現代日本語

高级日语Ⅰ
第6课
なぜ車輪動物がいないのか
本川 達雄
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本川 達雄(1948年 - )は生物学者、シンガーソングライ
ター(singer‐songwriter) 。専攻は動物生理学。
1971年、東京大学理学部生物学科(動物学)卒業。東
京大学助手、琉球大学助教授、デューク大学客員助教授
を経て、1991年より東京工業大学理学部教授。
一般への科学普及に力を入れており、多数の著書があ
る。中でも、アロメトリーという日本でなじみの少ない学問
を平易に解説した『ゾウの時間ネズミの時間』(中公新書)
はベストセラーになった。高校生物の教科書や参考書も
執筆している。
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また、彼は「歌う生物学者」としても知られている。講義
内容をまとめた歌として「サンゴのタンゴ」や「微小管はす
べる」などを作った。いずれも本人の作詞作曲である。
1983年にそれらの歌を夫人のピアノ伴奏付でカセットテ
ープに収めた。その後も講義で歌って聴かせる以外にもあ
ちこちで宣伝、たとえば「生物学の知識を歌にして覚える」
という学習方法を提唱しており、作った歌をまとめた『歌う
生物学 必修編』を出している。
テレビ番組に出演する際も、これらの歌を自ら歌ってお
り、「ナマコ天国」をNHK「爆笑問題のニッポンの教養」で、
「生き物は円柱形」をTBS系「あらびき団」で披露した。
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4
デューク大学はダーラムという町にある。タバ
コの広がるのどかなノースカロライナ州の片田
舎だ。森の中に点々と建物がたっているだけで
、歩いて行ける距離には何もない。買い物をす
るにも、子供を学校に連れて行くにも、車がなげ
ればとても生きていけない世界だった。
「歩いて行ける距離には何もない」とは何の意
味なのでしょうか。
広い範囲内に商店などもない非常に辺鄙な
雰囲気であるという。
のどか【長閑】
静かでおだやかなさま。のんびりと落ち着いて
いるさま。[季]春 。
のどかな(風景、街、田園、土地、山村、道、自
然、眺め、春の日、映像、声、歌、雰囲気、気分
、時代、世の中 ~)
のどかに(暮らす、響く、歌う、鳴く ~)
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のどかな田園地帯が眼前に広がっている。
平和でのどかな暮らしが戦争で一変する。
のどかな春の宵に夜桜を楽しむ。
車のないのどかな時代が懐かしい。
漁師の歌がのどかに響いてくる。
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日本では自動車への依存度はアメリカほどではな
いけれども、車輪のお世話になっている点では、似た
ようなものだろう。毎朝駅まで自転車で出て、電車に
ゆられて勤め先に急ぐ。車輪がなければ、現代人の
生活は回転していかない。
「車輪がなければ、現代人の生活は回転していかな
い」とは、どういうことですか。
現代人は車輪への依存度が非常に高いから。
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ところが、まわりを見回しても、車輪を転がして走っ
ている動物には、まったくお目にかかれない。陸上を
はしっているものたちは、二本であれ、四本であれ、
六本であれ、突き出た足を振って進んでいく。空を見
上げても、プロペラ機は飛んでいても、プロペラの付
いた鳥や昆虫はいないし、海の中でもやはり、スクリ
ューや外輪船のような、回転する駆動装置をもった魚
はいない。
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お目にかかる
目上の人にお会いする。
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

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「御目にかかれて光栄です」
近いうちにもう一度お目にかかるのを楽しみにしていま
す。
このパイプを通じて、あのガスが運ばれてくるわけです。
このガスは、水素と呼ばれます。これについては、次回
お目にかかるときになにもかもお話しましょう。
~であれ~であれ
部分列挙を意味する文型です。ある範疇に該
当するものの一部を挙げると同時にその他にも該
当するものがあることを暗示します。
「AであれBであれ」、「A、Bのどちらの場合で
も」という意味を表すようになります。
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

