1) 中古車事業者

株式会社オークネット主催
目次
セミナー1
「韓国中古車流通における税制・法制の構造」
~付加価値税が中古車流通に与えた影響~
講師:金 必洙氏 大林大学自動車学部教授
・・・・・3-16
①中古車事業者としての資格・要件・・・・・・・・・・・・・・・・・・・4-5
②市、道、全国単位での、中古車事業者による組合について・・・・6
③中古車事業者が管理する販売社員との関係及び売買社員の資格役割
(日本にはない韓国独自の仕組み)・・・・・・・・・・7-8
④中古車取引に関する法規・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9
⑤自動車関連税制・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・9-12
⑥付加価値税が中古車流通に及ぼす影響・・・・・・・・・・・13-15
⑦韓国の中古車輸出事情・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・16
セミナー2
「日本&韓国中古車流通総合比較」
~中古車流通における両国の違いを検証~
講師:金 元夏氏 交通情報新聞 発行・・・・・・・・・・・17-24
①準拠法・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・18
②中古車事業者の資格・条件、行政への手続・・18
③市場概況(小売、AA、輸出)・・・・・・・・・・・・・・19
④標準的事業者の営業及び損益規模・・・・・・・・20
⑤商品用中古車の仕入・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・20
⑥中古車の販売・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21
⑦その他比較・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
⑧組合活動(韓国の場合)・・・・・・・・・・・・・・・・・・22
⑨教育(営業及び経営)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23
⑩AA会場の運営・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・24
セミナー3
「韓国中古車流通業界の実態」
~取引形態の変遷と現状の問題点~
講師:申 鉉道氏 ㈱ソウル自動車競売 常務理事
・・・・・25-34
①業界の趨勢・・・・26-30
1)韓国の新車・中古車市場の推移・・・・・26-27
2)中古車輸出台数・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28
3)中古車業界の過去&現在・・・・・・・・・・・・・・29
4)大手資本の企業による業界新規参入が不振である
要因・・・・29
5)中古車共同事業場(団地)の活性化とAA企業の不振
6)AA企業の不振の要因・・・・・・・・・・・・・・・・・・30
②業界の構造的問題・・・31
1)法制・税制上の問題・・・・・・・・・・・・・・・・・31
2)付加価値税の負担による様々な障壁・・・31
3)新車セールスマンによる横流しの実態・・31
4)政府の中古車業界に対する認識及び今後の管理に対する展
望・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・31
③インターネット取引の実情・・・32-34
1)インターネットの影響力と今後の展望・・・・・・・32
2)中古車業界のインターネット活用実態・・・・・・・32
3)オンライン業態とオフライン業態の共存様相・・32
4)主要オンライン業態の営業形態・・・・・・・・・・・33-34
別紙参照 ・・・・・・・・・・35-37
2
セミナー1
「 韓国中古車流通における税制・法制の構造」
~付加価値税が中古車流通に与えた影響~
講師:金 必洙氏 大林大学自動車学部教授
3
① 中古車事業者としての資格・要件
1) 基準施設の確保
・一般的に 100~200坪の展示場と事務室を自家保有あるいは賃借しなければならない。
・展示場は 8~12メートル以上の道路に面した土地のみ登録可能。
・土地用途も準工業地域など限定された地域のみ登録可能。
・中古車共同事業場(団地)と呼ばれるエリアは全ての条件がクリアされている。従って、このエリアに中古車事業者が集中
している。
・過去に自動車管理法において直接売買登録のための基準施設用件を規定していたが、現在では各地方自治体(市、道)の
条例で規定するよう権限を委任している。
◇ 参考:京畿道自動車管理事業登録基準などに関する条例
第一条(目的)この条例は自動車管理法(以下「法」とする)第53条第3項の規定から委任され自動車管理事業の登録基準
および手続きに関して必要な事項を規定することを目的とする。
第二条(適用範囲)自動車管理事業の登録基準および手続きに関する他の法令で特別に定場合を除き、この需要例が定
めるところに従う。
第三条(定義)この条例で使用する「自動車管理事業」は法第二条第6項の規定により自動車売買法(以下「売買法」とす
る)、自動車整備法(「以下「整備法」とする」)および自動車廃車法(「以下「廃車法」とする)と呼ぶ。
第四条(売買業の登録基準)①売買業の登録基準は次のとおりである。
1.面積660平方メートル以上の自動車専用施設と事務所も備えていること。
2.事業所の12メートル以上が道路に面していること。(但、都市計画外の地域は8メートル)自動車の売買または売
3.買斡旋と関連して、売買業者が売却人または買収人に弁償しなければならない損害が発生した場合、その支払いを保
証するために2千万ウォン以上の保証金を確保すること。
4
③第一項第三号の規定により保証金は金融機関に預けたり、保証保険に加入しなければならない。
④第三項の規定により、保証金または保証保険は売買業の登録のキャンセルや、廃業した場合を除き預け金の還給や保険
契約の解約はできず、保険契約期間が満了を迎えた場合は再加入しなければならない。
⑤第三項の規定により保証金で損害に対して賠償する場合は賠償日から5日以内にその金額を補充しなければならない。
2) 所轄官庁(市,郡,区庁)に対する登録、審査
・法的な条件がすべて備わっている場合、所轄官庁は登録を拒否できない。
・中古車事業者の代表に対する人的制限はない。(禁治産者なども可能)
3) 管轄税務署に対する事業者登録
・自動車売買業という事業の形態と種目を申告し、事業者登録証の交付を受ける手続き。
4) 売買事業組合加入及び営業ネットワークへの加入
・法的に必要な手続きではないが営業の便宜上加入する。
・韓国の場合、一台の商品車を仕入れた場合、また一台の商品車を販売した場合、法的な対応として、名義変更とは別に速やか
に管轄の市役所(区役所・町役場)に提示申告しなければならない。組合はこれを行政から代行しており、組合の電算システム
を通じて簡易にできるため、それを利用したいがために組合に加入するケース多い。
5) 営業開始
・在庫車として一度中古車事業者宛に名義変更した場合も同様提示申告を行い、その後実際に販売された際にも、改めて電算
上で売渡申告を行う。
・斡旋販売の場合には、名義移転は後回しになり、斡旋取引きを依頼された車両に対して提示申告をし、斡旋が成立した後で売
渡申告を行って名義変更を行う。
・6ヶ月毎に付加価値税の申告及び納付(あるいは還付)をして、1年単位で所得税または法人税の
申告及び納付を行う。
5
② 市、道、全国単位での中古車事業者による組合について
1) 全国売買事業組合連合会
・自動車管理法の規定により市、道売買事業組合が連合して結成された団体。
* 法制68条 : 組合などはその共同目的を果たすために、建設交通部令が定めるところによって連合会を設立することができる。
・現実には活動が活発ではないのが実態である。
・適正な財政の確保が難しく積極的な調査、分析、支援が難しい状況にある。
2) 市、道売買事業組合
・自動車管理法の規定によって市、道単位で中古車事業者たちが結成した団体
法制67条 (事業者団体の設立) : 自動車管理事業の健全な発展と秩序確立をはかるために必要な時には建設交通部長官または
市、道知事の認可を受けて建設交通部令が定める区分による自動車管理士業者で構成された組合または協会(以下 「組合等」と
する)を設立することができる.
