三菱化学㈱科学技術研究センター筑波 安全衛生活動 平成14年6月25日 エリアコーディネーター 岩根 寛 1.STRC筑波の概要 2.STRC筑波の安全成績 3.安全基本方針 4.組織 5.STRC筑波の安全活動 6.今後の取り組み 科学技術研究センター:STRC (MCC-Group Science & Technology Research Center) 1 2 1.STRC筑波の概要 1.所在地 2.操業開始 3.主要研究 4.規模 茨城県稲敷郡阿見町中央八丁目3-1 昭和43年3月 電池機能材料、ファインケミカルズ、機能性高分子 従業員 110名 (関係会社 7社 250名) 敷 地 20万m2 5.高圧ガス、危険物等取扱量 高圧ガス処理量:279Nm3/日 水素、酸素、窒素、CO 危険物取扱量:233倍 一石14KL 二石10KL アルコール20KL 毒物、劇物取扱量 毒物:貯蔵量 少量 劇物:取扱量 1トン以下 3 2.STRC筑波の安全成績 4 不休業 3 休業 2 1 0 年 3 H1 2年 H1 1年 H1 年 0 H1 年 H9 年 H8 年 H7 年 H6 年 H5 年 H4 休業無災害記録 ・昭和55年9月4日起算(継続中:H14.4現在983万時間) 受賞歴 ・平成 8年 日化協安全努力賞 ・平成14年 優良危険物関係事業所消防庁長官表彰 ・平成14年 日化協・JRCC安全努力賞 4 3-1.三菱化学RC活動の基本方針 社長を議長とする「RC推進会議」にて2ヶ年(2001/2002年)の三菱化学グ ループの基本方針は以下の通り。 1.「安全第一」の理念のもと「保安安全の確保」に重点をおいたRC活動 をさらに積極展開し、「収益」と「スピード」の経営基盤を確立する。 2.RC活動をグループ経営スタンダードに基づきグループ各社で展開し、 各社固有の自主的活動の推進により、グループ全体のレベルを向上 させる。 3.RC活動の内容と成果を広く情報公開し、社会とのコミュニケーショ ンを通して三菱化学グループの信頼を高める。 (組 織) RC監査チーム RC推進会議 RCフォローアップ 委員会 ●カンパニーRC委員会 ●支社・支店RC委員会 ●事業所・工場RC委員会 ●研究所RC委員会 5 3-2.STRC安全基本方針と活動の特徴 <STRCの安全基本方針> 1.行動災害の撲滅 2.快適職場の推進 <STRC筑波の安全活動の特徴> ・中央RC委員会を軸に、職場の安全に密着した安全 活動に取り組んでいる。 ・関係会社を含め一体活動で取り組んでいる。 ・MCCビジネスネットの効果的活用。 6 4-1.研究組織 RDエリア:筑波、横浜、四日市、黒崎、水島、鹿島 科学技術研究センター長 技術研究所:28研究所 (技術基盤の能力向上) プ ロ ジ ェ ク ト チ ー ム (新規製品/プロセス開発) プロジェクトリーダー 全社プロジェクト数:146 筑波プロジェクト数:18 7 4-2.管理安全組織 エリアコーディネーター (統括安全衛生管理者) 環安部、事務G 産業医、保健師 中央RC委員会 プロジェクトリーダー (安全衛生管理者) 職場RC委員会 RTDコーディネーター 中央RC委員 所属員 8 4-3.STRC筑波の特徴 人 高学歴、専門性、一人作業、成果追求、わがまま 設備 高性能先端機器~ガラス機器まで 物質 少量多品種 実験 常に非定常作業、試行錯誤、長期・短期 管理 人の異動、研究テーマや組織の改廃が多い サポート管理部門の役割極めて重要 9 5-1.STRC筑波の安全活動 中央RC委員会を軸に安全活動を推進 1.年間活動計画書の作成と活動管理 (P・D・C・Aを確実に廻す) 2.KY、HH、5S活動による安全意識の持続 (災害の未然防止に確実に取り組む) 3.実験安全事前評価を確実に行う。 4.安全自己評価 (日常の安全活動を自己評価し弱点を強化) 5.健康管理(THP活動) 10 5-2.年間活動計画書の作成と実行(1) 職場の実状に合った活動内容を計画し、「P・D・C・A」が確 実に廻るよう活動を推進している。 