17,資源有効利用国際環境協力プロジェクト

資源有効利用国際環境協力プロジェクト
A practical project for the international environmental cooperation
プロジェクトNo.
プロジェクト履修学生:柏木信明、前薗 拓矢、王 イ敏
プロジェクト担当教員:王 青躍
関連学外組織
:環境保護局、 環境科学研究院他
17
プロジェクト概要
環境負荷低減・資源高効率利用技術の開発と技術転換の一環として、中国(上海、
北京)などの研究・行政機関の協力を受け、大学院生主体の現場支援型プロジェクト
として、廃棄物処理、廃棄石炭問題、環境影響に関するフィールド実態調査を通じて、
途上国環境問題に関する理解を深め、開発研究や技術移転論をテーマ
とする課題を実施した。
As part of development project to reducing environmental impact and high
efficiency of resources utilization technology. Received the cooperation of
research and government agencies in China. Through a field survey on the
waste treatment, waste coal issues and environmental impact, will be deepen.
Their understanding of environmental issues in developing countries. Issues
w e r e t h e t h e m e o f d e v e l o p m e n t a n d t e c h n o l o g y t r a n s f e r.
背景 近年、燃料価格の上昇、需給が
逼迫しているため、安価な石炭の需要が
多く見込まれている。世界の石炭生産量
のFig. 1に予測を示す。それに伴い微粉
炭(<500 mm)が産出されるが、微粉炭は
高灰分、低発熱量のため利用価値が乏し
く廃棄されている。廃棄された微粉炭(微
粉廃棄石炭)は、可燃成分を含有し、集積
場での自然発火や大気汚染等の環境問
題を引き起こす可能性がある1)。
実験方法 廃棄植物油による油凝集実験
粘度を測定
菜種油を加熱温度180℃ で1, 3, 5, 日間と
加熱時間を変化させ調製
ビスコテスターVT-04により測定
油凝集実験
Colza oil addition
Coal
Screening (30 s)
Still
standing
Fig. 1. World coal production by type
in the reference scenario 2).
Agitation ②
Agitation ①
大同選炭工場での調査
現在の石炭生産の現状を調査するため、大同
(中国)の選炭工場を訪問した。そこでは工場の責任者らと会談し、現在の石炭採掘
の現状や選炭における課題等について話を伺った後(写真. 1)、実際に選炭工場(写
真. 2, 3)、および選炭廃棄物の処理場の現状を見学させて頂いた。選炭廃棄物処理
場の様子を写真. 4に示す。
Water
Table 1 Experimental conditions
Filtration
Washed with ethanol
and diethyl ether
Drying
Analysis of
clean coal
Fig. 3. Schematic diagram for steps of a procedure of oil agglomeration.
評価方法
写真. 1. 大同炭鉱の陳部長らとの
会談の様子
写真. 2. サイクロン選炭の様子
以下の式により、選炭効率を評価した3)。
可燃成分回収率 (CMR: Combustible Matter Recovery)
CMagglom( wt%) wtagglom(g)
CMR  100 
CMfeed( wt%) wtfeed(g)
脱灰率 (AR: Ash Reduction)
 Ashagglom ( wt %)  Ashagglom (g) 
AR  100  1 

Ashf eed( wt %)  wt f eed(g) 

効率指数 (EI: Efficiency Index)
EI  CMR  AR
実験結果
Table. 1. Result of grain size analysis of fine coal.
Grade scale (mm) Weight sorting (g) Accumulated weight
g
%
g
%
>500
0.2
0.2
0.2
0.2
300-500
10.2
10.4
10.3
10.5
212-300
4.4
4.5
14.8
15.1
150-212
3.8
3.9
18.6
19.0
75-150
33.1
33.8
51.7
52.8
<75
46.3
47.2
97.9
100
Total
97.9
100
Table. 2. Result of proximate analysis of fine coal.
Ash
Moisture
Volatile Matter
Fine coal
22.7
3.0
21.6
Fixed Carbon
52.7
研究目的 廃棄石炭から可燃成分を効率的に回収し、油凝集選炭法のプロセス
を確立するためのデータを蓄積することを目的とした。そこで廃棄物有効利用の観
点およびコスト面から、廃棄植物油を凝集剤として使用した場合の影響を調査した。
植物油凝集選炭法
35
30
25
20
15
10
5
0
粘度の増加
0
2
Days
3
4
CMR
5
100
150
80
140
60
130
40
120
CMR
AR
EI
20
分子間力の上昇→粘着力の増加
・過度の粘度の上昇によりCMRは著しく減少
過度の粘度の上昇
油自体が水中で分散できない
CMRが急激に減少
110
0
0.1
・CMRは上昇
1
10
Viscosity (dPas)
100
100
Fig. 5. Effect of viscosity on
the performance of
agglomeration process.
AR
粘度の増加に伴いARは減少
灰分を多く取り込む(極性基を含む分子が生成?)
油が灰分に対しても架橋剤として働いた可能性
EI:粘度の値が増加するに伴い上昇し、粘度が3.9 dPasの時に最も高い効率
Aggregate formation
Agitation
Agitation
Collision and Agglomeration
Bridging Oil
Organic
matter
1
Fig. 4. Viscosity of heated oil of
waste vegetable oil.
油凝集選炭とは?→石炭表面の表面特性の違いを利用した選炭→微粉炭に有効
石炭および水の懸濁液に油を添加すると、疎水性である可燃成分に油が付着し、さ
らに、撹拌を行うと可燃成分同士が衝突して凝集が起こる。 (Fig. 2)。
Ash
・粘度は加熱時間の経過とともに増加
・加熱した油は多くの酸素含有基およびトリグリセリドの
重合物が生成し強い分子間相互作用が働く
EI
選炭工場では主に重液選
別およびサイクロン選別
により選炭を行っている。
これらの選炭可能な粒径
は350 mm以上であり、そ
れ以下の微粉炭は選炭で
きないため、そのまま精炭
に混合し、使用されている。
Table 1、 2に微粉炭の粒
度分布および工業分析の
結果を示す。通常の精炭
の灰分は10%前後である。
Viscosity (dPas)
写真. 4. 廃棄物処理場の様子
CMR, AR (%)
写真. 3. 選炭工場の様子(微粉炭)
Agglomは凝集体、feedは試料、
wtは重量(g) を表す
《100-灰分含有率(Ash)》 で
CM(可燃成分)が求められる
Oil droplet
Separation
In this oil agglomeration process, petroleum oil has been used.
vegetable oils are selected as alternative agglutinative agents.
Fig. 2. Schematic diagram for principle oil agglomeration.
廃棄植物油による選炭は有効である
まとめ
廃棄植物油は植物油の化学的および物理的特性が著しく変化しており、油凝集選
炭に影響を及ぼす可能性がある。今後、さらなる廃棄植物油による廃棄石炭の油凝
集選炭のデータを蓄積していくことで、実際に実用化していく上で廃棄物同士から有
価物を抽出するという技術に適用可能であると考えられる。
参考文献
1) Adolfo F. Valdes, M. Dolores Gonzalez-Azpiroz, Calros G. Blanco, Ana B. Garcia, Experiment prediction of the agglomeration capability of waste
vegetable oils (WVO) in relation to the recovery of coal from coal fines cleaning wastes (CFCW), Fuel, 86, 1345-1350 (2007)
2) World Energy Outlook 2007 - Chapter 1 - Global Energy Trends
3) Ana B.Garcia, M.Rosa Matinez-Tarazona and Jose M.G.Vega, Cleaning of Spanish high rank coals by agglomeration with vegetable oils, Fuel, 75,
885-890 (1996)