* 組合員たちの会費によって運営されているが、概して現状維持的な消極的業務のみ遂行。
3) 市、道組合の支部(市、道売買事業組合の下部組織)
* 営業区域別実質的協議体であり、秩序維持のための相互牽制団体
*親睦のためのイベントは開催されるが、事業的側面の積極的な活動はほとんど行われない。
6
③ 中古車事業者が管理する売買社員との関係及び売買社員の資格証明
(日本にはない韓国独自の仕組み)
1) 中古車事業者
韓国の場合、中古車事業者は次の3つの形態に分類される。いずれの形態においても中古車事業者と売買社員の関係は、
名目は社員とはなっているが雇用関係はなく、日本で置き換えていうならばブローカーの意味合いが近い。
▲管理型
会社を設立した後、代表者自身は直接営業活動は行わず、優秀な売買社員を確保し傘下において、彼らが会社の名義で売買
した台数に応じて利益(手数料取り)を確保する売買社員を管理して成立する形態。この場合、売買に必要な資金は中古車事
業者ではなく、売買社員個人が調達する。
▲管理営業併行型
管理をすると同時に、本人も直接営業活動を行い売買差益を得るという形態。大部分の中古車事業者はこの形態に属する。
▲資金支援
先述した通り、原則的には売買社員は仕入れに必要な資金は、売買社員が個人で調達しなければならないが、この資金を中
古車事業者から支援を受け、見返りとして手数料(利子)を支払う形態。
2) 売買社員
韓国における売買社員とは、日本の中古車事業者における営業社員とはまったく異なり、売買社員が自ら調達した資金で売
買し、その差益で成立している。従って、中古車事業者から給与は払われず、そういった意味では個人事業主と言える。
売買社員の販売形態は大きく次の二つに分類される。
▲直接買入売上げ型
売買社員が直接自分の資金で商品車を仕入れた後、整備・商品化の過程を通して、展示販売する形態である。
▲買入売上げ仲介型
売買社員が直接車を購入せず、見込み客を確保した後、他の売買社員が仕入れた
商品車の中で、顧客の要求に合う車種を斡旋して手数料を徴収する形態。
7
3) 登録社員
唯一、中古車事業者との間で雇用関係があり、中古車事業者から給与が支払われている社員で、主に経理、書類などの業務を
担当している。一般的にOLがこの業務に当たっている。日本の管理系スタッフと同様。
4) 売買社員の資格、役割
▲売買社員になるためには、まず特定の中古車事業者に身元保証書を提出し、そこの所属としての売買社員証の交付を受けなければい
けない。複数の中古車事業者に所属することはできず、また中古車事業者に所属しないで個人的に営業するのは違法である。
▲売買社員は本人が直接自分の資金で自由に商品車の仕入れや販売をすることができ、資金の余裕がない場合、他の売買社員の保有
車を対象に斡旋をして手数料を得ることができる。
▲売買社員は営業のために広告紙やインターネットを通じて、本人の費用で広告を出す。最近はインターネット広告に対する依存度がより
高くなってきている傾向にある。
▲販売が成立すれば、一台当りの販売金額に比例して、中古車事業者に手数料を支払う。売上利益から手数料を除いた金額が、売買社
員の最終的に得る収益である。手数料の基準は売買団地や中古車事業者に多少の違いがあり、売買社員は入金の負担がどれぐらいに
なるかや営業効率などを考慮しながら働く中古車事業者を決める。
▲仕事の出来る売買社員が多ければ多いほど利益が拡大する為、中古車事業者は優秀な社員を入社させるために様々な努力をしている。
▲売買業者を直接運営する代表とは異なり、固定費用の負担なく本人の能力によっては相当の収入が保証される実質的な自営業である
ため、他業種から新規で中古車売買社員として転職してくる数は多い。
8
④ 中古車取引きに関する法規
▲自動車管理法
中古車売買業は自動車管理事業の一種であり、自動車管理事業は自動車(中古車)売買業・自動車整備業及び自動車廃車業
を総合する概念である。法律上「自動車売買業」となっており自動車(新車及び二輪自動車を除く)の売買または売買斡旋及び
その登録申し込みの代行を業務とすることになっている。
自動車(中古車) 売買業の条件、登録手続きとその他中古車取引きに関わる諸般事項は、すべて自動車管理法と自動車管理
法に基づいた施行規則、施行令に銘記されている。
*当然自動車保険に関わる事項は自動車損害賠償保障法に。訪問販売による規定は訪問販売法に規定されるなど流通と関わ
る付随的な事項は、別途の個別法に銘記されている。
⑤ 自動車関連税制
1) 流通段階別分類
・取得過程(6):特消税,特消税教育税,自動車賦課税,取得税,登録税,公債
・保有過程(2):自動車税,自動車税教育税
・運行過程(4):油類特消税(交通税),油類特消税教育税,走行税,油類付加価値税
*特別税は最初に新車購入をした場合、新車価格に含まれているため、中古車取得取引時には、特別税
を別途に納付しない。
2)徴収主体別分類
国税(6)
地方税(6)
特殊税
自動車特消税,油類特消税(交通税)
交通税
自動車特消税教育税,油類特消税教育税
付加税
自動車賦課税,油賦課税
特殊税,登録税,自動車税,自動車税交通税,走行税,公債
9
⑤自動車関連税制
3)中古車取引時の税金
区分
一般消費者購入時
業者の商品車仕入時
所得税
全車種2%,軽自動車用除外
免除
登録税
乗用車5%,乗用車3%,軽乗用車除外
1%
公債
排気量によって4~20%
免除
*中古車事業者の商品用買入時は別途規定により特別恵沢が付与される。(別紙参照)
10
4) 課税段階別要約
区分
現況
-800CC未満:免除
-2000CC未満:5%
-2000CC超過:10%
特消税
特別税教育税
取 付加価値税
得
登録税
取得税
関連法規
特消税法第1条第②項3号施行
令第二条の2
特消税額×30%
教育税法第5条
(生産原価+特消税+特消税教育税)×10%
教育税法第5条
-乗用車5%,商用車3%,軽自動車除く
地方税法第132条の2
-全車種2%,軽自動車除く
地方税法第112条
公債
排気量によって4~20%
都市鉄道法第13条市道地域開発
基金設置条例
保 自動車税
有
-800CC以下80ウォン
-1000CC以下100ウォン
-1600CC以下140ウォン
-2000CC以下200ウォン
-2000CC超過220ウォン
地方税法第196条の5
-自動車税額×30%
地方税法第260条の3
自動車税教育税
油類
特消税
交通税
LPG
運
行 教育税
走行税
付加価値税
ガソリン
-535ウォン(基本税率630ウォン)
軽油
323ウォン(基本税率365ウォン)
-306ウォン(基本税率360ウォン)
交通税法第二条/特消税法第一
条第②項4号
油類特消税×15%
境域税法第5条
-交通税額×24%
地方税法第196条の17
(生産原価+油類特消税+油類特消教育税+走行税)×10%
賦課税法第一条
11
◇ 参考:京畿道道減税条例
第13条(売買用および輸出用中古車などに関する減税)
①
自動車管理法により、自動車管理事業(自動車売買業に限る)の登録をした者が売買用に取得した中古自動車に対しては
取得税を免除し、その自動車を登録した場合に登録税は地方税法第132条の2の規定はあるが、1000分の10の税率を規
定する。
②
