民主党政権でどうなる? どうする?日本の社会保障

民主党政権でどうなる?
どうする?日本の社会保障
学習院大学 経済学部 教授
鈴木 亘
本スライドは、私のHP(http://www.geocities.jp/kqsmr859/)においております。
我々はどういう時代に生きている
のか?
~民主党政権取り巻く経済環境~
人口変動から見る2009年
• わが国は、世界的にも歴史的にも未曾有の
急速な少子高齢化が進む真っ最中。
• 現在、高齢者(65歳以上)と現役世代(15~64
歳の労働可能人口)の比率は、1:3であるが、
14年後の2023年には1:2、最終的には1:1近
くになる。社会保障制度は、現役が高齢者を
支える仕組みなので、現在の負担は3倍。
• 特に、2009年からの10年間は、ちょうど「団塊
の世代」が年金受給者になり、支え手から支
えられる側に回る大変動期。
1950
1955
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1965
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1975
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2100
2105
高齢者・現役比率(65歳以上人口/15~65歳人口)の推移
90.0%
80.0%
70.0%
60.0%
50.0%
40.0%
30.0%
20.0%
10.0%
0.0%
実績値
予測値
国立社会保障・人口問題研究所のH18人口予測を筆者加工
人口減少社会のインパクト
• 高度経済成長を支えた理由は、技術革新とと
もに若い労働力が豊富に存在し、しかも人口
成長が著しかったこと。
• 2005年からの50年はちょうど、その逆。50年
かけて、戦後の人口数に戻ってゆく。しかも、
中身は高齢者ばかりで、技術革新の余力も
少ない。
• 格差社会、世代間連帯の弱体化も人口変動
から自明(小泉=竹中改革の結果ではない)
国立社会保障・人口問題研究所HPより
民主党膨張予算は維持可能か?
• こうした中、民主党政権がたてた平成22年度
概算要求(一般会計)は、過去最大の95兆円。
• 税収は40兆円を切る見込み。新規国債発行
を前年並みとしても44兆円。11兆円が不足。
• 国の債務(財務省「国債及び借入金並びに政
府保証債務現在高」(平成21年9月末現在)は、
865兆円なので、平成22年度は900兆円を超
え、史上初の水準へ。長期金利は既に上昇。
• 加えて、社会保障の隠れ債務が、1150兆円。
注)東京大学経済学部岩本康志教授のHPより
リバウンドする社会保障費
• 膨張予算の最大の理由が、厚生労働省の概
算要求で、29兆円。
• これまで、毎年の社会保障費の「伸び」を1.2
兆円から1兆円程度にする2200億円削減が
行なわれてきたが、自公政権最後からはこの
タガが外れ、1.2兆円の自然増を放置。
• 加えて、こども手当てや年金記録問題処理の
2.5兆円が上乗せ。
• さらに、マニュフェストの多くは、事項要求項
目。来年度以降、さらにこの分が上乗せか?
