博物館その他の公共空間の情報デザイン

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博物館その他の公共空間の情報デザイン
C・G・Screven
情報デザインシステム特論::051109
g2105013|篠永成人
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
C.G.スクリビン
• 公共の場で人々の注意と学習を促す方
法の限界と可能性の調査
• ウィスコンシン・ミルウォーキー大学心理
学名誉教授
• スクリビン&アソシエーツ社長
• 環境グラフィクス協会教育財団理事
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
教育にエンターテインメントの要素を混ぜる
::ロンドン自然史博物館
http://www.nhm.ac.uk/index.html
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
教育にエンターテインメントの要素を混ぜる
::教育+楽しみ
教育的展示 + “楽しみ”
• 教育的内容が犠牲に
– 教育的成果の向上 + 楽しい展示
– 条件とコストについての展示プランナーの考
え違い
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
教育にエンターテインメントの要素を混ぜる
::エンターテインメントの混ぜ方
• 必ずしも教育の妨害にはならない
– チチェントミハリー、ガードナー
• コンピュータゲームをおもしろくする要因
– 集中した注意の保持
– 自主的学習の促進
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
教育にエンターテインメントの要素を混ぜる
::なぜうまくいかないのか?
• +エンターテインメントから多くを学べな
かったとは?
– 注意集中、主要メッセージの理解がなくても、
– エンターテインメントの要素を享受できた
→理解しなくても楽しめてしまう
• 「随伴事象」にすることの重要性をつか
んでいないデザイナーが多い
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
教育にエンターテインメントの要素を混ぜる
::何を学習するかを決めるもの
• 相互作用
– 利用者が注目する展示の要素
– それをビジターがどう解釈するか
• 参加型展示の人気
– 利用者をひきつけ参加させるが
• メッセージの理解に必要な要素に気付くか?
• ただ楽しむために楽しんでいるのか?
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
教育にエンターテインメントの要素を混ぜる
::2種類の参加型展示
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
教育にエンターテインメントの要素を混ぜる
::参加型展示から何を学ぶか
• 利用者が何に注意を向け、
• それをどう解釈し、
• その情報を使って利用者が何をするか
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標
• 具体的・達成可能な目標の設定
– テーマがおもしろくないと思えるときも、なじ
みのない情報にも、利用者が集中した注意
を向けることができる
– 利用者が新しい情報を、すでに持っている
知識・態度・考え方に結びつけることができ
る
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標
• 目標を活用したデザインの成否
– 利用者がメッセージの情報に基づいて行動
できるかどうか
– メッセージの情報を応用して目標を達成でき
るかどうか
• 情報を応用する行為 = 行動
– 情報+行動 (中間的行動)
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標
• 目標をもつことはなぜ有効なのか
– 明確な始め・中間・終わりがあるメリット
• 目標に向かう
– 行動連鎖の開始
• 情報を探す→組織立てる→選択的注意を向ける
– 目標達成のための活動
• 楽しいフィードバックを生む
• 達成までの努力・時間を費やさせる
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標
• 教育に取り入れる目標
– 伝えたいメッセージを取り込んだ目標
• 博物館で応用できる目標の例
–
–
–
–
–
–
–
達成のシンボルの獲得
モデルに触れる、作動できる
舞台裏見学やアイマックス鑑賞に招待される
次の作業・ゲーム・目標の参加権
謎が解ける
褒められる、正解がわかる、進歩がわかる
活動が終わる
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の戦略
• 目標中心の展示戦略
– 「利用者に、展示に含まれる情報の理解と
活用を必要とする明確な目標を選択させる
もの」
– 集中した注意の随伴事象
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の戦略
• 目標中心のシステムが必要な展示
–
–
–
–
テーマがたくさんある
コンセプトが何層もある
モデルや実演展示、事実が多すぎる
初めての利用者が1回の見学では吸収しき
れない
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の戦略
• テーマ展示における目標中心の活動の
仮想モデル
– 2つの方法
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の戦略
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の戦略
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の戦略
• 展示デザイナーがすべきこと
– 目標・作業を注意深く編集する
– 効率のよいデザイン
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第7章
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目標中心の戦略
• 考慮すべきこと
–
–
–
–
–
–
利用者の動機づけの設定
中間目標の設定
利用者にとって価値のある目標の選定
メッセージが確実に伝わるかのテスト
修正回路が有効であるか
媒体・体裁・内容の調整
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
失敗をどうするか
• 目標指向活動の含む危険
– 間違いを起こすことによるマイナス効果
• 注意散漫になる
• 展示会場での活動の放棄
• テーマ・博物館が嫌いになるかも
