ページをめくるにはクリックしてください。 糖尿病患者におけるPWV (脈波伝播速度) 当院通院糖尿病患者648名からの解析 • 武田クリニック 武田 浩 ページをめくるにはクリックしてください はじめに • • 動脈硬化は糖尿病合併症として重要である。PWVは非侵襲的に行える動脈硬化診断方法として有意義な検 査法である。 原理は血管が硬ければ(動脈硬化)心臓の拍動(脈波)が速く伝わり、柔らかければその速度(PWV)が遅く伝 わることに基づくものです。 PWVの測定法と問題点 •測定は両上肢、両下肢に血圧測定カフと胸部に心拍検出のプローブを貼り付けるだけで簡便に測定できる機械 を利用します。 •簡便であるが、再現性、年齢、血圧に左右され問題点を指摘する報告もあります。 目 的 •当院にて通院中の糖尿病患者の臨床パラメーターとPWVの間に何らかの相関がみられるか検討した。 •一年間の期間で経過観察しえた患者群において、PWVの改善に及ぼす、臨床パラメーター、糖尿病治療薬の 影響を検討した。 方 法 •当院通院糖尿病患者のうち2002年4月より、2003年7月の間に648名のPWVおよび、収縮期血圧、拡張期血圧、 体重、BMI、随時血糖、HbA1c、TC、TG、HDL-C、尿中ミクロアルブミンを測定した。 •さらにこの患者群のうちほぼ1年間経過観察しえた221名中、血圧が悪化し、PWVが改善しえた患者で来院時間 がほぼ一致している(1時間以内)群40名において、他のパラメーターの変化を検討した。 この間のパラメーター は2002年4月から7月、2003年4月から7月の平均値を用いた。 •統計学的検討で相関に関しSpeaman、比較はWilcoxon t-testを利用した。 ページをめくるにはクリックしてください 患者総数 (男/女) 平均年齢 身長(cm) 体重(kg) BMI 20歳時体重(kg) 過去最高体重(kg) 糖尿病罹病期間(年) HbA1c(%) 随時血糖(mg/dl) 649 (424/225) 59.5±12.4 162.1±8.9 63.4±13.6 24.2±4.1 56.8±13.7 72.3±46.1 8.2±5 6.86±1.2 156.8±55.0 ページをめくるにはクリックしてください y = 11.07 x + 229.38 R 2 = 0.20 -95%CI 脈 波 伝 播 速 度 -95%PI 4000 3500 3000 (PWV) 2500 2000 1500 1000 500 0 0 50 100 150 200 収縮期血圧(mm/Hg) n= 648 Result of Correlation Spearman two-tail P=1.74E-33 rs=0.449 0.07 P<0.05 significant correlation* rs=0.449 0.10 P<0.01 significant correlation** ページをめくるにはクリックしてください -95%CI 脈 波 伝 播 速 度 -95%PI y = 0.48 x + 1607.65 R 2 = 0.01 4000 3500 3000 2500 (PWV) 2000 1500 1000 500 0 0 200 400 600 随時血糖値 mg/dl n= 585 Result of Correlation Spearman two-tail P=0.001 rs=0.135 0.081 P<0.05 significant correlation* rs=0.135 0.106 P<0.01 significant correlation** ページをめくるにはクリックしてください y = 34.03 x + 1445.61 R 2 = 0.01 -95%CI 脈 波 伝 播 速 度 -95%PI 4000 3500 3000 (PWV) 2500 2000 1500 1000 500 0 0 5 15 10 HbA1c(%) n= 645 Result of Correlation Spearman two-tail P=0.00531 rs=0.109 0.077 P<0.05 significant correlation* rs=0.109 0.101 P<0.01 significant correlation** y = 7.57 x + 1625.08 R 2 = 0.02 -95%CI -95%PI 脈 波 伝 播 速 度 3500 3000 2500 2000 (PWV) 1500 1000 500 0 0 10 20 30 40 尿中ミクロアルブミン(mg/gCr) n= 413 Result of Correlation Spearman one-tail P=0.00835 rs=0.11 0.081 P<0.05 significant correlation* rs=0.11 0.114 P<0.01 significant correlation** two-tail P=0.0167003328975539 rs=0.11 rs=0.11 0.096 P<0.05 significant correlation* 0.126 P<0.01 no significant correlation ページをめくるにはクリックしてください 1年間の間に血圧悪化しPWVが改善した群(n=40) 180 3000 400 160 12 350 2500 収 縮 期 血 圧 140 脈 波 伝 導 速 度 ( 120 100 10 随 時 血 糖 値 2000 250 1500 200 PWV 80 ) 60 グ リ コ ヘ モ グ ロ ビ ン 300 8 6 150 1000 4 100 40 500 2 50 20 (mmHg) 0 0 before after two-tail P=1.89E-11 (%) (mg/dl) (cm/sec) 0 before after two-tail P=2.80E-8 0 before after two-tail P=0.00364 before after two-tail P=0.323 ページをめくるにはクリックしてください まとめ • 当院における糖尿病患者648名のPWVを測定した。PWVと血圧、随 時血糖、HbA1c、ミクロアルブミン尿との間に有意な相関を認めた。 • 一年間時系列的に観察しえた221名中、収縮期血圧が悪化し、PWV が改善した40名において、随時血糖の有意な改善が認められたが、 HbA1cの改善は認められなかった。 • 当院における随時血糖の約95%は食後血糖であり、食後血糖の改 善がPWVの改善に関与することが示唆された。
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