第15回目の資料

経済学入門
(15)就業と技術革新
丹野忠晋
跡見学園女子大学マネジメント学部
2014年7月17日
生産可能性フロンティアの復習
マツタケ
の数量
10
A
A
効率的な生産
9
生産可能性フロンティアと
その内部が機会集合
D
D
実現不可能な生産
B
5
B
他の効率的な生産
C
C
非効率的な生産
3
0
2014/7/17
3
5
7
経済学入門 15
10
サンマ
の数量
2
浦島太郎の生産可能性フロンティアの復習
マツタケ
(個)
生産可能性フロンティアの傾きの大きさ(
絶対値)は機会費用を意味した
A点からB点への変化
タテの変化
傾き=
A
=
ヨコの変化
8
B
4
0
2014/7/17
4-8
-4
=-
=
16 - 0
1
16
4
1
傾きの大きさは 4
32
16
経済学入門 15
サンマ
(匹)
3
桃太郎の生産可能性フロンティアの復習
マツタケ
(個)
24
C点からD点への変化
C
タテの変化
傾き=
=
ヨコの変化
D
12
0
2014/7/17
12 -24
24
経済学入門 15
-12
=-
=
24 - 0
1
24
2
1
傾きの大きさは 2
48
サンマ
(匹)
4
比較優位の復習
マツタケ
(個)
24
C
桃太郎の生産可
能性フロンティア
F
13
12
•当初の生産と消費 B, D
•桃太郎はマツタケ,浦島太郎
はサンマに特化する
•新しい生産点は E, F
•新しい消費点は G, H
• 特化と交換で両者は得をした
D
A
8
5
4
H
浦島太郎の
生産可能性フロンティア
G
B
E
0
2014/7/17
1617
24 27 32
経済学入門 15
48
サンマ
(匹)
5
復習1

実質GDPは物価の影響を除いた付加価値を測る

GDPデフレータは国内で生産される財の物価指数
名目GDP
実質GDP=
GDPデフレ-タ

実質GDPからGDPデフレータを測る方法もある

基準年の財の価格を固定して他の年の金額を計算
すると実質GDPが求まる
2014/7/17
経済学入門 15
6
復習2
名目GDP
GDPデフレータ =
×100
実質GDP

インフレ率は物価の増加率を意味する

インフレ率が負であるとデフレである

豊かさを1人当たりの実質GDPで測る

経済は波打ちながら成長していく

好況→後退→不況→回復→好況
2014/7/17
経済学入門 15
7
物価とインフレ率
物価が上がるか下がるか動きが大切
 今年の物価がP,去年の物価がP0とする
 インフレ率は物価の上昇率を表す
P- P0
× 100
P0
 変化率はパーセント表示
 マイナスだとデフレ
◆問い 去年の物価指数100で今年は98ではイ
ンフレ率はいくらか

2014/7/17
経済学入門 15
8
インフレと異なった時間の選択
◆解答
98 - 100
× 100= -2 (%)
100

インフレ率は-2%.物価の下落を意味

物価が下がれば消費者は得をする

物価が動く世界では考慮すべきことがある

将来の価格の動向

将来の話だから予想を考える

需要・供給曲線のシフトの要因の1つに予想
2014/7/17
経済学入門 15
9
労働市場
みなさんは労働サービスを供給
 アルバイトの時給が労働の価格
 労働の対価として支払われる金銭を賃金

賃金率は一時間,一日当たり,一月の労働時間で測
った賃金.時給→月給.
 賃金は英語で wage
 価格は賃金率 w
 労働は英語で labor
 数量・労働時間(何時間あるいは何日働く)は L
 賃金=賃金率×労働時間= wL

2014/7/17
経済学入門 15
10
労働市場の均衡
w 賃金率
均衡賃金率と均衡労働量
が決まる
D
S
労働供給曲線
労働需要は企業がどれだけ
労働者を雇用するかを示す
w*
労働需要曲線
労働量
L
L*
2014/7/17
経済学入門 15
11
国税庁の統計から見た給与所得

平成 24 年 の給与所得者数は約5,400万人

平均給与は408万円 (対前年比0.2%減)