表 1 平成 22 年度・厚生労働省予算概算要求の骨子
(1)一般会計概算要求額
28.9 兆円(8 月比+2.5 兆円、平成 21 年度予算比+3.7 兆円)
(2)特別会計概算要求額
81.4 兆円(8 月比-0.3 兆円、平成 21 年度予算比+1.4 兆円)
(3)主な新規要求事項
・子ども手当の創設等
2.1 兆円
・年金記録問題対応
0.2 兆円
・雇用保険制度見直し
0.3 兆円
(4)削減事項
・天下り法人への補助金等の削減
-0.1 兆円
・公共事業関係費・施設整備費の削減
-0.02 兆円
・システム関係費の削減
-0.03 兆円
・事業の優先順位付けや廃止による削減 -0.07 兆円
注)厚生労働省資料より、筆者抜粋。
表 2 事項要求(具体的要求額の示されない項目のみの要求)の各項目
①生活保護の母子加算の復活、児童不要手当ての父子家庭への支給
②保育所待機児童等の解消
③診療報酬改定
④高齢者医療制度の保険料上昇を抑制する措置等
⑤新型インフルエンザへの万全の対応
⑥がん対策の拡充
⑦肝炎対策の拡充
⑧障害者自立支援法廃止に関して利用者負担を軽減
⑨緊急雇用対策
⑩協会けんぽ国庫負担割合の引上げ
⑪年金国庫負担の繰延べ等の返済
注)厚生労働省資料より。
あまりに安易な中福祉・中負担論
• 自公政権、民主党の社会保障バラマキ競争
の理論的支柱は、「中福祉・中負担論」。
• OECD各国、特に北欧諸国に比べて、福祉増
の余地があるというもの。
• しかし、欧米諸国は人口高齢化がほぼ終わり
つつある国であり、わが国には当てはまらず。
• わが国の場合には、安易な社会保障費増は、
将来の負担増を3倍にするため、中福祉・超高
負担社会が到来。「おつりは3倍返しの法則」
• しかも、現在の負担増すら先送りする状況。
年金はどうなる?
既に破綻している100年安心プラン
• 100年安心プランは既に崩壊している
• 少子高齢化の進行、経済情勢の悪化、運用
利回りの低下
• そこに2008年末のリーマンショックの直撃。
• 年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)に
よると、 2008年12月末の運用損は8.6兆円
(ちなみに、2008年度末は9.6兆円)。
• これを織り込むと、厚生年金は2055年、国民
年金は2060年に、積立金が枯渇する。
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厚生年金積立金の将来予測
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100.0
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-50.0
-100.0
-150.0
-200.0
現在
2004年改正時
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国民年金積立金の将来予測
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10.0
5.0
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-5.0
-10.0
-15.0
現在
2004年改正時
2009年財政検証の粉飾決算
• それにもかかわらず、2009年2月末に公表された厚
生労働省「財政検証」の結果は、年金財政にほとん
ど影響がないという結果。
• トリックは、厚生労働省が、運用利回りを4.1%にす
ることを初めとして、年金財政予測に使われる経済
想定を大幅に「改ざん」していることにある。
• 運用利回りは現在、マイナス6%を超える状況であ
るが、2009年度には急回復して1.5%となることが想
定。賃金は、2009年度、戦後最悪のマイナス成長が
予想されている中で0.1%と横ばい、2010年になると
3.4%に急回復する。国民年金納付率も80%に。
表 1 財政検証で用いられた経済状況の想定値
2009 年
2010 年
2011-15 年
2016 年以降
運用利回り
1.5
1.8
3.2→2.9*
3.2→4.1**
賃金上昇率
0.1
3.4
2.3→2.7
2.3→2.5
物価上昇率
-0.4
0.2
1.0→1.9
1.0→1.0
合計特殊出生率
労働力率
2050 年に 1.39→1.26
労働市場改革が成功し、女性、高齢者で相当の上昇
注)太字が財政検証の想定値。→の左の細字は 2004 年改革時点の想定値。*は 2011-19 年、**は 2020 年
以降。
民主党年金改革案の死角
• 民主党がまず行なうべきは、この財政の建て
直し。
