Mastery for Service

キャリア・デザイン論
第10回講義(2009.06.18)
 社会・産業の構造変化と新しい職種・職業(Ⅲ)
*「発明の範囲」の拡大
・方法特許
・ソフト・ウエア特許
・ビジネス・モデル特許
*特許出願の手続き
*著作権
*知的財産権と国家政策
 演習1. 「発明の範囲の拡大」を 歴史的に概観し、
今後の拡大領域について提案しなさい。
演習2. 特許権と著作権の差異について論じなさい。
Mastery for Service
関西学院大学
発明の定義(Ⅰ)
-特許法第2条-
「発明とは、
自然法則を利用した技術的思想の
創作のうち高度のものをいう」
自然法則
自然界で経験によって見出される法則
人間の推理力・純知能的・精神的活動による法則はダメ
数学理論(数学問題の解法、暗号の作成法)
経済的法則、心理的法則、ゲーム攻略法
利用
実施の可能性と確実性を保証するために、
全体としての自然法則の利用
Mastery for Service
関西学院大学
発明の定義(Ⅱ)
-特許法第2条-
「発明とは、
自然法則を利用した技術的思想の
創作のうち高度のものをいう」
技術 :一定の目的を達成する具体的手段であって、
産業上利用可能なもの
思想 :目的を達成するための手段としての観念(idea)
又は概念(consept), 無形のアイデア
創作 :新規性と非自明性を有し、作りだしたもの
・単なる発見はだめ
高度 :実用新案法上の考案と定義上区別するためのも
ので、創作者が高度と考えれば高度であるとする
Mastery for Service
関西学院大学
発明の2大分類(Ⅱ)
物の発明
方法の発明
近年の新しい考え方による発明
1980年:微生物・動物の発明(チャクラバーティ事件)
特許の対象は、生物かどうかではなく、自然物かどうか
遺伝子操作、クローン技術の研究競争の動機を与えた
1981年:コンピュータ・プログラムの発明(ディーア事件)
ソフト・ウエア特許
1998年:ビジネス・モデルの発明(ステート・ストリート銀行事件)
ビジネス・モデル特許
Mastery for Service
関西学院大学
発明の範囲の拡大(1)
-特許概念のターニング・ポイント-
方法特許
ジェームズ・ワット事件(英国)
微生物特許
チャクラバーティ事件(1980年、米国)
ソフト・ウエア特許(コンピュータ・プログラム特許)
ディーア事件(1981年、米国)
ビジネス・モデル特許
ステート・ストリート事件(1998年、米国)
参考文献: ヘンリー・幸田著 「ビジネスモデル特許」(日刊工業新聞社、2000年)
Mastery for Service
関西学院大学
方法特許
18世紀前半では、
物理的な実体を持つ「物 の発明」の特許のみ
方法特許の第一号
ジェームズ・ワット事件(英国)
1711年ニューコメン 大気圧蒸気機関の実用化
1769年ワット 蒸気機関の完成
この発明は、
蒸気機関の燃焼効率を改善するための「方法の発明」
この「方法の発明」の特許が技術開発を活性化し、
イギリスの産業革命に大きな影響を与えた
「ポンプの動力源」から「万能蒸気機関」へ
Mastery for Service
関西学院大学
ワットの蒸気機関の原理
-方法の発明-
冷却器
バルブA
バルブA
バルブB
加熱器
ニューコメンの蒸気機関
公知発明
Mastery for Service
バルブB
冷却器
加熱器
ワットの蒸気機関
新発明
関西学院大学
発明の範囲の拡大(2)
-特許概念のターニング・ポイント-
方法特許
ジェームズ・ワット事件(英国)
微生物特許
チャクラバーティ事件(1980年、米国)
ソフト・ウエア特許(コンピュータ・プログラム特許)
ディーア事件(1981年、米国)
ビジネス・モデル特許
ステート・ストリート事件(1998年、米国)
Mastery for Service
関西学院大学
微生物特許
微生物特許
チャクラバーティ事件(1980年、米国)
1980年までは、
「生物の発明」は特許にならなかった
タンカー事故で流出した原油を消化処理をする
新種のバクテリアを開発
「この種のバクテリアは自然界に存在せず、
本発明によって創製されたものである。
従って特許を拒否する理由はない」
遺伝子操作、クローン技術などの
遺伝子操作の研究開発競争の発端となる
Mastery for Service
関西学院大学
発明の範囲の拡大(3)
-特許概念のターニング・ポイント-
方法特許
ジェームズ・ワット事件(英国)
微生物特許
チャクラバーティ事件(1980年、米国)
ソフト・ウエア特許(コンピュータ・プログラム特許)
ディーア事件(1981年、米国)
ビジネス・モデル特許