建設機械管理法の規定により中古建設機械売買業として申告した者が売買用に取得する中古建設機械に対しては取得
税を免除する。
③
対外貿易法による貿易法または貿易代理法を営む者が自家輸出用に取得する中古自動車、中古機械整備、中古船舶お
よび中古航空機に対しては取得税を免除する。
④
第一項または第三項の規定を適応するに当たり、その取得日から一年以内に正当な理由なくその中古自動車などを実需
要者に売却しなかったり輸出しない場合には、免税された税額を徴収する。
◇ 参考:都市鉄道法施行令
第12条(都市鉄道債券の買入対象など)
法制13条の規定により、都市鉄道債権の買入対象およびその金額は別表2に定めた範囲内で市、道の条例として定める。
・次の1に該当する場合は上の表の中の第一号の都市鉄道債権を買入しない。
(1)自動車管理法第53条第一項自動車管理法により、自動車売買業の登録をした者が販売する目的で抹消登録された自
動車を買収し自己名義で新規登録したり販売目的で自己名義に移転した場合。
12
⑥ 付加価値税が中古車流通に及ぼす影響
1) 中古車売買業と付加価値税の簡易課税
中古車売買業の定義は中古自動車という中古品を仕入れ、これを現状でもしくは整備、商品化して販売する事業である。しかし
中古車を仕入れる相手が事業者あるいは法人ではない個人の場合には、その個人から税金計算書を受けとることができない。
そのため個人から仕入れた車輌を販売する場合には、売上げ税額だけが発生し仕入れ税額を算定して反映することができな
いため中古車事業者に過重な税負担が強いられている。このような問題点を考慮して徴税特例制限法で中古車事業者が個人
から中古車を仕入れる場合には、税金計算でなくても決まった証拠を備えた条件の下で仕入れた金額の 10/110を仕入税額と
して簡易課税を認めている。中古車輸出業者が輸出向けに仕入れる中古車に対しても、同じ主旨で簡易課税を認めている。
△ 付加価値税計算事例
区分
仕入
販売
差額
取引内訳
4,400,000
5,500,000
+1,100,000
供給加額
4,000,000
5,000,000
+1,000,000
付加税
400,000(買入付加税)
500,000(売出付加税)
100,000(納付税額)
*買入付加税 - 売出付加税 = 確定納付税額
13
<租税特例制限法>
第108条(再活用廃資源などに対する付加価値税買入税額控除特例)
①再活用廃資源および中古品を収集する事業者が国家・地方自治体その他大統領令が定める者から再活用廃資源及び中
古品を取得して製造または加工し、これを供給する場合には再活用廃資源に対しては取得価額に 108分の 8を掛けて計算し
た金額を、 中古品に対しては取得価額に110分の10を掛けて計算した金額を付加価値税法第17条第1項の規定による売上げ
税額として買入税額に控除することができる。 <改訂 2005.7.13>
②第1項の規定を適用するにあたり再活用廃資源及び中古品を収集する事業者の範囲、再活用廃資源及び中古品の範囲、
買入税額控除方法その他必要な事項は大統領令で定める。
<租税特例制限法施行令>
第110条 (再活用廃資源に対する付加価値税買入税額控除特例)
①法第108条第1項で「その他大統領令が定める者」としたのは付加価値税課税事業を営まない者(免税事業と課税事業を兼
業する場合を含む)と「付加価値税法」第25条に規定された簡易課税者を指す。
③法制108条の規定によって買入税額控除を受けることができる事業者の範囲は次のとおりである。
2. 「自動車管理法」によって中古自動車売買業登録をした者
4. 第4項第8号の中古自動車を輸出する者
④法制108条の規定によって買入税額控除を受けることができる再活用廃資源などの範囲は次の通りである。
1.古鉄 /2.廃紙 /3.廃棄ガラス /4.廃棄合プラスチック類)/5.廃棄合性ゴム /6.廃棄金属カン/7.廃棄乾電池
8. 自動車管理法による自動車(中古自動車に限る)
14
⑤法制108条の規定による買入税額控除を受けようとする者は「付加価値税法」第18条または同法第19条の規定による申告時
に、財政経済部令が定める再活用廃資源などの買入税額控除申告書に 「所得税法」第163条または「法人税法」第121条の
規定による仕入れ別計算書合計表または領収証を添付して提出(国勢情報通信網による提出を含む)しなければならない。こ
の場合再活用廃資源などの買入税額控除申告書に次の各号の事項が記載されているかどうか、その取引き内容が事実と
異なる場合には買入税額を控除しない。
2) 付加価値税に対する中古車事業者の認識
*中古車事業者は付加税の負担を憂慮し、付加税の正常な納付を避けようとするが、これは付加価値税だけの問題ではない。
*付加税を納付するためにはまず商品用に仕入登録をし、販売をしなければならないが、そうなると仕入金額に比例して登録税、所得税
(法人税)の負担が増えるため、まったく仕入登録をしないケースが多く、よって結果的に付加税まで納付をすることが出来なくなる。
*一度商品用として仕入登録(事業者への名義変更)がされると、登録税、付加価値税、所得税がすべて発生する。
*すべての税金をすべて納めると相当な負担になるので、事業者への名義変更が敬遠される。これによって長期在庫車では名義変更遅
延による自動車税のトラブルなども発生し、中古車事業者としての社会的信用も損なう。
*従って韓国の中古車取引では長年当事者間取引(中古車事業者が介在するが取引自体は個人間売買の形態)が定着してしまっている。
*法遵守を前提に誠実に申告をすることが全く不可能ということではないが、三つの税務関連知識や処理過程をあまり学習しようとしない
ことや、一連の知識に対する学習が容易ではないことも問題。
*輸出業者の場合付加価値税還付額が、売上利益に占める比重が大きいため、仕入契約書上、仕入金額を過剰計上する違法が行われ
るケースもある。
15
⑦ 韓国の中古車輸出事情
1) 日本とは違う輸出環境
・韓国には日本のようなAA会場が多くないため輸出 ORDERを大量に確保しても、該当の車両をタイムリーに仕入れるのが非
常に困難である。したがって韓国では中古車輸出事業をするためには必ず中古車買入専門の人材(売買社員)の絶対数を確
保して足で稼ぐか、その他買入ネットワークを構築しなければならないのが現実である。
・韓国の内需中古車取引きにおいては、インターネットが幅広く活用されているが、輸出においてはインターネットの活用が活
発ではない。したがって海外のバイヤーが国内に入国し、実物の車両を確認するかあるいは掛売り条件で海外に船積みをし、
海外で販売契約が締結された後、国内に送金されるケースが多い。
・日本は競売に出品された車を外国から直接インターネットで確認し、事前に契約が締結されてから、船積みがされるケースも
少ないが韓国はまだこのような形態の輸出はあまり見られない。
2) 輸出車輌の傾向
・伝統的には完全な商品になっていない状態(現状)での輸出が主流だったが、最近では商品化後に船積みの割合が増えて
いる傾向にある。ロシアの場合は、商品化を経てから船積みされている。
・輸出車輌も以前は低年式、低価格の車輌が中心であったが、最近は漸進的な高級車,良質車の比率が増加し、国内需要と
バッティング傾向にある。