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
失敗をどうするか
• 間違いを起こすことによるプラス効果
– フィードバックによる誤解の克服
– 非生産的行動の抑制
– マイナス効果の相殺
• 失敗 < 成功
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
失敗をどうするか
• 利用者の成功を増やす手段
– 間違えやすい場所に「警告ラベル」
– 応用した情報が役に立たなかったときの
フィードバック
– グループ内での情報交換
– 間違いを犯したときに励ます
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の展示例
• 目標中心戦術を用いて、実際に応用した例
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例1.パレオインディアン展
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例1.パレオインディアン展
開発者の目的
– パレオインディアンの石鏃についての4択の
答えを1回目で出せるようにする
プロセス
– 石鏃の特性のラベル(文字+視覚情報)
利用者の目的
– 解説を使って、石鏃を区別する
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例1.パレオインディアン展
結果
– 成人の個人及び小グループ
– 75% 説明を注意深く読む
テストからわかった結果に関係する事柄
– 質問が明解であった
– すべきことが明解であった
– 必要な情報のありかが明解であった
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第7章
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事例2.TVAエネルギーセンター
開発者の目的
– TVAのエネルギー生産及び制御方法を説
明する情報パネルに利用者が注目する時
間を増やし、それを維持する
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例2.TVAエネルギーセンター
プロセス
– 入口で2台のロボットが、カードの利用方法
を説明
– カードを使ってコンピュータの質問に答える
• 3択問題
• 正解するとカードにスタンプを押してもらえる
• 全問(6問)正解しないとバッジはもらえない
– 注意書き
• それぞれの質問に答えないと次に進めない。
• 2つ以上間違うと脱落です。
• 周囲の展示をよく見れば、必ず答えられます。
– 失敗すると、励ましのメッセージ
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例2.TVAエネルギーセンター
結果
– 8歳以上の利用者の大部分は、カードが満
杯になるまでがんばれた
– 最初の質問で間違えた後、成人の利用者の
30%(10代の子どもの5%)は、展示情報を使っ
て質問に答え始めた
– 最終的には大半の利用者が展示に意識的
に注目し、カードの欄が全て埋まった
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例3.ピカソ美術館
開発者の目的
– ピカソのように描くのは簡単だと思っている
人の誤解を解く
– 1つの作品を取り上げて、その単純なバラン
ス構成に着目し、そのような作品を創り出し
た芸術的才能への敬意を促す
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例3.ピカソ美術館
プロセス
– 縮小した複製4枚
• 1枚:原画と同一 3枚:部分的に少し変えてある
– どれがいちばん好きですか(ピカソの絵でし
たか?)
– 効果の測定
• 利用者の提示への関与の質
• 本物がかかっている展示室で費やした時間
• 展示室にかかっている、同じテーマのほかの4
枚に費やした時間
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例3.ピカソ美術館
結果
– 80% 廊下の掲示に積極的に関わった
– 少人数で話し合いながら比較検討する人が
多かった
– ピカソの絵を見つけるまでの時間:75%6分
– 90% 4枚をすべて調べてから答えを探した
– 展示室で費やした時間の増加
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例4.熱帯雨林展
開発者の目的
– ミルウォーキー公立博物館:熱帯雨林展
– 熱帯雨林のある生息地に生きる生命の相
関性を知らせる
– 出口で「ゴルフ許可証」をもらう
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例4.熱帯雨林展
結果
– 関与レベル2.2
– 展示内容の系統的注意、グループ内の活
発な議論、答えの交換、指さし
– 65% 全ての展示場を見に行く
– 各展示場 4.2分(65%以上)
– 70% 1,2回目で許可証獲得
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例5.森林展の前哨戦
目的
– 入口に小さな展示をデザイン
– 森林の継続と相互依存的な生態学的プロセ
スがどうように森林の多様性を生み、今のよ
うな種類の木からなる古い森ができたのか
を把握してもらう
– 事前調査から
• 森林の成長とともに木の種類が変わることを知
らせることにした
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例5.森林展の前哨戦
プロセス
– 目標を設定したゲーム形式の活動
• ドミノ並べ
• ドミノにはいろいろな種類の木の絵
• 正しい答えは1通り
– 「この絵はどこが間違っていますか」
– 「ドミノ並べを完成してください」
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
事例5.森林展の前哨戦
結果
– ほとんどの利用者はすぐに興味を示した
– ゲーム後、事前調査とは対照的に、木の種
類は年月とともに変わると答えた
• 全員が初めて知ったと答えた
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の展示例
• 利用者は
– 情報を集め、解釈し、応用する方が
– ただ推量するよりずっと満足感を得られる
• 利用者が注意を持続させた結果
– 目標が達成できる
– 展示のメッセージを理解できる
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第7章
博物館その他の公共空間の情報デザイン
目標中心の展示例
• 最良なテクノロジーは何か
– この議論はこれからも続くだろう
– 随伴事象を起こし、ユーザの関与を引き出
し、真に意味のある選択肢を提示すつ方法
を提供するものでなければならない