最も高い給与:電気・ガス・熱供給・水道業の 718
万円,次いで金融業,保険業の610万円

最も低いのは宿泊業,飲食サービス業 235万円

男性の50-54 歳の階層の平均給与634 万円が最も高い

給与800万円超の給与所得者は365万人で全体の給与
所得者の8.0%.
標本調査結果|統計情報|国税庁 民 間 給 与 実 態 統 計 調
https://www.nta.go.jp/kohyo/tokei/kokuzeicho/minkan2012/pdf/001.pdf
2014/7/17
経済学入門 15
12
雇用と労働

乳幼児・学生→ 就業者→引退
1年間勤務した給与所得者の平均年齢は44.9歳
 平均勤続年数は11.6 年(男性13.3年、女性9.7年)
 雇用は仕事をさせる目的で人を雇うこと
 雇用者(逆の意味の場合も).雇われる被雇用者
 生産年齢人口は15歳以上65歳未満の人口
 労働人口は働く意志と能力のある人々.
 反対に非労働力人口は意志と能力がない人


労働参加率は生産年齢人口に対する労働力人口の
割合
2014/7/17
経済学入門 15
13
総務省統計局 労働力調査 (2013年)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longtime/03
roudou.htm
万人
12000
働く意志がない:老人,学生
10000
8000
4506
非労働力人口
労働力人口
6000
4000
6577
2000
0
2014/7/17
経済学入門 15
働く意志のある人
14
失業

職がないと給与が貰えない.困窮は困る

失業とは,就業する意思と能力がある人が生産活動に
従事していない状態

経済的困窮,生活水準の低下,自尊心を傷つける

若者の失業:人的資本の喪失,将来の労働生産性の
低下

中高年の失業:病気や怪我をしやすい,家族への影響
2014/7/17
経済学入門 15
15
総務省統計局 労働力調査 (2013年)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/longti
万人
me/03roudou.htm
7000
6000
265
働きたいけど
働き口がない
5000
4000
3000
6311
完全失業者
就業者
2000
1000
0
2014/7/17
経済学入門 15
16
労働市場での失業
賃金率 w
賃金率 w** で高止まりし
ていると超過供給が発生
S
D
失業
w**
w*
労働供給曲線
高い賃金が失業の原因
労働需要曲線
L
L*
2014/7/17
経済学入門 15
17
失業率

失業の状態も率で測る

失業率(unemployment rate)とは就業しておらず求
職活動をしている人数の労働力人口に対する比率

労働力人口=就業者数+失業者数
失業者数
失業率=
× 100
労働力人口

2012年の日本の就業者数が6311万人,失業者数
が265万人
http://www.stat.go.jp/data/roudou/index.htm 出典(総務省「労働力調査」)
2014/7/17
経済学入門 15
18
2013年日本の失業率

失業者数
失業率=
× 100
労働力人口
失業者数
=
× 100
就業者数+失業者数
265
=
× 100
6311+ 265
265
=
× 100
6576
26500
=
≒ 4.03
6576
2013年の失業率は約4.0%
2014/7/17
経済学入門 15
19
%
6.0
総務省統計局 労働力調査 (2013年)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/lon
gtime/03roudou.htm
5.0
4.7
4.0
3.0
5.1 5.1
4.4
4.1 3.9 4.0
景気が良くなると
失業率が下がる
2.0
<4.6>
4.3
4.0
完全失業率…
1.0
0.0
2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012 2013 年
2014/7/17
経済学入門 15
20
失業率の低下
好景気になると売上増
企業は雇用を増やす
需要曲線が右にシフト
失業の減少 S
失業
労働供給曲線
賃金率 w
D
D’
w0
雇用がL0からL1に増えた
好景気の労働需要曲線
当初の労働需要曲線
L0
2014/7/17
L
L1
経済学入門 15
21
仕事の探しやすさ

職を求めることを求職.職業につくことを就職.

雇う方にとっては働き手を求める事を求人

有効求人倍率は仕事を探す人1人に何件の求人
があるかを示す

有効求人倍率、1.09倍 バブル崩壊後の最
高水準 山本知弘2014年6月27日11時56分
朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASG6V5WFSG6VULFA02L.html
厚生労働省が27日発表した5月の有効求人倍率(季節調
整値)は前月より0・01ポイント高い1・09倍だった。

