梶田 隆章教授(東京大学宇宙線研究所教授)の研究成果 ■宇宙線が生成するニュートリノに関して研究し、世界で初めてミューニュートリノが長距離を走る と約半分に減っていることを発見し、ニュートリノ振動とニュートリノの質量の存在を発見。 ■この発見以降、ニュートリノの質量の研究とそれを取り入れた素粒子理論の研究が進展。素粒 子物理における標準理論を超える物理への最初の手掛かりを与えた。 ※「ニュートリノ」とは、素粒子(物質を構成する最小単位)の一つ。電子、ミュー、タウ型の3種類が存在。 ※「ニュートリノ振動」とは、生成時に決定されたニュートリノの種類が、後に別の種類として観測される現象。ニュートリノが質量を持つことにより起きる現象。 功 績 大気ニュートリノ振動のメカニズム 1986年、宇宙線が大気中の原子核と衝突して 生成する大気ニュートリノに関する研究を開始。 1988年に大気ニュートリノ中のミューニュートリ ノが予想の約60%しか観測されないことを報告。 1998年、ミューニュートリノが長距離を走ると約 半分に減っていることを発見。 ⇒ ニュートリノ振動の存在を証明。 当該成果がニュートリノが非常に小さい質量を 持つことの証拠となり、ニュートリノには質量が ないと仮定していた素粒子の標準理論を超える 初めての実験成果として、素量子物理学に大き なインパクト。 宇宙線が大気と衝突して生成するミューニ ュートリノのうち、スーパーカミオカンデの 上空の大気で生成されたニュートリノは飛 行距離が短いのでミューニュートリノのま ま飛来(図中の赤線)するが、地球の反対 から飛来するニュートリノは、最初ミューニ ュートリノであったものがタウニュートリノ( 図中の青線)になり、更に飛ぶとまたミュ ーニュートリノになるということを繰り返し てスーパーカミオカンデに飛来する。 東京大学(宇宙線研究所神岡宇宙素粒子研究施設)作成
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