中性鉄輝線強度 - 宇宙線研究室

2007年度X線グループ活動報告

教授
准教授
助教
PD
博士

修士




:小山勝二
:鶴剛
:松本浩典
:森英之
:乾達也、 山口弘悦、 兵藤義明、
内山秀樹、 小澤碧
:瀧川庸二朗、 信川正順、澤田真理
2007年度の主な研究活動

X線天文衛星「すざく」のデータ解析
天の川
乾 森
銀河中心 瀧川 澤田
信川
小山
兵藤
内山 鶴
超新星残骸
山口
小澤
松本
TeVγ線天体
すざく搭載X線CCDカメラの機上較正(小澤・内山)
 次世代X線天文衛星NeXT計画(鶴・松本)

1.
2.
3.
4.
5.
6.
7.
8.
9.
PASJ すざく特集号 No.2
PASJ(日本天文学会欧文研究報告誌)
「すざく」特集号No.2(全35編)に9編寄稿
(共著としての寄与も多数)
Nakajima et al. “Performance of the Charge-Injection
Capability of Suzaku XIS”
Hyodo et al. “Suzaku Spectroscopy of Extended X-Ray
Emission in M17”
Yamaguchi et al. “Suzaku Observation of the RCW86
Northeastern Shell”
Yamaguchi et al. “X-Ray Spectroscopy of SN 1006 with
Suzaku “
Matsumoto et al. “Discovery of Extended X-Ray Emission
from an Unidentified TeV Source, HESS J1614−518, Using
the Suzaku Satellite”
Hyodo et al. “Suzaku X-Ray Spectroscopy of a Peculiar
Hot Star in the Galactic Center Region”
Mori et al. “Suzaku Observation of G359.79−0.26, a New
Supernova Remnant Candidate in the Galactic Center”
Nobukawa et al. “Suzaku Spectroscopy of an X-Ray
Reflection Nebula and a New Supernova Remnant
Candidate in the SgrB1 Region”
Koyama et al. ” A Time-Variable X-Ray Echo: Indications
of a Past Flare of the Galactic-Center Black Hole”
今年も出ました
X線天文衛星「すざく」のデータ解析

天の川銀河中心
– X線反射星雲と巨大BHの過去の活動性(鶴・乾・瀧川)
– 銀河中心超高温プラズマの起源(鶴・信川)
– 銀河中心超新星残骸の発見(森・澤田)
– WR星 星風による超高温プラズマの発見(兵藤)
– ブラックホール候補天体の6.4keV Jetの発見(信川)

超新星残骸
– RCW86における低階電離鉄の発見(山口)
– IC443における電子の過冷却の発見(小澤)

TeVガンマ線天体
– HESS J1825-137の観測(松本・内山)
X線反射星雲と巨大BHの過去の活動性
天の川銀河中心:地球から約2.8万光年
 約100万太陽質量の超巨大ブラックホール (Sgr A*)

高階電離鉄輝線6.7keVマップ
中性鉄輝線6.4keVマップ
(数千万K超高温プラズマ)
(数十K中性分子ガス)
Chandra X線イメージ (color)
コントアは6cm連続電波
Sgr A*
低温の物質がなぜX線
で光っているのか?
〜2光年
Baganoff et al. 2003
他の超巨大BHに比べてX線で
「すざく」によるX線イメージ
非常に暗いのは何故か?
LAGN〜1041-44 erg/s
33 erg/s
L
~10
SgrA*
〜1800光年
X線反射星雲モデル Sgr A*?
300年前に現在の100万倍
トムソン散
明るければSgr B2説明可
乱
連続X線
外部照射源
低温分子雲
X線
Fe
中性鉄蛍光X線
X線反射星雲は超巨大ブ
SgrChandra
B2 すざくX線(Gray)
X線スペクトル  大きな吸収、強い中性輝線強度
ラックホールの過去の活動
電波CO輝線(コントア)
 分子雲との位置の相関
性を探る良いプローブ?
~300光年
強い鉄K吸収端
~20光年
Sgr B2
Sgr A*
すざく中性鉄輝線マップ
Sgr B2の中性
鉄輝線強度の
時間変化
Sgr B2 すざく中性鉄輝線マップ
~300光年
Sgr A*
中性鉄輝線バンドイメージ
1994 ASCA
2000 XMM-Newton
2004 Chandra
2005 Suzaku
NASAのPress Releaseに選ばれました
~40光年
10年間でのSgr B2の中性鉄輝線強度変化を発見
•過去のSgr A*の光度の時間変動を反映?
本当に照射源はSgr A*なのか?
Sgr B2
Sgr A*
Sgr C
M0.11-0.11
~300光年
M0.11 中性鉄輝線強度
2002
Chandra
「すざく」中性鉄輝線マップcolor)
電波CS輝線(コントア)
2005
Suzaku
Sgr A*が照射源であった可能性を示唆
〜60光年
Year
Sgr B2以外でも中性鉄輝
線強度の時間変動を発見
銀河中心の西側でも分子雲
に相関した反射星雲発見
TeVガンマ線天体:HESS J 1825-137