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新聞であれ、雑誌であれ、何でも毎日読み続けることが
大切だ。
それがどんな小さな街の店であれ、図書館であれ、読書
団体であれ、それなくしては一日も民族が、思想を新しく
することができない毛細管、血管として、一つ一つ大切
な一部署である。
もう一歩まとめてみると
これに似た表現には「~いい~いい/~といわず~い
わず/~にせよ~にせよ/~でも~でも/~にしても
~にしても 等」があります。
まず陸上を動くものから考えることにする。自動車が
便利なことに異論はないであろうが、これはガソリンを食
うので、ひとまず置いておくとして、車輪の良さをしみじ
み体感できるのは自転車であろう。同じ自分の足を使う
のに、こんなにも速い楽に走れるなんて!と、学校にあ
がる前、一時間十円の貸自転車に心を躍らせたもので
ある。事実、自転車というものは、人間の使う陸上移動
道具のうちで、もっともエネルギー効率の良いものであ
る。自動車もこの点ではかなわない。
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驚き、意外、軽蔑など
を表す。
心を躍らせる
楽しいこと、うれしいことなどに、心をどきどきさせる。
「胸を躍らせる」とも言う。
 楽しい空想ほど心を躍らせるものはありません。
 大学の合格発表に自分の名前を見つけ、彼は大
喜びで家に帰り、そして心を躍らせながら、合格
通知が来るのを待っている。
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ただし、これは平らな良い道を行く場合の話で、ちょっとでも
凸凹があると、たちまち難渋しはじめる。やはり車椅子が大変
なことに違いはない。車椅子と同列に論じては、はなはだ申し
訳ないが、息子をベビーカーにのっけて押していると、このあ
たりの大変さが私にも分かる。舗装した道路を押して歩いてい
る分には楽なものだが、階段は担いで昇らねばならないし、砂
利道やぬかるみときた日には、もうお手上げだ。車輪は平坦
なかたい道では威力を発揮するが、凸凹ややわらかい地面で
は、ほとんど役に立つないのである。
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「両手をあげて、降参を表すことから」全く
どうしようもなくなり、途方にくれること。
~分には
「~分には」は「(~だけ/~程度)なら」「そのようである
限りでは」という意味を表します。
私に言う分にはかまわないが、君の口のきき方は他の
人には誤解を与えかねないよ。
パソコンは性能がいいに越したことはないが、簡単な文
字処理に使う分には、古い機種で事足りる。
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
分
(1)分け与えられたもの。わけまえ。
「この菓子は弟の分に残しておく」
(2)人が置かれた立場や身分。また、人が備えている能
力の程度。
「分に応じた仕事を選ぶ」
「分に過ぎたお褒めを戴く」
「分を守る」
(3)本分。つとめ。
「学生の分を尽くす」 「己の分を尽くす」
(4)物事の様子・状態。また、程度。くらい
「軽い仕事をする分には差し支えない」
~ときた日には
話題を提示する表現で、「~と言うと」、「~と言えば」
や「~と言ったら」とほぼ同じく「~に関して語ると」という
意味を表しますが、相手に対する非難・批判・不満・怒り
や、自分に向けられるときは自嘲などの感情を込めた表
現を作るのが特徴です。
「~ときたら」のやや古めかしい言い方です。
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

うちのおやじときた日には日曜日にはゴルフばかりして
いる。
簡単な文字入力なら自分でもできるが、なにかの操作ミ
スでコンピューターが動かないときた日には自分でもど
うにもならない。
ただし注意してほしいのは「~ときたら」と「~と言ったら
」の用法上の違いですが、
「そのおいしさと言ったら、ほっぺたがおちそうだった」
のように、後件でいい事態を表すときは「~と言ったら」
を使わなければなりません。
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地面のやわらかさの方はどうかというか、ふかふかの
絨毯の上では、車椅子はなかなか前に進まない。われ
われが歩く際には、足は地面をズルズルと擦って歩いて
いるのではなく、動いている方の足は宙に浮いているし
、地面に着いている方の足は、その場所を踏みしめたま
まだ。だから、地面との摩擦が大きくなっても、歩く効率
はあまり落ちない。ところが車輪は、連続的に地面との
摩擦を保ちながら地面をずって回っていく。だから、地面
がふかふかしたりネチャネチャしたりすれば、回転に対
する抵抗がすぐに大きくなって回りにくくなる。たとえば、
泥道はコンクリートの道路に比べて回転抵抗は五~八
倍になるし、砂の上なら十~十五倍にもなる。
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~際(に)
「~際」は「~の時を利用して~する」という積極的な表現で、後件では意
志表現が使われます。ですから、偶発的な出来事や自然現象など無意志
現象に使うと不自然になります。
この場合は「~折」が自然になります。
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先生に会うつもりだ。<・際/?折り>
上京の
雨に降られた。
<?際/・ 折り>
偶然先生に会った。 <?際/・ 折り>
「~節」は意味用法とも「~折」と共通しますが、手紙や電話などの丁寧な
会話で多く使われ、敬語と結びつくことが多いのが特徴です。ただし、文末
で「~なさい/~なければならない/~だろう」などの強い意志表現や推
量表現が使えません。




