国民経済的な視点から見た社会保障

平成11年度厚生白書
~国民経済的な視点から見た社会保障~
2000/6/14
木下 良太
社会保障給付費とは
 社会保障給付費とは、公的に行われる医療・年金・福
祉・労災・雇用保険等の社会保障制度の給付の総額を
ILOの定めた国際比較のための基準に基づいて計算し
たものである。
 財源:保険料負担(約60%)、公費負担(約25%)
資産収入・その他(約15%)
社会保障給付費の動向
 終戦直後の混乱期から高度経済成長期に急速に発展
昭和30年代~昭和40年代後半
 社会保障給付費の伸びは国民所得の伸びを上回る
昭和48年(第一次オイルショック)~昭和50年代中頃
 国民所得の伸びとほぼ同じ
昭和50年代後半~平成3年頃
 国民所得が伸び悩んだ結果着実に増大
平成4年以降
社会保障の給付と負担
所得税・法人税
社会保障負担
国民
国・地方
の
行政サービス
年金・医療・福祉サービス
国の財政における
社会保障関係費の増大
 1999年度政府予算で一般会計歳出予算総額の約20%を
占める
 一般歳出でみてもその約3分の1を占める
社会保険関係費(約9.5兆円)、公共事業関係費(約9.4兆円)、文教
及び科学振興費(約6.5兆円)、防衛関係費(約4.9兆円)
地方財政における
社会保障費の増大
 地方公共団体の社会保障行政
児童福祉・障害者福祉、高齢者福祉等の社会福祉の推進、国民健
康保険事業、老人保健医療の実施など
 地方財政上は、民生費(13.0%)、衛生費(6.9%)を占め
る
土木費(21.8%)、教育費(19.2%)
給付の増大の理由
 高齢化の進展と
ともに高齢者関係
給付費が増えた
年金(51.7%)、医療(39.8%)
福祉その他(8.5%)1996年
国民負担率の動向
 国民負担率とは、国民経済関与するという点から、租税
負担と社会保障負担をあわせたもの
 国民負担率は、24.3%から36.6%へ1.5倍
 社会保障負担率は2.6倍、租税負担率は1.2倍
 社会保障負担を中心に上昇してきたが、同時に家計の
可処分所得の上昇も確保されている
国民負担率をめぐる議論
 ほかの政策的経費を圧縮する
 財政の硬直化を招く
 国民経済の停滞を招く
 将来の現役世代の負担が過重なものとなる
 国民負担率を50%以下にすべき
社会保障と経済に関する議論
 国民負担率との関係
 負担面と労働供給との関係
 給付面と労働供給との関係
 高齢化の進展と資本蓄積との関係
社会保障関係分野の
産業規模
 国内生産額(約937兆円)
医療・保健・社会保障(約36兆円)-金融・保健とほぼ同じ
 粗付加価値(約505兆円)
医療・保健・社会保障(約20兆円)-輸送機械、通信・放送の約2倍