ICFの基本的な考え方 2006.3.4研修会資料 ■ICFの生活機能モデル 健康状態 (変調または病気) 病気、けが、妊娠、高齢、ストレスなど 生活機能 心身機能・身体構造 活動 参加 (生命レベル) (生活レベル) (人生レベル) 心と体の働き、体の部分など 歩行、家事、仕事などの生活行為 仕事、家庭内役割、地域社会参加等 環境因子 個人因子 建物、福祉用具、介護者、社会制 度など 年齢、性別、ライフスタイル、価値観 など これまでの ケアマネジメントについて ■4つのケアマネジメント 表面の思い 本人の人生への主体的で積極的な参画 =「本人の自己実現」 本当の思い アセスメント ①原 因 ②状 態 ③問 題 ④意 欲 (〇〇のため) (〇〇の状態で) (〇〇できず困る) (〇〇したい) (〇〇までしかできず困る) (〇〇までできるように 本人と協働 本人と協働 ケアプラン 生活全般の解決すべき課題 短期目標 (ニーズ) 長期目標 サービスの提供 なりたい) ■「御用聞き」ケアマネジメント 表面の思い 本人の人生への主体的で積極的な参画 =「本人の自己実現」 本当の思い アセスメント ①原 因 ②状 態 ③問 題 ④意 欲 (〇〇のため) (〇〇の状態で) (〇〇できず困る) (〇〇したい) (〇〇までしかできず困る) (〇〇までできるように 本人と協働 本人と協働 ケアプラン 生活全般の解決すべき課題 短期目標 (ニーズ) 長期目標 サービスの提供 なりたい) ■「サービス前提型」ケアマネジメント 表面の思い 本人の人生への主体的で積極的な参画 =「本人の自己実現」 本当の思い アセスメント ①原 因 ②状 態 ③問 題 ④意 欲 (〇〇のため) (〇〇の状態で) (〇〇できず困る) (〇〇したい) (〇〇までしかできず困る) (〇〇までできるように 本人と協働 本人と協働 ケアプラン 生活全般の解決すべき課題 短期目標 (ニーズ) 長期目標 サービスの提供 なりたい) ■「問題解決型」ケアマネジメント 表面の思い 本人の人生への主体的で積極的な参画 =「本人の自己実現」 本当の思い アセスメント ①原 因 ②状 態 ③問 題 ④意 欲 (〇〇のため) (〇〇の状態で) (〇〇できず困る) (〇〇したい) (〇〇までしかできず困る) (〇〇までできるように 本人と協働 本人と協働 ケアプラン 生活全般の解決すべき課題 短期目標 (ニーズ) 長期目標 サービスの提供 なりたい) ■「目標志向型」ケアマネジメント 表面の思い 本人の人生への主体的で積極的な参画 =「本人の自己実現」 本当の思い アセスメント ①原 因 ②状 態 ③問 題 ④意 欲 (〇〇のため) (〇〇の状態で) (〇〇できず困る) (〇〇したい) (〇〇までしかできず困る) (〇〇までできるように 本人と協働 本人と協働 ケアプラン 生活全般の解決すべき課題 短期目標 (ニーズ) 長期目標 サービスの提供 なりたい) ケアマネジメントにおける アセスメントの考え方 ■アセスメントの要点 〇ケアマネジメントはアセスメントに始まり アセスメントに終わる 自立した生活を営むのは本人自身であり、 支援するためには「本人の立場に立つ」必要があり 「本人の自立を支援する仕組み」がケアマネジメント 本人のことを十分に知る必要がある=アセスメント アセスメントがなければ、ケアマネジメントとはいえな い=アセスメントに始まりアセスメントに終わる ■アセスメントの要点 〇アセスメントの本質 単に「ケアプランを作るための必要な調査」 「自立支援のサービスを提供するためのケアプラン を作成するために必須の情報収集と分析」 「本人のニーズに沿ったサービスを提供するための ケアプランを作成するために必須の情報収集と分 析」 個々のニーズを明らかにして、対応したサービスを 導入するための手段・方法=アセスメント ■アセスメントの要点 〇アセスメントの本質 ①ADL、IADL、残存能力(可能性)、既に実施されて いる様々なサービス、介護環境等の評価を通じて ②本人が望む自立した生活を阻害する要因を生活 全般から明らかにし、 ③自立に向けて本人がどのような希望や意思を持っ ているのか⇒「解決すべき課題」を明らかにする ④自立への意欲や姿勢が明らかにならない場合は、 意欲を高め導く必要(アセスメントで行うこと) ■アセスメントの要点) 〇アセスメントの過程 ①自立阻害要因の分析、自立促進要因の分析 ②自立生活のイメージ 本人とともに明らかにしていく=アセスメントの過程 「個々の状況は刻々と変化する」「意欲を高め導く」 「継続中のアセスメント=モニタリング」 ⇒〔!