ステート・ストリート事件(1998年、米国)
Mastery for Service
関西学院大学
ソフト・ウエア特許
-カーマーカー特許の衝撃-
1964年 米国特許商標庁
最初のソフトウエア発明を拒絶
プログラムは思考の世界の創造である
1972年 WE社のアルゴリズムの特許を拒絶
「二進化十進数を純粋二進数に変換する方法」
思考プロセスと数学的手順(数学解法)に特許性はない
1981年 ハネウェル社の制御プログラムに特許
プログラムは、ハードウエアを特定目的のために一体化する
<配線のような物理的存在>で、特許の対象になりうる
1988年 AT&T社の線形計画法の数学的解法に特許
カーマーカー氏(インド人)のアルゴリズム特許
「効率的資源配分のための方法と装置」
Mastery for Service
関西学院大学
アルゴリズムと特許権(Ⅰ)
-米国・最高裁判所の3判決-
 ベンソン判決(1972年、ベンソン氏)
*アルゴリズムそのものは、特許にならない
*アルゴリズムの独占の結果を招く発明は特許にならない
 フルック判決(1978年、フルック氏)
*フルック氏の発明はアルゴリズムを独占しない
*しかし、本発明の新規な部分は数式表現された自然法則を発見する
アルゴリズムだけである
*故に、本発明はアルゴリズムを独占しないが特許を与えない
 ディーア判決(1981年、ディーア氏)
*アルゴリズムには、数学的手順とそれ以外の手順がある
*アルゴリズムの発明の内容が物理的手段と不可分の場合、物理的
手段と一体化した方法(アルゴリズム)に特許を認める
佐野稔著:岩波科学ライブラリー46「ソフトウエアと知的財産権」、(岩波書店、1997)
Mastery for Service
関西学院大学
アルゴリズムと特許権(Ⅱ)
-ディーア判決(1981年) -
 ディーア特許の概略
*所望の形状のゴム製品を製造する「ゴムの自動成型装置」の特許
・溶融した生ゴムを成型用鋳型に流し込む工程
・鋳型内のゴムを一定の温度と圧力に維持する工程
・鋳型内のゴムが「ある状態」に達したら取り出す工程
*本特許の要点
・ 「ある状態」の判断は、既存の数式により計算で行う
・計算のために、既存の数式を解くプログラムをつくる
・本プログラムの実行に必要な鋳型内の温度と圧力を測定する
・センサーから送られてくるデータをコンピュータに入力する
・プログラムとデータで数式を解き鋳型を開けるタイミングを決める
 ディーア特許の新規性
*「ゴムの自動成形装置」に不可欠な要素にプログラムを使用した
Mastery for Service
関西学院大学
アルゴリズムと特許権(Ⅲ)
アルゴリズムの特許性に関する設問
問題の解法のアルゴリズムは特許になるか?
新規性のあるアルゴリズムを組み込んだ
コンピュータ・プログラムは特許になるか?
アルゴリズムに関する近年の2つの考え方
数学分野での計算手順を意味する場合
・特許を認めない
数学以外の分野での計算手順を意味する場合
・数学以外の分野で<物を作るときの手順>を
意味するアルゴリズムには特許を認める
・これは、「自然法則を利用した発明」にあたる
佐野稔著:岩波科学ライブラリー「ソフトウエアと知的財産権」(岩波書店、1997)
Mastery for Service
関西学院大学
アルゴリズムと特許権(Ⅳ)
-カー・マーカー判決(1988年) -
「効率的資源割り当てのための方法及び装置」
資源割り当ての制約が
多次元空間の凸ポリトープで表され、
コストが本多次元空間におけるコスト・ベクトルで表される
線形計画法において、カー・マーカー法という
線形計画法の新規な解法(アルゴリズム)を考案。
新解法からなるプログラムで
最適な資源割り当てを決定する方法。
この最適な資源割り当て方法と
プログラム内臓ディジタル・プロセッサからなる
最適資源割り当て装置。
豊田正雄著:「ソフトウエアと特許権」、(ダイヤモンド社、1992)
Mastery for Service
関西学院大学
アルゴリズムと特許権(Ⅴ)
-カー・マーカー判決(1988年) -
1991年
日本の特許庁は拒絶査定、その後!
計算手段が
ディジタル・プロセッサであることに起因する
計算手法上の特殊事情は存在しない。
すなわち、
本願発明の手法もまた純粋に数学であり
本願発明の実体はプログラムであり、
計算手法そのものである
Mastery for Service
関西学院大学
ソフト・ウエア特許審査基準
-ディジタル計算機のプログラムに関する発明-
コンピュータ・プログラムに関する発明の審査基準(1976)
コンピュータは自然法則を利用した装置であること
コンピュータの使い方も自然法則を利用している。