• 現在計画されているのは、年金記録問題の
処理のみであり、抜本改革は4年後に先送り
となっている。
• しかし、2009年に年金改革が行なわれなかっ
た中、今後、4年間の放置による問題先送り
のツケはあまりに大きい。
• また、国民が望んでいるのは年金制度改革。
民主党の動きは、あまりに悠長である。
• また、現在計画されている年金改革も、問題
が多すぎる。以下がその骨子。
①現在、厚生年金(サラリーマン)、共済年金
(公務員)、国民年金(自営業、農林水産業、
無業)の3つに分かれている年金制度を1つの
制度に統一する。
②どんな低所得者・無業者でも最低7万円(月
額)の年金受給を保障する「最低保障年金」を
創設する。
財源は、消費税である(「政策集インデックス
2009」によれば、消費税率は5%。税収全て
を年金財源とする「年金目的税化」をする)。
• ③所得の15%を保険料として徴収し、現役時
代に収めた保険料総額に比例した形で、老後
の年金受給額が決まる「所得比例年金」を創
設する。
• ④改革案への移行は、旧制度と新制度を並
存させつつ、40年程度の移行期間をとる。
民主党年金改革案の仕組み
年金額
最低保障年金
7万円
所得比例年金
現役時代の
所得
年収600万円
年収1200万円
• 第一の課題は、最低保障年金の財源規模。
前回の参院選の際、当時の小沢代表が「現
役時の平均年収が600万円を超えると最低保
障年金が減り始め、1200万円超で打ち切る
(0円となる)」と発言しているが、この規模では、
消費税率は5~7%となる試算。財源が足りな
ければ、消費税率を引上げるか、所得比例年
金の収入を流用することになるが、どちらも国
民の納得を得ることは難しい。
• 金持ち労組の連合をどう説得できるかが一つ
のポイントである。
• 第二の課題は、これまで国民年金に加入していた自
営業、農林水産業の人々の所得把握の実現性であ
る。クロヨン(9:6:4)、トーゴーサン(10:5:3)などとい
われているように、わが国の自営業、農林水産業従
事者の所得把握率は、サラリーマンに比べて非常に
低い。
• 最低保障年金は所得比例年金が低ければ低いほど
たくさん受け取ることができるから、所得を低く偽るこ
とで、自営業、農林水産業従事者は大きく得をしてし
まい、最低保障年金への「ただ乗り」が広範に起き、
財政規模が膨張。
• 所得把握のための納税者番号導入や歳入庁創設
が前提。両者は、2013年までどころではなく、なるべ
く早急に、かつ確実に実施されなければならない。
• 第三の課題は、所得比例年金の制度的性質
である。所得比例年金は、保険料として支
払った総額が老後、年金として「比例的」に
戻ってくる制度とされており、積立方式への移
行のような印象を与えているが、実はどのよう
な財政方式をとるのかはっきりしない。
• 所得比例年金創設で新たに保険料負担が大
幅に増える自営業、農林水産業の人々にとっ
ては、積立方式のようにきちんと「年金が戻っ
てくる」制度でなければ、改革案に納得するこ
とは難しいだろう。
• しかし、現行の年金制度は、既に賦課方式で
運営されており、改革後も、現在の年金受給
世代への年金支払いを続けてゆかなければ
ならない。政府が今後支払いを約束している
年金受給総額(厚生年金分のみ)は、実は
670兆円も存在しており、現在持っている積立
金の130兆円を除いても、まだ540兆円もの
債務超過が存在している。
• この債務の処理に道筋を付けない限り、新し
い積立方式の年金に移行することは出来な
い。
• あるいは、もともと民主党案はスウェーデン方
式をお手本にしているとされているので、①確
定拠出で原則、賦課方式を維持したまま、②
一種のイリュージョンとして積み立てられてい
るイメージを国民に持たせる「見なし確定拠出
方式」という制度を考えている可能性もある。
しかしながら、スウェーデンでこうしたイリュー
ジョン方式が可能であったのは、スウェーデン
が少子高齢化のほぼ終わりつつある、緩や
かに少子高齢化が進む国であるからである。
• わが国では、馬脚が直ぐに現れてしまう。
• こうした所得比例年金のあり方しだいによっては、自公
政権のちっとも安心ではない「100年安心プラン」と、結
局は何ら変わらない。
• もともと、世代間不公平や年金財政の維持可能性に大
きな問題を抱える現行の3つの制度(国民年金、厚生年
金、共済年金)を合併するだけでは、問題は何も解決せ
ず、そのまま継続されることは明らか。
• むしろ、国民年金を一元化してその規模を大きくしただ
け、より年金債務額が増加する。低年金者対策がある
程度進んだとしても、現在よりも世代間不公平が拡大し、
年金財政の維持可能性が益々低くなるため、改革がむ
しろ裏目に出る可能性すらある。
医療はどうなる?