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非常の際には、このドアから避難してください。
何か困った際は、いつでも連絡してください。
お暇な際は、是非お越しくださいませ。
その節はいろいろお世話になりまして、本当にありがとう
ございました。
「アリが四ミリの車輪を使うとしたら、一ミリの砂
粒や落ち葉一枚に立ち往生してしまうだろう。
」といっているが、それはなぜか。
アリのサイズが小さすぎますから、地面にあ
るどんな小さいものでも彼らにとっては大きな
起伏になるのです。
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サイズの小さい動物はなぜ車輪を使わないのか。
小さい動物にとって、自然の地面は起伏に富んで
いて、車輪は使いにくくなっているからです。
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なぜ「サイズの大きい動物にとっても、車輪は
そうそう使い勝手のいいものではない」と考え
ているのか。
車輪は地面との摩擦力がないと動けないので
、ロッククライミングやジャンプができないから
です。
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車輪の大きな欠点は何ですか。
車輪の大きな欠点は、小回りの効かな
いことだ。向きを変えるのが難しい。
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ただ速いばっかり速くても、小回りがきかなければ、
木立や岩などの障害物の多いところでは、車輪は立ち
往生してしまうだろう。車輪動物が二匹狭い山道でばっ
たり出会ったら、すれ違うこともできず、さりとて回れ右
してもどることもできず、二匹とも進退窮まるということに
、ならぬとも限らない。
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~ない(ぬ)とも(は)かぎらない
ある物事が起こる可能性は極めて低いが、まったく
ないことではないという意味を表し、何か対策を立て
たほうがいいという見解を示し、話者の懐疑の気持
ちが含まれている。
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


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百メートル競走の勝利者は千メートルでびりに
ならないとも限らない。
そうすると、其の頃になっても、私と同じような根
性の人間が、まだ生れないとは限らないのであ
る。
しかしもっと色々見ていたらまた珍しい見物に出
っくわさないとも限らないであろう。
車に適した道路は何だろうか。
「広く、まっすぐで、かたい道。階段のない、
袋小路のない、道幅の広い町並み」です。
行き止まりになっている小路。転じて、物事が行き詰まること
。袋道。
袋小路に迷い込む。
すべての手がかりが警察を袋小路に導いた。
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私は長くおき沖縄に住んでいたが、小さな離島を
訪れるたびに、島が変わっていくのが、よくわかる。
白いサンゴの砂を一面に敷きつめた福木の並木が
涼しい影を落とす美しい道が、次に訪れたときには
、ただ広いだけのコンクリート道路に変わっている。
日中など、焼けた鉄板の上にいるのと同じで、とて
も歩けたものではない。何でこんなことをするのかと
聞くと、狭い島で公共事業をやろうとすれば、道路
を「よくする」のと、砂浜の海岸をコンクリートで固め
て「護る」しか、やることはないのだそうだ。
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

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~(た)ものではない
「可能動詞過去形」の後につく「~ものではない」
はその動作行為の実現が不可能であるという意
味を表し、否定の気持ちを強調するが、マイナス
評価の事柄に用いられる。
こんな下手な字はとても人に見せられたものでは
ない。さっさとしまいなさい。
未熟の柿はたいへん渋く、とても食べらたもので
はない。
~ものではない
 「~ものだ」は動詞・形容詞の原形と結びついて、断定を
表す場合と、「~べきだ」という義務・当然を表す場合が
あります。普遍的事柄や社会常識からの判断した一般
論を述べることです。
 人間は死ぬものだ。 <普遍事実>
 学生は勉強するものだ。<義務・当然>
 否定の形は「~ものではない」は行為を表す動詞につい
て、「~べきではない」と禁止の意味を表し、人に忠告を
する場合に多く用いられるようです。
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

