バングラデシュにおける砒素問題の現状

バングラデシュ人民共和国
バングラデシュ人民共和国 基本情報
首都 ダッカ
 面積
144,000km² (世界第91位)
 水面積率
7.0%
 人口 (2004年)
141,340,476人 (世界第8位)
 人口密度
982人/km²

バングラデシュの特徴
もっとも人口密度の高い国
 人口爆発が社会問題となっている
加えて、
 貧困国の一つ
 国内の人口の内、62%は農業に従事。
→ 主要農産品は米およびジュート
 人口が多いため、コメ輸入国となっている

バングラデシュ発展の阻害要因
地理的要因
 人的要因→
 人口要因→
 資源的要因
 政治的要因

→
→
→
→
→





サイクロン → 氾濫
能率の悪い国営企業、
港の不適切な利用
労働人口>需要人口
エネルギー利用
不十分な電力供給
政治的内紛、崩壊
国の衛生状態

国民の大多数は土地を所有していない
Q. じゃあ どこに住んでるの?

洪水の危険が高い低湿地。
=衛生状態はきわめて悪い場所
∵水を媒介として、コレラや赤痢などが蔓延
バングラデシュの地理

3つの川
→デルタ地帯を結成

デルタ地帯
→大部分は低湿
→洪水の危険性 大
今後の活動方針
目標
「すべての人が十分な量の水を安心して使えること」

ーバングラディッシュに焦点をあてて。

そのためには?
1. 現状把握→ どうなっているのか?
2.問題の抽出→ どうしてこうなったのか?
3.解決策の検討→ 選択肢には何があるのか?
視点の選択
ヒ素問題
 豊富な水量に矛盾する水不足問題
 先進国が牽引する技術の介入

砒素汚染の現状
STEP1.現状把握
バングラデシュにおける砒素問題の現状

約3,000万人の健康に影響する問題

全国にある469郡のうち270郡が
砒素汚染地域 に指定される
バングラデシュにおける砒素問題の現状

砒素に汚染された現地の人々の体
http://www.machida2.co.jp/topics/report/bang/index.htm
バングラデシュ交流調査薬剤師団 より引用
井戸の種類
ヒ素汚染の基準


現地の基準値(50μg/L)
WHO基準値(10μg/L)


「浅い」井戸(150m以下)
「深い」井戸(150m以上)
50μg/L
10μg/L
「浅い」井戸
27%
46%
「深い」井戸
1%
5%
図1. 井戸の種類別 砒素の水への溶解の度合い
井戸の種類あれこれ
ダグウェル
深さ
数m~10m
使う水
表流水
問題点
細菌の混入
チューブウェル 20m~60m 浅い帯水層 砒素の混入
深井戸
150m~
深い帯水層
アジア砒素ネットワーク
http://221.114.113.155/aan/AANtoyota/hyousi.htmより引用
不確実さ
砒素汚染発見への経緯
1970年代
~バングラデシュ、水の歴史
水の入手方法
→ 地表水(池や川など)、浅井戸の利用
( 深さ 数m~10m ダグウェルと呼ばれる)
 独立後の混乱と特有の洪水
→ 衛生的な水の供給不十分

細菌による感染症が蔓延
「緑の革命」による農業形態の変化
& チューブウェル推進運動

国際機関の援助で政府は
・・・・・ 「チューブウェル(TW)」 を普及
チューブウェルは地下水をくみ上げる。
(深さ20メートルから60メートル )

「地表水」ではなく「地下水」の利用
→感染症の防止、衛生的な水の供給
1980年代~
1983年
最初の砒素患者が発見される
(隣接するインド・西ベンガル州にて)
1993年
バングラデシュで井戸水の砒素汚染を確認
→ 砒素患者が次々と確認されていく
対策の現状

現在まで政府や国際機関が砒素対策の試行
錯誤をしているが、技術的、社会的な問題が
多く恒久的な解決策を得られていない。
Why?
砒素汚染の原因
STEP2.原因の把握
砒素はなぜ水に溶けている?

バングラデシュはヒマラヤ山脈を源流とする
いくつかの川が運んでくる、鉱物を多く含んだ
堆積物でできた土地。

もともと存在していたヒ素が、
なんらかの理由で溶け出したと考えられている。
なぜ砒素は地下水に溶け出すのか?
ヒ素溶出のメカニズムはさまざまな国で研究
しかし→ 明確な原因を特定できないのが現状
ただ、調査による統計的データに目を向けると・・・
→溶け出す砒素の量は金属酸化物との相関がある。
そこから生まれる2つの仮説 → 酸化説&還元説
「酸化説」

砒素を吸着した硫化鉄が、酸化条件のもと
で3価の鉄と硫酸イオンに分解し、砒素が離
れて地下水に溶け出す、というもの。

灌概用地下水の大量汲みあげによって、地
上の酸素が地下におりてきて酸化条件をつ
くっている、とみます。
「還元説」
鉄酸化物に吸着されている砒素が、還元条
件のもとで3価の砒素に変わり、鉄から離れ
て地下水に溶け出している、というもの。
 還元条件はデルタ地帯に堆積している有機
物の分解が水中の酸素を消費し、作られる。
緑の革命から用いられる肥料がバクテリアの
繁殖を促進している

しかし!
さまざまな条件によって、
地層の砒素は地下水に溶出する。
ので、
 地域によっては、上記2つの説以外の
化学変化が起きていることも考えられます。

結論
なぜ砒素は地下水に溶け出すのか?
ヒ素溶出のメカニズムは様々な国で研究
だが 明確な原因を特定できないのが現状
対策の現状

現在まで政府や国際機関が砒素対策の試行
錯誤をしているが、技術的、社会的な問題が
多く恒久的な解決策を得られていない。
ヒ素流出のメカニズムが不明!
各地の井戸の水質調査
各国からの資金援助を受け、各地の井戸の水質
を調査し安全な井戸には緑のペンキを塗り、ヒ素汚
染されている井戸には赤いペンキを塗る。
問題点→ヒ素はすべての土壌に含まれている
わけではないので、村のヒトが使っている井戸が安
全かどうかを調べるためにはその村すべての井戸
を調べなければならず、大変な手間、資金がかかる。
またバングラデシュの人々はヒ素に関する知識や危
機感をもっていないため赤いペンキを塗られていて
も平気で飲んだりする。
すべての人が安全で
十分な量の水を得るには
2つのアプローチ

科学的アプローチ・・・考えられる選択肢
Use by caseの検討

社会的アプローチ・・・人々の意識、経済性
実現性の検討
安全な水を得るには?
WHAT? →
新たな水源の確保 既存の水源の利用
HOW?
HOW?




深井戸(150m~)による
地下水の利用
水の輸入
パイプ給水
塩水の淡水化



砒素汚染水をフィルタに
より浄化した後に利用
雨水・表流水
※細菌の浄化が必要
井戸にペンキを塗る
■選択肢の検討
深井戸
利点
安全な水
欠点
将来の不安
水の輸入
塩水の淡水化
?
?
?
?
パイプ給水
多量の水供給
水源の存在
雨水を直接利用
管理が簡単
乾季の対策
表流水の浄化利用
管理が簡単
ダグウェルの消滅
砒素の除去
既存の体制
ランダムさ
■選択肢の検討
深井戸
適用できる場所
地下水脈の存在
水の輸入
塩水の淡水化
海の近く
海の近く
パイプ給水
池のある場所
雨水を直接利用
どこでも
表流水の浄化利用
川・池のある場所
砒素の除去
どこでも