PowerPoint プレゼンテーション - スライド 1

宇宙線
研究室
宇宙線とは
「宇宙空間に存在する
高エネルギ-の
光子、電子、陽子
などの放射線」である
http://www-cr.scphys.kyoto-u.ac.jp
X線グループ
真の宇宙の姿は、普段私たちが目で見るような静かで
穏やかなものだけではない。X線で見る宇宙は、原始星や
超新星残骸、ブラックホールなどで溢れ、可視光だけで見
る宇宙からは想像もつかない激動の世界である。X線は可
視光の数千倍のエネルギーを持つ光であるため、物質の
透過力が高く、星間物質に奥深く埋もれて今まで見えな
かった領域の観測に威力を発揮する。同時に、高エネル
ギーのX線の観測で、宇宙に数多く存在する高エネルギー
物理現象を解明する。
X線という強力な「目」で宇宙を探るX線天文学。我々宇
宙線研究室は今まで世界に誇る成果を数多く挙げ、これ
からも最前線で宇宙の真実を求め続ける。
X線天文衛星「すざく」
SNR RCW 86
超新星残骸:SN1006
をX線で撮像したもの by「すざく」
左:高温プラズマのイメージ
右:高エネルギー電子の加速現場
地球の大気圏は宇宙から降り注ぐ高エネルギーの放射線か
ら私たちを守っている。そのためX線の観測は大気圏外で行わ
なければならない。
2005年、我々は日本で5番目のX線天文衛星「すざく」を打ち
上げた。「すざく」は、我々の研究室が開発したX線CCDカメラ
(XIS)を搭載している。2008年8月現在、「すざく」は地表から
550kmの高空で宇宙からのX線を観測し続けている。最新の観
測データに基づき、我々はブラックホール(BH)、超新星残骸
(SNR)などの高エネルギー天体の研究を行っている。
私たちの銀河の中心
我々が開発した
「すざく」搭載CCD
SUZAKU
(c) ISAS/JAXA
「すざく」を用いて我々は、銀河中心付
近を1800光年に渡ってX線撮像・分光し
た。銀河中心には太陽の300万倍もの質
量を持つBHが存在し、強い重力場を生
み出している。このため中心部からは光
すら脱出できず、直接観測が困難である。
しかし周囲では、重力場による高エネル
ギー現象が活発に起きている。この時に
放射されるX線がBH解明の鍵となる。
我々は最近、銀河中心から300光年離
れた分子雲のX線強度変化を発見した。
これは、銀河中心のBHからのX線を反射
し、その活動性を映している。
銀河中心の中性鉄原子からの特性X線強度マップ
by 「すざく」
250光年
銀河中心
250光年
X線強度時間変化
1994
2000
2004
2005
銀河中心の超巨大BHの解明は
天文学の大きな課題
銀河中心BHの他にTeVg線放射天体、超新星残骸、
X線連星系など興味深い天体の研究を行っている
2008年:次世代天文衛星Astro H(NeXT計画)が本格始動
「宇宙線の起源」や「巨大BHの誕生と成長」といった天文学におけ
る最重要課題を視野に入れた我々のAstro-H 衛星(旧名NeXT計画)
は、世界中の注目を集めている。
Astro-H 衛星により、約100万度から10億度の広範囲のエネル
ギー領域が一挙に観測可能になる。 我々の研究室は、Astro-H 衛
星に搭載される新型CCDカメラを開発する。さらに、Astro-H衛星は
マイクロカロリメーターというX線検出装置を世界で初めて使用し、
史上最高レベルのX線エネルギー分析を可能にする。
開発中のCCD素子
2013年の夏に衛星を打ち上げる予定、新たなステップへ
Astro-H
(c) ISAS/JAXA
X線とγ線で宇宙の真実を誰よりも先に見よう
γ線グループ
教授:
γ線を観測するとパルサー・ブラックホール・活動銀河核などの高エネル
ギー現象を捉えることができる。γ線グループは大きく分けて、TeV領域
に焦点を当てたCANGAROOグループと、主としてMeV領域に焦点を当て
たμ-PICグループが活動している。
超新星残骸RX J0852.0-4622
CANGAROOグループ
Collaboration of Australia and Nippon
for a GAmma Ray Observatory in the Outback
京大他、東大やアデレード大学など日豪の16機関が共同で、オース
トラリアの砂漠地帯に望遠鏡4台を建設しTeVγ線を観測している。
小山 勝二
谷森 達
准教授: 鶴 剛
助教:
窪 秀利
松本 浩典
身内 賢太朗
2005年にCANGAROOグループ
は世界で初めて超新星残骸から
TeVγ線を発見し、これは超新星
残骸で宇宙線の加速が行われて
いる有力な証拠である。2006年
にはステレオ観測により左のよう
なγ線の到来方向分布を得て、
加速がシェル状の衝撃波面で起
こっていることを確認した。
他にも我々の銀河中心や活動銀河核などの巨大ブラックホール
やパルサー風星雲からのTeVγ線放射を検出し、宇宙の新しい
超高エネルギー現象を明らかにしている。
CANGAROOグループでは宇宙からのTeV領域のγ線を、大気と相互作用して発生するチェレンコフ光を介して、いわば地球大気を検出
器として利用し観測している。TeVγ線天文学ではTeVという地上では作り出すことが難しい超高エネルギーの物理現象を観測すること
で、物理学の最大の難問のひとつである宇宙線起源とその加速機構の解明などを目指している。当研究室では望遠鏡の回路系を担当
しており、現在は主に観測データの解析を行っている。またX線、電波などの観測データと合わせて天体高エネルギー現象の総合的な研
究も行っている。さらに次世代の国際共同計画に向け、新たなハードウェア開発を行っている。
μ-PICグループ
ダークマター探索ーNEWAGE
MeVγ線カメラ開発ーSMILE
MeV領域での天体観測は、バックグラウンドの影響などからとても難し
く、他のエネルギー領域に比べてあまり開拓されていない分野となって
いる。私達が開発中の新型MeVγ線カメラは、高いバックグラウンド除
去能力と広い視野を持っている。また光子1つごとにその到来方向とエ
ネルギーを決定することができ、今後のMeV領域での天体観測の開拓
者となっていくべき存在である。2006年9月にはISAS/JAXAの協力のも
と気球実験を行い、宇宙背景γ線検出に成功した。現在は2011年に予
定されている、かに星雲やCyg X-1の観測を目的とした次期気球実験
に向けて、γ線の検出感度を上げるなど更なる性能向上を進めている。
そして最終的には、人工衛星などでの全天探査による未知のγ線天体
の発見を目標にしている。
神岡鉱山の地下で、 μ-TPCを用いた方向性に感度を持つ暗黒
物質探索実験を行っている。研究室公開では、実験室において調
整中の大型次世代装置を展示、デモンストレーションしている。
朝日新聞2007.1/12(関東)
1/19(関西)
暗黒物質の風による
原子核の反跳のイメージ
MeVγ線カメラで137Csか
らのγ線を検出し、イメー
ジングした。線源は左図の
+印に置き、検出器面から
52cm離れた所にある。
左図のスケールはcm。
気球実験(2006.9/1@三陸)
MeVγ線カメラのイメージ
※μ-TPC・・・当研究室が開発したμ-PICというガス
検出器を用いた三次元飛跡検出器
μ-PICグループではμ-TPCを利用し、新型MeVγ線カメラやダークマター検出器等を開発している。この他にも、ガス
PMTの開発や、μ-PICを医療やX線物質構造解析に利用する等、幅広い研究をしている。