人間を外見だけで判断するものではない。
子供には子供なりの人生があるので、親としてかたわら
で取り越し苦労をするものではない。
もう一つの否定形「~ないものだ」は「~ないのが当然だ」
という一般論です。
 人間というものは、外見だけではわからないものだ。
 熊は死体には触れないものだ。
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技術というものは、次の三つの点から、評価されねばな
らない。(1)使い手の生活を豊かにすること、(2)使い
手と相性がいいこと、(3)使い手の住んでいるの環境と
相性がいいこと。
相性:ふたりの間の、とくに男女の間の気性が、うまく合
うとされること。 又は、性格が合うこと。
「相性がいい」「相性が悪い」
しかし、孔明とその新妻とは、実にぴったりしていた。相
性というか、 琴瑟相和してという文字どおり仲がよい。
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「~技術を評価する従来のやり方を、考え直
すべき時が来ているのも事実である」といって
いるが、なぜなのですか。
「従来のやりかた」とは、「使い手を豊かにする
という観点ばかりに重きをおくをおいて技術を
評価する」です。人間や、環境などとの相性を
考えなければいろいろな問題を生じるからで
す。
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
筆者は機械文明をどのように見ていますか。

これまでの環境を征服し、ガラリと変えて、はじ
めて役に立つような機械文明を認めていない見
方です。
1.父亲病倒在床上,想吃松软的肉包子,我走出医院到
附近去寻找,结果在拐弯角处发现了一家小馒头店。(ふ
かふか)
 病床にいる父がふかふかの肉饅頭を食べたいというので、
私は病院を出て、周りを探した。すると、街角に一軒の小さ
な饅頭屋を見つけた。
 2.他们越是说我不适合当教师,我就越想当教师。结果
我这一生就干了这个工作,而且还干得很出色。
(余計;不适合当教师ー教師に向かない)
 教師に向かないと言われたら余計にやりたくなり、結局、そ
の仕事を一生続けてきて、しかも立派にやってきたのだ。

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



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3.我的脚在平地上走动时并不疼,但上下楼梯时却感
到疼痛异常。(分には;上下楼梯ー階段の昇り降り)
私の足は平たいところを歩く分には、別に痛くないが、段
階の昇り降りはすごく痛みを感じる。
4.现代都市生活又方便又好,这固然不错。可是一旦
发生地震等灾害,马上就会陷入瘫痪状态。(~ときた
日には;瘫痪状态ーパニック状態)
現代の都会生活は大変便利でいいが、地震などときた
日には、たちまちパニック状態に陥るだろう。

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
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5.机场里,那些心情激动地伸长着脖子,焦急地等待
着自己孩子归来的父母,给我留下了深刻的印象。(
心を躍らせる)
空港で心を躍らせながら首を長くしてわが子の帰りを待
つ親の姿はとても印象的だった。
6.我认为无论是男孩子还是女孩子,只要好好地长大
,将来能成为自己的接班人。这就应该满足了(~であ
れ~であれ;好好地长大ー立派に成長する)
男の子であれ女の子であれ、立派に成長して、将来自
分の後継ぎになってくれれば、それでありがたいと考え
ている。

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7.虽说宴会上有各种酒,可都是些烈性酒,我们女的
根本喝不了。(~ものではない;烈性酒ー強いお酒)
パーティーにはいろいろなお酒が出たが、あんな強いお
酒はとても私たち女性に飲めたのもではない。
8.从她的态度来看,我觉得她并不是拒绝我们,倒是
一种愿意考虑的样子。(~からみれば)
彼女の態度からみれば、私たちを断るのではなく、むし
ろ、考慮してくれるとの様子が窺えた。

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
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9.家里有人做饭固然好,但即使没人做饭也应该认真
地对待每一餐才是。(~に越したことはない;认真地对
待每一餐ーちゃんと食事をとる)
家に誰か食事を作ってくれる人がいるに越したことはな
いが、いなくても毎度ちゃんと食事をとらなければならな
いのだ。
10.一般人们都说自然好,可我认为那个国家的人工美
也非常出色。我想我们也应该看到这种人工美才是。
(目を向ける)
自然美がいいとされているが、あの国の人工美も大変
素晴らしいと思う。このような人工美にも目を向けるべき
だ。