CALETにおける粒子種別に応じたトリガー方式の開発 早大理工研1、芝工大シス工2、神奈川大工3 赤池陽水1、笠原克昌1、鳥居祥二1、 小澤俊介1、吉田健二2、田村忠久3、 他CALETチーム ~日本物理学会第65回年次大会@岡山大学 2010年3月22日~ 22pBW-6 発表概要 トリガー CALETの観測対象 電子: 1GeV ~ 10TeV 暗黒物質、加速源、加速機構、銀河伝搬機構 太陽磁気圏 High Energy Shower Trigger 10GeV以上の各粒子を同時に観測 Low Energy Shower Trigger ガンマ線: 10GeV~10TeV 暗黒物質、γ線点源(SNR, Pulsar, AGN…etc) 銀河内外拡散成分、γ線バースト 陽子・原子核: 数10GeV ~ 1000TeV 加速起源、銀河内伝播モデル、KNEEの起源 高緯度領域(Cut-Off Rigidity < 2GV)で 電子(>1GeV)の観測 Single Trigger Calibration用 CALETは、多種の粒子を同時に観測する 観測対象の各粒子に応じたトリガー方式の最適化 ・ 検出効率 ・ トリガーレート 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 2 トリガーシステム トリガーは、各トリガー用検出器からのシグナルの論理和により構成 トリガー用検出器 ① TASCの最上層のシグナルの和 シャワートリガーとして利用 エネルギー閾値の決定 ② SciFi各層のシグナルの和 SciFiベルト:全8層 x 2(X,Y) 2層ずつのシグナルの和をトリガーに利用 4x2(X,Y) 個のトリガーシグナル 148 39 525 ROC SIA electronics SIA IMC-FEC 32 32 95 IMC 156.5 MAPMT TASC -FEC 64chMA-PMT:14 x 4層 x 2(X,Y)、全112個 SciFi:32本 x 2層のシグナル和 PD TASC SciFi 240 20 100 320 64ch MA-PMT 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 3 シミュレーションと幾何条件 シミュレーション計算から最適なトリガー方式を検討 シミュレーション 検出器シミュレーション ・・・ EPICS シャワー軸の幾何条件 核相互作用モデル ・・・・・・ DPMJET3 幾何条件 シャワー軸が以下の領域を通過 ・ IMC最上層 ・ TASC最上層 (PWO1本内側) ・ TASC最下層(PWO1本内側) 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 4 TASC最上層の閾値 電子のエネルギーより閾値を決定 TASC最上層のエネルギー損失 TASC最上層のシグナル和の閾値: 95% 52MIP (電子10GeVを95%取得) 検出効率 電子 10GeV 陽子 10GeV 陽子 30GeV 95% 3.7% 15% 電子の検出効率 衝突しない素通りの陽子イベントを除去 (IMC:3X0, 0.11λ) 閾値以上の検出効率は一定 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 5 SciFiにおけるトリガー ガンマ線の検出効率を考慮 上6層以内で対生成した10GeVγ線に おけるSciFi7,8層目のエネルギー分布 ① TASC最上層の閾値 電子(>10GeV)と同じ ② SciFi7,8層目の和のみ利用 IMCの上部6層内で最初の 対生成を起こす確率が8割 最初の対生成の割合 2010年3月22日 15MIP 98% ガンマ線の検出効率 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 6 陽子・原子核成分 電子・γ線と同じトリガー方式を利用 トリガー効率 トリガー条件 ① TASC最上層 >52MIP ② SciFi7,8層 > 15MIP 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 7 陽子・原子核成分 電子・γ線と同じトリガー方式を利用 トリガー効率 トリガー条件 ① TASC最上層 >52MIP ② SciFi7,8層 > 15MIP シングルイベント シングルイベント 電荷の大きい粒子は 電離損失で閾値を超える N 5GeV (Fe) 100%のトリガー効率 (N) 電離損失が大きくなる低エネル ギーの場合に検出 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 8 陽子・原子核成分 トリガー効率 電子・γ線と同じトリガー方式を利用 トリガー条件 ① TASC最上層 >52MIP ② SciFi7,8層 > 15MIP シングルイベント シングルイベント 電荷の大きい粒子は 電離損失で閾値を超える He 100TeV (Fe) 100%のトリガー効率 (N) 電離損失が大きくなる低エネル ギーの場合に検出 TASC下層で衝突したイベント TASC下層で衝突したイベント 衝突 位置 後方散乱の影響によるトリガー 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 9 陽子・原子核成分 オフライン解析時の粒子選別 ・ シャワーを引き起こしたイベント ・ エネルギーの漏れ出しの少ない検出器上層で衝突したイベント ・ 検出効率が後方散乱の程度に依存しないイベント TASC1層目以上で衝突したイベントを選別 検出効率 2010年3月22日 エネルギー分解能 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 10 Low Energy Shower Trigger 1GeV以上の電子に最適化したトリガー条件 ・ 衝突しない素通りの陽子の除去 ・ 側面から入射するイベントの選別 トリガー効率 トリガー条件 ① 各SciFi層の閾値 ・SciFi1,2層目: 0.7x2 MIP ・SciFi3,4層目: 0.7x2 MIP ・SciFi5,6層目: 0.7x2 MIP ・SciFi7,8層目: 5 MIP (eff.98%) ② TASC最上層の閾値 ・ 7MIP (eff.95%) 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 11 トリガーレートの推定 ISS軌道上における宇宙線Fluxの推定 1次宇宙線 1次宇宙線 ・・・・・・ 気球・衛星実験 地磁気中の伝播 ・・・・・・ COSMOS ・ 磁場モデル ・・・・・・ IGRF2005 Albedo の推定 ・・・・・・ ATMNC3 ・ 大気モデル ・・・・・・ US-Standard 高度400kmにおける宇宙線の組成、エネルギー、天頂角分布 検出効率を考慮 検出器シミュレーション ・・・・・・ EPICS ・ 核相互作用モデル・・・・・DPMJET3 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 12 ISS軌道上におけるトリガーレート エネルギースペクトル (High Energy Shower Trigger) 経度[deg] 観測位置に対するトリガーレートの分布 (High Energy Shower Trigger) 緯度[deg] (Low Energy Shower Trigger) トリガーレートの平均値 (High) ISS軌道平均:11.4Hz 内訳: e-:0.78, H:5.5, He:2.7, C:0.47, Fe:0.11, 他 1.84 (Low) 極域5分間の平均:108Hz 内訳: e-:8.3, H:74.8, 他:24.9 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 13 まとめ ■ CALETの観測対象となる各粒子に応じたトリガー方式をシミュレーション 計算から検討し、以下の結果が得られた トリガー条件と閾値(MIP) SciFi1,2 SciFi3,4 SciFi5,6 SciFi7,8 TASC最上層 Low Energy (>1GeV) > 0.7x2 > 0.7x2 > 0.7x2 >5 >7 High Energy (>10GeV) - - - > 15 > 52 検出効率 電子(LOW) 電子(HIGH) 100% 100% γ線 陽子 He N Fe 80% 20% 30% 45% 60% ■ ISS軌道上における宇宙線Fluxを推定し、トリガーレートを見積もった – 軌道1周の平均 (High Energy Shower Trigger) : 11.4Hz – 極域5分間の平均 (Low Energy Shower Trigger) : 108 Hz 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 14 END 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 15 Feのエネルギー損失 標的核によるシャワーの違い 標的検出器別のエネルギー損失(Fe 10TeV) 標的核により、相互作用の様子が 異なるため、TASCでのエネルギー 損失が異なる ・ 軽核と衝突 : nやpが多い ・ 重核と衝突 :π0が多い 2010年3月22日 日本物理学会 第65回年次大会@岡山大学 16
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