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少子化対策の経済学
1.少子化対策を議論するうえでの経
済学的前提
• (1)歪みがない場合には対策の必要なし
• 経済学的には、人々が合理的な選択として、
出生数を減らす、あるいは婚姻をしないという
ことであれば、何も問題がない。
• むしろ、少子化対策として、税金・補助金や規
制などで政府が介入をして人々の行動を歪
ませることの方が問題。
• 一番よい対策は、何もしないこと。
• (2)市場の失敗が正当化事由
• 経済学的に考えて、少子化対策として、政府
が介入できる正当化自由は「市場の失敗」が
ある場合のみ。
• つまり、①外部性(子供を生むことがその両親
のみならず、他人にも得になる影響を及ぼ
す)、③既にある政府の税金・補助金や規制
などが人々の合理的な選択を歪めていること
があった場合。
• その場合にのみ、その大きさの範囲内で介入
が正当化される。何でもかんでもいくら金をか
けてもやってもよいということにはならない。
• 外部性の源泉としては、①経済成長を生み出
す、③地域社会コミュニティーの維持、③社会
保障・福祉や労働慣行など、子供が増えるこ
とを前提とした仕組みを維持するため、といっ
た3つのものが考えられる。
• (3)少子化対策はセカンドベストに過ぎない
• ①経済成長を生み出すという点については、
賛否両論がある。
• マクロ経済学としては、人口が減少して経済
成長率が低くなるのは当然であるが、一人当
たりの成長率あるいは所得が重要なのだか
ら、その意味では問題がないというのが基本。
• しかも、資本労働比率(K/L)が高くなるので、労働の
限界生産性が増し、一人当たり所得は増えると考え
られる。
• 一方で、その逆の要素としては①若者が少なくなる
と技術革新が起きない、②労働力の質がパラサイト、
ニートといった層で当てにならない(小塩、2005)、と
いった見方もあり、外部性の有無についてはなんと
もいえない。
• 地域コミュニティーの維持といった観点は、人口が減
少すれば都市部への集中化が起きてかまわないと
いう見方もあり、これもなんともいえない。
• 一方、年金は人口減少により危機に瀕するために外
部性があるという見方は正しい。つまり、社会保障制
度を維持するために、少子化対策をするということは
考えうる。
• 年金以外にも、医療、介護、あるいは日本的雇用慣
行、などの諸制度は同じ側面を持つ。
• しかし、人口減少によって危機に陥る理由は、賦課
方式を取っているからであり、積立方式では何の問
題もない。したがって、困難で効果の不透明な少子
化対策にお金を使うよりは、人口減少に対応した社
会保障制度や雇用慣行を再構築する方がずっとた
やすい。
• その場合には、少子化対策をする正当化自
由はなくなる。
• また、今から少子化対策を行っても、社会保
障財政に影響が現れるのはずっと先のことで
あり、もっとも困難な時期を迎えるこの20-30
年には間に合わないというのも事実である。
つまり、「社会保障制度の維持のための少子
化対策はあまり意味がない」。
• したがって、少子化対策よりも、より本道であ
る社会保障制度の改革にこそ注力すべきで
あるというのが基本的な姿勢である。
• ただ、社会保障改革も、政治的になかなか改
革が難しく時間が掛かることが予想される。政
治的には、利害関係が衝突するために進行
が難しい。一方で、少子化対策は反対するも
のがほとんどいないし、男女共同参画のよう
なスローガンにも載りやすいので、政治的に
やりやすい。
• したがって、現在発揮しうる「外部性の範囲
内」で行うべきである。これを「外部性の内部
化」と経済学で呼ぶが、あくまでセカンドベスト
の戦略に過ぎない。
• (4)少子化対策にいくらまで使えるか
• 外部性の金額はどれくらいか。それは、ちょうど社
会保障制度の世代間不公平(損)をしてくれる金額。
• 厚生年金・共済年金加入者では、大体、2000万円
(1980年生)から3000万円(2005年生)程度である
(鈴木、2006)。
• 国民年金では税金分を除くし、規模が小さいので、
250~300万円程度(八田・小口、1999)
• 未納・未加入者、3号の専業主婦は外部性0(どころ
かマイナス)
• 全体の加入者数で平均をとると1500万円程
度と以外に大きい。ただ、国民年金加入者は
