pend. MCi PSL 2W PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 BS BS Type-B fixed triple pend. • 2015年10月PR3テスト開始 • 2015年11月IMCロック、12月にPR3完了予定 • 2016年3月試験運転開始予定 18 JGW-G1504335 2016年1月時点でのiKAGRA案 • 3 km常温Michelson干渉計 • PR2の耳に欠陥、 防振系全体の大幅簡略化 PSL 2W ETMX/Y TAMA PRM double pend. PR2 fixed mirror PR3 Type-Bp’ double pend. MCe MCi ETMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 • 2016年1月IMCロック達成 • 2016年2月PR3完了予定 • 2016年3月試験運転開始予定 BS BS CLIO BS double pend. 19 JGW-G1604828 2016年2月~3月のiKAGRA • 3 km常温Michelson干渉計 • 2月8日BS導入完了 • 2月19日ETMX/Y導入完了 PSL 2W ETMX/Y TAMA PRM double pend. PR2 fixed mirror PR3 Type-Bp’ double pend. MCe MCi ETMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 BS BS CLIO BS double pend. • 2月25日PR3導入完了 • 3月8日ETMXに光到達 • 3月15日試験運転開始を25日からに延期決定 20 2016年3月のiKAGRA • 3 km常温Michelson干渉計 • 3月18日MICH初ロック PSL 2W ETMX/Y TAMA PRM double pend. PR2 fixed mirror PR3 Type-Bp’ double pend. MCe MCi ETMY PR2 MCo IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 BS BS CLIO BS double pend. • 3月25日試験運転開始 • IFIからBSあたりの真空引きは諦めた 21 iKAGRAはなぜ遅れたのか • 東日本大震災、湧水など予想できなかった災害 • 慢性的な人手不足、予算不足 • 無茶なスケジューリング - 準備状況、成熟度の評価が甘かった - 間に合うと言っているから、ではだめ - 当事者意識を持っていなかった - 再三指摘、でも対応が遅れた • 数多くのスケジュール・構成変更 - 結果として無駄な仕事があった - 理由が不明確 - スケジュールを信じる人がいなくなっていく - 「どうせ間に合わない」 22 bKAGRAでは • スケジュールや構成の変更はしない そのために現実的なスケジュールを立てる 多くの人を納得させる • スケジュールを立てるだけではなく、守る 日々進展を評価して、微調整する バッファをうまく使う • それでも間に合わなかったら、遅れた理由を全体 に報告して、修正を行う • iKAGRAのときもわかっていたはず • 大型計画ではあたりまえのことをするのが難しい • どうする? 23 とりあえず問題 • 「とりあえず」作ったものが後々問題になり、ト ラブルシュートに時間がかかる • 光学部品のゆるみ、ケーブルをねじ止めしない、 本来のボルトじゃないものを使うなど EXAテーブルが真空引き中に浮いた。これによりボルトの再調査が入ることになり、調査中に光軸を失った ケーブルが外れていたことがわからず、 RF PDを持ち帰ってテストしたりした 24 安全上の問題 • 2015年10月22日 VIS作業中に指をはさみ怪我 • 2016年1月5日 クリーンブースボルト 締め忘れ発覚 • 2016年3月11日 EXAが浮く • 2016年3月14日 EXAビューポート破裂 • 現場調査が十分されないまま進んだ • 報告も遅れた(またはされ なかった) 僕が知らないのもいっぱ いありそう • 急ぎすぎて取り返しがつか ないことにならないよう 25 その他もろもろの問題 • リモートアクセスの制限問題 リモートがうまく貢献できるような環境が必要 • 神岡サイトとオフサイトの対立問題 神岡で「勝手に」方針が決まる • 英語日本語問題 klog、コミッショニングメーリス • 担当者、責任者、リーダーが誰なのか問題 基本的にいない • 設計図がない問題 基本的にない • 設計図があっても設計図通りに作らない問題 いろいろありますね 26 設定間違いなど • iKAGRAは急ぎすぎて、いろいろ間違えたまま試 験運転開始してしまった ETMコイル行列の間違い(3月) 各鏡に独立な較正ピーク入れてなかった(4月) IMC用光てこの較正間違い(3,4月、要確認) 地震計信号の較正間違い(4月) guardian設定間違い(4月) RF信号のIとQ間違い(4月) • 何がiKAGRAなのかの定義がなかった • 事前の「設計図」、複数人での 十分なチェックが必要 27 まとめ • やっぱり干渉計はものすごく楽しかった 多くの人に干渉計作業・シフトに加わって もらい、人材育成や士気の向上につながった • 経験も積んだし、技術も向上した • 一方で多くの課題が残されていることも忘れては ならない • 「サルでもできる」スケジュールが必要 (KAGRAにはスーパーマンがたくさんいるけど) スーパーマンや奇跡に頼ってはいけない 自分たちはサルだということを自覚する • bKAGRAはもう始まっている 28 bKAGRA2018の干渉計構成(案) • 3 km低温Michelson干渉計 • 中出力レーザー?(40 W?) • power recyclingは入れるかも (入れた方が士気が上がる と思う) PSL ?W ETMX/Y Cryopayload fixed double pend. (Type-A test in parallel) PRM/2/3 Type-Bp modified triple pend. MCe MCi ETMY PRM MCo PR2 IFI MCi/o/e Type-C stack and double pend. ETMX PR3 BS SR2 • SRMも余裕があれば SR3 • 主な争点 低温ペイロードが間に合うか 常温懸架系が間に合うか、レーザーをどうするか BS, SR2/3 Type-B IP and quadruple pend. 29 bKAGRAに向けて • 低温ペイロードに力を入れるのは必須 デザインレビュー 他のグループがその影に隠れてさぼっていてはもちろんだめ • PSLの開発も大変(デザインはほぼできてる) 2017年1月まで柏で2Wでの統合テスト 2017年3-8月に神岡にインストール • 干渉計関連では 回路と配線図の作成 干渉計モデリング デジタル系の開発(simulated plantの開発) ALS(green locking)の設計 出射光学系の設計 30
© Copyright 2024 ExpyDoc