・しかし輸出車輌は仕入時の付加価値税10%が還付されるため、内需販売対比で価格競争力がある。とは言え、このような条
件下であるが故に、結果的に輸出車輌の相場は高騰し、仕入れが難しくなりつつある。
3) 主要輸出地域
・韓国産車が左ハンドルという長所はあり、輸出地域は比較的広いが大量に輸出される地域は多くない。
・現在韓国で比較的活発に輸出がなされている地域はヨルダン、スーダン、リビア、ロシア、モンゴル、タジキスタン、キルギス、
コスタリカ、ペルーなどである。
16
セミナー2
「日本と韓国の中古車流通総合比較」
~中古車流通における両国の違いを検証~
講師:金 元夏氏 交通情報新聞 発行人
17
■ 韓國 新車 Maker別 生産,販賣,輸出 現況
生産
國內 販賣
輸出
損益 (單位 : 百萬員)
區分
2004年
2005年 贈減率 2004年
2005年 贈減率 2004年
2005年 贈減率 2004年
######
######
6.5%
######
######
4.5%
######
######
8.6%
乘用
######
######
7.5%
857,977
913,470
6.5%
######
######
7.9%
商用
346,864
340,407
-1.9%
235,675
229,091
-2.8%
102,987
128,792
25.1%
######
######
0.5%
550,317
570,734
3.7%
######
######
0.6%
乘用
######
######
-0.2%
390,779
415,257
6.3%
######
######
-1.8%
商用
200,706
211,828
5.5%
159,538
155,477
-2.5%
40,821
67,434
65.2%
######
######
8.4%
251,646
266,508
5.9%
761,637
838,037
####
乘用
897,302
######
11.5%
197,128
213,603
8.4%
701,176
780,241
11.3%
商用
122,439
105,030
-14.2%
54,518
52,905
-3.0%
60,461
57,796
-4.4%
555,143
GM DAEWOO
646,048
16.4%
104,457
107,583
3.0%
456,639
544,732
####
合
計
HYUNDAI
KIA
乘用
540,587
631,712
16.9%
89,999
93,658
4.1%
456,639
543,451
19.0%
商用
14,556
14,336
-1.5%
14,458
13,925
-3.7%
-
1,281
-
130,783
SSANGYONG
135,901
3.9%
97,851
75,527
####
32,533
65,521
####
32,497
65,521
乘用
130,783
135,901
3.9%
97,851
商用
RENAUL
T
SAMSU
ETC.
-
-
-
-
75,527 #####
-
-
36
#####
2005年
######
######
36.1%
######
######
32.6%
662,026
680,094
2.7%
######
65,463
137.9%
11,388
######
-1007.6%
- #####
80,906
118,438
46.4%
82,220
115,425
####
2,878
3,610
####
7,753
110,119
9,163
9,213
0.5%
7,161
6,784
####
1,669
2,281
####
-
-
18
贈減率
1320.3%
① 準拠法
▲ 韓国
・自動車管理法 : 目的-->この法律は自動車の登録・安全基準・認証・製作欠陥是正・点検・整備・検査及び自動車管理事
業等に関する事項を定め自動車を效率的に管理し、自動車の性能及び安全を確保することで公共の福祉を増進することを
目的とする。
▲ 日本
・古物営業法 : 目的-->この法律は盗難品等の売買の防止、迅速な発見などをはかるために古物営業に関わる業務に対し
て必要な規制等を行い、節度それ以外の犯罪防止を図り、被害の迅速な回復が出来るようすることを目的とする。
・道路運送車法 :-->この法律は道路運送車に関して所有権の公正を期すると同時に安全性の確保、公害の防止と整備技
術の向上を図り、さらには自動車整備事業の健全な発展を支援することで公共の福祉を増進することを目的とする。
・自動車公正競争規約(公正取引協議会制定) :性能状態点検記録部運営と類似した趣旨で運営
② 中古車事業者の資格、条件、行政手続
区別
韓国
日本
資格付与
登録制
許可制
資格要件
営業施設および土地の確保
禁治産者、限定治産者除外など
法律要件を具備
行政機関
市庁、郡庁、区庁
都道府県公安委員会
その他
売買組合への加入が必要
業界への参入障壁
実質的に存在する
事実上の壁は無い
19
③ 市場概況(小売、AA、輸出)
区分
小売
AA
輸出
日本
韓国
事業者数
11.000箇所
3840箇所
売買社員数
約50,000人
約27.000人
05.取引数
810万台
173万台
AA会場数
132箇所
4箇所
AA会員数
推定10万以上
600業者
05.AA実績
7,965,534台
60.000台
輸出業者数
400業者
150業者
05.輸出実績
94万台
17万台
備考
日本はJU会員
*中古車事業者の大部分は共同事業場において営業しており、現在総3,840の業者中90%以上が共同事業場内において
ビジネスを展開していると推測されている。単体中古車事業者の力だけでは効率的な仕入、販売が現実的に困難なため、
共同事業場の必要であり、共同事業場の中において競争および協力関係を維持している。しかし共同の規約を遵守せね
ばならず、差別化されたマーケティング戦略を試行するのが難しいという短所もある。(大企業の子会社の中古車事業者
は共同事業場で営業が煙たがれる)
*AA会場の会員として加入した業者は約600箇所あるが、これらは殆どが新しい営業方式を模索している若い経営者か商
品用中古車を確保するのが難しい業者が中心になっている。
*輸出業者は英語での意思疎通が可能であり、輸出実務に精通している若い経営者が多いが、特定の地域の輸出実績増
減の趨勢により、業者数の増減が激しい。現在は全般的に輸出の条件が不利であるため、業者数が少なくなっている。
20
④ 標準的事業者の営業及び損益規模
区分
営業人員
月平均販売
月間売り出し利益
平均保有在庫
月間販売回転率
日本
3~8人
20台~50台
約14万円
47.75台
0.4~1.0回
韓国
備考
5~10人
20~40台
1.000~2.000万ウォン
20~40台
0.8~1.0回
日本・一社の年間平均販売台数525
日本・平均販売価格89.2千円×15%
*中古車事業者に勤務している売買社員は固定給をもらう正社員ではなく、一種の契約社員であるため、離合集散が激しい。一台
あたりの平均売り上げは約40~50万ウォンであり、業者の月平均固定運営費(借車代、管理費、OL給料など)として約500~600