年間推進項目のアクションプログラム作成 <PLAN> ・目標値、活動内容、担当、年間スケジュール <DO> ・達成度(中間、期末) <CHECK/ACTION> ・未達成要因/問題解決のための来期の活動方針 11 5-3.年間活動計画書の作成と実行(2) 年間推進項目に対し、職場の実状に合わ せ活動内容を計画。 「目標設定」「実施スケジュール」「達成度」 「次年度への反省事項の織り込み」がわ かる書式としている。 12 5-4.KY活動 ・JSKY(事故想定危険予知)…プロジェクト内Gr毎のKY活動 ・一人KY・・・個人単位のKY活動 <運用例:毎月のテーマを決め提出 データベース化で情報共有化> 13 5-5-1.HH活動の充実化 ・HHの運用をデータベース化し、情報の共有化と迅速化を 図る。分析機能を付加し類似HH等の傾向を把握し撲滅を 目指す。 <特徴>研究所に合った内容と提出し易さに配慮。 ・想定災害分類 (切傷、薬傷、火傷、打撲骨折、挟まれ巻き込まれ、保安、その他) ・入力は選択ボタンを多くした。 ・原因分析 (発生理由、発生状況、人の要因、設備の現象、設備名、設備の原因) ・職制の承認とコメント ・対策実施 (グループへの徹底、JSKYの実施、SOPの改訂、設備改善) ※入力者は、無記名となる。 14 5-5-2.HH活動(データベース) 15 5-5-3.H13年下期ヒヤリハット 分析例(248件) <要因別分析> 発生状況:移動、運搬、歩行中 実験装置、機器取扱中 発生理由:KY不足、操作前確認不足 設 備:ガラス器具、薬品、階段 廊下、重量物 設備現象:漏れ、突沸、飛散 割れ、破裂 <ヒューマンエラー> 意図しない行為:50% 意図したが誤った行為:34% 背景:深く考えなかった、大丈夫だと 思った、気づかなかった 想定災害別 保安:機器の異常現象、電気トラブル、 用役の操作不十分、火災等に発展 の可能性があった等。 16 5-5-2.HH運営方法 (類似HH・重大HHの抽出、撲滅を目指して) 重要! 職場RC委員会 研究者 PL、GL 重大か否か確認 職場議事録に 内容を記載 環境安全部 「事故情報DB」に入力 小集団で討議・対策をたてる (1件以上/月) 共通性が高く全 軽微なものから、大事故や 災害に繋がりそうなHH、類 似HHの件数の多いもの 重大ヒヤリとは.. ・労災関係:あわや労災寸前 ・保安関係:事故寸前、異常現象 或いはこれに近いもの ・環境関係:あわや環境トラブル寸前 場所で周知した 方が良いもの 研究室へ報告書 作成依頼 中央RC委員会 中央RC委員が報告、水平展開 中央RC委員回覧 17 5-6.5S活動 (57エリア) 第1ステージ ’97/4~’99/3 体制 (20エリア) 第2ステージ ’99/4~’01/3 見た目の美しさ より機能性重視 診断 ・中間診断、1次診断、2次診断 合格で「5S認定」発行 ・「5S認定」後は維持向上活動 ・「5S優秀賞」 1)5S認定後1年以上維持 2)事故・労災・交災が過去3年間ゼロ 3)5S独自活動が顕著 18 5-7-1.実験安全事前評価(1) 実験計画書 〔実験NO: 〕別紙-3 作成 年 月 日 実 験 計 画 書 年 月 日 実験計画者 実験 者 実験名称 実験目的 実験期間 年 月 日 ~ 年 月 日 実験場所 反応式 反応条件 装置 スケール 発熱量 Kcal/mol 暴走反応 危険性評価(各物質の最高点を記入) 判断基準1.2L以上で評点2以上あればPL許可 2.2L以下で評点2以上あればGL許可 温度、圧力異常時対応 安 全 想定される災害と対応 対 策 廃棄方法 ガス発生量 混触危険 反応性 有害性 燃焼性 廃 棄 実験を計画する段階で取り扱う 全ての物質の危険性、操作の 安全を事前に評価し、予想され る危険要因を把握、必要な 安全対策を講じる。 ・テーマの探索・開発 ・プロセスの検討 ・サンプルの製造・出荷 etc 19 5-7-2.実験安全事前評価(2) 実験安全性事前評価フロー 実験安全性事前評価フロー 危険性評価の判断基準 危険性評価の判断基準 別紙-1 分類 評点 評 価 基 準 新規実験計画 1.許容濃度 50ppm(mg/m3)未満 経口致死量 30mg未満 取扱物質の決定と危険性調査 危険性評価 是正実験計画書作成 実験計画書作成 安全・防護対策決定 2.