4.様々なものに対する気づき, 好奇心・探求心の芽生え(2) 瀧川 光治 1 1.子どもの疑問に答える(その1) 「雨はどうして降るの?」 ① 科学的原理の説明 雨はね。雲さんに水がいっぱいたまってて, その水が いーっぱいあつまったら雲さんが 我慢できなくって水をいっぱいふらせるんだ よ。 2 ① 科学的原理の説明(続き) 空気の中には水が隠れていて、その水が集まってで きたものが雲なんだよ。その水が雲から落ちてきたも のが雨なんだよ。(5歳児なので、一応論理的に説明 する。) 太陽が出ると暖かくなって、地面にあるお水がお空に 上って雲ができるんだよ。それがたくさん集まって大 きくなると雲ができるんだよ。 空の上にうかんでいる雲さんが重くなって雨さんを支 えきれなくなって落ちて来てそれが雨になるんだよ。 雨ふらないとみんな水とか飲めないから降るんだよ。 3 ② 目的論的な説明 雨が降らないと私たちの飲むお水や、動物 さんたちのお水や、お花さんたちのお水が なくなっちゅうんだよ。私たちが生きていくた めに雨は降るんだよ。 もし,雨が降らなかったら木とか花もかれて しまうし,水たまりや池もなくなって,動物も お水がのめなくて死んじゃうの。だから雨は みんな元気に毎日過ごせるように降るんだ よ。 4 ③ 童話・童心主義的な説明 くもさんが音楽会をしているよ。よく聞いてみ て・・・いろんな音がしてるよ。 「空がないているのかな?」「てるてるぼうずを 作ってお空を元気づけてあげよう。」 それはね,空に住んでる神様が悲しくて涙をな がしたのが雨なんだよ。神様が元気な時は晴 れるし,怒っているときはみんなが嫌いなカミ ナリが鳴っちゃうんだよ。と教えます。 5 ④ 疑問に対して問い返す 「どうしてかなー?」って、子どもたちの意見 を聞いて話し合ってみる。 どうしてなのかな? 先生もわからないから 今から一緒に調べてみようか。 どうして降ると思う?と聞き返す。一緒に考え て本当の事はまだ言わないでおく。 まずは子どもに,どうしてだと思うかたずねて みる。そしてみんなで考えてみて,答えてあ げる。 6 絵本『しずくのぼうけん』(福音館書店) (マリア・テルリコフ スカ/文、 ボフダン・ブテンコ /絵、 内田莉莎子/訳, 7 2.子どもの「疑問」に答える(その2) ―その他の例 ① もみじの葉っぱはなぜ赤くなって落ちる の? →原理的には、 《もみじの葉が赤くなるのは,アントシアニンと いう赤い色素ができるため。》 8 2.子どもの「疑問」に答える(その2) ―その他の例 ② おたまじゃくしにはしっぽがあるのに,なぜカ エルにはないの? →原理的には 《おたまじゃくしの尾は,おたまじゃくしが大きくなる にしたがって,だんだん身体に吸収されてしまうの である。 陸にあがったばかりのカエルに尾がまだ残ってい ることからみて,切れるものではなく,吸収されて しまうのである》 9 2.子どもの「疑問」に答える(その3) ―その他の例 一口に「疑問」の答えると言っても, 様々な答え方がある。 では、どのように答えるのが適切なの? 10 3.子どもの<① 学びの履歴> <② 育ちの履歴>を理解する ① 子どものそれまでの経験(=学びの 履歴,育ちの履歴)は,同じ年齢でも (③ 違う)。 履歴・・・その人の通ってきた道筋 履歴書は、その人の学歴(学びの履歴)・ 職歴(仕事の履歴)を表したもの。 11 3.子どもの<① 学びの履歴> <② 育ちの履歴>を理解する ② 子どものそのときそのときの環境との かかわりや,そのことを通して生じた 疑問の意味(④ その子の真意)を, そのときに理解し答える(援助する)た めには,それまでのその子の学び・育 ちの履歴を理解しておかねばならない。 12 3.子どもの<① 学びの履歴> <② 育ちの履歴>を理解する ② そして同時に,(⑤ 今後)のかかわり (学び・育ち)を(⑥ 予測)しながら,そ の子にとって意味のある経験となるよう に答える(援助する)必要がある。 保育は、 その子の過去から現在、そして未来へと つないでいく仕事。 13
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