京都では右?左?側通行!? ~階段の昇降行動への行動分析的アプローチ~ 立命館大学文学部心理 学科心理学専攻4回生 高田千恵子 研究をするにあたっての背景 ・立命館大学には全国各地から学生が集まってお り、生活習慣の違いに気づくことも多い。 特に、関西と関東の生活習慣の違いは顕著であ る(言葉、食べ物、日常行動など)。 〈最も感じた違い〉 エスカレーターや階段の上り下りの方向 (関西では右側通行、関東では左側通行) しかし、関西にあっても京都では自分の前の人 が右にいるか左にいるかによって自分の位置を 変えるという人が多く、駅やデパート等のエスカ レーターや階段では、列が蛇行している様子を よく見かける。 では、様々な地域出身者が集まる本学では、どの ような人の流れになっているのか? 先行研究 永井ら(1991)の研究では、バス停留所を利用 する高校生の無秩序な並び行動を、ベンチと2 本の白線を用いた環境操作によって変容させよ うと試みた。 ↓ 環境操作が高校生の並び行動を完全に制御し たとは言えないが、介入が多少の効果を示す結 果となった。 研究の目的 本研究では、永井ら(1991)の研究をもとに、環 境操作によって不特定多数の人々の行動を変 化させることができるかということを目的とする。 階段の昇降行動に対して何種類かの介入を施 し、介入によって不特定多数の人々の行動は変 化するのか、又、どのような介入が効果的かと いうことを検証する。 研究計画 ベースライン、介入1条件、介入2条件の3条件 を、条件交代法のデザインですすめる。 ベースライン(以下「BL」)→介入1→BL→介入2 →BL→介入2→BL の順序で条件交替法を用 いる。 各条件の期間は1ヶ月とする。 場面、対象者 実験は昼休みの50分間に実施する。 ベースライン期において、立命館大学構内の比 較的利用数の多い校舎(清心館、以学館、恒心 館、存心館、諒友館、洋々館)から特に利用数 の多い校舎の階段1階部分を決める。 立命館大学に通う大学生および職員を対象者と する。 介入 ベースライン・・・階段の通行状況を観察する。 介入1(図形的情報)・・・階段の中央にテープで ラインを引き、踊り場に進行方向を示す矢印を テープで引く。 介入2(言語的情報)・・・各階の階段付近に、言 語による進行方向の指示が書かれた看板を設 置する。 行動の指標 階段を通行する全体数における、介入の指示通 りに階段を通行する人の数を割合として算出し、 ベースライン期と比較する。 通行人数のカウントは、筆者と別の者の二人で 行い、二人の観察者間一致係数をとることで信 頼性を得る。 仮想データ1 全 100 通 行 人 80 数 に 60 お け る 40 割 合 20 ( % ) 0 右 左 通行の位置 図1.ベースライン期における階段の通行状況 真ん中 仮想データ2 全 100 通 行 人 80 数 に 60 お け る 40 割 合 20 全 100 通 行 人 80 数 に 60 お け る 40 割 合 20 ( % ( % ) 0 右 左 通行の位置 図2.介入1条件下の階段の通行状況 真ん中 ) 0 右 左 真ん中 通行の位置 図3.介入1条件後のBL期における階段の通行状況 仮想データ3 全 100 通 行 人 80 数 に 60 お け る 40 割 合 20 ( % ) 0 右 左 通行の位置 図4.介入2条件下の階段の通行状況 真ん中 全 100 通 行 人 80 数 に 60 お け る 40 割 合 20 ( % ) 0 右 左 真ん中 通行の位置 図5.介入2条件後のBL期における階段の通行状況 参考文献 永井太郎・杉山尚子・佐藤方哉 (1991) あるバス停での 並び方の変容の試み 日本行動分析学会年次大会プロ グラム・発表論文集 (9),10-11 松本明生・大河内浩人 (2003) 列車到着間隔と乗車行 動ー日常行動の分析ー 行動分析学研究,18(1),38-44
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