厚生年金や健保組合に外部性を及ぼさない
ので、公平な部分として基礎年金、国保、介
護のみを考えると、概算であるが、300-500
万円程度と思われる。
図1 社会保障全体の受取超過額
(厚生年金、組合保険加入者、男性妻有り)
単位:万円
6,000
5,000
4,000
3,000
2,000
介護
医療
年金
全体
1,000
0
-1,000
-2,000
-3,000
-4,000
1940 1945 1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005 生年
表1
図1のバックデータ
1940
1945
1950
1955
1960
1965
1970
1975
1980
1985
1990
1995
2000
2005
単位:万円
全体
介護
医療
年金
5,279
403
1,479
3,397
3,386
372
1,212
1,802
1,825
312
997
516
811
286
733
-207
-26
233
589
-848
-735
205
441
-1,382
-1,260
196
295
-1,751
-1,706
201
141
-2,048
-2,080
227
-47
-2,260
-2,369
259
-225
-2,403
-2,484
321
-351
-2,453
-2,537
380
-384
-2,532
-2,615
453
-472
-2,596
-2,821
527
-525
-2,823
2.少子化の新?常識
• (1)少子化の主因は未婚率増加
• 合計特殊出生率の要因分析・・・近年の合計
特殊出生率の減少は、有配偶出生率(結婚し
た後に何人生むか)の減少ではなく、有配偶
率(結婚率)の減少によりもたらされている。
• 結婚した場合には、2.2-3人の子供を生み、こ
の率の変化は近年はほとんどない。3子を生
まなくなったことが重要といわれるがその寄
与度は非常に小さい。
1970-80
合計特殊出生率
1980-1990
1990-95
1995-2000
2.13
1.75
1.54
1.42
変化量
-0.39
-0.20
-0.12
-0.06
有配偶率変化要因
-0.24
-0.38
-0.17
-0.16
有配偶出生率変化要因
-0.15
0.17
0.05
0.10
うち1子
0.00
0.09
0.08
0.08
うち2子
-0.08
0.03
0.00
0.04
うち3子
-0.04
0.05
-0.03
-0.01
うち4子
-0.02
0.01
0.00
0.00
うち5子
-0.01
0.00
0.00
0.00
• 厚労省は、有配偶率低下を未婚・晩婚化と
位置づけ、予定子供数の変化がないことも
あり、最終的な完結子供数には変化がない
と主張してきた
• しかし、未婚化晩婚化というよりも、既に非
婚化ともいえる現象が顕在化しつつあり、晩
婚化ともいえなくなってきている。
• 最新統計では予定子供数も減少しつつあり、
また、晩婚化が最終的なこども数を減少させ
ることも顕現化しつつある。
(人)
表4-23 妻の年齢(5歳階級)別予定子ども数:1977~2002年
調 査 年
1977年
第 7 次出
産力調査
1982年
第 8 次出
産力調査
1987年
第 9 次出
産力調査
1992年
第10回出
生動向基
本 調 査
1997年
第11回出
生動向基
本 調 査
2002年
第12回出
生動向基
本 調 査
総 数
妻 の 年 齢
20~24歳 25~29歳 30~34歳 35~39歳 40~44歳 45~49歳
2.17
2.19
2.16
2.21
2.15
2.11
2.24
2.20
2.25
2.29
2.23
2.19
2.17
2.13
2.23
2.27
2.36
2.28
2.19
2.16
2.16
2.19
2.24
2.21
2.22
2.24
2.14
2.12
2.17
2.14
2.18
2.20
2.18
2.19
2.12
2.13
2.23
2.13
2.08
2.08
2.17
2.18
国立社会保障・人口問題研究所『出産力調査』,『出生動向基本調査』による。各回調査とも妻が50歳未満の
初婚どうしの夫婦を対象とする。予定子ども数とは,現在子ども数に追加予定子ども数を加えたもの
• (2)労働市場の変化の影響が権限化
• 従来キャリア女性の方が未婚・晩婚というイ