医師不足(勤務医不足)問題の背景
• 勤務医不足問題の背景として、まず第一に挙げら
れるのが、近年急速に高まったとされる医療へ「安
全要求」と、それに伴う医療訴訟や医師の逮捕の増
加という現象。
• これは特に産科や外科などで顕著。そのようなリス
クを勤務医が背負わざるを得なくなったために、相
対的にリスクが少なく、収入も多い開業医へのシフト
現象が生じている。そのようなシフトに伴って、残っ
ている病院の勤務医の労働が過重なものとなり、耐
え切れなくなってさらに退職が相次ぐ。
• 第二に、医師不足に拍車をかけているといわ
れているのが、いわゆる「コンビニ受診」とい
われる安易な夜間の受診増加や、高齢者達
の病院志向の高まり。これによって、病院勤務
医の労働量が増加して、病院離れが加速化し
ている。
• 本来、市場メカニズムが機能すれば、医師不
足は生じない。診療価格が上昇することにより、
需要は減少し、供給は増加する。
図表 4-3 病院医療サービス市場の需給分析 1
S1
診療価格
供給曲線(S0)
E1
P1
P0
A
②
E2
①
E0
④
③
B
D1
需要曲線(D0)
QA
Q0
患者数の超過需要=医師不足
QB
患者数
• 問題は、医療という分野には価格や参入の規制があ
り、このような市場メカニズムが機能しないということ。
診療報酬単価による価格規制が重大。
• 安全要求の高まりによる供給減は、診療価格が上
昇しないから、病院は、勤務医が開業医にシフトする
のを、そのまま指をくわえてみているほかない。
• コンビニ受診や高齢者の病院志向の高まりといった
需要増についても、価格統制によって医師不足が顕
現化。つまり、こうした病院の医療サービスの需要増
に対して、診療価格が上昇しなければ、いつまでたっ
ても需要は減らないし、供給を増やす努力も行なわれ
ない。
• さらに、医師不足に影響していると考えられ
るのが、近年の診療報酬引下げ。
• 診療報酬引き下げは、中医協が決定。
• 特に外来よりも入院医療の引下げが大きい
ため、入院患者の少ない開業医よりも、入院
患者の多い病院経営の側に引下げの影響が
大きく出ている。これは、ただでさえ、診療価
格引き上げを行なわなければならない状況
下で、価格がさらに引下げられたということ。
供給はさらに減少し、需要はさらに増加する。
図表 4-4 病院医療サービス市場の需給分析 2
S1
D1
診療価格
P1
A
P0
B
C
QC
D
QB
QA
医師不足
QD
患者数
• マニュフェストでは、診療報酬引上げを明記。
• ただし、診療報酬に必要な財源は、確保され
ておらず、来年度は、事項要求項目となった。
• 財源中立的な開業医の診療報酬引き下げは、
有力な選択肢の一つ。
• 民主党政権になり、中医協メンバーが大幅に
入れ替わり、医師会からの3名の委員が外さ
れた(医師会外し)。
• 事業仕分けでも、病院の診療報酬を引上げ
る一方で、開業医の診療報酬は引下げるべ
きとの議論が相次ぐ。
• ちなみに、民主党は、医師不足対策として、
大学の医学部定員を将来的に1.5倍程度に
増加させることをマニュフェストに。しかしなが
ら、その財源は全く確保されていない状態。
また、新規入学者が一人前の医師になるま
でには6年以上の歳月がかかるので、これは
ずいぶん悠長な対策であるといわざるを得な
い。しかも、上に述べたような問題の構造が
変わらなければ、いくら、医学部の定員を増
やしたところで、問題の解決になるかどうか
は極めて疑わしい。
介護はどうなる?