全天のTeVγ線天体 75個 うち20個は銀河系外
銀河面
http://www.mppmu.mpg.de/~rwagner/sources/
銀河系内55個のうち一番数の多い天体は・・・
未同定(正体不明)の天体 (25個)
TeVγ線でのみ明るく、X線や電波では暗い

「すざく」 TeVガンマ線未同定天体を追観測
大有効面積X線望遠鏡 + 低宇宙線バックグランド
HESSJ1614-518
HESSJ1616-508
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ÅB
HESSJ1804-216
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ÅB
X線放射を初検出or非常に厳しい上限値を決定
いずれにしてもX線で非常に暗い→TeVγ線が電子
の逆コンプトン散乱でなく陽子起源の可能性を示す

銀河系内55個のTeVγ線天体のうち、2番
目に数の多い天体は?
パルサー風星雲 (PWN)14個
かに星雲 PWN
Chandra
~3光年
超新星残骸 (8個)を抜いて
堂々の2位
意外と穴馬?
HESS J1825-137
H.E.S.S TeV γ excess map
PSR J1826-1334
0.5°
~110光年
@1.2万光年
Photon Index Γ
HESS J 1825-137
•Spin-down luminosity
~ 2.8×1036 erg s-1
•Characteristic age
21.4 kyr (Clifton 1992)
•距離 ~1.2万光年
(光子フラックス)
∝E-Γ
Aharonian et al. 2006
Distance from Pulsar (°)
TeVγ線:パルサーからの高エネルギー電子の
逆コンプトン散乱起源?
X線での過去の観測
PSR J1826-1334 (B1823-13)
XMM-Newton
0.5-10keV
Pulsar
PWN
1arcmin~4光年@1.2万光年
Gaensler et al. 2003
Photon index ~ 2.3
星間吸収~1.4×1022/cm2
LX~3×1033 erg s-1
H.E.S.S TeV γ excess map
より広がったX線構造があるの
ではないか?低宇宙線バックグ
ラウンドの「すざく」で観測
「すざく」による観測
「すざく」XIS観測視野
XIS 3F 1-9 keV
Background
Source
2006/9 50ksec
XMMより更に広が
り、TeVγ線放射中
心に達する領域か
らX線を初めて検出
6arcmin
~20光年
@1.2万光年
Radial Profile
Source
Background
1.2×
(CXB+GRXE)
CXB+GRXE
銀河リッジ放射
Unresolved
(GRXE)
Point sources
背景X線放射
(CXB)
バックグラウンドの20%の揺らぎを考慮しても14arcmin
(〜50光年@1.2万光年)に広がるX線放射が存在する
スペクトル
Region A
A
B
Region B
C
D
Γ=1.78(1.68-1.88)
Γ=1.99(1.91-2.08)
Region C
Region D
Γ=2.03 (1.95-2.14)
Γ=2.03 (1.95-2.14)
領域B-DではPhoton Indexはエラーの範囲内で変化せずにΓ〜2
→シンクロトロン冷却時間内に50光年先までに到達

エネルギーEの電子が放射する光子の典型的
エネルギー
hνsynch 〜2keV(E/100TeV)2(B/10μG)
hνIC 〜0.7TeV(E/25TeV)2(hν0/[3K・kB])
実はX線の方が高エネルギー電子を見ている
エネルギーEの電子のSynchrotron冷却時間
tcool,synch〜1400yr (E/100TeV)-1(B/10μG)-2
 50光年/1400yr 〜 10000km/s

10000km/sで高エネルギー電子を伝播する
機構が必要?
SNRのshockでも数千km/s・・・
すざく搭載X線CCDカメラ(XIS)
ファーストライトから2年7ヶ月 (2008/03現在)
– 現在も順調に観測続行中。
– 機上較正も一通り終了。今後は定常的更新作業が必要。
Energy (keV)
55Fe機上較正線源
5.91
輝線中心値
ゲイン安定性:<0.2%@6keV
5.9
5.89
2006/9
2007/2
Day after launch
2008/1
超新星残骸E0102 モデルフィッティング
残差 Counts/s/keV
XIS
残差 Counts/s/keV