メージであるが、フリーターの方が非婚・非出
産化(酒井・樋口、2005)
• 男性もあわせ、非正規社員の方が未婚残存
率が高い(永瀬、2002)
• (3)男女共同参画と出産は別問題
• 男女共同参画社会と少子化対策の両立は不
確か。
• 女性の労働力率と合計特殊出生率は正の関
係(OECD,都道府県)
• しかし、この関係は時系列では不安定。また、
時系列データでは逆の関係となる。
• 赤川(2004)、山重(2006)、小塩(2006)によ
る統計的批判。
• 時系列データ、個票データによる分析では、
ほぼすべてにおいて女性の就業が出生率を
押し下げているという結果(滋野1996、松浦・
滋野1996、樋口ほか2006)。
第2 OECD加盟24か国における女性労働力率
と合計特殊出生率:1970年、1985年、2000年
都道府県別にみた有配偶女性(25~34歳)の
労働力率と合計特殊出生率
1.90
1.80
1.70
1.60
合
計
特 1.50
殊
出 1.40
生
率 1.30
1.20
1.10
1.00
30.0
40.0
50.0
労働力率(%)
60.0
70.0
3.少子化問題の原因・背景の検討
• これまで、挙げられてきた原因は次の通り。
• ①女性の高学歴化・職場進出・機会費用の
増加
• ②男性の子育て不参加・男性の長時間労働
• ③社会保障制度の充実(子供を生まなくても
老後保障)
• ④同居家族の減少、核家族化(子育て環境の
悪化)
• ⑤教育費など子育てコストの上昇
• ⑥都心部の住宅環境の悪化
• ⑦若年労働者の不安定雇用・所得環境の悪
化
• ⑧ニート・フリーター・パラサイトシングル人口
の増加
• ⑨見合いや職縁結婚などの社会的なマッチン
グ機能の低下
•
•
•
①女性の高学歴化・職場進出・機会費用の
増加
原因ではあっても、これは女性にとってむし
ろ生活環境や機会が改善したということであ
る。
女性の合理的な選択の結果であるから、そ
れを元に戻して原因を除去するわけにはい
かない。この要因で、少子化することは、経
済学的には何の問題もない。
•
•
•
•
②男性の子育て不参加・男性の長時間労働
ジェンダー学者からの主張。男性に長時間労働を
強いる日本企業の労働慣行を改め、労働時間を
短くして子育て参加することにより、出生数が伸び
るとする。
少し考えればわかるが、男性の子育て不参加は
昔から続き、最近はむしろ改善。しかし、少子化率
は減少の一途なので、原因とはなりえない。
労働時間が長いのは比較優位論からは合理的な
家計の選択とも言える。家庭の勝手である。
• また、労働時間を短くすればその分所得が下
がり、少子化にマイナスの要素となることに気
づいていない。
• ただ、政府による規制の歪みがある可能性も
ある。それは、専業主婦を優遇する税制・社
会保障制度の存在。あるいは解雇権乱用法
理の存在。こういうものが、専業主婦と長時間
の正社員の夫という組み合わせを選ばせて
いるということであれば、改善する余地はある。
•
•
•
③社会保障制度の充実(子供を生まなくても
老後保障)
これも原因であったとしても、では元に戻す
のが良いのかという問題。
社会保障制度はあった方がよい。その結果
として、子供を生まなくなるのであれば、そ
れは仕方のないことである。ただ、賦課方式
は現在は望ましくない。
• ④同居家族の減少、核家族化(子育て環境の
悪化)
• これも、家計の合理的な選択の結果であれば、
その結果としての少子化はやむを得ない。し
かし、そもそも家族数の減少していること自体
は、前の親世代の選択であって子世代の選
択でないのであるから、この意味で社会的な
代替策(保育などによる機能肩代わり)が正
当化可能か。
• ただし、保育などに大幅な補助金が使われて
いる現状から考えると、公平性の観点から同
居家族で祖父祖母が面倒を見たりしているこ
とを、現金給付をするなど積極的に評価して
も良い。あるいは、二世帯住宅への優遇税制
も考えうる(後述)。
• ⑤教育費など子育てコストの上昇
• これも、高い質の教育を得たいという家計の
合理的な選択の結果であれば、その結果とし
ての少子化はやむを得ない。
• ただし、教育は少なくとも義務教育は外部性
があるので、そこで十分な教育を公費で行う
べき。補習教育などを自費負担させることは
望ましくない。
• 高等教育は、奨学金などの充実で、本人負担
化することにより子育てコストを減少させるこ