求職者100人に109件の職業紹介がある
2014/7/17
経済学入門 15
22
職種によって求人倍率が違う

【東京】職種別有効求人・求職状況(一般常用)2014
年5月 (単位:人、倍)
http://tokyo-hellowork.jsite.mhlw.go.jp/var/rev0/0110/3972/2014623104543.pdf
職業計
1.08
• 専門的・技術的職業
• 事務的職業
1.82
0.30
• 接客・給仕の職業
• I T関連の職業
4.61
2.11
• 福祉関連の職業
2014/7/17
専門性が求められ
ている.同時に賃
金が低くきつい仕
事も求人が多い
経済学入門 15
2.81
23
正規雇用と非正規雇用
正規雇用は期間を定めない=終身雇用
 勤務地を選べない,定期昇給
 非正規雇用は期間を定めて人を雇う.
 パート,アルバイト,派遣社員

労働力調査(詳細集計)平成25年(2013年)平均(速報)
http://www.stat.go.jp/data/roudou/sokuhou/nen/dt/pdf/youyak
u.pdf 2013年平均の役員を除く雇用者5201万人 単位:万人
1906
正規の職員・従業員
3294
2014/7/17
経済学入門 15
非正規の職員・従業員
24
給料
上が
る
良い
出会
い
直ぐ
内定
海外
旅行
良い
企業
給料一
定・退
職
内定
無い
出会い
無い
遊ぶ
お金な
い
ブラック
将来のビジョン・キャリア
ブラック企業,非正規雇用,早期退職
跡見生の就職率は94%.マネジ学科は96%. 人文88%
 学生の一部は所謂ブラック企業に就職
 大学新卒の3年以内の離職率は3割 ★

大卒の3割超、3年以内に退職 宿泊・飲食業は
半数 2013年10月29日18時01分 朝日新聞デジタル
http://www.asahi.com/articles/TKY201310290253.html

大量に新卒採用.数年後大半が離職.また若い新
卒を大量に採用する企業の存在.
 人件費が安く付くので合理的
 企業は正社員には社会保険料の負担分のコスト

2014/7/17
経済学入門 15
26
万円
300
250
200
150
雇用形態・年齢階級別平均賃金(平成21年)
出所:平成22年版 子ども・若者白書
222
241
277 274
262 272
262
275
236 235
195
180 186 182 174
170 165 162 163 161
166
152
100
50
20~24歳
25~29歳
30~34歳
35~39歳
40~44歳
45~49歳
50~54歳
55~59歳
60~64歳
65~69歳
70歳~
0
2014/7/17
経済学入門 15
女 正社
員・正職員
女 正社
員・正職員
以外
27
雇用形態・年齢階級別平均賃金(平成21年)
出所:平成22年版 子ども・若者白書
万円
450
381
400
327
350
200
328
320
289
284
300
250
415 424 401
男 正社
員・正職員
242
238 238 238 237 237
230
220
207 193
203 198
175
150
男 正社
員・正職員
以外
100
50
0
2014/7/17
経済学入門 15
28
主 な 産 業 , 雇 用 形 態 別役 員 を 除 く 雇 用 者 数
出所:総務省 労働力調査(詳細集計) 平成25年(2013年)1~3月期平均(速報)
%
結果
万人
1000
900
800
700
600
500
400
300
200
100
0
76.1
51.7
47.4
18.5
25.4 20.5
36.1
32.9
20.4
23.9
48.3
33.2 37.8
27.9
18.3
100
90
80
70
60
50
40
30
20
10
0
非正
規の
職員・
従業
員
正規
の職
員・従
業員
割 合
(%)
2014/7/17
経済学入門 15
29
非正規雇用の割合は上昇している

正規雇用から転職する人の40%は非正規に

非正規から転職する人の24%が正規に

非正規社員比率38.2%、男女とも過去最高
に 2013/7/13 2:00日本経済新聞 電子版
http://www.nikkei.com/article/DGXNASFS1203R_S3A
710C1EA1000/仕事を変える時に、正社員を選ぶ
のは5年前よりも難しくなったといえる。