万ウォンの支出があるため、業者としては月に20台程度を売っても大した収益を出すことが出来ない構造にある。
仕入車両が販売されるまでに普通30~40日程度の時間がかかると言われているため、月間在庫回転率は1.0以下である。
21
⑤ 商品用中古車の販売
区分
主力仕入れ経路
平均仕入れ単価
商品化費用
仕入れ段階
日本
AA会場が主流
平均543,000円
平均4万円
AA直仕入れ
韓国
新車セールスマンからの下取り,縁故からの仕入れなど多様
平均4.500.000ウォン
平均150.000ウォン
2~3回の中間紹介経由
備考
*過去には中古車展示場に顧客が直接足を運び中古車を選んで購入するのが一般的だが、最近はとりあえずインターネットで商品を確認
したり問い合わせた後、中古車の展示場で実物を確認し、契約にいたるケースが多い。
そのため中古車事業者は保有している中古車を一度ネット上に載せるのがビジネスの基本になっている。販売した中古車はエンジンや
ミッションなど、重要な機関は大よそ一ヶ月程度の品質保証をつけるケースが多い。最近では法的に中古車の性能、状態の点検記録簿
を顧客に交付しており、記録簿の記録に錯誤や虚偽があった場合は性能点検者と売買業者から賠償が受けられるよう消費者保護が強
化されている。
⑥ 商品用中古車の仕入
区分
主要販売経路
広告媒体内容
保証制度
周辺事業内容
日本
直販及びAA出品他
折込チラシ、インターネット他
六ヶ月もしくは5千キロ保証他
中古車ローン、保険など
韓国
備考
店頭販売
地域広告紙、インターネット
一ヶ月間保障(核心箇所)
中古車ローン、保険など
*韓国の中古車事業は「買う商売」と言われている。これほど仕入が中古車事業の重要な過程である。中古車事業をうまく展開している
業者の多くは、多様な買入経路を持っているか、特別な仕入ノウハウを持っている。消費者から直接商品用中古車を仕入れるケースも
あるが、普通は2~3段階の紹介を通して仕入が成される。
この場合段階別に所定の紹介費用が掛かるため損益上不利益を被る。韓国の中古車はドライバーの運転が荒く、走行距離が長いた
め車両の性能や耐久性の高い車両の商品化の必要性があると考えるが、現在は殆どが外観を中心とした商品化がなされているという
問題がある。
22
⑦ その他比較
区分
車庫証明
景品提供規制
査定士制度
PL法対応
廃車支援システム
登録、保有費用
韓国
必要なし
該当なし
日本
登録時車庫証明署が必要
中古車取引時にも適用
備考
施設期間で一部運営しているが実効性はない
品質、価格評価システムとして運営及び社会的認定
まだ認識がない
ない
重量税はなく登録税を徴収
中古業界でも準備
全体の売買業者次元で運営(政府が制度的支援)
登録税はなく重量税のみ賦課
*韓国では軽自動車だけでなく一般乗用車にも車庫地証明制度が適用されていない。新車の販売時には多様な景品を消費者にサービス
として提供する慣習があるが、中古車販売時には景品やサービス品は支給されないことが多い。
従って景品提供規制などに関しては全く関心がない。査定士制度は韓国でも導入されたが、現在は私設団体でのテスト段階であり、実
際に査定できるほどの専門家がまだ育っていない。
最近韓国でも環境保護のため廃棄物義務回収制度が導入されたが、中古車部門ではこれに対する具体的な規制はまだない。韓国で自
動車購入時の取得税は2%と低いが、別途に登録税を5%徴収しており、購入者の負担は大きい。そのため日本のような重量税は賦課
されない。
⑧ 組合活動(韓国の場合)
区分
互助活動
収益事業
その他
日本
AA・封印事業
韓国
地方部、団地別に一部で運営
なし
備考
*韓国では売買組合や連合会に対する評価や認識があまり良くなく、連合会の役割に対して期待は大きくない。
23
⑨ 教育(営業及び経営)
区分
日本
韓国
行政管理
管理者講習会
法定事項電算管理教育を主に女性職員を対象に実施。
営業実務
査定士制度活用
中古車業者別に個別に実施。車両評価、価格提示中心
経営教育
管理者講習会
なし
備考
*法的業務処理の内容や手続きの変更があった場合、変更の伝達および理解のための実務女性職員への教育は比較的
定例化されているが、その他の教育はない。
*ソウル競売場などでは自動車評価および中古車業実務教育を2カ月間有料で実施しており、業界での反応はよい。特に
自動車評価教育は多くの売買社員が履修したいと考えているが、それは中古車に対する体系的教育の不足のよい例だ
とも言える。
24
⑩ AA会場の運営
区分
日本
韓国
運営主体
新車メーカー型39箇所
私設企業型47箇所
商工組合型46箇所
新車メーカー2つ
私設型2つ
出品資格
中古車事業者(AA会員)
制限なし
落札資格
中古車事業者(AA会員)
AA会員
出品料
平均70.000ウォン
50,000ウォン
競売手数料
平均80.000ウォン
その他成約手数料
平均80.000ウォン
落札価格の2%(90.000ウォン)
その他成約手数料
加入保証金
1.000.000ウォン前後
3,000.000ウォン
年会費
なし
200.000ウォン
備考
*新車メーカー系列が運営している2つのAA会場以外に、実質的にまともなAAが行われることはない。
*固定的・体系的に出品物量を確保できる能力がないためである。出品物量を最大限確保するため日本とは異な
り、出品資格に制限を設けていない。
*しかし落札資格はAA会員に加入した中古車事業者や輸出業者に限られている。AA手数料は平均的な車両価
格を考えると日本よりも多少高いと判断できるだろう。
25
セミナー3
「韓国中古車流通業界の実態」
~取引形態の変遷と現状の問題点
講師:申 鉉道氏
㈱ソウル自動車競売 常務理事
26
① 業界の趨勢
1) 韓国の新車・中古車市場の推移
1996年
年度
自動車保有台数
新車販売台数
(増加率)
中古車販売台数
(増加率)
1997年
1998年
1999年
2000年
2001年
2002年
2003年
2004年
2005年
9,553,092 10,413,427 10,469,599 11,163,728 12,059,276 12,914,115 13,949,440 14,586,795 14,934,092 15,396,715
1,645,037 1,508,159
779,950 1,273,029 1,430,460 1,451,450 1,623,446 1,314,427 1,146,173 1,168,392
(6.0)
(-8.3)
(-48.3)
(63.2)
(12.4)
(1.5)
(11.8)
(-19.0)
(-12.8)
(2.0)
1,110,985 1,256,622 1,197,521 1,446,102 1,721,236 1,817,898 1,896,610 1,773,130 1,646,877 1,725,029
(12.0)
(13.2)
(-4.7)
(20.8)
(19.0)
(5.6)
(4.3)
(-6.5)
(-7.1)
(4.7)
322,439
438,085
460,696
726,455
983,378 1,061,343 1,111,700
908,737
834,424
923,389
(24.4)
(35.9)
(5.2)
(57.7)
(35.4)
(7.9)
(4.7)