介護人材不足問題の背景
• 第一の背景は、景気回復及び雇用情勢の改善 。
• この分野では、2000年に介護保険が開始されて以
降の数年間が不況期であったため、ほとんど労働力
不足を感じることなく、多くの労働力を吸収し続けるこ
とが可能であった。
• 2004年ごろから景気回復とともに失業率が低下し始
め、2005年、2006年は4%台前半、2007年に入って
3%台の失業率にまで景気が回復。このため、介護
サービス以外の産業では、労働力逼迫によって賃金
が上昇し、それにひきつけられる形で、介護労働者
達が移動した。
• 第二の原因は、労働力不足が既に深刻化しつつあっ
た2006年の介護報酬改定で、財政の維持可能性確
保等の目的で、介護報酬が大幅に引き下げられてし
まったことである。このため、労働力不足はさらに拍
車がかかることになった。
• 第三に、介護労働力が豊富にあった時代に立てられ
た介護労働者の研修強化・資格高度化に関する事業
が、介護労働力不足時代にあっても軌道修正できな
かったこと(2006年から「介護職員基礎研修」、将来
的に介護職員を介護福祉士の資格取得者に原則限
る方針、ヘルパー3級資格の廃止、2012年からは、
介護福祉士の国家資格取得のハードルをさらに高く)
図 1 介護労働市場の需給分析
S2
S1
介
護
労
働
者
の
賃
金
供給曲線
(S0)
E1
W1
A
W0
W2
②
①
E0
C
B
需要曲線
(D0)
LB
LA
L0
介護労働者不足
LC
介護労働者数
民主党の政策で改善するか
• 結局は、診療報酬と同様、介護報酬が固定価
格になっており、需給調整が政治的なプロセ
スによってうまくなされていないことが原因。
• 現在、3%の介護報酬引上げの効果を見てい
る段階であるが、①賃金に回る程度少ない、
②行政リスクが大きい、③短時間ヘルパー達
は、103万、130万の壁があり、逆効果、と
いった要因から、それほど顕著な効果がある
とは考えられない。
• 民主党マニュフェストでは、介護報酬を7%引
き上げ、介護ヘルパーの給与を月額4万円引
上げるとしており、その実現に期待する関係
者も多い。
• しかし、来年度は、事項要求に止まり、それ以
降も財源が手当てされる見込みは薄い。
• 雇用対策として、介護ヘルパーを増やしてい
るが、資格のハードルが高すぎて、一時的な
雇用増に止まると見込まれる。
どうする日本の社会保障
身の丈にあった社会保障を目指す
• ①最低保障年金や所得比例年金による年金
財政の膨張、②医療における診療報酬の引
上げ、③介護における介護報酬の引上げ、④
こども手当てによるバラマキといった大盤振る
舞い、及び、その負担を全て国債発行でツケ
を先送りする政策は、財政的に維持可能では
ない。
• しかも、これまでのバラマキのツケを後世代
は負いつつ、急速な高齢化による負担増に耐
えなければならない。
• 民主党政権が数年後、財政的に行き詰まるこ
とは明らかであるが、その時代は、このリバウ
ンドのツケとして、さらに大きな改革、負担増、
給付減に耐えなければならない。
• そのためには、まず負担増をなるべく早く行な
う(消費税による社会保障財政の目的税化、安
易な国費投入の是正、保険料引上げ、自己負
担増)。
• 同時に、給付のスリム化が必要。財政拡大に
頼らずに給付量を減らさないためには、効率化
を推進。皮肉なことであるが、そのために、もっ
とも重要な政策手段は、規制緩和である。
• 「お大尽モデル」から「平民モデル」へ脱却す
ることが重要。
• 偽弱者への所得再分配も大幅に縮小する。
福祉的発想から、ビジネス的発想+真の弱者
保護へ。
• 競争原理を徹底して、医療、介護、福祉の効
率化を推進する。
• それだけの努力をしても、乗り越えられるとは
思えないのが、現状の財政、少子高齢化。
• 積立方式への一刻も早い転換が必要。