非正規から正社員への道は険しい

しっかりと勉強して正規職に就こう!
2014/7/17
経済学入門 15
30
自然失業率と循環的失業

会社が合わなくて止める→失業→就職

自然失業率とは「自然な」失業率.経済が普通の状
態であるときの失業率.長期的にも無くならない失業

景気後退期に増加して,好況期に減少する失業は
循環的失業という.自然失業率から離れた失業

マクロ経済政策が主に扱う失業

労働力への参入と退出.出産のため仕事を辞める

職探しに疲れてあきらめた人.意志喪失労働者
2014/7/17
経済学入門 15
31
失業の形態

アナは夏の北海道の牧場で働く.秋になると職探し

季節によって変化する失業は季節的失業という

ある職業から他の職業へ移るときに起きる失業を
摩擦的失業という.マッチングのための時間

1年以上失業している長期的失業は深刻

1年以上の長期にわたり失業している者は増加

平成22 年に入り100 万人を超え.★

世の中には成長する産業と衰退産業がある

長期的失業は構造的要因
2014/7/17
経済学入門 15
32
構造的失業と失業保険

構造的失業とは労働需要と供給の間で労働者の
質や地域にミスマッチがあるために起こる失業

企業は経済学に明るい人を雇いたい.事務職不要

労働者は経済学の知識が無い,事務職に就きたい

失業した時の所得を保障する失業保険

就職し直ぐに失職した人は失業給付を受取無し

職を得ている人からの雇用保険料が給付の財源

賃金率は高止まりしているが被雇用者が失業者の
保障をしている
2014/7/17
経済学入門 15
33
5大国の人口の推移
千人
300,000
250,000
200,000
150,000
日本
アメリカ
イギリス
ドイツ
フランス
100,000
50,000
1820
1828
1836
1844
1852
1860
1868
1876
1884
1892
1900
1908
1916
1924
1932
1940
1948
1956
1964
1972
1980
1988
1996
2004
0
年
出所:Angus Maddison http://www.ggdc.net/maddison/
2014/7/17
経済学入門 15
34
ドル
45000
40000
35000
30000
5大国の国民一人当たりのGDPの推移
各国は人口が増え
たがそれ以上に生
産性が増加した
25000
日本
20000
アメリカ
15000
イギリス
10000
ドイツ
5000
フランス
0
1950 1955 1960 1965 1970 1975 1980 1985 1990 1995 2000 2005
出所: Penn World Table
http://pwt.econ.upenn.edu/
2014/7/17
経済学入門 15
35
労働力人
口に対す
る失業者
の割合
10
9
8
7
6
パーセント(%) 5
4
3
2
1
0
5大国の失業率
9.39
9.28
7.46
7.44
イギリス
ドイツ
5.08
日本
アメリカ
フランス
出典:IMF-World Economic Outlook (2010年4月版)
2014/7/17
経済学入門 15
36
先進国の中の日本

欧米諸国でも労働市場で賃金が高いのが失業の一
要因

欧州は労働規制が厳しく正規雇用に就くのが困難

日本は先進国の中で最も失業率が低い

日本は五大国の中で一番1人当たり実質GDPが低い

しかし,ヨーロッパ諸国と比べて差はそれ程でも
無い
2014/7/17
経済学入門 15
37
明るい未来のために

大学で勉強して人的資本を蓄積.希少な職とは

人と比べて何が得意かという自分の比較優位

経済学を勉強して世の中にはどのような職業や
企業があるかを知る

調べるスキルを授業やインターンで養う

決してマスコミのカモにならない.就職ランキ
ング2005文系でJALは一位だった.その後破綻

そのためには経済学をもっと学ぼう!
2014/7/17
経済学入門 15
38
復習1

働く事は労働サービスを供給

単位時間当たりで測った賃金である賃金率が
労働の価格

有効求人倍率はハローワークで仕事を探す人1
人に何件の求人があるかを示す。
就業する意思と能力がある人が生産活動に
従事していない状態を失業という
 失業率=失業者数/労働力人口


構造的失業とは労働需要と供給の間で労働者
の質や地域にミスマッチがあるために起こる
2013/7/4
経済学入門 13
39
復習2

正規雇用は雇用期間を定めない雇用形態

自然失業率とは「自然な」失業率.経済が普通の
状態であるときの失業率

失業した時の所得を保障する失業保険

職を得ている人からの雇用保険料が給付の財源

失業は賃金率は高止まりしていることから発生す
るが,被雇用者が失業者の保障をしている

大学で勉強し人的資本を蓄積し.希少な職を
探し何が得意かという自分の比較優位を発見
2013/7/4
経済学入門 13
40
アンケート,宿題(締め切り火曜日)

テキスト第10章p. 357~p. 375を読む

この講義を通じてためになったと思う経済学の概
念を述べて下さい.あるいは提示した例でも可

テキストp. 287テストバンク4:次の中で,つねに
基準年の価格で測定されるものは何か
A)
名目GDPと実質GDP
B)
名目GDP
C)
実質GDP
D)
どちらでもない
2014/7/17
経済学入門 15
41