S3 - 京都大学大学院 理学研究科 物理学・宇宙物理学専攻

S3: 恒星とブラックホール
(上田、野上、加藤)
本課題研究では以下のいずれかを柱として研究を進める。
1.最新のX線天文衛星のデータを用いてブラックホールなど
コンパクト天体における降着流の研究を行い,X線天文学
の基礎を学ぶ。
2.可視分光観測により,広い意味での恒星の活動現象を調
べ,スペクトル解析法を習得する。
前期:基礎的教科書の輪講(TA, 教員も含め全員で行う)
昨年の例: Longair “High Energy Astrophysics”
後期:観測とデータ解析 (1と2でグループごとに行う)
1. X線観測
担当:上田佳宏

X線観測は「熱くて激しい宇宙」の理解に不可欠:
ブラックホールなど強重力場での高エネルギー現
象を探る

対象は、銀河系内の恒星質量ブラックホールから、
遠方宇宙の巨大ブラックホール(活動銀河核)まで

ASTRO-H、「チャンドラ」、「ニュートン」など最新X
線天文衛星のデータ解析を通して、高エネルギー
天体物理学の先端に触れ、その基礎を習得
今ブラックホールが面白い!
ASTRO-H 2016年打ち上げ
11月27日、筑波宇宙センターで、X線天文衛星ASTRO-Hの
報道関係者向け機体公開が行われました。
「ASTRO-H」はブラックホール、超新星残骸、銀河団など、X
線(エックス線)やガンマ線で観測される高温・高エネルギー
の天体の研究を通じて、宇宙の構造とその進化の解明を行
う天文衛星です。
宇宙から地球へ飛んでくるX線やガンマ線は、地球の大気に
吸収されてしまうために、地上で観測することができません。
そのため、宇宙で観測することが必要となります。
2015/12/2 ⒸJAXA
「ASTRO-H」は、X線天文衛星「すざく」の後継として開発さ
れ、JAXA、NASAをはじめ、国内外の大学・研究機関の200
人を超える研究者が開発に参加する、X線天文学の旗艦ミッ
ションです。大規模な国際協力で開発された4種類の新型観
測システムが搭載され、「すざく」にくらべて10倍から100倍も
暗い天体の分光観測が可能になります。
ブラックホールに落ち込む物質と
噴出するジェット
電波、赤外線(噴出するジェット?)
X線(ブラックホールに吸い寄せられる物質)
光速で広がるジェット
宇宙の果てにある巨大ブラックホールの群れ
1 deg
XMM-Newton 3 EPIC Cameras
2.可視光観測
担当:野上大作、加藤太一
ブラックホー
ルとか中性子
星とか白色矮
星とか
ふつーの星
矮新星こと座GWの全体の光度曲線
約4000倍!
約25日
爆発の極大前のスペクトル
H ,  : 吸収線
FWHM ~3000km/s
爆発のまさに極大時のスペクトル
H : 吸収成分 + 輝線コア
(FWZI<20Å)
そのほかに高励起線: He II, CIII/NIII, CIV?
※ちなみに静穏期のスペクトルでは
Hα
Hβ
Balmer輝線
(disk 起源)
+
幅広い吸収線
(白色矮星起源)
Szkody et al. (2000, AJ, 119, 365)
スペクトルの変化から爆発中の降着円盤の進化は?
静穏期
増光している時
薄いが光学的には
厚い円盤
Fading tail
爆発の極大
減光期
薄い降着円盤 + 光電離は収まる
厚みのある円盤 + 光電離
輝線
• ブラックホールや白色矮星など
のコンパクト星を含む、恒星の
様々な活動現象を、可視光・近
赤外線での分光観測(京都産業
大学、西はりま天文台など)、測
光観測(宇宙物理学教室屋上)に
より研究します。
担当教員の連絡先
• 上田佳宏 [email protected]
• 野上大作 [email protected]
興味のある方は、遠慮無く上記担当教員に連
絡し、話を聞きに来て下さい。