私の研究生活○○年 10:50-11:10 研究テーマのライフサイクル 2008年7月30日 後藤 滋樹 1 研究は、いずれ終わる • 研究は成功するか、失敗するか。 成功する場合 終わる 失敗する場合 終わる • 研究テーマの寿命は有限 常に先を見ておく必要がある 2 学生時代 • 卒業論文 なし 1971. • 修士論文 1973. 「Stokes作用素の近似について」 流体力学のNavier-Stokes方程式の数値解法 を目指したもの(当時の大型計算機を使用) 京都大学 数理解析研究所 講究録 に収録 3 NTT研究所 • Computer Science が未分化であった • 何でもやる時代 • ポリプロセッサ 1973. 現在でいえばクラスタマシン ハードウェアの試作を担当 マイクロプログラム制御方式 • ただし上司と研究方針で意見が合わず 4 理論的な研究に方向転換 • Zohar Manna, Mathematical Theory of Computation, McGraw-Hill, 1974. 自分の研究テーマを探すために研究室の 輪講の本を強引に変更 • 友人の存在: 佐藤雅彦(京大教授) 翻訳者の一人 京都大学 数理解析研究所 5 研究室を異動 • 第一研究室から池野特別研究室へ 1976.10 • プログラムの理論 解析(プログラムの正当性) 合成(シンセシス) • 合成の分野は論文が少なかった 演繹的なプログラム合成法(シンセシス) 6 論文を書き始める • 国際会議 1978, 1979. なかなか載せてくれない Proceedings 早稲田大学の廣瀬健先生に助けていただく 特別研究室が終り第一研究室に戻る 1979.1 • 学会誌に解説論文「プログラム・シンセシス」 を執筆 1981. ようやく一人前になったつもり 武蔵野から横須賀に移動 1981. 村岡洋一研究室長 7 横須賀時代 • 自然言語の処理(キーワード自動抽出) • 人工知能(知識ベース) • モデム • 大型機からミニコンピュータへ 武蔵野横須賀で電子メールを利用 電子メールは 1979年から使っていた • 「上役と意見が合わない若手」の対応 8 武蔵野に戻る • 第一研究室は2分, 第八研究室に戻る 1983 • 第五世代コンピュータのプロジェクトに参加 横須賀時代から準備会合に参加していた ICOT 上田和紀先生を始めとする研究陣 • 誘われたものの自分ではICOTに出向せず これでNTT社内での評価を高めたという説 9 スタンフォード大学 • NTT(電電公社)から研修として米国に派遣 • 滞在先との交渉に電子メールが活躍 • スタンフォード大学 客員研究員 1984—1985 いわゆる PostDoc であるが学位は未だなし • Formal Reasoning Group, John McCarthy • ARPAネットの利用者となる [email protected] • CISCOの創業者と知り合う 10 論理学応用とインターネット • 帰国後は理論の研究を続行 1985. 工学博士となるのは遅く 1991年 • その一方で国内の JUNET, NTT研究所のネッ トワークの拡充に取り組む • ネットワークの論文を書いても発表する研究 会がわからない 11 スタンフォードから持ち帰ったもの • Info-MAC のソフトウェア • TeXのソース 後に日本語 TeX, LaTeXに • メールシステム MM • CISCOの機材(実際は輸入) • その当時の日本は遅れていた 1985. 12 研究所で部長になると 自分の研究ができなくなる • 研究のライフサイクルの研究 日本では優れた研究の萌芽があるのに、 惜しくも育たない例がある 13 何が不足しているか • • • • 資金 経済成長の3要素 人材 技術 売上, Sales 売れない製品は、いずれ 開発をやめろと言われてし まうのですよ 14 優れた技術の例 • WEBの先駆けとなったGopher • Gopherの先駆けとなったAvenue 梅村恭司(豊橋科学技術大学、NTT研究所) Prof K. Umemura 研究所では実用に供されていた 酒屋に使わせてあげれば… 15 優れた技術の例 • 遠隔(ネットワーク)言語 Java そのアイデアは論文として存在 佐藤豊(産業技術総合研究所、筑波大学) Dr. Y. Sato 日本のJUNET時代に実現 16 人間には手応えが必要 Responses • 反応がないと止めてしまう • コントロール感 Function and Control D.ノーマン (UCSD), 野島久雄(成城大学) 17 豊かな反応を持つ社会 • 学会研究会で、お座成りの質問はしない 国際会議でベンチャーキャピタリストから質問 • 新奇の製品には early adopterが必要 価格が割高、品質が安定しない、それでも… 競争入札は産業政策上はマズイ • 失敗を教訓として活かす風土 連続成功者は、かえって信用がない 18 反応が豊かな社会 • 感度を上げる 睡眠不足は感度を下げる • 権限を委譲する 皆で決めるという文化は安定志向 • 良いところを褒める 優れたアイデアは高校生が出す 学校の先生が生徒にあげる賞品を扱う店 http://www.kuroji-kanban.com/topix20051208.html 19 ○○年の話の途中ですが… • ネットワークに関する研究は、早稲田大学に 来てから、多くの学生諸君と一緒に取組むこ とができた • 本人として残している気分があるのは「人間 と社会」に関するテーマ Brains B1 B5 B2 B4 B3 Gatekeepers GK 1 GK 2 GK 3 GK 4 GK5 E11...E1n E21...E2n E31...E3n End Users End Users End Users 20
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