マイコン応用技術に関する審査運用基準(1982)
アルゴリズムに自然法則以外の法則を使うソフト関連発明も、
発明全体として装置として表現すれば発明と認める。
コンピュータ・ソフト・ウエア関連発明の取り扱い(1988)
ソフト・ウエアが
ハード・ウエア資源の特定の性質や構成を利用していれば
特許と認める。
コンピュータを利用するプログラムもまた
自然法則を利用するものと認める。
OS、ファイル管理、仮想メモリ、マルチプログラム処理
Mastery for Service
関西学院大学
発明の範囲の拡大(4)
-特許概念のターニング・ポイント-
方法特許
ジェームズ・ワット事件(英国)
微生物特許
チャクラバーティ事件(1980年、米国)
ソフト・ウエア特許(コンピュータ・プログラム特許)
ディーア事件(1981年、米国)
ビジネス・モデル特許
ステート・ストリート事件(1998年、米国)
Mastery for Service
関西学院大学
ビジネス・モデル特許(Ⅰ)
-定義と背景-
ビジネス・モデル特許の定義
ネット・ワークやコンピュータ・プログラム上で、
ビジネスの仕組みや方法あるいはビジネスの工程を
実現するための発明特許
背景1
人間の知的活動の認識の拡大
認識が、
有体物(手で触って、その実体が把握できるもの)から
無体物(抽象的な知識、情報、サービス、プログラム)へ拡大
人間の知的活動の権利保護も有体物から無体物へ拡大
背景2
プロパテント政策とインターネットの結合
Mastery for Service
関西学院大学
ウオーカーの逆オークションの発明特許
-ビジネスモデル特許 US Patent 5794207号-
Method and apparatus for a cryptographically
assistedcommercial network system designed to facilitate
buyer-driven conditional purchase offers.
購買者が主導する条件で売買申し込みを進めるために
設計された、暗号化技術による商用ネットワーク
システムのための方法とその装置
公知発明 「オークション」のビジネスモデル特許
US Patent 5,835,896 (オンセール社)
Method and system for processing and
transmitting electronic auction information
Mastery for Service
関西学院大学
日本のビジネス・モデル特許例
-オートカフェ特許-
 「オートカフェ特許」(特許第2804933号、1998)
*特許の内容
・「来店したお客が自動食器貸し器に硬貨を投入し、
・食器を借り受けて
・その食器に飲食物供給装置より「飲食物を入れて、
・テーブルに運んで飲食をするようにした自動飲食店」
*販売システムの特許=ビジネスの方法を特許に!
Mastery for Service
関西学院大学
ビジネス・モデル特許(Ⅱ)
- 「ビジネス方法除外の原則」の破棄-
 ステート・ストリート銀行事件(米国、1998年)
*特許権者・シグネチュア社 vs ステート・ストリート銀行
*「ハブ・アンド・スポーク投資法」という投資システム特許
Data processing system
for hub and spoke
financial services configuration
ファンド
ファンド
ファンド
ハブ機関
*「発明が数学的算定方法を含むか否かではなく、 ファンド
ファンド
・発明が産業にとって、有用(useful)であり、
スポーク機関
・具体的(concrete)であり、
・かつ有形的(tangible)な効果を有するかどうかである」
Mastery for Service
関西学院大学
ビジネス・モデル特許(Ⅲ)
-今後の動向-
発明の範囲の拡大
プログラムとビジネス・モデルはシステムの部品と位置付ける。
知的財産の市民化
「ディファクト・スタンダード(商業上の成功)になった発明は
非自明性の証拠である」
発明が特許になるかどうかは、マーケットが決める
企業規模の大小の競争からアイディアの優劣を競う時代へ
インターネットとビジネス・モデル特許は
販売網形成の投資を不要に!
知的創造時代の知的活動
今後、発明の範囲の拡大領域を考案することが重要
Mastery for Service
関西学院大学
独占権としての特許権
特許権者は、業として特許発明の実施をする権利を占有する
(特許法第68条)
*「特許権者」 : 特許を出願した者
・発明者は発明によって特許を出願する権利を取得する
・発明者は特許を出願する権利を移転することができる
