情報リテラシー実習 Exercise in Information Literacy 情報倫理 §14 著作権とライセンス §29 安全な通信 なぜ保護が必要なのか p. 199 自由にコピーしてよいということになったら… ワードプロセッサを作る 最初に売ったもののコピーが広まる 2つ目以降は売れない 最初の1つで開発コストを回収しなければ… 恐ろしく高価なソフトウェアになる それを買えるのは大金持ち 会社は大金持ちの要求にしたがって ソフトウェアを作るようになる 知的所有権 pp. 199~200 知的労働の成果物に対する所有権 工業所有権 発明・商標・意匠・商号 著作権 文芸・音楽・美術・写真・映像作品 ソフトウェアに密接に関係する権利 著作権 特許権 著作権(Copyright) pp. 200~202 ソフトウェアの法的保護として使われる 著作物 ・創作されたものでなければならない ・新規性がなければならない ・すでに存在するものを自分のものとす ることはできない ・保護される権利は「表現」 ・アイデア(アルゴリズム)は保護の対 象とならない 著作権(Copyright) pp. 200~202 一般的な著作権の考え方 (狭い意味の)著作権 ・その表現を使って経済的に利益を得る ための財産権という側面 ・財産権としての著作権(譲渡可能)を 持つ主体(人・法人)⇒「著作権者」 ・著作物の利用方法に応じて、複製権、 上演演奏権、放送権、口述権、上映頒 布権、貸与権、翻訳翻案権からなる 著作権(Copyright) pp. 200~202 一般的な著作権の考え方 著作者人格権 ・その表現を創作したという名誉的(人 格的)な権利という側面 ・著作者人格権を持つ主体(人・法人) ⇒「著作者」 ・公表権、氏名表示権、同一性保持権の 3つの権利からなる ・保護期限の制限がなく、譲渡不可能 著作権(Copyright) pp. 200~202 一般的な著作権の考え方 公表権 著作者が創作したものを何らかの手段で公 表することができる権利 氏名表示権 公表されたときに著作者の氏名が表示され る権利 同一性保持権 無断で改変されたものを公表されない権利 著作権(Copyright) pp. 200~202 一般的な著作権の考え方 翻案 ・既存の著作物の内面的表現形式を維持 しつつ外面的表現形式を変更すること 二次的著作物 ・翻案により創作された著作物 ・もとの著作物を翻案する権利を必要と する ・二次的著作物固有の著作権が発生 著作権(Copyright) pp. 200~202 一般的な著作権の考え方 ベルヌ条約(1886年) ・著作権の発生に特別の手続きを必要と しない⇒「無方式主義」 万国著作権条約(1952年) ・「方式主義」の国では保護されない ・© 、著作権者名、最初の発行年が表示 されていれば、方式主義の国でも保護 される 著作権(Copyright) pp. 200~202 ソフトウェアと著作権 ・ソースプログラムとオブジェクトプログラ ムを1つの著作物とみなす ・ソースプログラムとオブジェクトプログラ ムの権利は独立に設定できる ・ソフトウェアを使うには、使用許諾契約を 結び、ライセンスを取得する必要がある ・受ける立場の人・機関⇒「ライセンシ」 ・発行する立場の人・機関⇒「ライセンサ」 著作権(Copyright) pp. 200~202 ソフトウェアと著作権 バイナリライセンス オブジェクトプログラムを使用するため のライセンス ソースライセンス ソースプログラムを読んだり改変したり するためのライセンス 同一性保持権の適用の例外が認められている 最低限必要な複製が認められている PDSとフリーソフトウェア pp. 202~203 PDS(Public Domain Software) ・著作者が著作権を放棄したソフトウェア ・自由に使用できる ・著作者人格権は放棄できるのか微妙 フリーソフトウェア(free software) ・著作権者が著作権を保持 ・一定条件のもとで無償で利用できる ・UNIXが最初に作られたときには、UNIX 自体がフリーソフトウェアの一種 PDSとフリーソフトウェア pp. 202~203 copyleft ・ソフトウェアとソースプログラムを複製し 入手できる ・ソフトウェアやソースプログラムを自由に 使い、読み、変更し、再配布できる ・他人へは自分が享受したと同じ自由と共に 複製させてあげなくてはならない ・ソフトウェアの使用は無保障だが、すべて の行為は無料 PDSとフリーソフトウェア pp. 202~203 copyleft ・GNUプロジェクトをすすめるFSF(Free Sofrware Foundation)などが主張 ・FSFはコンピュータプログラムの複写や再 配布の制限、ソースプログラムの理解や修 正に対する制限をなくすことを目標に活動 ・FSFは、GNUソフトウェアの頒布サービ ス、マニュアルの作成、バグ情報の収集、 寄付資源の運用などの支援を行う PDSとフリーソフトウェア pp. 202~203 著作権フリー ・著作権使用料を支払わずに使える ・著作権使用以外の権利(改変や頒布)は自 由に行えない場合が多い シェアウェア(shareware) ・本来は売り物 ・試用期間は無料で使用できる ・購入しない場合は試用期間が経過したら速 やかにコンピュータから消去する 特許権 pp. 203~204 ・「アイデアに対する権利」として発明を保護 ・「発明」とは、「自然法則を利用した技術的 思想の創作」 ・自然法則を利用しないもの(純粋数学の解法) は、アイデアであっても発明にはならない ・「方式主義」をとり、先願を優先する ・保護期間が15年と著作権に比べて短い ・特許として認められた時点で内容が公開され、 知識の共有財産化に関して優れている 特許権 pp. 203~204 ソフトウェアでは 自然法則を利用して情報処理をしている ハードウェアの資源が活用されている のどちらかが満たされると特許の対象 ごく普通の方式が特許になっている例 ・XORを使ってカーソルを表示する方式 ・サブウィンドウとスクロールの組合せ ・表計算で入力順に式を再計算する方式 ・スペースキーを押すとスペルチェック 製造物責任 pp. 204~205 ・善意で頒布したフリーソフトウェアであって も、その使用により損害が発生すると損害賠 償を請求される可能性がある ・ソフトウェアであっても、損害の中には死に つながるものもあり、製造物責任が問われる ようになってきているので、注意が必要 ・万全ではないが、これに対抗するためには、 ソフトウェアを提供するときは損害無保障表 明をつけておく 公開する際の注意 pp. 205~206 ・日本の著作権法は無方式主義 ・方式主義の国でも著作権が保護されるように 「 © 、著作権者名、最初の発行年」をつける ・オブジェクトプログラムを配布するとコンパ イラの著作権者の著作権を侵害する可能性が ある ・再頒布を許す場合は、使用許諾条件を明記し、 再々配布されるときに、必ず使用許諾条件も 複製されるようにする 公開する際の注意 pp. 205~206 ・ソフトウェアだけでなく、文章や絵にも損害 無保証表明をつける ・WWWで公開したページやデータは、出版と 同等にみなされる ・著作権の保護期間は著作者没後50年が基本 ・日本では「戦時加算」により延長して保護し なければならない場合がある ・BBSなどに著作物を投稿する場合は、BBSの 規約をよく確認してからにする ネットワークにおける危険 p. 550 盗聴 通信を盗み聞きする行為。なんらかの形で通 信している内容を読み出す。 カード番号 お客 盗聴 店員 よし、このカード番号を使っ て買い物をしてしまおう。 他人 ネットワークにおける危険 p. 551 なりすまし(masquerading) 悪意のある人が他の人に成り代わる行為。 注文(送り先) お客 盗聴 他人 店員 ネットワークにおける危険 p. 551 なりすまし(masquerading) 悪意のある人が他の人に成り代わる行為。 お客 なりすまし 店員 送り先を以下のところに変更 してください。 他人 ネットワークにおける危険 pp. 552~553 改竄(かいざん) 通信内容を勝手に書き換えてしまう行為。 送り先(AAA) お客 盗聴 他人 店員 ネットワークにおける危険 pp. 552~553 改竄(かいざん) 通信内容を勝手に書き換えてしまう行為。 送り先(AAA) お客 改竄 店員 AAAをABCにかえてやれ。 他人 不正アクセス防止技術 p. 553 暗号化 通信内容を守るための最も基本的な手段。通 信内容を特定の人しか読むことができないよ うにして、盗聴による通信内容やパスワード の漏洩を防ぐ。 「共有鍵暗号方式」、「公開鍵暗号方式」に 大きく分けることができる。 不正アクセス防止技術 pp. 553~554 共有鍵暗号方式 ・1つの鍵だけを使って暗号化と復号を行う。 ・暗号化するときと復号するときとで、同じ 鍵を使う。 ・DES、RC5、IDEAなどがある。 ・比較的少ない計算量で処理できる利点。 ・鍵をどうやって共有するかという問題。 不正アクセス防止技術 pp. 553~554 共有鍵暗号方式 ***** ***** 鍵C 鍵C こんにちは ユーザA 鍵C:共有鍵(Common Key) こんにちは ユーザB 不正アクセス防止技術 pp. 554~555 公開鍵暗号方式 ・公開鍵と秘密鍵という2つの鍵を使う。 ・公開鍵は暗号化するのに使い、秘密鍵は復 号するのに使う。 ・RSAやElGamalなどが有名。 ・鍵の受け渡しの問題がおきないという利点。 ・計算量が多く、処理に時間がかかるという 欠点。 不正アクセス防止技術 pp. 554~555 公開鍵暗号方式 鍵P 鍵P 鍵S ユーザA 鍵P:公開鍵(Private Key) 鍵S:秘密鍵(Secret Key) ユーザB 不正アクセス防止技術 pp. 554~555 公開鍵暗号方式 ***** ***** 鍵P 鍵S こんにちは ユーザA こんにちは 鍵P:公開鍵(Private Key) 鍵S:秘密鍵(Secret Key) ユーザB 不正アクセス防止技術 pp. 555~556 電子署名 日常生活でサインや印鑑などによって本人を 証明するのと同じことを、暗号などの仕組み を利用して電子的に実現する技術。 情報の送り手が間違いなく本人であることや 情報の内容が改竄されていないことを保証で き、なりすましや改竄を防止できる。 不正アクセス防止技術 pp. 557~558 ワンタイム(使い捨て)パスワード 盗聴などでパスワードが盗まれた場合でも反 復攻撃を受けないようにする仕組み。 パスワードが毎回変わり、あるパスワードで 一度ログインすると、そのパスワードは二度 と使えない。 「チャレンジ/レスポンス」と呼ばれる仕組 みが比較的よく使われている。
© Copyright 2024 ExpyDoc