13.01

2007年度後期 労働法政策
第13講
ボランティア
または
アンペイドワーク
それはあるグチからはじまった。
NGO職員のサービス残業
「この時間からはボランティアでお願い」
「ボランティアの人は無償でこれだけ働い
ているのだから・・・」
それはあるグチからはじまった。
NGO職員のサービス残業
「この時間からはボランティアでお願い」
「ボランティアの人は無償でこれだけ働い
ているのだから・・・」
でも、これって、労働力のダンピング?
ボランティアと労働者の違い
労働基準法9条における労働者
使用される=命令に従う
賃金が支払われる=対価
ボランティア
使用されない
対価がない
ボランティアと労働者の違い
労働基準法9条における労働者
使用される=命令に従う
賃金が支払われる=対価
ボランティア?
使用される
対価がない
有償ボランティア?の場合
判例1:さわやか福祉の会
流山事ユーアイネット事件
所得金額733億円に対する納税の義務
事業の内容
食事の下ごしらえ、調理、掃除、話し相手 など
サービスを利用者は「ふれあい切符」を8点払う。
サービスを行う者は「ふれあい切符」を6点もらう。
事務運営費2点が法人へ。
「ふれあい切符」は1点100円で現金交換するか、サービ
ス利用に利用できる。
法人は使用者、サービスを行う者は労働者か?
さわやか福祉の会
流山事ユーアイネット事件
「本件事業によるサービスの提供は,原告事務局において作成した訪
問予定表に従って行われていること等の本件事業の実態からすれ
ば,サービスの提供に協力する会員は,ボランティアという立場に鑑
み,原告からサービス内容の変更等について広範で包括的な権限
を与えられているとはいえ,原則として,原告の指示に従い,その管
理の下にサービス提供に協力しているものと認められるのであって,
協力会員が原告の指示を受けずに、全く独立の立場で,独自にサー
ビス提供を行っているとは認められない。」
さわやか福祉の会
流山事ユーアイネット事件
サービス提供者
指揮命令下にある(使用されている)
対価を得ている
労働者?=労働基準法などの適用あり
最低賃金
労働時間、休憩、時間外労働手当て
労災、安全配慮義務など
有償ボランティアの実態
年齢
性別
そのまわりに与える影響
小野晶子『「有償ボランティア」という働き方─そ
の考え方と実態─』労働政策研究・研修機構 労働
政策レポート3(2005年)参照
有償ボランティアの実態
年齢
性別
そのまわりに与える影響
安上がりな労働力を使っているだけ?
無償ボランティアの場合
使用されない=自発的=ボランティア
使用されている場合は?
対価あり=労働
対価なし=?
無償ボランティアの場合
使用されない=自発的=ボランティア
使用されている場合は?
対価あり=労働
対価なし=強制労働
いずれの場合も、労働基準法の適用あり。
自発性を問う
賃金ではない、ほかのものを対価とし
て期待していないか?
そのほかのものは生きていくうえで重
要なものか
そのことが労働市場に影響していない
か(賃金を引き下げていないか)。
自発性を問う
参考:
立岩真也『弱くある自由へーー自己決定・介
護・生死の技術』(青土社、2000年)p.248
介助者への感謝がサービスの対価?
上野千鶴子・行岡良治『論争アンペイドワーク
をめぐって』(太田出版、2003年)p.183
感謝される、生きていていいんだという実感
笹沼朋子『女性解放の人権宣言ーー愛媛県男女
共同参画推進条例批判』(創風社出版、2004
年)p.70
専業主婦の無償労働を期待し、利用する行政
ボランティア
何も見返りを期待しない、
自己の善の行いのためだけの行い