旧応答関数
現応答関数
Energy (keV)
高い応答関数の再現性を実現
次世代X線天文衛星NeXT計画
巨大ブラックホールの誕生とその成長を探査
 非熱的宇宙の探査

–
–
–
–
–

0.1-100keV (3桁)のワイドバンド撮像と精密分光
多層膜X線望遠鏡
新型のホール集積型X線CCDカメラ(京大担当)
新型のテルル化カドミニウム半導体検出器
マイクロカロリメーター
2013年打ち上げを目指し,
現在Phase-B移行審査中
END
超新星残骸 RCW86
鉄輝線バンドイメージ
+0.5-1keV(熱的成分)コントア
鉄輝線バンドイメージ
+3-6keV(非熱的成分)コントア
超新星残骸
多くの元素の輝線を持つ熱的高温
プラズマ成分と高エネルギー電子
の非熱的シンクトロン成分の入り
交じった広がったX線天体
~30光年
XMM-Newton
高エネルギー分解能・広帯域・低
バックグラウンドの「すざく」が最適
赤:0.5-1keV (熱的成分)
高エネルギー分解能・高感度を活かして
青:2-6keV(非熱的成分)
鉄輝線バンドイメージを初めて取得。
中性鉄(6.4keV)に近い中心値の鉄輝線を持つスペクト
鉄輝線がリバースショックで加熱された
ル
低階電離イジェクタ起源なこと明らかに。
→非熱的成分によって周囲の物質が照らされている?

「TeVγ線で明るく、X線で暗い」の意味は?
高エネルギー電子
•星間磁場でシンクロトロン放射 →X線
•宇宙背景放射光子と衝突、逆コンプトン散乱 →TeV γ線
高エネルギー陽子
•pp反応で中性パイオン生成、パイオン崩壊→TeV γ線
X線で暗い
HESS J 1616-508
明るい
TeVγ線の et al. 2007)
(Matsumoto
高エネルギー
TeVγ線は
逆コンプトン散乱
電子少ない
の寄与小さい
陽子起源?
星間磁場>~3μG
TeVガンマ線未同定天体は陽子加速源??
天の川銀河中心(1)
「すざく」 銀河中心領域を約1800光年に渡って探査
1°~ 450光年
1°~ 450光年
高階電離鉄輝線マップ
(数千万K超高温プラズマ)
1°~ 450光年
高階電離硫黄輝線マップ
(約1千万K高温プラズマ)
中性鉄輝線マップ
(数十K中性分子ガス)
数十K~数千万Kに渡
る多様な状態の物質
Maps
made by Nobukawa
が混在し相互作用す
天の川銀河中心(2)
高階電離鉄輝線マップ 〜数千万K超高温プラズマ
1°~ 450光年
電離鉄輝線
強い高階電離鉄輝線→
X線点源
銀河中心に位置する恒星の
星風による超高温プラズマ
のX線放射を発見(兵藤)
Sgr A*からの距離(pc)
銀河中心X線放射が真に広がっ
たプラズマであることを強く示唆
(信川)
天の川銀河中心(3)
高階電離硫黄輝線マップ 〜1千万K高温プラズマ
超新星残骸探査のプローブ
1°~ 450光年
120光年
40光年
電波の観測も合わせて非熱的電波
+熱的X線のSNRを発見(澤田)
銀河中心に位置する巨
大リング構造を発見(森)
銀河中心超新星残骸
続々発見中・・・
Year
天の川銀河中心(4)
(鶴)
銀河中心の西側での
中性鉄輝線マップ 〜数十K中性分子雲ガス
X線反射星雲の発見
1°~ 450光年
中性鉄輝線強度の
時間変動の発見
1994 ASCA
2000 XMM
冷たい分子雲が何
かに照らされた?
(乾)
→銀河中心巨大ブ
2004 Chandra 2005 Suzaku
ラックホールが過
去に明るかった?
NASAのPress Release
に選ばれました
電波ジェット
~70光年
銀河中心巨大ブラックホール
の過去の活動性を強く示唆
1E 1740.7—2942
ブラックホールからのジェット
に照らされた中性輝線構造?(信川)
超新星残骸 (2) IC443
(小澤)
Ne Mg
温度 (keV)
Si
S
Fe-L
O
Ar
β輝線!!
Ca
Fe
多くの元素の水素状・ヘリウム状
イオンのKα輝線に加えKβ輝線を検出
→輝線から電子温度の決定が可能に
電子温度よりイオンの電離温度の方が高い
→電子の急速冷却を示唆?