10.支出の動きをみる: (3)国際貿易 日本経済論B 12xii03 (1)資金源としての(A)農家と (B)外資 通説A:工業化金は農家が提供 寺西説: (1)農家余剰は少なく、政府部門で使われた (2)産業資金は、商工業自身で調達 (非農家部門は、 1908-12年と1923-27年の時期以外は、 貯蓄超過) 農家純貯蓄・非農資本形成の比率 農家純貯蓄/非農資本形成(%) 35.0 30.0 25.0 20.0 15.0 10.0 5.0 0.0 -5.0 -10.0 -15.0 18991902 1903- 1908- 191307 12 17 寺西推計 1918- 1923- 192822 27 32 大川・高松推計 193337 部門別にみた貯蓄・投資バランス 部門別 貯蓄・投資バランス 1933-37 1928-32 1923-27 1918-22 1913-17 1908-12 1903-07 1899-1902 -1500 -1000 -500 農家 0 非農家 500 政府 1000 1500 百万円 -国際収支差 通説B:外資の役割はマージナル 山本説: (1)日露戦役後、政府と地方公共団体は多額の 外債(国債、地方債、社債)を発行 (1910年代前半は債務超過に近し) (2)1920年代の経常収支の大幅赤字を埋めたの は資本輸入 財・サービス 資本収支 貨幣用金 1936 1934 1932 1930 1928 1926 1924 1922 1920 1918 1916 1914 戦間期の国際収支動向 国際収支 億円 10 8 6 4 2 0 -2 -4 -6 -8 (2)金本位制の時代 明治初期から大正まで:金本位(gold standard system) =固定為替の一種 昭和初期は金本位停止(短期間金本位に復帰した 1930-31年以外) 第二次大戦後から1971年まではドル本位(fixed exchange system) 1971 年 以 降 現 在 ま で は 変 動 為 替 ( flexible exchange system) 対・米国短期利子率の相関 米国短期利子率との相関係数 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 -0.2 1883-97 1897-1905 Japan UK 1905-14 France 1925-38 Germany 経常収支の動き: 1920年代は赤字基調(実質円高)、 1930年代は黒字基調(実質円安) 1920年代の円高 ⇒ 原料その他の輸入に有利 ∴「大 企業の工業化」に有利 1930年代の円安 ⇒ 植民地経営のための重化学工 業品の輸出が成長 金本位制度の「ゲームのルール」: 国内物価騰貴・所得増大 →輸出減退、輸入増加 →経常収支の赤字 →金流出 →国内通貨残高の減少 →国内金利上昇 →国内投資減退 →国内物価下落・所得減退→輸出増加、輸入減退 →経常収支の黒字→金流入→・・・ad infinitum 「ゲームのルール」は、国際資本の 頻繁な移動があれば成立せず 金本位からの離脱と復帰: 米国は1919年、 ドイツは1922年、 英国は1925年に復帰 日本は1930年にようやく復帰 (日本)1931年末、金輸出を再停止: (同年、ドイツと英国も金本位停止、 米国は1933年に停止) 外国為替相場と購買力平価(PPP)との比較 為替相場と購買力平価(PPP) $/\100 60 55 50 45 40 35 30 25 為替レート PPP(1913年基準) 1936 1934 1932 1930 1928 1926 1924 1922 1920 1918 1916 1914 20 第二次大戦後は? 輸出比率 乗用車価格/CPI 生産台数(千台) 15,000 14,000 13,000 12,000 11,000 10,000 9,000 8,000 7,000 6,000 5,000 4,000 3,000 2,000 1,000 0 自動車の輸出比率と相対価格(1954-98年) 70 60 50 40 % 30 20 10 0 輸入相対価格(1990年基準) 1.8 1.6 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 0 1955 0.2 輸入相対価格 輸出相対価格 交易条件 1995 1990 1985 1980 1975 1970 1965 1960 2 1.8 1.6 1.4 1.2 1 0.8 0.6 0.4 0.2 0 1955 貿易価格の動向(1990年基準) 「(現代)重商主義」の論理構造 経常収支の改善 ↑ ↑ 幼稚産業保護 ↑ ↑ 国際競争力付与 ←←←←交易条件の低下 ↑ ↑ ↑ 政策支援 ↑ ↑ ↑ ↑ 外国為替相場の動向 ↑ ↑ ↑ ↑ ↑ 国内物価の安定化←←物的生産性の向上 ↑ ↑ ↑ 資本蓄積 技術革新 組織改革 (=投資) ↑ ↑ ↑ 技術移転 「近代化」 資金動員 ↑ ↑ ↑ ↑ 国内 海外 国内 海外 重商主義 mercantilism: イギリス国内に貨幣を蓄積させる方針 (=重金主義)のもとに、 商業と初期工業とを政治的に保護した 16-18世紀中葉のイギリス政府の政策 (東洋経済新報社『経済学大辞典』III、p.865r) 輸出活動による貿易収入を 経済成長の原動力とみなし、 輸出振興 (→経常収支の黒字の増大) を強調する立場 つまり、貿易立国の思想 関税(競争品に高関税、必要輸入品に関税免除)、 為替管理(→外貨割当)、 外資規制、 許認可行政(=非関税障壁)、 加速度償却、 低利融資 などによる国内産業の保護育成(幼稚産業 infant industry保護) この裏にある思想: 日本は貧乏な小国、 技術的にも後進国、 先進国(欧米)が手本、 キャッチ・アップcatching West) が必要 up (with the →目標時点を掲げて努力: 貿易自由化:1960 資本自由化:1967 前式に日本の人口とGDPとを代入すると、 d=52.3% しかし実際値は、19.1% (南・牧野『日本の経済発展』第3版、2002年、pp.154-155によ る。) 外為相場 ($/\) 150 140 国際収支と為替相場 130 120 110 100 暦年 国際収支 1990-2000 20000 15000 5000 -10000 -15000 -20000 暦年 経常収支 資本収支 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 -5000 1990 0 1989 \10億 10000 2001 2000 1999 1998 1997 1996 1995 1994 1993 1992 1991 1990 1989 90 輸入商品の構成 1990 18% 23% 輸入の構成 10% 0% 7% 9% 食料 原料 鉱物燃料 化学 繊維 金属 機器 33% 輸入商品の構成 2000 14% 7% 36% 23% 5% 7% 8% 食料 原料 鉱物燃料 化学 繊維 金属 機器 輸出商品の構成 1990 6% 6% 3% 5% 輸出の構成 25% 29% 繊維 鉄鋼 一般機械 電気機械 輸送機械 精密機器 化学 26% 輸出商品の構成 2000 2% 9% 6% 4% 25% 24% 30% 繊維 鉄鋼 一般機械 電気機械 輸送機械 精密機器 化学 地域別輸出入 地域別輸出(外円)・輸入(内円) 2000年 (10億円) 7% 2% 14% 15% 21% 30% 16% 13% 25% 2% 4% 17% 13% 2%2% 17% USA EU カナダ オーストラリア アジアNIEs ASEAN 中国 中東 q’ = 170.6 -0.61 p 日本の輸入函数例示 輸入函数 1985-1999 (1995=100) 輸入価格指数(p) 250 200 150 推定値 観察値 100 50 0 0 20 40 60 80 輸入数量指数(q) 100 120 2000 1998 1996 1994 1992 1990 1988 1986 1984 1982 1980 1978 1976 1974 1972 1970 日本の対外直接投資(億ドル) 800 700 600 500 400 300 200 100 0
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