とができる。
• ⑥都心部の住宅環境の悪化
• これも、家計の合理的な選択の結果であれば、
その結果としての少子化はやむを得ない。
• しかし、住宅についても日本は規制が多すぎ
るので、住宅政策としてそれを改善する余地
は残されている。
• ⑦若年労働者の不安定雇用・所得環境の悪
化
• ⑧ニート・フリーター・パラサイトシングル人口
の増加
• これも、合理的に選択しているということであ
ればしかたがない。
• 原因が不況の長期化にあるということであれ
ば、失業支援などは、雇用対策として考えうる。
• しかし、まったく市場の失敗や政府の規制の
歪みがないかというとそうとはいえない。
• 相続税制や固定資産税が軽すぎる点、扶養
控除や社会保障の扶養などの問題点がこうし
た流れを加速化している可能性もある。
• また、規制緩和の行き過ぎ(社会保障や待遇
面での正規・非正規差の拡大)、解雇権乱用
法理、組合組織のあり方などが歪みを生んで
いる可能性もある。この労働政策という面から、
改善の余地はある。
• ⑨見合いや職縁結婚などの社会的なマッチン
グ機能の低下
• 家族形態の変化同様、市場の失敗ではない
が、避けがたかった要因であり、それに代わ
る社会的な支援策が正当化できる。マッチン
グ機能低下は、不確実性や非対称情報という
意味で一種の市場の失敗なので。
4. これまでの政府による対策の整理
• (1)エンゼルプラン
• 1994年12月
• 子育てを夫婦や家庭だけの問題ととらえるの
ではなく、国や地方公共団体、企業・職場、地
域社会全体の支援。
• 保育所の量的拡大や低年齢児(0~2歳児)
保育や延長保育等の多様な保育サービスの
充実
• 地域子育て支援センターの整備
• (2)新エンゼルプラン
• 1999年12月
• 少子化の原因として、晩婚化の進行等による
未婚率の上昇、その背景として、仕事と子育
ての両立の負担感の増大や子育ての負担感
の増大。
• 保育だけではなく、育児休業充実・助成金、再
就職支援、地域子育てネットワーク、教育対
策、住宅支援
• (3)次世代育成支援対策推進法
• 2003年7月、
• 市町村及び都道府県が目標及び目標達成の
ために講ずる措置の内容を記載した行動計
画を策定。事業主も一般事業主行動計画を
策定し、届け出。
• (4)少子化社会対策大綱
• ・2004年6月
• 「3つの視点」と「4つの重点課題」、「28の具体的行
動」を提示。
• 3つの視点・・・「自立への希望と力」、「不安と障壁
の除去」、「子育ての新たな支え合いと連帯―家族
のきずなと地域のきずな―」である。
• 4つの重点課題・・・「若者の自立とたくましい子ども
の育ち」、「仕事と家庭の両立支援と働き方の見直
し」、「生命の大切さ、家庭の役割等についての理
解」、「子育ての新たな支え合いと連帯」
• ・具体的な実施計画「子ども・子育て応援プラン」策
定
• (5)子ども・子育て応援プラン
①若者の自立とたくましい子どもの育ち
②仕事と家庭の両立支援と働き方の
見直し
③生命の大切さ、家庭の役割等につ
いての理解
④子育ての新たな支え合いと連帯
⑤地方公共団体の行動計画の推進
5. 対策の効果についての実証研究
• 育児休業制度の効果・・・就業継続には効果
があるが出生率への効果は不明確。駿河・
西本(2002)、森田・金子(1998)樋口(1994)
は肯定的だが、サンプルセレクションの問題
あり。滋野・大日(2001)は否定的。
• 再雇用制度、フレックスタイム制などについて
は出生への影響は分析なし。再雇用制度の
結婚への効果は滋野・大日(1999)がありと
する。
• 保育所の効果・・・滋野・大日(2001)は第一
子の出生確率のみに影響。地域別データで
は、樋口(2000)が否定的、山重(2002)が肯
定的。吉田・水落(2005)は第二子のみに効
果。
• 児童手当の効果については、架空のアンケー
トによる塚原(1995)があるが、定量的な効果
は低く、財政規模に対して効果が低い。
• 夫の家事手伝いが出生を促進(西本、2000)。
• 同居高齢者は出生を促進(吉田・水落、
2005)。
• その他、最近の様々な施策についての実証
研究も存在しない。サンプルセレクション効
果と施策の内生性のために、中々、政策効
果を検出することが困難。
5. 今後の対策について
• 少子化社会対策大綱、子ども・子育て応援プ