(-18.3)
(-8.2)
(10.6)
801,640
787,546
818,537
736,825
719,647
737,858
756,555
784,910
864,403
812,453
(-1.4)
1,521
1,840
2,065
3,179
3,951
4,440
4,710
4,692
4,100
3,840
230
261
236
277
276
253
243
194
190
233
中古車業者販売台数
(増加率)
個人間売買取引台数
中古車事業者数
1事業者当販売台数
2,000,000
5,000
1,800,000
4,500
新車販売台数
1,600,000
4,000
1,400,000
3,500
1,200,000
1,000,000
800,000
600,000
3,000
中古車販売台数
2,500
2,000
個人間売買取引台数
1,500
中古車事業者数
400,000
200,000
1,000
中古車業者販売台数
500
0
0
1
年
996
金泳三政権
1
年
997
1
年
998
1
年
999
2
年
000
2
年
001
金大中政権
27
2
年
002
2
年
003
2
年
004
2
年
005
盧武鉉政権
【推移分析】
*韓国の中古車取引は市場形成以後、継続して取引台数が増加し、96年度には年間取引台数が100万台を突破し、IMF時代にあたる98
年度にも前年比がそれほど大きく減少せず、それ以後2002年まで一貫して成長を見せてきた。
*しかし2003年と2004年には前年対比減少傾向を見せており、2005年には少し上昇を見せたが、勢いは止まっている。最大の原因は新
車販売台数の急激な減少による中古車市場への流入物量の減少と全般的な消費者心理の萎縮により、自動車の交換周期が先送りに
なっている傾向があると見受けられる。2006年以降にも新車販売台数が急増するかその他全般的な内需契機が好転しない限り、中古
車取引は保合勢あるいは小幅の増加勢を見せるに留まると見られている。
*事業者取引率は2005年に53.5%を見せたが、これは韓国中古市場のあいまいさが見られる数字である。98年以前の20~30%水準の
事業者取引率は議論するまでもないが、現在の50%の水準の事業者取引率も実際の取引の実情とはかけ離れている歪曲された数字
であるといえる。つまり事業者取引を当事者取引として偽装して申告しているために表れている数字である。偽装申告の理由について
後述する。
*しかし実質的な当事者取引は増加している。インターネットの普及により一般消費者の中古車に対する情報の入手が容易になり、この
分野の知識が拡大した。そのため信頼性にかける中古車事業者から中古車を購入するよりも、直接中古車を購入する傾向が高くなり、
必然的に当事者間取引が増加している。具体的な統計はないが、総取引台数の内20~30%程度は当事者間取引であると推測される。
*国内新車販売台数は1995年年間最多販売数を記録して以降、激しい起伏を見せながら、2005年現在117万台という低調な販売台数を
見せている。IMF当時の1998年に78万台のレベルにまで急激に減少した販売数は、それ以降漸進的に回復を見せ2002年には162万台
にまで到達した。しかしそれ以降続けて下落し、110万台の水準に留まっている。韓国の内需の景気が最近多少回復の兆しが見え始め
たため、その後漸進的に増加勢が予想されるが、過去の150万台以上の水準にまで戻るには相当の時間がかかると見られる。
*2003年以降国内総登録台数の増加勢も微々たるものとなっている。新車販売台数の不振が大きな理由として挙げられるが、海外に輸
出される中古車台数が増加しているのももう一つの理由になるだろう。
28
2) 中古車輸出台数
総輸出台数
前年代比率
1996
9.109
-57.3%
1997
35.732
292.3%
1998
87.837
145.8%
1999
81.512
-7.2%
2000
88.508
8.6%
2001
110.177
24.5%
2002
121.099
9.9%
2003
163.059
34.6%
2004
273.878
68.0%
2005
169.534
-38.1%
【推移分析】
*1998年のIMF事態によってウォン貨レートの急激な下落および内需の沈滞が起こったが、中古車輸出においては肯定的な環
境を作り、輸出台数が増加していった。特に対イラクへの輸出がピークを迎えた2004年には27万台まで輸出台数が増加した。し
かしイラク特需がなくなり、ウォン貨レートの切り上げの影響により輸出は不振に陥っている。2005年は輸出の実績を17万台のレ
ベルにまで維持した。しかし現在(2006)は昨年と同じ輸出環境が続いているが、12万~13万台程度の輸出に留まると見られて
いる。
▲ 統計上個人取引の実際
前述で少し言及したが、統計上の当事者間取引は実際には事業者取引や様々な理由から当事者間取引に偽装して申告しており、台数が
少なくないため、この数字をこのまま信頼できない。
偽装当事者間取引が増えているのはなぜか?最も大きな理由としてはまず税務上の負担を免れるためであるといえる。合法的に中古車取
引するためには商品用中古車を中古車事業者に名義移転し、顧客が確保された後、この顧客の前で再び名義移転をしなければならない。
このような過程を通すと付加価値税や登録税、さらには所得税を納付しなければならず、損益上の不利益を破る。このような損益上の問題
のために商品用車両を中古車事業者の前で名義移転をせず、最初の消費者から最終消費者に直接名義移転をさせる方法が偽装当事者
取引の場合に使われる。
*事業者取引では販売仕入取引と斡旋取引があるが、殆どの取引は実質的には販売仕入取引の相当数が斡旋取引として申告されてい
る。これもまた販売仕入申告による各種税金負担から免れるための方便であるといえる。
29
☆ 原則,合法的 中古車 去來過程
名義 移轉
賣買契約書 作成
名義 移轉
移轉書類
車輛 賣却
買渡人
賣買代金 支拂
稅金 負擔 無
車輛 販賣
賣買業體
登錄稅 ,
附加稅 納付
30
賣買代金 入金
買受人
取得稅
登錄稅 納付
☆ 變則,不法的 中古車 去來過程
僞裝 當事者去來
名義 未移轉
移轉書類 `
車輛 賣却
買渡人
賣買代金 支拂
稅金 負擔 無
名義 移轉
僞裝 斡旋
車輛 販賣
賣買業體
賣買代金 支拂
僞裝斡旋 : 斡旋手受料 附加稅 納付
僞裝 當事者去來 : 納付 稅金 無
31
買受人
取得稅
登錄稅 納付
3) 中古車業界の過去と現在
区分
市場参加者
販売形態
市場情報露出
消費者認識
経営形態
過去(90年代)
トラックドライバーなど運転に関わるもの、また
整備士など
店頭販売、縁故販売
品質、価格、取引過程が不透明
不透明さを恐れ、消費者が市場に接近しな
かった。
現在(2000年以降)
新車販売社員、その他ホワイトカラー層が大挙新規
参入
広告紙、ネットを通じた広告販売
大部分の情報がオープン
中古車事業者の対応水準がいまだに消費者の満
足するレベルに達しておらず満足度は低い。
閉鎖的企業形態/収益性擁護
公開的流通業/収益性悪化
4) 大手資本の企業による業界新規参入が不振である要因
・市場の未成熟