*「業」:
・営利を目的とすること
・家庭内の個人利用や試験・研究を目的とする場合は除外
*「実施」 :
・特許発明の「方法」 を使用し、特許発明の「物」を製造し、
使用し、譲渡(販売)し、貸し渡し、展示し、輸入すること
Mastery for Service
関西学院大学
先願主義と先発明主義
-日米の差異-
1発明1特許の原則
先願主義(日本ほか)
発明の先後を問題とせず、
先に出願した者に特許を付与する主義
公共利益のために、
早く公示をする者を保護する主義
先発明主義(アメリカのみ)
発明の先後を基準として、
先に発明をした者に特許を付与する主義
発明を秘蔵する傾向を助長する
資産の少ない発明家に有利
Mastery for Service
関西学院大学
先願主義と先発明主義
-日米の差異-
Mastery for Service
関西学院大学
書面による特許出願(1)
ー明細書ー
1.発明の名称
2.特許請求の範囲
*発明の構成に欠くことのできない必須要件の記載
・特許の及ぶ技術的な範囲のみの全てを記載
3.発明の詳細な説明
*発明の目的、構成、効果を記載
・目的:本発明が解決しようとする課題の記載
・構成:課題を解決するための手段
・効果:本発明のみ得られる特有の効果の記載
4.図面と表の簡単な説明
Mastery for Service
関西学院大学
書面による特許出願(2)
ー明細書ー
3.発明の詳細な説明
*発明の目的、構成、効果を記載
・目的:産業上の利用分野、従来の技術、
本発明が解決しようとする課題の記載
・構成:課題を解決するための手段と
発明の実施の形態の記載
特許請求の範囲に記載の発明構成上の
必須要件と実施例を含む
・効果:本発明の構成要件によってのみ得られる
特有の効果の記載
Mastery for Service
関西学院大学
特許明細書の例
【発明の名称】 空間群がD63dである結晶構造を含むことを
特徴とするIn2O3材料とそれを構成材料とする素子
【特許請求の範囲】
【請求項1】 In2O3結晶の高圧相の結晶構造である空間群
D63d構造を含むIn2O3薄膜材料より成ることを特徴とする
材料
【請求項2】請求項1のIn2O3薄膜材料において、Inサイトに
Inのイオン半径とほぼ同等もしくはより小さなイオン半径の
原子を有し、酸素もしくは酸素空孔サイトに酸素のイオン半
径とほぼ同等もしくはより大きなイオン半径の原子を有する
In2O3薄膜材料より成ることを特徴とする材料
Mastery for Service
関西学院大学
知的財産権と国家政策(1)
20世紀は米国主導による
特許の戦略的活用の時代
1850年代
米国は特許による覇権追求戦略の時代
1930年代
米国がアンチパテント主義(特許抑止時代)に!
反トラスト法による特許の濫用と独占に対する規制の強化
1970年代
発展途上国がWIPOに提訴!
「既存の特許制度が途上国の技術発展の妨げ」
1980年代
米国がプロパテント主義(特許保護時代)に!
Mastery for Service
関西学院大学
知的財産権と国家政策(2)
1980年代
米国がプロパテント主義(特許保護時代)に!
ハイテク・情報産業において
知的財産権による優位性の維持と競争力の強化
自国製品保護のために
相手国に知的財産権制度の整備の要求
遅れている製造技術分野は知的財産権による保護政策
特許による外国製品の輸入の阻止
Mastery for Service
関西学院大学
発明者の資質について(Ⅰ)
知恵と知識
ポール・マクリーディ(1977、人力飛行機)
「2%のインスピレーションより、98%の努力の方が重要」
ウイルソン・グレエートバチ(1969、埋め込み型ペースメーカ)
「好奇心と意欲とくじけない不屈の意思が必要だ」
マキシム・ファゲット(1958、スペース・シャトル特許)
「心理的なプレッシャーがアイデアを生み出す助けになる」
マービン・カムラス(1944、磁気録音機特許)
「エジソンの業績の多くは実験にもとずいたものだった。
実験がうまくいった理由を常に理解していたわけではない。
これは科学者のやり方と違う。
しかし、彼は自分のしている事の概念を明確に掴んでいたよ」
Mastery for Service
関西学院大学
発明者の資質について(Ⅱ)
知恵と知識
ボブ・グランドラック(1957、静電複写荷電装置特許)
「ありきたりのアイデアを試して、失敗する必要がある。
何度か失敗すると少し利口になり、使えるアイデアを思いつく」
「常に、改良を重ねるんだ」
「やけっぱちこそ、発明の母だね」
「発明する人間に絶対必要な物、それは勤勉さだね」
スタンフォード・オブシンスキー
