高感度CRPの新たな有用性~H.pyloriにおける検討~

高感度CRPの新たな有用性
~H.pyloriにおける検討~
医療法人社団 新虎の門会 新浦安虎の門クリニック
芝垣 友美
沼本 美由紀
大前 利道
堀内 純
大前 由美
角谷 美佳
はじめに

近年、高感度CRPが動脈硬化のリスク
の早期予知・予防に関与することで注目
を浴びています。

今年度より特定健診の導入。

検査項目の見直しにて、コスト面からピ
ロリ菌に関する検査項目の除外。
目
的
《胃病変診断》
*血中抗HピロリIgG抗体
(以下、血中抗Hピロリ抗体)
*ペプシノーゲン
*胃バリウムまたは胃カメラ
高感度CRP値にて
ピロリ菌感染の
否定をできるか
*血中抗Hピロリ抗体
*ペプシノーゲン
を削除する健保様があ
る現状
対

象
期間
3500名
平成19年4月1日
~
平成20年3月31日

当院にて血中抗Hピロリ抗
体検査、ペプシノーゲン、及
び高感度CRP検査を実施
した受診者
(血中抗Hピロリ抗体、PG、hs-CRP実施)
WBC≧10000
3438名
平均
年齢47.0歳
・・・母集団A
hs-CRP≧0.3
3227名
平均
年齢47.0歳
・・・母集団B
方

法
血中抗Hピロリ抗体:EIA法
カットオフ値 10.0U/ml以上⇒陽性群
10.0U/ml未満⇒陰性群

高感度CRP:ラテックスネフェロメトリー法

検定法:ノンパラメトリック
Wilcoxonの順位和検定
結 果①
母集団A
血中抗Hピロリ抗体陽性群と陰性群の高感度CRP平均値
0 .1 2
高感度C R P (m g /d l)
0 .1
P値<0.005
0 .1 0 5
0 .0 9 1
0 .0 8
0 .0 6
★有意な差を認める★
0 .0 4
0 .0 2
0
陰性群
陽性群
母集団B
結 果②
血中抗Hピロリ抗体陽性群と陰性群の高感度CRP平均値
0 .0 5 6
P値<0.005
0 .0 5 4
高感度C R P (m g /d l)
0 .0 5 3
0 .0 5 2
0 .0 5
★有意な差を認める★
0 .0 4 8
0 .0 4 8
0 .0 4 6
0 .0 4 4
陰性群
陽性群
考 察①

血中抗Hピロリ抗体陰性(ピロリ菌に感染していな
い)群は陽性群と比較し高感度CRPの値が低値
を示す傾向がある。
⇒高感度CRPの値が低値であればピロリ菌の感染
率は低いのではないかと示唆される。

高感度CRPの検討⇒0.30mg/dl以上は除外によ
る検討が望ましい。
考 察②

高感度CRP
カットオフ値の検討
◆ROC曲線にて検討
CRP:0.025mg/dl
感度 :60.8%
特異度:47.4%
カットオフ値としての
設定は難しい
ROC曲線
まとめ

高感度CRPが低値であれば、ピロリ菌に対する
感染率は低いのではないかということが示唆され
た。

高感度CRPのカットオフ値の設定は困難である。
ご清聴ありがとうございました。
質疑応答




喫煙歴・動脈硬化は除いているのか?
⇒今回は健診システム入れ替えに伴い問診情報の抽出が出来な
かったため除外していません。
ピロリ菌の高感度CRP上昇に対する機所は?
⇒今回ピロリ菌を取り上げたのは、検査削除対象となったことです。ピ
ロリ菌を感染症としてCRPを従来の感染症のマーカーとして用いて
検討してみたので、ピロリ菌がCRPを上昇させる機所は文献も少なく
わかってはいません。
ピロリ菌の除菌前後で高感度CRPの値に変化は?
⇒調査中で、除菌後の高感度CRPは下がる傾向はあるようです。
除菌の検討を踏まえたらROC曲線がかけるのではないでしょうか。
⇒検討させていただきます。ありがとうございます。