中古車市場において需要者の要求形態や取引手続きにおいて均衡が保たれていないだけでなく、複雑な場合が多く、画一化された企
業型営業システムがこれを受容するのは難しい。
・システム重視に対する盲信
企業型の営業システムは一見消費者志向的で合理的なようにみえるが、最小限の経済規模を確保できていない場合、販売仕入の効率
性や損益維持が不利であり、かえって固定費用の負担がかさみ、一般小規模中古車事業者に対する競争力が落ちる可能性もある。
・人材に対する軽視
中古車市場での顧客の要求は必ずしも合理的なものだけではない。多様な顧客層に柔軟に対応、処理するためには市場の動きをしっ
かりと理解している中古車流通営業の専門家が現場に必要である。有能な人的資源の発掘、育成のないシステム志向的な営業は意味
がない。
・ 原価、費用管理をないがしろにしている
中古車流通事業は高い収益を期待できない。そのため費用の規模と損益の趨勢を考え、漸進的に事業の規模や領域を拡大することが
望ましい。企業型は大抵資金力やシステムにおいて優位であると考え事業を急拡大させ、損益構造が急速に悪化する傾向がある。
32
5) 中古車共同事業場(団地)の活性化とAA企業の不振
消費者の立場からすると多様な車種と車両数の中から本人が購入したい車両を選択したいと考えている。通常、中古車事業者の平均保
有台数は30~50台に満たないが、これだけの在庫台数では消費者を中古車事業者に引き寄せるのは困難である。そのため20あるいは
30程度の中古車事業者が連合して、共同事業場を作れば事業場内保有在庫が少なくとも全体の在庫は600台から最大1500台にまで増え
るため、消費者の誘致に有利な環境を作ることが出来る。
保有在庫は多ければ多いほど有利であるという認識が強く、土地の賃貸料が安い地方では100の中古車事業者が営業をする大型共同事
業場が作られたりもしている。
共同事業場が活性化するもう一つ理由は、韓国独特の売買社員制度にあると考える。売買社員たちは本人が商品用として直接買入する
車両だけでなく、他業者の保有している商品用車両も斡旋販売をし、手数料をもらうため、保有台数が多い共同事業場内の売買業社に就
職することを好む傾向にある。中古車事業者の代表の立場からすれば優秀な売買社員を誘致するためにも、より大きな共同事業場を作
るよう努力するようになり、そのため共同事業場が活性化し、大型化していく。
6) AA企業の不振の要因
共同事業場が活性化しているため、相対的にAA会場の必要性を余り感じない。共同事業場は大型小売市場としての基本的な役割も果
たしているが、結果的にはその中で中古車業者間の商品の交換及び売渡供給の役割もしている。共同事業場で商品の好感および売
渡供給が成されるため、このような役割だけを別途に行うAA会場に対する依存度は弱くなる。
現実的に韓国内でしっかりとした売渡供給の役割をするAA会場の数が少ないというのもオークションという流通の形態が根付かない重
要な要因であると考える。中古車事業者の立場から見れば、数の少ないAA会場を商品の確保あるいは販売の対象として営業はできな
い。競売場の数が少ない理由は適正な出品物量が確保しにくいという基本的な問題があるためである。出品物量の確保が容易な環境
が造成されれば韓国でもオークションが中古車流通の一つの形態として根付いていく可能性は十分にある。
33
② 業界の構造的問題
1) 税制,法制上の問題点
・税制面 :・個人間直取引の有利性(規制事項が殆どない)
・個人事業者のマイカーに対する課税問題
・税負担が重いことで利益を圧迫。それにより、過少申告などの違法行為に走りやすい。
・法制面 : ・管理、統制中心の法規定
・中古事業者に遵法意識が薄い
・売買業育成に関心を置く政府部署がない
2) 付加価値税負担によるさまざまな壁
・根本的に中古車事業者が商品用登録を避けている。一度商品用として仕入登録された場合、登録税、付加価値税、所得税
(法人税)などの納付義務が発生するため、できるだけ商品用登録をせず斡旋販売形式に偽装したり、当事者間取引として処
理しようとする。
・付加価値税や所得税の100%申告、納付など合法的に営業をするには、中古車事業者が全般的に零細で損益構造が脆弱す
ぎる。
3) 新車セールスマンによる横流しの実態
・中古車事業者の営業基盤を侵食する最大の問題点
・全体的に、慣行的になされているため統制が取れない
・90年代初めまでは顧客から処理の委託を受けた中古車を多くの中古車事業者を通じて処理していたため、中古車事業者とは
共生関係にあり何の問題もなかったが、最近は新車ディーラーが直接インターネットを通じて中古車の取引したり、中古車事
業者に高い値段での仕入れを要求するなど中古車事業者との対立関係が表面化してきている。
・取引実態 : 委託形態で販売後、差額を着服したり新車セールスマンが顧客の車を実質的に引受(買入)、 個人的に変則販売
(無登録営業)
・AA会場がある首都圏地域は新車メーカーからAA出品に誘導する為、変則及び違法的事例は少ない。
4) 政府の中古車業界に対する認識及び今後の管理に対する展望
・自律的遵法の意志がないこと判断しており、今後にもずっと管理強化する見込み
・遵法を強制することができる制度の導入が展望されている
34
③ インターネット取引の実情
1) インターネットの影響力と今後の展望
・社会的なインターネットの依存度が高まり中古車業界もインターネット活用が不可避
・伝統的な地域広告紙の影響力が減少
・オンラインとオフラインの結合型中古車ビジネスの拡大が予想される
2) 中古車業界のインターネット活用実態
・個々の中古車事業者が自社ホームページを製作、自社出品物掲示
・仕入れよりは販売のために主要外部中古車サイトに商品車両を掲示
・ネットのショッピングモールに店を構えブランド広告及び商品用出品物を掲示
3) オンライン業態とオフライン業態の共存様相
・ポヘドリーム、エンカなど中古車専門ポータルサイトが導入された当初、中古車業界では、インターネットを通じて中古車取引
が長期的にオフライン業態である中古車事業者の営業領域を侵食することを憂慮し、オンライン業者に対して反対及び忌避の
態度を示した。
・しかしそういう反対論者たちまでも自分の保有車輌をエンカなどのサイトに掲示した結果、購入相談及び販売が活発になった
ことが確認されており、また本人が必要な商品用中古車をネット上の広告を通じて確保することができるようになり、このような
過程が繰り返されると、現在に至っては中古業界全体がインターネットの有用性について疑問を持たなくなった。
・しかしオンライン業者がブランド力を生かして自主的にオフライン営業(展示場を持って販売を開始)を同時に運営することに関
しては、自分たちのライバルになることを憂慮して情緒的に反発が強い。
・オンライン業者たちも法的な登録要件を備えれば制度的にオフライン営業ができるため、物理的にはこれら業社のオフライン
営業を阻むことはできない状況である。
・現在オンライン企業等は純粋にオンライン営業(出物広告誘致)のみを固守する形態とオフライン営業を平行する形態とが共存
している
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4) 主要オンライン業社の営業形態
▲ ポヘドリーム
