電気伝導率 (mS/m)

電気伝導率の意義について
長崎大学環境科学部
中村剛研究室
平島栄一
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水中イオン濃度が高いほど水は電気を通しやすく、
水中イオン濃度の増加と共に電気伝導率は増大する。
このことを利用して
目的
三方山産廃処分場周辺で汚染実態の把握を迅速に行うために、
電気伝導率を利用した水質基準を作成する。
硝酸性窒素及び亜硝酸性窒素には環境基準(10mg/l)が設けられ
ている事から、この時の水質基準を作成する。
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データ
長崎市三方山の平成10~19年度までのボーリング揚水水質検査結果
電気伝導率 (mS/m)
 電気抵抗の逆数であり、水中ではイオン濃度の増加と共に増大する
亜硝酸性窒素及び硝酸性窒素 NO2-- N NO3-- N
(mg/l)
 動物性有機物が細菌による分解を経て生成され、過去の汚染を
示す。水中では硝酸イオンとして存在する。
 亜硝酸性窒素は不安定なので、今回の解析では亜硝酸性窒素は
全て硝酸性窒素に硝化されたと考えた。
 メトヘモグロビン血症を引き起こすことから環境基本法の人の健康
の保護に関する環境基準では10mg/l以下と定められる。この時
硝酸イオン濃度は44.3mg/lである。
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データ
長崎市三方山の平成10~19年度までのボーリング揚水水質検査結果
塩化物イオン Cl- (mg/l)
人間が1日に10~20gの塩分を摂取するので排泄物中など
から多量に検出され、自然水中で分解・沈殿しないために
人為的汚染を示す指標である。
硫酸イオン SO42- (mg/l)
システインやメチオニンなどのアミノ酸に含まれる有機態硫黄が
好気的条件下で硫黄酸化細菌によって無機化されたもの。
硝酸イオンを1.0とした時のイオン平均濃度比
硝酸イオン 塩化物イオン
1.0
1.7
硫酸イオン
0.3
4
解析1 -電気伝導率と硝酸イオン電気伝導率と硝酸イオンだけで指標を作れるか、
回帰モデル1を作成した。
しかし、緑色の線(回帰式)の当てはまりが良くない。
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電気伝導率と1つのイオンでのモデルは作りにくい。
硝酸イオン、塩化物イオン、硫酸イオンを組み合わせて
指標を作る。
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3つのイオンを組み合わせた指標作り
解析ソフト「JMP」を用いて、3つのイオンの相関関係を分析し、
指標を作成した。この指標を統合イオンと名づけた。
統合イオン = 0.60×硝酸性窒素
+0.56×塩化物イオン
+0.56×硫酸イオン
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解析2 -電気伝導率と統合イオン解析1と同様に電気伝導率と統合イオン、
回帰モデル2を作成した。
今回は緑色の線(回帰式)の当てはまりが良い。
解析1、2より水質基準の作成には統合イオンを用いる。
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水質基準作り
「硝酸イオンを1.0とした時のイオン平均濃度比」から
硝酸イオンの環境基準値(44.3mg/l)の時の各イオン濃度を求めた。
硝酸イオン 44.3mg/l
塩化物イオン 75.3 mg/l
硫酸イオン 13.3 mg/l
統合イオンの式に各イオンを代入すると、統合イオンは76.2となった。
回帰モデル2に統合イオンを代入すると、
電気伝導率は41.7
mS/mと導けた。
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まとめ
解析より産廃処分場周辺での水質基準は41.7mS/mとなった。
41.7mS/mを超えていた場合には水質汚染が疑われる。
今後の課題
今回は硝酸イオン・塩化物イオン・硫酸イオンを統合した変数を用い
たためにどのイオンが汚染原因か電気伝導率からは判断できない。
また更に詳細な溶存イオンの定量的解析を行うことでイオンの関係
を明らかにし、汚染実態の把握が望まれる
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