(1970、非結晶質情報記録・読み出し装置特許)
「問題を的確に掴む。次に広く文献に当たる。
そして一生懸命に考える」
「他人より努力する事、そして一生懸命勉強する事さ」
Mastery for Service
関西学院大学
発明者の資質について(Ⅲ)
ジェローム・レメルソン(1954、産業用万能ロボット特許)
「特許の大部分は
今ある物の改良さ。 改善方法を考えるんだ」
「真のブレイク・スルーなんて滅多にあるものではない」
「大切なものは好奇心と楽観主義、
原理的に可能な物はいつかは 実現する」
ジェイコブ・ラビナウ(1954、光学式文字読み取り装置)
「発明家は訓練が必要だ。
基礎になる物がなければ、
アイデアを組み合わせる事が出来ない」
「偉大な発明は大抵、
ささやかな発明が連続して出来るものなんだ」
Mastery for Service
関西学院大学
発明者の資質について(Ⅳ)
マーシャン・テッド・ホフ(1960、MPU発明)
「好奇心さ、常に好奇心を持つことさ」
「分野のギャップにこそ、
新しいアイディアが入り込む余地があるんだ」
「既に持っていた物事について
ちょっとした新発見があった時に発明が生まれるんだ」
「発明で重要な事は追求すること、
研究し続けなくてはいけない。
いいアイデアを徹底的に追求する動機を持つことだね」
Mastery for Service
関西学院大学
著作権法
著作権法の目的:
「---、これらの文化的所産の公正な利用に留意しつつ、
著作権等の権利の保護を図り、
もって文化の発展に寄与することを目的とする」
(著作権法第1条)
著作権は、
<著作者個人の創作活動の保護を第一の目的にする>
創作者の死後、50年間の独占権
今後の課題:
マルチメディアの著作権
Mastery for Service
関西学院大学
著作権
複製権:
「著作者は、その著作物を複製する権利を占有する」
(著作権法第21条)
著作物の定義:
「著作物とは、
思想または感情を創作的に表現したものであって、
文芸、学術、美術または音楽の範囲に属するものを言う」
(著作権法第2条)
Mastery for Service
関西学院大学
著作権
複製権:
「著作者は、その著作物を複製する権利を占有する」
(著作権法第21条)
著作権は、
表現を保護し、アイデアを保護せず、
特許権は、
アイデアを保護し、表現を保護せず。
Mastery for Service
関西学院大学
知的所有権の定義
世界知的所有権機構(WIPO)
知的所有権 ⇔ 知的財産権
「物の支配の自由」 ⇔ 「情報のコピー自由」
知的所有権とは、
下記に関する権利並びに、
産業、文芸、美術の分野における
知的活動から生ずる他の全ての権利をいう。
文芸、美術、及び学術の著作物
実演家の実演、レコード及び放送
人間の活動の全ての分野にける発明
科学的発見
意匠、商標、サービス、マーク、商号、商業上の表示
不正競争に対する保護
Mastery for Service
関西学院大学
知的財産権の発生
「情報の意味」と「情報の表現」の価値に関する権利
 情報
①取得・使用の自由な公共財としての情報
・高い公共性を持つ情報
②権利で守られた特権的な情報
・高い経済性を持つ情報
知的財産権になる情報
 「高い経済的価値を持つ情報」
①「情報の意味・使用」に内在する価値
②「情報の表現・複写」に内在する価値
③「情報に内在する上記以外」の価値
意味=アイディア
Mastery for Service
特許権
著作権
その他の権利
関西学院大学
知的財産権の種類
「情報の意味」と「情報の表現」の価値に関する権利
知的創作物
に関する権利
営業上の標識
に関する権利
営業上の秘密
に関する権利
「意味の価値」
に関する権利
特許権
実用新案権
種苗権
「表現の価値」
に関する権利
著作権、著作隣接権
著作者人格権
意匠権
半導体集積回路
配置利用権
商標権
商号権
「ノウハウの価値」に関する権利」
不正競争防止法
意味=アイディア
参考文献:名和小太郎著「知的財産権」 (1993年、日本経済新聞社)
Mastery for Service
関西学院大学
知的財産権と職業(Ⅰ)
 1869年 トーマス・エジソン 米国特許:1093件
・史上初の職業発明家の誕生
・「特許庁への道を固くなるほど踏んだ男」
 1876年 トーマス・エジソン 受託研究開始
・史上初の商業を目的の技術研究所の設立
・GE(ジェネラル・エレクトリック)の前身
エジソンの最大発明
「発明家という職業」を発明し
「商業的な技術研究所の設立」を発明し
「特許業務というビジネス」を発明したこと。
Mastery for Service
関西学院大学
知的財産権と職業(Ⅱ)