強酸、強アルカリおよび皮膚を腐蝕する物 1 有 2 3.発ガン物、特定化学物質及びそれらの構造類似物質 4.吸湿又は水と接触によって有害ガスを発生する物 害 法該当設備 NO YES *1 大型設備 5.加熱、圧縮又は強酸・アルカリなどの添加によって強い酸化性を表わす物 6.有害性不明な物 性 1.許容濃度 50ppm(mg/m3)以上200ppm(mg/m3)未満 1 NO YES 取扱量2L以上か 2.人体に接触した時、皮膚、粘膜を刺激する物 1 0 NO YES NO YES 危険度評点2以上の 危険度評点1以上 ものあるか のものあるか PL が必要と GL承認 PL承認 認めるとき 2.分子構造からの危険因子が有るもの 2 5.CHETAH評価により危険性のとくに高い物 (3つの判定基準のうち、2以上でhighの場合) 1 1 安全対策・防護対策 実施 YES NO スケールアップ 取扱物質新規 NO YES NO YES NO YES 危険度増 危険が想定 される *1 GLは環安部、関係部門と協議し 問題点を摘出し、上程の要否を 結果を実験計画に織り込み PL に提言する。 安全会議 1.上記以外 1.発火点40℃未満の物 実 験 着 手 法該当設備 危険度増 1.一般発熱反応 2.CHETAH評価により危険性の高い物 1 0 研究設備改造・転用 3.衝撃により分解爆発する物、加熱により分解爆発する物 4.吸湿又は水と接触によって発熱又は発火する物 応 性 研究設備新設 1.普通物 1.危険反応事例が有るもの 反 RC面で不具合有無 経口致死量 30mg以上300mg未満 燃 2 2.可燃性ガス、引火点30℃未満の物 焼 1 1.引火点30℃以上、100℃未満の物 但し引火点100℃以上でも発火 性 点の比較的低い物 0 1.上記以外 2 1.特殊排水(各室処理) 廃 1 1.分別廃棄 棄 0 1.流し廃棄 20 5-8-1.安全自己評価 (1) グループ単位で管理面を主体に日常の安全活動に対し客観 的、批判的に自己評価し弱点の所在を見つけだし強化する。 評価項目 1.管理者の姿勢 2.組織と管理 3.設備管理 4.実験作業 5.安全衛生管理 6.教育訓練 7.動機づけ 8.機密保持 評価結果のデスカッション ・個人差の縮小 ・次なる目標の一致 21 5-8-2.安全自己評価(2) 実験室の安全自己評価結果取りまとめ表 8 優 評価者 . 前回評価日 年 月 日 評価日 年 月 日 9.各要素ランク分け基準 PJ 1.管 注)2001年5月1日付けの組織改編でRC活動は、各プロジェクト体制のもとで行われます。 理者 個々のプロジェクメンバーは、少人数で構成されている場合もありRC活動をより効果的に 2.組織と管理 3.設備管理 4.実験作業 5.安全衛生管理 実施するために、技術内容が近くまた場所も近い(同一フロアー等)複数のプロジェクト の姿 を括り、「グループ単位」のRC活動として運営する。 勢 Ⅰ.管理者の姿勢 否 項 目 良 4 ①管理者の 安全意識と 基本方針 可 2 否 0 管 理 者 の 意 識 方 針 の 周 知 徹 底 研 究 室 安 全 会 議 室 安 全 会 議 準 備 職 場 安 全 会 議 職 場 安 全 活 動 安 全 活 動 計 画 管 理 者 の 役 割 安 全 マ ニ ユ ア ル 防 災 設 備 の 点 検 安 全 装 置 管 理 計 量 機 器 管 理 実 験 設 備 の 点 検 高 圧 ガ ス 設 備 点 検 第 1 種 圧 力 容 器 電 気 設 備 の 点 検 0 1 2 可 3 良 4 管理者の基本方針 安全スタッフや安 や重点施策を基にグ 全会議にまかせきり ループ単位のはっき で、自ら積極的に活 りした活動方針が示 動方針を示さない。 されていない。 他グループもやって 毒 実 異 一 作 整 安 環 V いるとの理由で「安 全優先」の標識を揚 物 験 常 般 業 理 全 境 D げている程度。 の 事 時 作 場 整 パ 保 T 保 薬 高 護 品 圧 具 の ガ 等 管 ス 管 前 等 業 危 大半は、何となく 頓 ト 全 作 ②活動方針の 筑波地区の基本方 周知徹底 針、グループ単位の 使 理 の 理 対 措 険解っている。 