〕アセスメントは途切れなく続くものという認識 ■アセスメントから何を抽出するか 〇ケアマネジメントの全体像 本 人 本人の人生への主体的で積極的な参画=本人の自己実現 の 思 い アセスメント ①原 因 ②状 態 ③問 題 ④意 欲 (〇〇のため) (〇〇の状態で) (〇〇できず困る) (〇〇したい) (〇〇までしかできず困る) (〇〇までできるように 本人と協働 本人と協働 ケアプラン 生活全般の解決すべき課題 短期目標 (ニーズ) 長期目標 なりたい) ■アセスメントから何を抽出するか 〇アセスメントの本質 本人の現状から①原因、②状態、③問題、④意欲を 抽出する。 「〇〇のために、〇〇の状態で、〇〇できず困って おり、〇〇したい。」という4点を明らかにする。 本人と共に「原因」とそのために生じている「状態」を 明らかにしたうえで、「状態」から生活上の困りごとで ある「問題」を浮き彫りにする「転換」を行い、さらに、 「問題」を「意欲」に「転換」していく必要がある。 ⇒時間をかけてアセスメントを「深めて」いく。 ■現状を把握する 〇自立阻害(促進)要因の分析のため 本人をどのように捉えるのか。たとえば「疾病」だけ みるのか、「障害」だけみるのか、「生活」を見るのか ICFモデル 健康状態 D A、B、C 生活機能(心身機能、活動、参加) 背景因子 Eの計5領域の現 状を把握する ■自立生活のイメージへ 〇自立生活のイメージ=課題設定へ 自立生活をイメージするとき「生活の拡がり、深み」 をイメージする=「生活機能のプラスを増やす」 各領域の 意欲意向 各領域の 現状把握 自立生活のイメージ 解消 活用 自立促進因子 自立阻害因子 どう「解消」するか、どう「活用」するか 自立生活のイメージとは 生活の拡がりとは ↓ 「活動と参加」の「できる」 「している」を増やす ■「活動と参加」の平面図 家の中 基礎的な在宅生活 他者を思いやった 選択的な在宅生活 自 分 自 身 他 者 基礎的な社会生活 他者との関わりを 求めた社会生活 家の外 ■「活動と参加」の平面図 家の中 基 礎 的 な 自 分 自 身 「家族と仲良く暮ら している」「仲の良 い友人が遊びに 来る」 在 宅 生 活 「自分でデパートに 買い物に行く」「医 療機関へ受診す る」 他 「友人と一緒に旅 者 行に行く」「地域ボ ランティアに参加す る」 家の外 ■「活動と参加」の制約・制限 活動の制限 自 分 自 身 家の中 参加の制約 「家族と仲良く暮ら 基礎的な している」「仲の良 できない い友人が遊びに 在宅生活 他 支障がある 来る」 「自分でデパートに 買い物に行く」「医 療機関へ受診す る」していない 「友人と一緒に旅 していない 者 行に行く」「地域ボ ランティアに参加す る」 できない 家の外 ■自立を阻害する因子・・・原因 健康状態 阻害 家の中 自 分 自 身 問題 問題 問題 他 問題 者 家の外 阻害 背景因子 ■問題の解決・・・2つの考え方 阻害 健康状態 阻害因子を取り除く 促進 家の中 自 分 自 身 している! 問題 できる! できる! 他 者 家の外 促進 促進因子を活用する 阻害 背景因子 ■「活動と参加」を広げていく! 活動増進 自 分 自 身 家の中 参加増進 「家族と仲良く暮ら 基礎的な している」「仲の良 できる! い友人が遊びに 在宅生活 他 支障がない来る」 「自分でデパートに 買い物に行く」「医 療機関へ受診す る」している! 「友人と一緒に旅 者 行に行く」「地域ボ ランティアに参加す る」 できる! 家の外 ■自立生活のイメージとは つまり、介護予防ケアマネジメントにおける「4つの領 域」について、その領域に属する生活行為が「してい る」「できる」か「していない」「できない」を確認するこ 日常生活(家庭生活) とで、 高齢者本人の、現在の「生活の拡がり」がイメージで きる。その拡がりを制限・制約する「問題」に本人と課 題分析者が気付くことではじめて、「している生活行 為」を増やす(自立生活のイメージ=生活の拡がり) 基礎的な社会生活 という目標を持つ事ができる。 