ラン、次世代育成支援対策推進法といった諸
対策は、自治体や企業をも巻き込んだ大風
呂敷の、項目も膨大な数にわたる総花的な
対策であるが、予算としてはすべての項目を
かき集めても、高々1.3兆円(17年度)程度の
ものに過ぎない。一つずつの項目の予算は、
非常に少額のものの寄せ集めに過ぎない。
• これに対して、竹やり戦術である(八代尚宏
教授)、ガダルカナル戦術である(山田昌弘
教授)という批評があるが、予算規模をもっと
もっと拡大し、効果的な項目に集中的に投下
しないことには、「玉砕」してしまう可能性が
あるだろう。
• (1)財源確保・拡充こそが最重要課題
• その意味で、小さな改善策・小さな知恵を探
すのではなく、まず財源調達の方策を考える
ことが最も重要である。
• ①育児保険の創設(介護保険あわせた家族
保険として保険料を徴収し、利用者への直接
補助を行う。できれば保育以外の子育て世代
にも分配)。
• ②年金積立金を使った長期子育資金貸付金
制度(子育て資金や教育資金の貸付を長期
間にわたって、年金積立金から行う。子供が
パラサイトシングルにならずに無事に勤労者
となった場合には、例えば300~500万円まで
の貸付は棒引きする)。
• ③相続税制の強化とそれを財源にした子育・
教育対策の強化(相続は世代間格差の是正
としては望ましいが、格差拡大につながる。一
度、徴収した上で、子育・教育資金の税源とし
て用いる。パラサイトも困難に。)。
• 規制緩和を徹底し、市場化、参入促進による
競争強化を行って、保育、教育、子育て支援
産業のコストを引き下げる。
• ④独身税・子供なし世帯への税制強化
• ⑤教育機関、保育園、幼稚園への寄付促進
(税制控除、名前を貸した教室や施設などの
創設)
• (3)どのような集中化を行うか
• (結婚市場)
• 様々なミスマッチ・市場の失敗がある結婚市
場への政府の介入
• 結婚市場は、非対称情報があり、結婚紹介
所などは逆選択が起きている。20歳になった
ら強制的にどこかの結婚紹介所に登録をす
ることでそれを防げる(あるいは、シンガポー
ルのように国がお見合い市場を作るという方
法もある)
• 再婚者ももう一度子供を作るので再婚支援。
• 就業支援と同様に結婚支援(結婚コーディ
ネーター、結婚ナビゲーター、成功報酬の結
婚紹介)
• (低所得者、若年者への集中支援)
• 子供を担保とした低所得の若者に対する資
金融資(低所得者は流動性制約に陥ってい
ることが正当化事由。子供が成長して労働
者となった場合には、減殺する)。
• 扶養控除の廃止とその分の児童手当への集
中化(低所得者の方が、出産の所得弾力性
は高いものと思われる。扶養手当は所得の
高い層への支援なので、児童手当に一本化
することにより低所得者に集中。ただし、その
場合、教育の問題があるので、義務教育機
能の完全社会化・強化が前提)
• (保育の公平化・広範囲化)
• 保育所対策を規制緩和とともに進める。病中
保育や病後時保育などの保育を保管する機
能の強化もともに行う。それとともに、こうした
頻度の低いものは、電力と同様維持コストが
高い。したがって、三世帯家族同居の促進も、
現金給付や二世帯住宅の建築促進補助金、
税制控除という形で進める。近所に住むこと
も税制などで奨励。パラサイト同居は無関係。
住宅問題にも配慮できる)
• (金銭給付の拡大・集中化)
• 子供出産を条件とする金銭的支援・現金給
付を増額・強化。そえを原資にマーケットから
基本的にサービスを買う。現物支援はしない
方向に。
• 企業に対する社会保険税減少によるインセン
ティブの強化(従業員の子供増をターゲットに、
年金や医療保険の労使折半分の料率を下げ
る、ファミフレ企業化の促進につながるし、財
源は年金で賄うことが合理的)。
• (4)その他思いいたままに
• 公的な社会保障、賦課方式の社会保障は縮
小。医療、介護、年金は最低保証的なものに
して、積立や自助努力の余地を増やす。自助
努力の一つの方法としての多産もありえるし、
そもそも少子化が問題ではなくなってくる。
• 低所得者支援からもっと進める形で、母子世
帯や非嫡子世帯への支援があってもよい(経
済学的には、夫と子供は抱き合わせ販売。夫
は要らないが子供が欲しいという需要にこた
えても良い)。
• 固定資産課税の強化と労働所得への課税緩
和(フローからストック課税強化。勤労者の子
育て期の所得増加とともに、パラサイト化を
難しくする)。