偏極ドレル・ヤン過程の スピン非対称ALTに対する Wandzura

J-PARC及びGSI-FAIR実験での
偏極Drell-Yan過程における
ダブルスピン非対称ALTの評価
Y. Koike, K. Tanaka and S. Yoshida Phys. Lett. B 668 (2008)
A
B
新潟大自然、新潟大理 、順天堂大医
吉田信介、小池裕司A 、田中和廣B
本研究の目的
• GSIでの陽子-反陽子、J-PARCでの陽子-陽子衝突の偏極
Drell-Yan実験に先立ってダブルスピン非対称
の評価を行う。
• このうち
は未だにGSI,J-PARCのエネルギーでの評価
が行われていない。
は三種の非対称の中で唯一twist-3
分布関数を主要項に持つ観測量である。twist-3分布関数は
核子内部のクォーク・グルーオン相関の情報を持つ。核子構
造を知る上で明らかにしたい関数である。
• 近年分布関数に関して様々な知見が得られている。そこで
我々はこの知見に基づいて
に対して初めて現実的な評
価を行う。
分布関数はスピンの非対称度を通して得られる
偏極Drell-Yan過程におい
て測定できるダブルスピン
非対称は三種類
pp衝突の場合は片方のクォーク分布が反クォーク分布に変わる。
・RHICのpp衝突
重心系のエネルギー
Y.kanazawa,Y.koike,N.Nishiyama(1997)
・RHICのエネルギーに対応するようなsmall-x(x<0.1)では分母の無偏極分布関数が
大きくなる(特に反クォーク分布)ため非対称が抑制される。
GSI,J-PARCに期待すること
・GSI,J-PARCのエネルギーに対応するxの領域(0.2<x<0.7)で
は無偏極分布関数の抑制が比較的小さくなる。
・特に、GSIの非対称はクォーク分布同士の積が主要な寄与を
するため、反クォーク分布による抑制が無い。
GSI,J-PARCともにRHICより大きな非対称が期待される。
現在での
• 非相対論では
ルギーでは
の理解
であり、模型計算等においても低エネ
が示唆されている。
• AnselminoらがSIDIS,
の実験データに基づ
いて、不定性は大きいものの
についてglobal fitを行っ
ている。uに対しては
、dに対しては
という結
果が得られている。
• 分布関数については
であることがわかってい
る、また
であることから陽子-反陽子衝突では
•
以上のことから
を仮定する。 は実験値より
やや大きいが
が主要な寄与をする陽子-反陽子衝突で
は問題ない
twist-3
クォーク・グルーオン相関
• DISのデータより、誤差は大きいものの、 ではWandzuraWilczek近似が良いことがわかっている。
•
共に -発展の研究から、 が大きいところでは
Wandzura-Wilczek partの寄与が主要になることが示されて
いる。
•
twist-2の知識から現実的な評価ができる
-evolution
• 無偏極分布関数
LO GRV98
• 縦偏極分布関数
LO GRSV2000
• 横偏極分布関数
•
に関してはQCDの高次補正を取り入れた計算が行
われており、これはGSIのエネルギーではかなり小さいことが
わかっている。そのためLOによる計算で十分な精度の評価が
できる。
分布関数
Wandzura-Wilczek part
Wandzura-Wilczek partはピークが左側にずれ、valence領域で抑制される
GSI(陽子-反陽子衝突)
•
は30%、 も10%と測定可能な大きさの非対称が得られた。
• Qが大きくなるとともに、非対称も大きくなっている。
•
はほぼ水平になっているが、 はまったく異なる 依存性を持つ。
•
は15%以上 は5%程度となり、sが大きくなったことで非対称が全体
的に小さくなっている。
• sが大きくなっても、Qが大きくなるにつれ非対称が大きくなることや
11111が水平で
がまったく異なる 依存性を示すという点は変わらない。
• Sが大きくなるにつれ非対称が小さくなるのは
の共通した性
質である。
• Qが大きくなるにつれ、非対称も大きくなってゆくが、
はQが大きいと
ころで減少に転じるというまったく異なるQ依存性を示す。
J-PARC(陽子-陽子衝突)
•
は5%~10%の測定可能な大きさの非対称が得られた。しかし、
は1%とかなり小さく、測定は困難であると思われる。
Summary
• GSI,J-PARCのエネルギーでのダブルスピン非対称
ほ
の評価を行った。
に対する現実的な評
価は本研究が初めてである
•
は大きな非対称が予測され、 の大きいところで
のtwist-2の分布関数、特に十分な実験データの無い に
対する有用な情報が期待される。
•
はJ-PARCでは1%程度で測定は困難に思われるが、
GSIでは10%と十分に測定可能な大きさの非対称が予測さ
れる。実験データと我々の計算を比較することで、クォーク・
グルーオン相関に対する情報が得られる
backup
・twist-2分布関数
・twist-3分布関数