一つの目安として、(阻害因子の影響がなかった)以 前の「生活の拡がり」を回復するという考え方 ■自立生活のイメージとは さて、ここで重要なのが、「どの問題を解決すれば、よ 家の中 り「自立生活」に近づけるか」ということ。 より「本人の有する能力(潜在能力含む)に応じ可能 な限り自立した生活」を実現するため、「解決できる= CAN、すべき=MUST問題」=「課題」を抽出するため、 情報を収集し把握し整理し分析することを「課題分析 (アセスメント)」という。 ちなみに、介護予防ケアマネジメントにおいては、こ れを「領域における課題」といい、各領域ごとに課題 を抽出する。⇒3つにまとめる(「総合的課題」) ■自立生活のイメージとは つまり、介護予防ケアマネジメントにおいては、 3つにまとめられた「総合的課題」を解決することによ り、かなり「自立生活のイメージ」に近づくはず。 これを読み替えると、総合的課題は ① 解決すれば、「自立生活のイメージ」に近づく問題 であること。 ② 当然、解決「できる」問題であること。 この2つの条件を満たす「解決できる、すべき問題」 =「課題」を考えなければならない。 ■自立生活のイメージとは そのためには ① 「自立生活のイメージ」を本人と課題分析者が持 つ必要があります。具体的には「している生活行為」 を増やしていくことをイメージする。 ② 解決の可能性を判断するためには、自立阻害因 子の把握に加え、自立促進因子の活用について、 しっかり考える必要がある。 ③ たとえば、医療分野においても「本人が治療方針 (目標)を選択したほうが効果が高い」という。ケアマ ネジメントも同様の考え方が基底にある(自己選択は 当然の権利である)。 ■4つの領域+1のイメージ図 D健康状態 阻害 促進 家の中 自 分 自 身 B日常生活 できない D健康管理 C社会参加 している していない A運動移動 できる 家の外 阻害 促進 E背景因子 他 者 ■4つの領域+1のイメージ図 A 運動・移動 自ら行きたい場所へ様々な手段を活用して、移動 できるかどうか。乗り物を操作する、歩く、走る、昇 降する、様々な交通を用いることによる移動を行 えているかどうか。 B 日常生活(家庭生活) 家事(買い物・調理・掃除・洗濯・ゴミ捨て等)や住 居・経済の管理、花木やペットの世話などを行って いるか。 ■4つの領域+1のイメージ図 C 社会参加、対人関係・コミュニケーション 状況に見合った適切な方法で、人々と交流してい るか。また、家族、近隣の人との人間関係が保た れているかどうか。 仕事やボランティア活動、老人クラブや町内会行 事への参加状況や、家族内や近隣における役割 の有無などの内容や程度はどうか。 ■4つの領域+1のイメージ図 D 健康管理 清潔・整容・口腔ケアや、服薬、定期受診が行えて いるかどうか。また、飲酒や喫煙のコントロール、 食事や運動、休養など健康管理の観点から必要 と思われた場合、この領域でアセスメントする。 特に、高齢者の体調に影響する、食事・水分・排 泄の状況については、回数や量などを具体的に 確認する必要がある。 ■4つの領域+1のイメージ図 D 健康管理 清潔・整容・口腔ケアや、服薬、定期受診が行えて いるかどうか。また、飲酒や喫煙のコントロール、 食事や運動、休養など健康管理の観点から必要 と思われた場合、この領域でアセスメントする。 特に、高齢者の体調に影響する、食事・水分・排 泄の状況については、回数や量などを具体的に 確認する必要がある。 ■4つの領域+1のイメージ図 E その他(背景因子) A~D領域に影響を与える、環境因子、個人因子。 環境因子とは、物的環境、人的環境(家族・友人 など)サービス、制度的環境(社会的環境)など。 個人因子とは、主に性別、年齢、ライフスタイルと それを支える価値観などが位置付けられる。人を 理解しようとしたら、過去のライフスタイルがどう だったかも重要。 ■4つの領域+1のイメージ図 ※ポイント もともと介護予防アセスメントの領域自体が、本来 のICFの分類法をアレンジしているため、どうして も領域範囲が重複している部分がある。 情報を整理していくときに、重複する部分は省い たり、重要な事項は(〇〇に記載)というふうに省 略して記載しても良い。 