・ブランド力及びアクセス件数において不動の1位
・ 出物広告の外にも多様な自動車関連コンテンツにより多くの自社ファン(マニア)を確保
・特に輸入車部門は国内唯一の専門サイトとして有名
・ オフライン営業はせず商品出物広告だけ誘致
・ 広告要請時、個別に出張し写真撮影後にサイト登録
・ 広告品質が最高であると評価され、広告料も業界で一番高い
▲ エンカ
・ SK グループの子会社
・一般消費者たちの認知度が一番高い中古車専門ポータルサイト
・ 2000年オープン初期にはオンライン広告誘致営業のみを行っていたが2001年からオフライン営業を別途に運営し現在全国で
12ヶ所の売り場を運営
・ 一般消費者たちからの呼応は非常に良いが、中古車事業者たちからはオフライン営業上の衝突で反発と牽制を受けている。
・ 2005年輸入車広告部門を営業開始したがまだ成果は出ていない。
・ 海外バイヤーたちのための英文による掲示板も運営中。
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▲ オークション
・ 世界的なオンラインオークション専門会社である e-bayから引き受けて運営している。
・一般商品部分のオークションは国内最高のシェアを占めるが、自動車部門のシェアはまだ弱い。
・ 株)オークションは中古車売買業登録をしなかったため、国内法規上の本来意味の自動車競売(オークション)はできないためインター
ネットオークション形態の商品用出物広告を出している。
・ したがって競売手数料を取ることができず、一台当り決まった金額の広告料を徴収している。
・ オンライン専門業者もインターネット上の競売ができるように政府に継続して要求をしているが、現在のところは収容可否が不透明(一般
中古車事業者たちの反発)
▲ オートショップ
・一番長い歴史を持った中古車専門ポータルサイト
・ 中古車事業者で利用する商品用中古車提示、売渡電算プログラムを開発、運営しており、国内業社中約70% 以上がこのプログラムを使
用している。
・ 各売買団地別に専担職員を派遣・常駐させながら広告を誘致する「デジタル団地」システムを運営するなど多様な形態の出物広告誘致
戦略を運営している。
▲ ハイマイカー
・ 中古車事業者たちが連合して作った中古車売買専門ポータルサイト
・特別に他社との差別化はないが、中古車事業者たちがオンライン業者に刺激され、対抗するサイトとして立ち上げた。
・ 最近ラジオに広告だすなど攻撃的な広告、広報を運営中
▲ オート 114
・(株)大宇ジャパンが投資して設立中古車専門流通業者
・現在はオンライン業社よりはオフライン営業を中心に展開。全国で18箇所の直営フランチャイズを運営中。
・(株)大宇ジャパン新車営業所から発生する中古車を小売形態で処理する。
▲ ヤルゲドットコム
・ GS カルテックスが運営する自動車専門サイト
・ 各売買団地別に特定中古車事業者と提携してヤルゲセンターを開設し提携毎に中古車事業者から月ごとに定額の提携手数料を徴収し
ている。
・ 提携中古車事業者は団地内の全体出物に対してヤルゲのサイトに無料で出物の広告を出し、斡旋販売し仲介手数料をもらえる権利を
保有している。
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<別紙資料>
韓国の中古車購買/販売パターンに関する消費者のアンケート調査
1.中古車購買関連アンケート
中古車を買った消費者は価格が手ごろで、買い替えがしやすい魅力という理由から中古車の購入傾向が継続して強いことが分
かった。しかし中古車の購買時の考慮事項は価格よりも品質が優先であり、中古車購入経路も現在は中古車業者の比重が高い
が、インターネットの利用率が高くなるに連れて、その比重が低くなってきていることが分かった。
1) 中古車購買類型
3) 中古車購買時主要考慮事項
買い替え
(中古→中古)
27.7%
順位
初めての購入
32.7%
買い替え
(新車→中古)
18.9%
追加購入
(中古→中古)
10.3%
1
2
3
追加購入
(新車→中古)
10.4%
忠実な価値
新車負担
今後(将来)
増減
1
中古車品質
41.3%
45.5%
+4.2%P
2
適正な価格
18.7%
15.9%
-2.8%P
3
事故の有無
17.6%
15.6%
-2.0%P
4
セールスマンの信頼
13.1%
12.5%
-0.6%P
4) 中古車購買経路
構成比
項目
安さ
構成比
過去
2) 中古車購買理由
順位
項目
過去
46.4%
20.5%
14.4%
今後(将来)
42.5%
30.6%
15.8%
区分
2005年
2004年
2003年
増減
-3.9%P
中古車購買
54.3%
51.2%
49.4%
+10.1%P
中古車処分
39.5%
37.0%
38.9%
+1.4%P
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別紙資料
1.中古車処分関連アンケート
中古車処分時インターネットサイトで車を売ったときが満足度が最も高い反面、中古車ディーラーに売ったときが不満が一番高
いことが調査によって分かった。またインターネットサイトと自動車競売場を中古車販売場所として利用するという自動車消費
者は増加しているが、中古車ディーラーに車を売りたいという消費者は大きく減少していることが分かった。
1) 中古車購買經路
順位
1
2
3
4
5
項目
中古車業社
新車営業社員
個人間直取引
インターネットサイト
競売場
過去
35.4%
25.8%
22.2%
3.1%
0.8%
構成比
今後
23.5%
27.8%
22.4%
14.7%
4.3%
増減
-11.9%P
-2.8%P
+0.2%P
+11.6%P
+3.5%P
2) 中古車購買理由
順位
処分経路
満足度
不満足度
1
インターネット取引
39.9%
11.3%
2
個人間取引
37.9%
8.3%
3
新車営業社員
26.2%
20.1%
4
中古車業社
15.8%
31.4%
39
別紙資料
3) 中古車業社取引時消費者の価格および品質満足度
・中古車業社を通した購買および処分の増加勢は明らか
・価格および品質満足度全てで上昇
・低い信頼度/今後の取引比率縮小などの否定的要因の改善が急がれる
①年度別中古車業者の取引比率
順位
項目
構成比
過去
今後(将来)
増減
1
中古車業社
51.3%
44.0%
-7.3%P
2
周りの紹介/個人間取引
30.1%
21.6%
-8.5%P
3
インターネット個人間取引
6.5%
16.1%
+9.6%P
③中古車業者取引時品質満足度
順
位
②中古車業者取引価格満足度
区分
購
買
2005年
2004年
2003年
とても満足
7.1%
6.9%
5.8%
満足
47.2%
45.1%
40.6%
合計
54.3%
52.0%
46.4%
項目
構成比
過去
今後(将来)
増減
1
中古車業社
51.3%
44.0%
-7.3%P
2
周りの紹介/個人間取引
30.1%
21.6%
-8.5%P
3
インターネット個人間取引
6.5%
16.1%
+9.6%P
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