地球規模で現象を監視する ために必要な人材について 大阪管区気象台 須田 一人 これまでの主な活動分野 学生時代:地球物理(地震波解析、海流モデルなど) 体力とりあえず頑丈、語学・世界は好き 1987~1990年 気象の観測・予報(仙台) 1990~1995年 気象業務に関する国際協力(気象庁) 1990~1993年 地球サミット・気候変動枠組条約(外務省) 1995~2011年 気候変動・温室効果ガスの監視など(気象庁) 1996~1998年 WMO全球気候観測システム(ジュネーブ) 2003~2007年 包括的核実験禁止条約:CTBT(ウィーン) 2011年~ 観測・予報、地震、気候など技術全般(大阪) 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 2 国際(政府間)機関での活躍の場 議論・決定の場 国際機関 出典:WMO 意 思 決 定 事務局 出典:CTBT機関準備委員会 技術的・中立的 な立場で貢献 分 担 金 支 払 専門家・研究者 各国政府 委任された 範囲内での 判断・調整・ 執行 国際貢献の対象 現物支援 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 3 WMO全球大気監視(GAW)の例 Global Atmosphere Watch GAWの任務 社会の環境リスク軽減及び環境関連条約に 必要な情報の提供 気候・気象・大気環境に関する予測能力の向上 環境に関する政策決定を支える科学的な アセスメント作成への貢献 上記任務達成のために以下を行う 全球的かつ長期的な大気環境観測の維持 データの品質保証・品質管理の実施 統合的なプロダクトやサービスの提供 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 4 WMO全球大気監視(GAW)の例 データ交換 データ解析 観測 観測網 現状分析 基準作成 専門家 出典:Max-Planck-Institute for Biogeochemistry 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 5 WMO全球大気監視(GAW)の例 国際機関 WMO 議論・決定の場 基本方針、基準作 成、分担調整など 事務局 事務局職員の応募要件の例(抜粋) Advanced university degree in chemistry, meteorology, physics or geophysics or a closely related field. A PhD in atmospheric sciences would be an advantage. At least eight years of progressively responsible experience in atmospheric chemistry research, observations and analysis, of which two years at the international level. Good knowledge of observing techniques, quality assurance and data management. 専門家・研究者 (物理、化学、計測、 情報処理など) 各国政府 気象庁など 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 測定、データ交換、 国際貢献の対象 データ解析など 6 包括的核実験禁止条約(CTBT)の例 宇宙空間、大気圏内、水中、地下を含むあらゆる空間における核兵器の実験的爆 発及び他の核爆発を禁止 ⇒ 条約の遵守について検証する検証制度を設ける 国際監視制度(IMS) 世界337か所の 4種類の観測施設 地震 水中音波 微気圧振動 放射性核種 出典:CTBT機関準備委員会 観測データは衛星通信で収集 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 7 包括的核実験禁止条約(CTBT)の例 波形データ 国際データセンター(IDC) 放射性核種データ 現地査察(OSI) 出典:CTBT機関準備委員会 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 8 包括的核実験禁止条約(CTBT)の例 国際機関 CTBT機関準備委員会 議論・決定の場 基本方針、基準作 成、活動承認など 暫定技術事務局(PTS) 事務局 事務局職員の応募要件の例(抜粋) University degree in geophysical science or a related field with relevant experience in seismic, hydroacoustic and/or infrasound data analysis. Experience in global seismic data analysis is an asset. At least five years experience in seismic analysis and familiarity with interactive computer analysis systems. 専門家・研究者 (地球物理、原子力、 計測、情報処理など) 外務省など 各国政府 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 観測、データ分析、 国際貢献の対象 現地査察など 9 異なる国際機関での協力 WMOとCTBTの協力で放射性核種の観測データから発生源を推定 核爆発 大気中を拡散 発生源の 位置を推定 放射性核 種を観測 2006年10月にカナダでの放射性核種 観測データから発生源を推定した事例 逆解析 出典:WMO 出典:Saey et al. (2007) 2004年12月のスマトラ沖地震がきっかけ UNESCOとCTBT が津波早期警戒シ ステムと開発途上 国の能力開発で協 力に合意 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 出典:UNESCO 10 まとめ 国際機関事務局以外にも国際貢献できる場は様々に 用意されている。様々な立場からの貢献が可能。 自分の得意分野を固め、国際的な活動の実績を積み、 世界をリードできる分野を見出すこと。 地球科学に基づく地球規模での現象監視は、異なる 分野の技術やノウハウを組み合わせることで発展して いる。自分の分野に閉じこもらないこと。 一つの組織で異なる分野の仕事をするもよし。異なる 組織で一つのテーマをつき通すもよし。 平成24年3月22日、京都大学グローバル人材育成セミナー 11
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