ロ 業 用 管 活動方針を誰も知ら 策 置 対 | ない。 理 策 ル 5 自分の考えで活動 方針を示すが、安全 は避けられない負担 と考えている。 作 業 環 境 成文化され、公示 され、大多数の人が 管 安全の重要性を知っ 理 ている。 個別評価 ・計量器の点検の実施を来年度行う。 全体的に慣れが目立つ。 個別想定訓練を来年度実施。 ・安全担当を輪番制にしたのが良かった。 ・SOP整備されつつある。 ・HH、KY活動が充実してきた。 ・整理 整頓が不十分なときがあった。 ・5Sの進展が遅かった。 ・全体的によいレベルにある。 記入者:PL及びプロジェクト員 優 6 7 8 安全を積極的に受 けとめ、研究計画に 沿った安全活動方針 を打ち出す。 研究活動に先取り 安全が反映してい る。 「良」の評価をク リアにした上に、更 に「研究と安全」の 関係が十分議論され ている。 22 5-9-1.健康管理(THP活動) 毎日の疲れを明日に残さず、明日を楽しみにできるような環境 と、それを実行できる心身ともにより健康な研究者を目指す。 1.産業医による職場巡視 2.メンタルヘルス活動の推進 ・管理者教育、健康管理室個別相談(電子メール可) 3.長時間勤務者の健康フォロー 4.健康診断結果フォロー 5.情報提供サービス ・健康管理室データベース 23 5-9-2.産業医による職場巡視 年間計画に基づき毎月順番に各職場巡視 • 関係会社を含め9職場巡視 • 職場巡視者 産業医、保健師、環境安全部、 職場のRTDコーディネーター、中央RC委員 • 巡視内容 作業環境、5S状況、その他全般 • 巡視結果の改善と報告(中央RC委員会にて報告) 24 5-9-3.長時間勤務者健康診断 長時間勤務者健診調査票 所属 所定外労働時間 今 月 H ( 年 月度) 氏名 (健診日 年 月 日) (従業員番号: 前 月 H 前々月 H ) 産業医・保健師によ る個別面談実施 1.現在、治療の必要な疾患にかかっていますか?(当てはまる項目を○で囲んで下さい) かかっていない / かかっている (かかっている場合、以下も記入して下さい) (健康診断の対象) ① 治療を受けていますか 受けている / 受けていない ② 病名を記入して下さい ( ) 2.医師の診察を希望しますか? 希望しない / 希望する → 希望時期 ( 月 日 時頃) * 1ヶ月の残業時間が100時間を越える場合は、必ず健康診断を受けて下さい。 3.以下の質問で、現在の健康状況にあてはまると思われるところに○印をつけてください。 いいえ ときどき 数回/月 ① 胸や心臓のところで、締めつけられたり、押さえつけられたりするよう な感じがすることがありますか? ② 同じように働いていても、他の人より息切れがしやすいほうですか? ③ 食欲がないことがありますか? ④ 吐き気があったり、吐いたりすることがありますか? ⑤ 食事の前など、空腹のときに胃が痛みますか? ⑥ このごろ、急に痩せてきましたか? ⑦物事に対して、たやすく決断ができますか? ⑧体力や気力が充実して、物事がさっさとさばけますか? ⑨ 眠れないことがありますか? しばしば いつも 数回/週 毎日 所定外勤務時間 が70時間以上 25 5-9-4.健康診断フォローの流れ 定 期 健 康 診 断 特 殊 健 康 診 断 無 所 見 有 所 見 診 断 の 確 定 経 過 観 察 一 部 は 再 検 査 又 は 精 密 検 査 が 必 要 な こ と も あ る 要 治 療 平 常 勤 務 要 勤 務 制 限 平 常 勤 務 要 勤 務 制 限 要 療 養 1 ) 健 康 相 談 2 ) 健 康 指 導 3 ) 療 養 指 導 産 業 医 面 談 ・ 保 健 婦 面 談 26 6.今後の取り組み ●地道に手を抜かずあたりまえのことをしっ かりやる。 ・「行動災害の撲滅」 継続推進。 ・「快適職場」の更なる推進。 ●健康管理(THP)の推進 ●これまで培ってきた安全風土の継承深化。
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