東広島版アセスメント様 式の記入の仕方 ■大まかな流れ ■大まかな流れ 介護予防サービス・支援計画書(元気な生活応援計 画書)によるアセスメント~プランニングを円滑に進 めるための様式 アセスメント領域と現在の状況 現況 (5つの領域) 元気な生活 応援計画書 意欲 本人・家族の意欲・意向 ■生活状況を把握するためのアセスメ ントシート この様式(略して「状況把握アセス様式」)は、本人の 状況を記載する。 「A 運動・移動」「B 日常生活」「C 社会参加等」「D 健康管理(健康状態)」「E その他(背景因子)」とい う領域毎にまとめるようになっている。 問題となっている項目には「検討確認」欄をチェックす ることで、情報のもれなく収集できる。 ■生活状況を把握するためのアセスメ ントシート 認定調査票、主治医意見書、利用者基本情報、基本 チェックリストの内容 内容(強み、弱み)を転記する。 このとき、「課題分析者が自分の言葉に置き換える (整理)」「主語と述語を明確にして記載する(文章 化)」することで、 介護支援サービス・支援計画書にまとめる作業が軽 減される。 ■生活状況を把握するためのアセスメ ントシート ※ポイント これらの情報だけでは「状況把握アセス様式」は埋ま らない。その一方で、かなり多くの情報を課題分析者 は得ることになる。 この情報を活用しながら、訪問時(意欲・意向の聴き 取り)に、「観察」「面接」を行う必要がある。 ■イメージで本人の状況を把握する D健康状態 阻害 促進 家の中 自 分 自 身 B日常生活 できない 他 D健康管理 C社会参加 している していない A運動移動 者 この時点で、A領域 家の外 やD領域の「問題」 については、かなり 阻害 促進 E背景因子 把握することがで きる。 できる ■生活行為への意欲を把握するための アセスメントシート この様式(略して「意欲把握アセス様式」)は、重要な 生活行為を「している」「していない」か、その状況をど う考えているか(本人の「気付き」)、今後はどうしていき たいか(本人の意欲のひきだし)を把握、整理していくも のである。 訪問時は、この様式を参考に聴き取りを行うが、項目 の順序はケアプラン作成用に並べており、決して「聴 き取り」しやすい順ではない。 また、収集した情報を整理するためにも、記録につい ては、面接時はメモ程度に留めておくこと。 ■「活動と参加」の平面図 家の中 生活行為 生活行為 自 分 自 身 生活行為 生活行為 他 者 生活行為 生活行為 家の外 生活行為 ■生活行為への意欲を把握するための アセスメントシート 本人の自己実現に向けて、どれだけ「できる生活行 為」「している生活行為」を増やしていくかが、ケアマ ネジメントの具体的な目標になる。 思いを聴き取るうえで新たな(現状に関する)情報を 収集することになり、重要な情報については「現状把 握アセス様式」に補足記入する。 ■生活行為への意欲を把握するための アセスメントシート ※ポイント ①「生活行為の現状」の一連の行為について、してい ない部分があれば「していない」にチェックし、「〇〇 はしているが、〇〇はしていない」と記載すること。 ②「今は行っていない背景・要因」には、「している」 「していない」の要因や現状を記載する。 聴き取り・観察で把握した内容を「状況把握アセス様 式」 に転記すること。 ■生活行為への意欲を把握するための アセスメントシート たとえば「していない生活行為」「(将来的に)できなく なる生活行為」について、今後どうするかを聴き出す とき、本人が「自分の〇〇の力を活用すれば、〇〇 できるようになる」という認識がないと、意欲のひきだ しは無理である。 つまり、一連のアセスメントの過程において、課題分 析者は「できないさがし」ではなく、本人の潜在能力を も把握し、その活用方法を本人に提案(成功のイメー ジ)していく必要がある。⇒「ICFの基本的考え方」 ■生活行為への意欲を把握するための アセスメントシート ※ポイント ③「本人の今後の意向」には、今後どうしたいのかの 意向を、「やってみたい」「やらなければならない」「や りたくない」「やれない」「必要がない」のいずれにあた るか確認する。 積極的な意向は課題分析者にとっても積極的な材料 であり、消極的な意向については、その要因分析と 意欲のひきだしの手段を検討していく必要がある。
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