公共建築における 「ベンチマーキング」の検討 改善への第一ステップ 平成20年11月 財団法人 建築保全センター ベンチマーキングとは 「ベンチマーキング」とは、 公共建築の保全について、他組織が実 践している最良の方法に学んで、自己 改革をするという取組みである。 =横並べして「いいとこどり」 ここから得られる情報やデータは、自 組織の改善目標値(ベンチマーク)と して用いられる。 ベンチマーキングの目的 公共建築の保全にかかる手法、プロ セス、手続き、サービスの内容につ いて、他組織と比較・評価し、最良 の方法を自組織に取り入れ、改善す ることを目的としている。 ベンチマーキングの対象 公共建築にかかる定量化可能な情報、 データが対象となる。 ベンチマーキングの相手 ① 自治体内部の施設別の比較・評価 ② 他自治体との相互比較・評価 ③ 国や民間施設との比較・評価 ベンチマーキングの事例 自治体内部の施設別の比較・評価 凡例 ◆小・中・高校 ■試験・研究施設 ▲庁舎 20,000 2006年101建物 18,000 16,000 電力料金 (千 円/年) y = 778.67x + 842192 14,000 12,000 10,000 y = 1150x + 1E+06 8,000 6,000 y = 237.07x + 1E+06 4,000 2,000 0 0 5,000 10,000 15,000 建物床面積(㎡) 20,000 25,000 ベンチマーキングの事例 他自治体との相互比較・評価 (1) 1人当りの利用床面積(㎡)と校区面積(k㎡)の関係 徳島県HP:H20.9.25「市立小中学校の耐震化状況等」資料 30.0 小中学校の生徒1人当りの利用床面積(㎡) y = 0.7686x - 2.9957 R2 = 0.716 25.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 A市 B市 C市 D市 E市 F市 ( G市 ) 小 学 校 20.0 1 校 当 15.0 り の 校 区 10.0 面 積 k 5.0 ㎡ H市 0.0 0.0 ※小中学校の生徒数は、15歳未満人口に9/15を乗じて算定 10.0 20.0 30.0 40.0 小中学校の生徒1人当りの利用床面積(㎡) ※小学校の校区面積は、市域面積を小学校数で除して算定 ベンチマーキングの事例 他自治体との相互比較・評価 (2) A市 F市 徳島県HP:H20.9.25「市立小中学校の耐震化状況等」資料 凡例: 2次診断中 耐震性なし F市 床面積(㎡) 耐震性あり (%) .累積比率 累積比率(%) 10,000 100 8,000 90 80 24校137棟98,480㎡ 6,000 70 60 50 4,000 40 30 2,000 20 10 0 100 B市 G市 C市 H市 D市 E市 30年 90 80 70 60 0 5 5 5 2 4 6 5 6 6 6 6 6 7 7 7 7 7 8 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 8 8 8 8 8 9 9 9 9 9 0 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 0 0 0 0 2 4 6 50 40 床面積(㎡) G市 累積比率(%) 10,000 8,000 30 100 25校65棟66,623㎡ 90 80 70 60 6,000 50 4,000 40 30 2,000 20 10 0 0 5 5 5 5 6 6 6 6 6 7 7 7 7 7 2 4 6 8 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 8 8 8 8 8 9 9 9 9 9 0 0 0 0 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 0 2 4 6 20 10 0 5 5 5 5 6 6 6 6 6 7 7 7 7 7 8 8 8 8 8 9 9 9 9 9 0 0 0 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 0 2 4 6 8 0 2 4 6 年 度( 西 暦 ) ベンチマーキングの手順 調査 1 ベンチマーキング項目を決める 2 ベンチマーキング相手(最良の事例)を決める 3 データ・情報を収集する 4 格差を認識し、その理由を分析する 5 将来の到達水準を推定する 6 「わかったこと」について組織の理解を得る 7 改善目標を設定する 8 実行計画を立案する 9 実行計画を実践し、進展状況をモニターする 10 再ベンチマーキングをしながら継続的に改善していく 分析 計画 実行 総解説ファシリティマネジメント(FM推進連絡協議会編)より引用・一部修正 ベンチマーキングの項目 ①施設関連費用の節減 ・床面積1㎡当りの光熱水費用 ・床面積1㎡当りの維持管理費用 ②施設の効率的利用 ・市民1人当りの施設保有面積 ・職員1人当りの施設利用面積 ・施設の利用率 比較・評価の適用の考え方 ベンチマーキング 格 付 け 自らの改善 地位確認と差別化 実施主体 自ら、または外部コンサル 主に外部コンサル 比較相手 選択できる 選択できない 比較項目 細目にわたる項目ごと 項目を大括り 相対的評価 絶対的評価 連続的・数値化 不連続・段階的 ①重要度、②実現度、 ③定量化を考慮し設定 ①重要度、②定量化を 考慮し設定 目 的 比較基準 項目設定の 優先順位 ベンチマーキングの効果 (1) 改善目標の設定 →目標を的確かつ効率的に設定できる (2) 改善方法の立案 →先進的事例にならい実践するので、自己 流とならず、改善によるコスト縮減等の 成果を容易に確保できる (3) 改善成果の迅速な享受 →成果が早期に数字で見え、さらなる改善 へ誘導できる ベンチマーキングの課題と対策 ①データが未整備 →必要データのたな卸し、電子化 ②データがあっても比較できない →データ属性の明確化が不可欠 ③比較相手に情報非開示の壁が存在する →情報の積極的な交換
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