1869年 トーマス・エジソン 米国特許:1093件
・史上初の職業発明家の誕生
・特許の取得と発明の売買

1980年代 ジェローム・レメルソン
・特許を企業化しない個人発明家
・特許侵害訴訟による賠償金獲得戦略
・クロスライセンス拒否とサブマリン特許の活用

2000年代
?????
・ビジネス・モデル特許と国家家元制度の融合
Mastery for Service
関西学院大学
Appendix
次画面以降は参考文献として
ご使用ください。
Mastery for Service
関西学院大学
ソフト・ウエア特許について
-特許可能性と特許例-
 エンジンの最大燃焼効率を得るための空気供給量の制御の
方法を新たに考案したとする
*自然法則を利用した技術であり、特許の対象になりえる
・「エンジンに対する空気供給量の制御方法および装置」
*上記の制御をマイコンなどのソフト・ウエアで実現した場合、
・「空気供給量制御プログラムを記録した記録媒体」も可
*新しいデータ圧縮アルゴリズムを考案した場合、
・「データ圧縮プログラムを記録した記録媒体」も可
 画期的な株式の運用方法を考案したとする
*人為的な取り決め、経済法則は自然法則を利用したアイディアではないので、不可
*上記の運用方法の考案をコンピュータを用いて、ソフト・ウエアで実現した場合、
・コンピュータの用い方を明らかにすれば、特許の対象になりえる
・「コンピュータによる株式の運用方法と運用装置」「その記録媒体」
Mastery for Service
http://www.furutani.co.jp/kiso/tokkyo5.html
関西学院大学
ホテル・セキュリティ事件

ビジネス・モデル特許の却下事件
*1908年、米国、ホテル・セキュリティ社
*従業員の不正行為防止のための帳簿管理方法の発明
・ウエイターとマネ-ジャーが連続番号を付した2枚つづりの
伝票を持つことによる注文の集中管理方法

ホテル・セキュリティ事件の判例=拒絶
*経理処理方法は科学技術の範疇外で特許発明の対象外
*本経理処理方法は公知であり、特許要件である新規性を満たさず
*「ビジネス方法は特許の対象とはならない」という拒絶理由ではない

「ビジネス方法除外の原則」の定着
*ビジネス方法は特許の対象にならないとの判例上のルールの定着
関西学院大学
Mastery for Service
ビジネス・モデル特許の定義
ビジネス・モデル特許の定義
ビジネス・デザインについての設計思想の発明
提供する価値と提供する対象(相手)の特定
そのための経営資源の組み合わせの方法
顧客やパートナーとのコミュニケーションの取り方
価値を流通させる経路と価値の対価の回収の特定
ビジネス・モデル特許の呼称
Business Method Patent(ビジネス方法特許)
Business Process Patent(ビジネス工程特許)
Business Model Patent(ビジネス・モデル特許)
Mastery for Service
関西学院大学
トーマス・エジソンとジャック・ウエルチ
ーGEの指導者の系譜ー

エジソンのような思想の持ち主が生まれた背景
*時代的な背景 1900年±40年
*アメリカという空間的な背景
*エジソン個人の個性的な背景

なぜ、このような男がうまれたか?

今、このような男が生まれるには?

ウエルチはエジソンの思想を受け継いでいるか?
Mastery for Service
関西学院大学
米国特許取得件数ランキング
(1999年度)
順位
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
Mastery for Service
取得機関
IBM
NEC
Canon
Samsung
SONY
Toshiba
Fujitsu
Motorolla
Rucent
Mitsubishi
取得件数
2756
1843
1794
1541
1417
1201
1193
1192
1153
1053
関西学院大学